猫虎屋 2023/11/07 13:23

シェアハウスの夢

キュアにとってのシェアハウスはドキドキの連続だった。
なんといってもあの憧れの人とひとつ屋根の下の生活。
以前よりもずっと親しくなって距離が縮まったけれど、永遠に続くと思われたこの時間もまもなく終わろうとしている。
そしてまだ思いを打ち明けられずにいる。

(今日はちょっと疲れちゃったなぁ……)
今日のアルバイトは色んなことがあって、心沸き上がることもあったけれど、精神は高揚していても身体の方は完全に限界を迎えている。
疲労で泥沼のような身体を引きずってお風呂に入ると、全身がぽっかりと温まって眠気がやってきた。
(いけない、いけない)
あやうく湯船の中で寝落ちそうになって、溺れかけたので、ふらつく身体のまま服を着て、自分の部屋に戻る。そして闇に吸い込まれるようにしてベッドで眠りに落ちた。

(あれ?)
次に目が覚めたときに、違和感に気がついた。隣に誰かが寝ている。自分と同じ、赤い髪をした少年。憧れの人。
(うそ…、どうしているの?)
それがなぜか自分と同じベッドで寝ていた。
(そうか、これは夢、夢の中だよね。)
まだ感覚がふわふわしていて、意識が定まらない。まるで夢の中にいるかのようだった。
(夢なら、いいよね……。)
ぴたりと肩を寄せて近づいてみる。ぐっすりと寝ている。彼もお風呂上がりなのか、上半身裸のまま寝息をたてていた。このままでは風邪を引いてしまうかもしれない。
そう思って下の方から布団をかけてあげようとした。しかしその時何かひっかかるものがあった。
(うそ…こんなに大きく…)
女の子にはないそれが、固くはちきれんばかりになっている。着衣の上からも明らかにわかるサイズだった。それは服の下で苦しそうにしていて、少し引っ張ると高くそそり立つ。
(ひゃっ)
初めて間近で見るそれは、禍々しい剣のようで、見るものを虜にしてしまう大きさだった。
(どうしよう…)
いけないことをしているようで、どきどきが止まらない。でもこれは夢の中。夢の中くらい、大胆になってもいい。彼のそれが大きくなっているということは、それを望んでいるということだ。
やさしく手で握り、ぎこちなく愛撫してみた。
なんとかしてあげたいけど、どうしたらいいのかがわからない。ただ知識としては、これが女の子の中に入るものだということは知っている。大きくなってしまった以上は、もう自分が責任を持ってやるしかない。

眠った彼の上に馬乗りになるようなかたちになり、火照った身体を密着させる。そして自分のそこに入るように導き入れた。
(ん………っ!)
あまりに大きすぎてなかなか入らない。だがチャンスは今しかないと思って、体重をかけてぐっと一気に奥まで押し込んだ。
「ひあああっ!」
全身を貫かれるような激しい衝撃がはしって、目を白黒させる。夢の中にしてはあまりにもリアルな感覚。


でも下を見ると、たしかにすべてを呑み込んでいることを確認した。そしてそのさきで視線が合う。

「ご…ごめんね…。起こしちゃったよね…」
カッと顔が熱くなる。この状況、どう説明したらいいのかわからない。
ただ一線を超えてしまった以上は、もう突き進むしかない。何か言おうとした彼の口を唇で塞いで、強く密着した。腰を上下させると身体がカッと熱くなり、密着した身体が熱を共有する。
「あああっ……!」
下からも突き上げられるような感触がして、耐えきれないほどの感覚が襲いかかってきた。
あまりの熱さに、頭が真っ白になる。
闇の夜中で、ベッドのきしむ音と、二人の息遣いだけが荒々しく響いていた。

それからのことはよく覚えていない。
気がつくと朝になっていて、自分の部屋で目が覚めた。
(夢か……夢、だよね。)
少し惜しい夢だった。せっかく一線を越えることができたのに、あれはすべて夢だった。やけにリアルな夢。
でも夢でも構わない。今の自分にはその位置がちょうどいい。今はまだ届かないけれど、いつかは届かせる思い。

「おはよう!」
めいっぱいの元気を出して、みんながいる朝食の席につく。
彼の顔がほんのり赤らんだことには、気が付かなった。

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