ということでCCB、そう、80年代に「ロマンティックが止まらない」で一世を風靡したあのCCBである。
そのCCBに今更ハマってしまったのである。
さて、以下長いので興味ある方だけお読み下され。
そもそもCCBは、拙者にとってみればあのチェッカーズと同じようなアイドル路線のなんちゃってバンドかと思ってて、当時は全く興味なかったのである。
(無論当時流行った「ロマンティックが止まらない」は、同じく当時流行ったドラマ「毎度お騒がせします」や「ザ・ベストテン」で知っていたが)
80年代ド真ん中にちょうど青春真っ盛りの大学時代を過ごした拙者は、その頃高校時代から好きだったTOTOやREOスピードワゴン、そしてマイケルやマドンナ、フィルコリンズ、ワムやカルチャークラブなど、要するに黄金時代を迎えていた洋楽ポップスにどっぷりハマっていた。
邦楽で好きだったのは佐野元春、山下達郎、尾崎豊で、これまた当時ニューミュージックの旗頭と言われた面々である(因みに佐野元春の伝説の新宿ルイードライブも生で見た)。
そんな拙者がなぜに今更CCB?
ことの起こりは2年前に筒美京平が亡くなった時、当時お世話になった芸能人代表として、CCBのドラマー兼ボーカル、笠浩二がある番組で話していたのを見てからである。
その番組で、笠はフラフラの状態で杖をつき、身体は小さくやせ細り、風貌はまさにおじいちゃんのようになっていた。
拙者は心底驚いた。
CCBの笠と言えば、当時ピンクに染めた髪でカラフルなメガネかけて、やんちゃな少年のようだった記憶があったからだ。
歳もあの頃20代だった拙者とほとんど変わりないはず。
そしてあの綺麗なハイトーンボイスも、その番組では弱々しいしシワがれた声となっていた。
何でこんなに変わってしまったのだ?
彼に何があった?
それから突然興味が出ていろいろ調べてみた。
笠浩二は元々メンタルや身体が弱く、近年体調を崩し糖尿病にもなっていたこと。
バンド自体は1989年に解散しメンバーがバラバラになったこと。
バンドのリーダーでベーシストであった渡辺英樹は、2016年に突然大動脈性乖離で何と55歳で亡くなっていたこと。
バンドのギター担当でイケメンだった関口誠人は1987年にバンドを脱退し、その後細々と音楽活動を続けていたが風貌が別人にように変わってしまったこと(最近宗教2世だったと若い頃の苦悩を告白した記事が出ていた)。
バンドのキーボード担当であった田口智治は覚醒剤で逮捕されていたこと。
リードギター担当だった米川英之はある意味唯一まともで、ギタリストとして矢沢永吉のバックバンドにまで参加していたこと。などなど・・・
因みに当時知っていたCCBのメンバーはピンクの髪で目立っていた笠ぐらいしかなく、リーダーの渡辺英樹については全く知らず、当然亡くなっていたことも知らなかった。
他メンバーにしても然りである。
そして今年2月、ついにその笠浩二も亡くなってしまった。
享年60歳・・・若すぎる・・・
あの80年代に、明るいルックス、若さ溢れるエネルギーを全開にして輝き一世を風靡した彼らが、ここまで変わってしまうとは・・・
まさに仏教で言う諸行無常、そのはかなさに、そもそも彼らの音楽ってどんなものだったんだろうと、とりあえずベスト盤から聴いてみたワケだ。
すると・・・
まずデビュー曲の「CANDY」
(関連動画に飛びます)が出色の出来である。
そもそもCCBというバンド名自体ココナッツボーイズから来ていて、アメリカのビーチボーイズ風のコーラスグループを意識していたのだが、このCANDYはメロディ、コーラスともに素晴らしい。
当時全くHITしなかったのが不思議であるくらい。
続く秋元康作詞の「瞳少女」もアイドルポップスそのものながら悪くない。
しかしこれも当時HITせず。
そして、サードシングルの筒美京平作曲「ロマンティックが止まらない」がご存じの通り大ヒット。
ここから筒美京平作品が続いていくがそのどれもが素晴らしい。
特に拙者がCCBで一番好きな2曲、「Lucky Chanceをもう一度」「空想Kiss」はメロディ、トリプルボーカルの構成など最高のクォリティである。
何よりボーカルの渡辺英樹のボイスが甘く綺麗なのだ。
恥ずかしながら80年当時はCCBといえば笠浩二がメインボーカルと思っていたのだが、実際は渡辺英樹を中心としてメンバー全員がボーカルを取るグループだ。
