フリーセンテンス 2021/08/07 21:29

新作 聖女虐胎膨辱蟲○年代記 体験版

プロローグ


 ・・・・・・聖エルマン王国における「蟲使い一族」への酷虐な扱いが、王国を崩壊へ導くきっかけとなったのは周知の事実である。
 魔導の大国として古の世界に君臨していた古代ルフテル王国が自らの怠惰と傲慢さによって滅亡した後、中原のルフテルシア一帯は戦乱と混乱の坩堝と化して多くの血が流れた。その混沌はおよそ一五〇年の永きに渡って続き、その間にルフテル王国が誇った魔術や呪術など、超常の力を操る術の多くが歴史の彼方に失われてしまったことは、人類にとって大きすぎる損失であったと言わざるを得ない。しかしながら、当時の人々にとってはそれ以上に、巨大な戦禍によって多くの命が喪われたことの方がより衝撃的だった。
 およそ一億人。その数字は、一五〇年の永きに及ぶ混沌によって「人為的」に奪われた人の命の数であって、この当時、老衰や病死といった自然死によって昇天した人は極わずかだったと記録されている。ルフテルシア一帯がこの損失から立ち直るまでにはさらに長い年月と、多くの血と汗と涙、そして苦労を伴わなければならなかった。
 古代ルフテル王国滅亡後、ルフテルシア一帯では多くの国が興り、そして滅亡していったが、王国滅亡から五〇〇年が経過する頃には一応の安定をみた。聖エルマン王国もその頃に建国を果たした新興国家のひとつである。
 聖エルマン王国は、元々は小さな宗教勢力のひとつでしかなかった。この当時、民は為政者から搾取されるだけの存在であって、多くの人が筆舌に尽くし難い飢えの苦しみに苛まれていた。そんな中、豊穣の女神ウレアを信仰し、地上における女神の代理人として美しき「聖女」を象徴として掲げ、貧民の救済を謳ったエルマン教団の活動は、貧しい人々たちから多くの支持を集めて信徒の数を増やしていった。
 エルマン教団が国を興した場所は、辺境に隣接したルフテルシアの北東であった。そこは厳しい環境の土地であったが、作物はよく採れた。地味が豊かだったからではない。虫使いの一族の活躍があったからである。
 自然環境における知識が少しでもあれば、農業における昆虫の重要性は語るべくもないだろう。花への受粉はもちろんのこと、益虫による害虫の駆除、幼虫を使った土壌の改良、虫の種類によっては雑草の除去にも役立つし、作物の実りを害獣から守ることにも使える。虫使いの一族が聖エルマン王国に協力したことによって、王国は豊かな農耕生産力を手中にし、国力を増大させていったのだった。
 しかし、当初は蜜月だった両者の関係性は、聖エルマン王国が掲げた「ルフテルシア再統一政策」によって、歯車が狂った機械のごとく、徐々に壊れていくことになる。
 聖エルマン王国がフルテルシアの再統一を掲げた背景には、貧困の撲滅という崇高な目的があった。聖エルマン王国がルフテルシアの貧民を救済するために、どんなに支援を厚くしても、それを搾取する悪辣な為政者たちが存在する限り、彼らを救うことは永遠にできないという結論にいたった結果、聖エルマン王国は兵を挙げる道を選んだ。それは狂信的な信念に基づく行為であったと言わざるを得ないが、この行動は多くの支持を集め、国境を越えて多くの信徒たちが聖女の下に馳せ参じた。
 かくして大戦争が勃発し、再統一政策のもと、聖エルマン王国は近隣諸国へ次々と侵略戦争を仕掛けていった。いわゆる「聖戦」の始まりである。
 戦争の勃発と時を同じくして、聖エルマン王国は虫使いの一族に戦争への協力を求めた。虫はなにも農業にのみ役立つモノではない。その可能性と潜在能力は無限に等しく、優れた虫使いが使役すれば、偵察、諜報、謀略、暗殺、さらには「兵器」として活用することも可能であって、戦場での活躍が大いに期待できた。聖エルマン王国の首脳陣は彼らの価値を深く理解していたからこそ、戦力としての活用を目論んだのであった。
