たがわリウ(星月夜) 2020/03/21 23:53

J庭48新刊の表紙とサンプル

J庭48新刊

現時点では開催予定ということで、個人サイトに新刊のサンプルを上げました。
同じ内容をこちらにも載せておきます。
新刊はサイトや投稿サイトで公開している作品の再録本(書き下ろし有り)になります。


ひとりじめ R18
◇狼獣人(上司)×人間(部下)
◇A5二段組60P/700円予定

書き下ろし部分サンプル※R18

 ゆっくりと車が止まる。サイドブレーキを引いたゼンさんは心配の滲む瞳で俺を見た。
「春樹、大丈夫か?」
「吐きそうですけど、大丈夫です」
 きっと青白くなっているだろう顔で大丈夫だと微笑んでみる。大丈夫だよな、と自分にも確認してみたが、返事はなかった。でももうここまで来たら、大丈夫だと言うしかない。
「これでは緊張は解けないかもしれないが、俺も少し緊張している。ここに来るのは久しぶりだし、恋人を連れてくるなんて初めてだからな」
 自分も一緒だとゼンさんは大きな手を俺の頬に添えた。ゼンさんの体温と慣れている感触で心が少し軽くなる。
「ありがとうございます。俺、頑張ります」
「いつも通りの春樹でいい。もし何か言われても、俺と春樹が愛し合っていることと、これからもふたりで一緒にいることは変わらないからな」
「……はい」
 ゼンさんの運転でやってきたのは、ゼンさんの家系で本家と呼ばれている邸だった。この邸に住んでいるゼンさんの祖母に挨拶をすることになっている。
 親戚の中でも一番の発言力を持っているらしい人との対面に、俺は二週間前から緊張していた。ゼンさんから聞く印象だと、優しいという言葉は当てはまらない。
 何かまずいことをしてしまったらどうしよう。気に入られなかったらどうしよう。そんな考えでいっぱいになっていた俺だったが、ゼンさんからの言葉に大きく息を吐いた。握りしめていた拳から力を抜く。
 今日はただ挨拶をするだけ。もし気に入られなくても、俺とゼンさんの関係は変わらない。
「よし。行きましょう」
 深呼吸をした俺はドアを開け車から降りた。同じように運転席から降りたゼンさんが、出迎えなんて珍しいと口にする。ゼンさんが見ている方へ顔を向けると、玄関の前に立つ着物の獣人が見えた。
 背筋はピンと伸びているが、高齢なこともあり体が大きいわけではない。それなのにその獣人の女性の存在感に息を飲む。こんなにオーラのある人に会うのは初めてだった。
 手土産のお菓子を持って女性の元へと歩く。庭に植えてある立派な松の木が厳かな雰囲気を醸している。
「初めまして、マホラと申します。ゼン、しばらくね」
「お久しぶりですお祖母様。お元気そうで何よりです」
 キリッとした鋭い瞳が俺とゼンさんを見つめる。ゼンさんよりも明るい灰色の毛は、陽の光を反射すると銀色に見えた。
「は、初めまして、早川春樹と申します」
「ゼンがお世話になっているようで」
「いえ! こちらこそゼンさんにはお世話になっております」
 今日まで何度も心の中で練習してきた挨拶を必死に口にする。緊張で顔は強ばっているし声も勢いで大きくなってしまったけど、なんとか名前を伝えることはできた。
「どうぞ、お上がりください」
 マホラさんは体の向きを変え、大きな邸の中へと入っていく。第一関門は突破したけどこれからだ、と気合いを入れ直した俺は、実際よりも大きく見える背中に続いた。

