竜国の復興

竜の国は邪竜レヴェラボレアの復活のために甚大な被害を被った。
辛うじて邪竜の討伐には成功したものの、その被害は大きく、とりわけドラゴン飼育エリアが壊滅的である。
竜の育成と竜騎士の派遣を国家の主力産業としている竜の国としては、ドラゴンの飼育ができないのは致命的である。
加えて度重なる混乱と市街の復興のために多くの予算を使い果たし、ついに国庫が底をついてしまった。このままでは債務不履行になってしまう。帝国と連邦から半々を出資してもらっていた竜の国にとって、ここで債務不履行（デフォルト）を出してしまうのは非常に危険である。最悪の場合、帝国連邦それぞれの保護領となり、国家が二つに引き裂かれてしまうかもしれない。

そこで王家が助けを請うたのは飛行島だった。帝国にも連邦にもどちらにも与しない中立国家。飛行島とはこれまでも多くの協力関係を築いてきたことは言うまでもない。
ただし飛行島としても、二つ返事で答えるわけにもいかない。手を差し伸べたいのはやまやまだが、なにしろ額が額である。国家予算に匹敵する資金を無担保で出すとなると、飛行島自体も傾き墜落しかねない。また巨大な資金の流れは帝国や連邦をいたずらに刺激してしまう。

そこで一度に出資するのではなく、ひそかに、継続的に、かつ計画的に復興事業を行っていくことにした。
そして利子を取らない代わりに、ひとつだけ担保を取ることにした。