 虫使いの一族は当初、戦争への参加を躊躇った。彼らにとって虫は人殺しのための道具ではない。大切な家族なのだ。しかし、次第に激しさを増してゆく聖戦が、彼らの背中を後押しした。彼らもまた、聖エルマン王国の一員であって、教団の信徒であった。戦場で傷つき、血を流し、志半ばで倒れ、無念を心に抱いたまま死んでゆく同胞たちから目を背けることができなかったのだ。
 かくして虫使いの一族は戦線に立った。そして期待通り、数々の戦果をあげるのだが、その活躍が、皮肉にも彼らをさらなる苦境へと追いやることへつながってゆく。戦争の激化と共に、更なる協力が求められるようになったのだ。
「もっとだ! もっともっと、もっとッ、もっと力を貸してくれ! おまえたちの力はそんなものじゃないだろうが!」
戦争初期の段階では対等だった関係も、だんだんと一方的なものになっていった。聖エルマン王国は、虫使いたちをさらに働かせるべく、彼らを怒鳴りつけ、時には殴る蹴るなどの暴力を振るい、優しい言葉でなだめすかし、あるいは恐ろしい言葉で脅迫して、最後は「区別」するようになった。時に冷遇し、あるいは過度に優遇することによって、虫使いたちの更なる協力を仰ごうとしたのだ。いわゆる飴と鞭という奴だが、このことで、虫使いの一族は隔絶された立ち位置へと追いやられた。差別への土壌が育まれはじめたのは、おそらくはこの頃が最初であったはずだ。
 変化は虫使い側にも生じていた。王国への貢献を重んじるあまり、彼らは虫たちを慈しむ心を封印して、より一層の戦争兵器として扱うようになったのだ。心に鈍い痛みを覚えつつも、彼らはより強力な虫を戦力として投じるために、薬物による品種改良を施し、人為的な異種交配をおこなって、さらには古代ルフテル王国の遺跡から発掘した「呪術」で使役するようになったのである。その結果、虫は「虫」でなくなり、「蟲」になった。それはもはや、怪物だった。
 かくして虫使いの一族は「蟲使い」となり、王国の要求通り、聖戦への更なる貢献を果たして、聖エルマン王国を完全なる勝利へと導いた。すなわち、念願だったルフテルシアの再統一が叶ったのである。
 蟲使いたちは喜んだ。聖戦の勝利はこれ以上苦しまなくて済むという安堵をもたらし、勝利への貢献は褒美でもって報われると考えたからだ。
 しかし、現実は彼らが考えているよりも甘くなく、そして残酷だった。
 聖戦終結直後、彼らに対する粛清が始まったのである。主導したのは、民衆の意思を汲んだ「聖女」だった。
 聖エルマン王国の聖女は世襲制ではない。彼女たちはあくまでも地上における女神の代理人であって、信仰の対象そのものではないからだ。ただし、聖女として選ばれる者は、若く、国でもっとも美しく、そして女性として魅力的な豊満な肉体を持つ娘であるため、信徒たちの中には天上の女神よりも実在する聖女を崇拝する者も少なくなかった。
 聖女はあくまでも象徴であって、実際の国家運営は「枢機卿」と呼ばれる者たちによって執りおこなわれている。つまり聖女とはある種の「飾りモノ」ということになるのだが、それでも聖女の政治的な影響力は絶大を極める。聖女個人は非力な女性でも、その発言力は二千万の信徒を動かす力を持ち、時には老獪な枢機卿たちを凌駕することさえあった。宗教という特殊な背景があってこそ発揮されるこの全体現象は、狂信的な信仰を持つ勢力ほど強い力を発揮する。つつましい心の持ち主であればそれをわきまえて控えめに振る舞うが、そうでない者は暴走する傾向がしばしばみられた。蟲使いの一族の粛清を決めた第一〇八代聖女ナタリアもそのひとりであった。
 聖女ナタリアは、彼女が聖女として選ばれる以前から、おぞましい蟲たちを操る蟲使いの一族を生理的に嫌悪していた。これは当時のエルマン国民たちが抱いていた共通の認識感情であって、別に珍しいことではない。聖エルマン王国における蟲使いの一族に対する政策の数々が、そのような印象を国民に持たせる方向に作用していたからである。問題は、そのような感情を抱く人物が、絶大な権力を持ち、民衆と迎合してしまったことである。かくして聖戦を勝利に導いた立役者たる蟲使いの一族の破滅が決定した。
 蟲使いの一族は騙されて集められた。まさに一網打尽という奴なのだが、この時、彼らはまだ、自分たちの身に何が起ころうとしているのか理解していなかった。