~中略~

「風呂もいいですけど、その前にちょっとゆっくりしたいです」
 部屋に入ったところで立っていた俺たち。まずは体の力を抜いてゆっくりするために、ゼンさんの手を引いて部屋の中央に移動した。机のそばに敷いてある座布団に座り、隣のゼンさんに寄り添う。
「そうだな、せっかく二人きりになれたのだからな」
 体がくっつく程近くにいるゼンさんはそう言うと、俺の太ももの辺りに手を置き、べろりと首筋を舐めた。
 さわさわと布の上から撫でる手、熱い息のかかる肌、執拗に舐められる首と耳に、俺は力が抜けゼンさんの腕にしがみつく。
 ふたりきりになれたことも、こうして触れ合えることも嬉しいけど、あることがこれ以上の行為を躊躇わせた。
「ゼンさん、マホラさんに、聞こえちゃう」
 挨拶にお邪魔した先でこういう行為をするのもどうかと思うし、獣人は耳が良いと聞いたことがある。
 だから今こうしているのをマホラさんに知られるかもしれないという不安があった。
「泊まれと言った時点でお祖母様は承知しているから、気にするな」
「でも、獣人は耳が良いんですよね?」
「良いと言っても人間より少し良いくらいだから、母屋までは聞こえない」
 話しながらもゼンさんは俺の耳を舐めることを止めない。ぴちゃぴちゃという音と熱い舌で俺の思考はふやけだす。
 太ももを撫でていたゼンさんの手が足の付け根に移動し、少し硬くなった俺のそこを軽く撫で付ける。触れるか触れないかというもどかしい刺激に、俺はびくっと肩を揺らした。
「俺はもうその気になってしまったが、ダメか……?」
 苦笑混じりだが懇願するような声が耳元で落とされる。しがみついていた手を俺もゼンさんのものに持っていくと、そこは俺と同じように硬くなり始めていた。
「……じゃあ今は最後まではしないで、夜に、その、しましょう」
 最後までしないというのは中には入れないということだ。ゼンさんを受け入れると声が抑えられないため、俺はそう提案した。
「わかった。中には入れない」
 呟くように言ったゼンさんは、布の間から手を侵入させる。そのまま下着の中に手が進んだ。
「ん、」
 ずらされた下着からこぼれたものをゼンさんの手が掴む。包まれてゆるゆると動かされると、どんどん硬さを増していった。
「あっ、ん」
 刺激に耐えながら俺もゼンさんのものを撫で付ける。布の上から輪郭をなぞり、指先を這わせて刺激すると、ゼンさんの呼吸も荒くなってくる。
「はぁ」
「っぅ、あぁっ」
 指先で先端を擦られた瞬間、びりっと痺れに襲われた。ただ座っていることが難しくなってきた俺はゼンさんにもたれ掛かる。
 するとゼンさんは俺の体を抱え、ふたりが座っていた座布団に四つん這いになるよう体勢を変えた。あれ、この体勢は、と思っているうちに浴衣の裾が捲られ、下着が晒される。
「中には入れないから、安心してくれ」
 下着もずらされると素肌にゼンさんの手がすべった。後ろから覆い被さるゼンさんは、たち上がったものを俺の足の付け根、そして尻に擦りつけ始める。
 後ろから何度も体を揺すられる行為に、これ、やばいかもと思った。いつもと同じ体勢なのに、やっていることはいつもと同じでは無い。
 その違いに戸惑いながらも、ゼンさんを受け入れる箇所にかすると体が震える。獣人のそれは毛ですべるため、勢いよく擦られたら入ってしまいそうだ。
「んっ……はいっちゃうっ」
 ゼンさんの手がまた俺のものにまとわりつく。体を揺すられながら前も弄られると、本当に入っているのではないかと錯覚してしまう。
「あっ、あっ、ぜんさんっ」
「はぁ、春樹っ」
 手に力が入らなくなった俺はぺたりと上半身を畳につけ、尻だけを突き出す。入口を擦られる度に、焦れったさと甘い期待で胸が切なげに締め付けられた。
 ついに俺は、やっぱり、と口にする。
「やっぱり俺も、なかに、欲しいです……ぜんさん、奥に、きてっ」

~後略~

『ひとりじめ』R18
A5二段組60P/700円予定
サークル 星月夜
スペースNo.ら04b

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