特に渡辺、笠、関口で回すトリプルボーカルが素晴しい。
しかも彼らはそれぞれ楽器を奏でながら歌う。
何よりすごいと思うのは、ベースの渡辺英樹が複雑なベースラインを弾きながら「Lucky Chanceをもう一度」や「空想Kiss」の実質メインボーカルを、きっちり歌い上げていること。
ご存じの通り、ベースは曲の主旋律とはことなる音の流れで、これを実際弾きながら歌うというのは日本はおろか世界でも珍しく、相当難しいらしい。
しかも渡辺のベースラインは変化に富んでおり複雑なのだが、彼はさも自然に簡単に弾きながら歌っている。
因みにこの渡辺のベースラインを意識しだすと、同じ曲でも2度楽しめるから面白い。
で、渡辺のベースラインをまねした所謂「やってみた動画」もネットにたくさんあるが、チャン・ユーという若い女性がチャレンジした「Lucky Chanceをもう一度」があるので、オススメで上げておきマス。
しかし今はYouTubeをはじめとし、当時の彼らの映像が簡単に見れるのも素晴らしい。
例えば夜のヒットスタジオに出演した時のもの。
まさに絶頂期のCCBの姿が見れる。
この頃は彼らは本当に輝いていた。
(この動画の中の薬師丸ひろ子も本当に可愛いが)
しかし笠のドラム叩きながら歌うという技術も、かなり難しいはず。
この頃はスタジオで生歌が当たり前だから、その巧拙が如実に出るが、彼らはCDと同じレベルのクォリティをしっかり保っている。
あとライブとかも簡単に動画サイトで見れるが、彼らのライブがこれまた素晴しく、これまたバンドとして彼らがいかに場数を踏んでいたか分かる証左かと思う。
結局拙者は彼らのメモリアルDVDとベストアルバムを買ってしまった。
いろいろ聴き込むと、彼らの音楽が変わっていくのがよくわかる。
最初はコーラスを売りとしたアイドルポップ路線でデビュー。
その後シンセを取り入れたテクノポップへ。
このあたりは筒美京平などの曲作りのプロがプロデュースしている。
その後次第に彼らのやりたかった純粋なロック路線へ。
中盤から後半にくると、ほぼ彼ら自身で作詞作曲したナンバーが続く。
それとともに、何となく女性向きの明るくポップなメロディラインが、男っぽい硬派な印象へと変わっていく。
このあたりで、初期の頃からいた女性ファンが付いていけなくなり、段々と表舞台から外れ、1989年に解散となってしまった。
ベース奏者としては日本でも第一人者の渡辺英樹、笠浩二の優れたドラムテクニックとハイトーンボイス、低音ボイスと独特の曲作りのセンスある関口誠人、地味だが定評あった田口智治のキーボード、そして今ではギタリストとして立派に成長、アルバムも多々発表している米川英之。
2016年に再度CCBとしてツアーまで行おうとした彼ら(チケット販売済)だったが、その講演初日一週間前に、リーダーの渡辺英樹が突然死。
その後の田口逮捕、笠の死亡が続き、もはやCCB再結成は実現不可能となってしまった。
一度成熟した彼らのライブを見てみたかったが、それもまた夢のまた夢である。
最後に現在拙者が考えるCCBのナンバーベスト5を挙げさせて頂く。
1,ラッキーチャンスをもう一度
2,空想KISS
3,浮気なジル
4,I SAY I LOVE YOU
5, Let's Go Climax
1~4は筒美京平作品。
筒美京平は自身で若いバンドをプロデュースしたかったらしく、それがCCBで実現することが出来たらしい。
なので必然的に筒美がCCBに提供する作品は、本当に力の入った名曲が多い。
ようするに筒美京平とCCBは切っても切り離せないのだ。
あといろいろライブも見たが、個人的にはこのライブがベストだと思う。
奇特にもネットに載せてくれた方がいるので、興味ある方は是非見てみてください。
★CCBライブ晴(1986年4月6日読売ランド)
上記1、3~5が演奏されている。
特に当時CD発売なくライブのみの演奏だった5は、渡辺英樹作曲・関口誠人作詞で彼ららしいロックナンバー、ライブでこそ最高に盛り上がる曲。
ということで長々とすみません。
コロナで時間出来たのでつらつらと書いてしまいました。
あと同じくちょこっと仕上げたイラスト&ノベルを無料プランコーナーに載せますね。