「い、いったい・・・・・・なにが起こっているというのだ?」
彼らは捕縛され、多くの群衆たちが集められた広場に連れてこられた。そしてわけがわからぬまま宗教裁判にかけられると、ろくな弁護の余地も与えられないまま、ほぼ一方的に邪教徒の認定を受けたのである。そして、火炙りではなく○問による死を与えられた。
火炙りには炎によって魂を浄化するという崇高な意味があるのだが、それすら許さないというところに、聖女ナタリアの生理的な嫌悪感の凄まじさが込められているといえるだろう。女性はよく、頭ではなく感情で物事を判断するといわれるが、これはまさしくその最たる事例であるといえた。
 一族が揃って○問による処刑を言い渡された時、蟲使いの一族は困惑し、呆気にとられ、顔を見合わせてなにかの間違いではないかと考えた。しかし、実際に○問による処刑が開始され、車輪引きや凌遅刑、ノコギリ引きなど、目の前で一族の者たちが次々と残酷な方法でもって殺され始めると、彼らは全てを理解して、憤怒と憎悪の眼差しで聖女を睨みつけた。
「悪女よ! 我らがなにをしたというのだ! 我らは血ヘドを吐き、多くの同胞と億匹もの虫たちを永遠に失いながらも、おまえたちがはじめた聖戦に協力した功労者ではないか! この国を勝利へと導いた立役者なのだぞ! その仕打ちがこれか! その対価がこの悲惨な末路だというのか! 恥を痴れ! この汚らわしい売女が!」
聖女を侮辱したことで、民衆たちから野次や罵詈雑言が飛んできた。
「聖女さまを侮辱したな! 恥を知るのは貴様らのほうだ!」
「この薄汚い蟲使いどもめ! 下賤な輩め!」
「おまえたちはこの聖なる国に相応しくない存在なんだよ!」
「死ね! 死ね! さっさと死じまえ!」
「この卑しい卑しい虫ケラどもが!」
「わはははははははははッ!」
集まった群衆たちは魂の叫び声をあげる蟲使いの一族を嘲笑った。彼らもナタリア同様に、蟲使いの一族を生理的に嫌っていて、そんな彼らがあげる嘆きの声は誠に耳障りの良いものであった。
 かくして○問による処刑が続けられようとした――その時だった。
 空で無数の羽音がしたかと思うと、突如として黒雲が沸き上がり、その雲が突然、降下して群衆に襲いかかってきたのである。悲鳴と絶叫があがった。
「うわあああああああああああああッ! 虫だ! 蟲が襲ってきた! 助けてッ、助けてくれえぇえぇぇえぇえぇぇえぇぇッッッ!」
そう、群衆たちに襲いかかってきたのは数百万匹という蟲たちの大群だった。蟲使いの一族を助けにきたのである。それも命令されたわけでもないのに自発的に。
 彼ら蟲たちは、人間たちがはじめた戦争のため、姿形を変えられて戦うための兵器に仕立てあげられた、いわば被害者である。しかし、蟲たちは自分たちを使役する蟲使いの一族を慕っていた。彼らがどんなに蟲を慈しむ心を封印していたとしても、心の遥か奥底では通じ合っていて、「仲間」の危機に駆けつけたのであった。
 蟲たちの乱入によって広場は大混乱に陥った。その隙に、蟲たちに護られながら、蟲使いの一族は脱出することに成功した。そして彼らはそのまま辺境に走った。いつの日か、聖女と聖エルマン王国に復讐することを心に誓って。
 蟲使いの一族の粛清が失敗に終わると、面目を潰されたナタリアは、怒り狂って討伐の兵を幾度となく派遣した。しかし、蟲たちの反撃を受け、討伐が幾度となく失敗に終わっている間に、彼女の聖女としての任期が終わってしまった。
 ナタリアの後、新たに聖女の座に就いたユナは、蟲使い一族への討伐を中止とした。討伐隊の被害と犠牲があまりにも大きく、兵士たちから不満の声が強くあがっていたからである。
ユナの後、聖女となったニレナもその政策を支持した。彼女の代になると、蟲使いの一族との諍いは完全に過去のものとなっていた。
 ニレナの後、聖女になったのはユフィーという女性である。彼女の代になると、もはや蟲使いの一族の存在は、聖エルマン王国ではほとんど忘れ去られてしまっていていて、ユフィーは蟲使いの一族の存在をまったくといっていいほど知らなかった。
