猫虎屋 2022/12/08 00:05

囚われのエレノア

囚われのエレノア

世界に仇をなすもう一つの飛行島。それを制御していたエレノアを捕らえることに成功した。
正確には闇ではないが、自らそうであるかのように振る舞っているため、闇、もしくは黒のエレノアと呼んでいる。

その闇のエレノアを飛行島の地下にある牢に幽閉し、抵抗できないように拘束した。

「本当に同じ顔をしているんですね。なんだか鏡を見ているみたいで不思議な感じです。」
尋問の場にはもう一人のエレノア、白のエレノアにも同席してもらっていた。
二人が並ぶと、髪の色こそ違うものの、まるで双子のようにそっくりである。むしろ双子よりも近い。寸分違わぬ遺伝子を持つ本人同士なのだから。
「あんまり見ないであげてくださいね…。なんだか私まで恥ずかしくなってきました。」
下着も全て脱がせて、腕は頭の上で鎖に吊るしているため、身体を一切隠すことができない。それでも腰を捩って少しでも見えないように抵抗してみせる姿は、このような姿をしていても恥じらいのある証拠だった。

「近寄るな!裏切り者が。」
白のエレノアが至近距離まで近づくと、黒のエレノアが拒絶するように威嚇した。
「別に危害は加えませんよ。あなただって私なんですから。…それに、裏切り者はそちらじゃないですか。」
「アイリス様を見捨てて、そんな男に現を抜かして。裏切り者以外の何物でもないわ。」
赤髪を見て、吐き捨てるように言う。
「ち、違います!この方はアイリスさんのパートナーですから。私にとっても大切な人というだけで…」
「お前が言っただろう。私がお前だと。つまりはお前は私でもあるのだ。お前が何を考えているのかくらいわかる。」
「そ、それは……」
「そんな男のどこがいいのか。アイリス様を裏切ってまで……!」
「やめてください!本当にそういうのじゃないですから…!」
「うるさい、この売女が!」
黒のエレノアの激しい罵声に、なんとか笑顔を浮かべていた白のエレノアの表情がぴくりと動く。そしてくるくると変化した後に、満面の笑顔に変わった。

「わかりました。いいでしょう。教えてあげますよ。あなたが私なら、きっとその良さも理解してもらえるはずです。」
白のエレノアはあくまでも笑顔だが、その目は笑っていない。

「何をする…。それ以上近寄るな!」
「さあどうか、このわからず屋の私に、教えてあげてください。本当の愛というものを。」
エレノアは自分と同じ顔をしたその顔に、優しくキスをした。

逆バニーエレノアさん

罰として飛行島の酒場でしばらくバニーさんとして働くことになったエレノアさん

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