そしてユフィーの後、第一一二代聖女に選出されたのは、ミリーアという娘であった。彼女が聖女に選ばれた時、年齢は歴代聖女のなかでも最年少だった。
ミリーアは類稀な美貌の持ち主であると同時に、肉欲をそそる豊満な肉体の持ち主であった。手足は細く華奢でしなやかで、腰部にははっきりとしたくびれがあるにも関わらず、乳房は大きくてまるで西瓜のようであり、柔らかな桃のような尻にもたっぷりと肉が乗っているという、まさに「豊穣」を象徴するような魅力的な肉体の持ち主であったのだ。そのため、彼女が聖女の認定を受けるに際して、意を唱える枢機卿はひとりとしていなかった。
 ミリーアがこれほどまで豊満な肉体を持つにいたった理由は、彼女が育った環境と、なによりも母親からの遺伝の影響が大きいと言われている。なにしろ彼女の母親は、あの聖女ナタリアであったからだ。聖女の座を退いたナタリアは、当時最年少だった枢機卿と結婚し、ひとり娘のミリーアを出産したのである。
 ナタリアは娘を金にものをいわせた最上級の環境で養育した。豪華な食事を与え、高度な教育を施し、さらには隣国から取り寄せた怪しげな薬物までをも服薬させて、彼女を万人が垂涎するほど魅力的な「女」に育てあげたのである。その目的は、娘を聖女にするためであり、そして自分の自尊心をズタズタにしたおぞましき蟲使いの一族を今度こそ根絶やしにするためであった。
母の意を受け継いだミリーアは、聖女の座に就くなり、未だ辺境の地で蠢く蟲使いの一族を今度こそ討滅することを表明し、自ら兵を率いて聖都を立ったのである。
「お母さま、見ていてください。このミリーアが、必ずやおぞましき蟲使いの一族を根絶やしにして、あなたの恥辱をすすいでご覧にいれますから」
かくして意気揚々と辺境の地へと赴いたミリーアであったが、この時、彼女はまだ、自分に死よりも残酷で恐ろしい未来が待ち受けていることを知らないのであった・・・・・・。

          *

 ・・・・・・聖女ミリーアの下令によって辺境に潜み棲む蟲使いの一族を討滅するために動員された兵力は七万五千を数えた。その内訳は、騎兵三万、歩兵四万四千、そして聖女直属の護衛部隊一千である。選抜された精兵たちによって構成された軍であり、聖戦終結後に展開された軍事行動では最大規模であった。
 ミリーアによって率いられたこの大軍は、聖都を出立後、二十日かけて辺境に辿りつき、それから三日間、蟲使いの一族の根拠地を目指して、辺境の奥へ奥へと進んでいった。無数の蟲たちが、その行動を逃さず監視していることに気づかずに。
 蟲使いの一族が辺境の地に逃げ込んでからすでに二〇年近くが経っている。この間、聖エルマン王国は、彼らへの警戒を緩めてはおらず、常にその動向を警戒していて、彼らの根拠地である「隠れ里」の場所も把握していた。しかし、その場所が、蟲使いの一族が仕掛けた巧妙な「餌」だとは、エルマン軍はまったく気づいていなかった。
 辺境に逃げ込んだ蟲使いの一族は、いつ討たれるかもわからぬ恐怖に怯えるような暮らしをしていなかった。彼らは自分たちを利用するだけ利用した挙句、使い捨てるように残酷な死を与えようとした聖女と聖エルマン王国を心の底から憎悪しており、いつか必ず凄絶な復讐を果たすと誓っていたのだ。その訪れた機会を、逃すはずがなかった。
 討滅軍に対する蟲使いたちの攻撃は、彼らが特定の場所を通過しつつあったその時に開始された。そこは「隠れ里」に向かうためには必ず通過しなければならない場所であり、実はその地下にこそ、蟲使いの一族の本当の「拠点」が在ったのである。
 そうとは知らないエルマン軍は、まんまとその罠に嵌ってしまった。
 地中から、大小数十万もの蟲たちが一斉に姿を現したのは、エルマン軍が油断していたまさにその時であった。
「ギシャアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!」
蟲の大群が足元からエルマン兵たちに襲いかかった。地面から奇襲攻撃を受けるとは思ってもいなかった彼らは、完全に不意を突かれる形となって瞬く間に大混乱に陥った。
「む、蟲だッ、蟲が現れたぁッッ!」
「うわッ、うわぁあぁあぁぁああぁぁあぁぁあぁぁッッッ!」
「く、喰われるッ、齧られるッッ!」
「助けてッ、助けてくれえぇええぇぇッッ!」
「せ、聖女さ、ぎゃああああああああああッッッ!」
狂暴で圧倒的な数の前に、人間たちは成す術がなかった。
蟲たちを相手に、剣は役に立たなかった。槍も、弓も、戦斧も。エルマン軍の兵士たちはめちゃくちゃに足で地面を踏みつけて、必死になって蟲たちを踏み潰そうとするのだが、数がとてつもなく多いうえ、蟲たちの甲皮が鉄のように固かったため、その努力が実ることはついになかった。
 蟲たちは一切の容赦も手加減もしなかった。兵士たちの身体を這い昇り、皮膚を裂き、肉を喰い千切ると、身体の内側へと潜り込み、凄まじい勢いで内蔵を喰い荒しはじめたのであった。
「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああッッッッ!」
断末魔に相応しい絶叫が戦場に響いた。
 力尽きた兵士たちが、まるで枯れ木のように、バタバタと、次々と倒れてゆく。血を吐きながら動かなくなり、そのまま喰い尽くされてしまう兵士たちも数多い。
 しかし、その場で殺された兵士たちはまだ幸いであった。
「た、助けてくれえぇぇぇえぇえぇぇえぇぇ・・・・・・ッッッ!」
 悲鳴を上げながら、地下に連れ去られていく兵士たちが相次いだのだ。強引に連れ去られる者も居れば、麻痺毒を注入されて動けなくされたうえで連れて行かれる者もいる。地面には、連れて行かれまいと、兵士たちが必死に抵抗して立てた爪の痕が大量に刻まれており、その数は、数十人、数百人という規模では納まらなかった。数千人、いや、万単位の人間が、彼らの意思とは関係なく、ずるずると地下の「巣」へと連行されていったのである。
 彼らには、恐ろしい運命が待ち受けている。
 生きたまま餌にされる者、卵を植え付けられて幼虫の苗床にされる者、脳ミソを寄生蟲に支配されてそのまま蟲使いたちの意のままに操られる者も少なくないだろう。その中には蟲使いたちの先兵に仕立て上げられて、自らの祖国や同胞に刃を向ける羽目になる者もいるはずであった。生きている彼らにはそれ相応の使い道があって、少なくとも、死んだ方がマシだと思うような悲惨な末路が待っているのは確かだった。
 その中でも特に悲惨な末路を辿るであろう人物がいる。
 聖女ミリーアだ。
 聖エルマン王国が蟲使いたちの動向を絶えず把握していたように、蟲使いたちも王国の情勢を把握していた。つまり、現在の聖女ミリーアが、自分たちに残酷な死を与えようとした聖女ナタリアの娘であるという情報は、蟲使いたちには筒抜けだったのである。
 ミリーアの身柄は、混乱の最中、蟲使いたちの手に落ちていた。なにが起きたのかわからずに右往左往している間に、首筋に麻痺毒を打ち込まれ、意識を失うと同時にそのまま地下へと連れ去られてしまったのだ。
 かくして聖女ミリーアの身に、死よりも悲惨な地獄が訪れることが決定したのであった・・・・・・。



第一章 肛虐腸姦ムカデ責め編


 ・・・・・・ぐじゅるぐじゅるという音が聞こえる。それは湿り気を帯びた音であり、なにか柔らかいものを貪るように抉る音であった。そしてその音と重なり合うようにして、薄暗い地下空間にケダモノが発するような叫び声が木霊した。
「がうぐがあぁああぁああぁあぁあぁぁあぁぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁッッッ! いぎぃぃぃぃぃいぃぃいぃいぃぃぃッ、んぎぃッ、ぐぎぃッッ、んぐぐぎぃぃぃいぃぃいぃぃぃぃッッッ! あッ、あがッ、ぐぎゃがぎゃがぐがあぁぁぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁあぁぁぁああぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁッッッ!」
 それは人の口から発せられた濁声の絶叫であったが、その声質から、放っている者がとびきりの美少女であろうとは、そうと知らぬ者はわからなかったに違ない。
 この場所は、剥き出しの岸壁が入り組んでそそり立っている広大な地下世界。その岸壁には光点のように怪しい光を放つ無数のキノコが大量に生えており、それは天井も埋め尽くす勢いで群生してこの暗い地下世界を鈍く照らしていた。
壁や天井には、キノコの他にも得体の知れない菌類や、怪しげな実をつけている白色の植物、毒々しい色合いをした肉の触手のようなモノが生えていて、それらがまるで水中で揺らめく水草のように漂い動いていた。そしてそれら怪生物の間を、まるで世話でもしているかのように、何万匹、何十万匹という「蟲」たちが、もぞもぞと這いずりまわっているのであった。
 この場所は、蟲使いたちが本拠地を置いた地下の王国である。聖エルマン王国を追われ、辺境の地へと逃げ延びた彼らは、蟲たちと共に地下に潜伏し、そこを拠点に力を蓄えていたのだった。いつの日か、自分たちに残酷な死を与えようとした憎き聖女と、恨めしき聖王国に復讐するために。
 その願いがいま、叶っている最中であった。
 息も絶え絶えになるような、歯を食いしばるような絶叫が、地下世界に木霊し続ける。ぐじゅるぐじゅるという湿り気を帯びた音と重なりながら。
「あぎぃぃいぃぃぃぃいぃいぃぃいぃぃいぃぃいぃぃぃぃぃいぃいぃぃいぃいぃぃいぃいぃッッッ、ぐぎいぃぃいぃぃいぃッッ! ふーッ、ぐふーーッ、ぐぎぃッ、いぎぎぎぎぎいぎぃぃいぃぃぃぃいぃぃいぃぃぃぃいいぃぃいぃぃぃいぃぃッッッ、ぐふーッ、ふーッ、ぐぎッッッ! ぐひぎッ、いぎぃいぃぃッ、ふんぐぎぃぃいぃぃいぃいぃいぃいいぃぃいいぃいぃいぃいぃいぃいぃぃいぃいぃいぃいぃぃいぃいぃいぃいぃぃいぃぃぃッッッ!」
 耐えるように、堪えるように、必死の形相をその美しい顔に浮かべて喉を掻き毟るような絶叫を放っている者は、聖エルマン王国の聖女ミリーアであった。
先ほどの戦いで他のエルマン兵たちと同じく蟲使いたちに捕まった彼女は、気を失った状態で地下世界へと連れて来られた。そしてそこで、彼らの「復讐」の贄にされたのである。
 衣服を剥がれ、全裸姿の状態で四つん這いにされ、肉付きの良いむっちりとした尻を天に向かって突き上げた状態で、その身を触手状の蟲たちによって拘束された彼女は、つい先ほどまでキュッと閉まっていた肛門を強引に開け拡げられると、その中に、大蛇のように長大なムカデ状の蟲を無理やり侵入させられたのである。それも、何匹も。
 ぐじゅるぐじゅるぐじゅるるるるるるるるるるるる・・・・・・っ!
ずぼぼぼぼぶぼりゅるるるるるるるるるるるるるる・・・・・・っ!
糞便がひり出されるような汚らしい音が地下世界に木霊した。巨大ムカデの大群が、一斉にその身を外へ向かって引きずり出した音である。ぶじゃぶじゃと腸汁が盛大に辺りに飛び散って、それと同時にミリーアの口から大絶叫が放たれた。
「んぐごごぐがあぁぁあああぁぁぁあぁあぁぁああぁぁぁぁあぁぁあぁあぁあぁぁあぁぁああぁああぁぁぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁあぁああぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁあぁああぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁああぁあぁぁああぁあぁぁぁぁッッッッ!」
 尻穴から脳髄へと突き抜けた衝撃があまりにも強すぎて、ミリーアの目玉が上転して白くなった。大きく開け放たれた口からは、絶叫と一緒に涎がダラダラと滴り落ちて、地面に無数の池を作っている。その後ろでは、いまもムカデたちによる苛烈な責め苦が続いていた。
長大な体躯を誇るムカデたちが、開け拡げられた肛門に頭を突っ込んで、その身を代わるがわるミリーアの腸内へと潜り込ませているのだ。無数の細い足をもぞもぞと動かしながら、腸壁肉を引っ搔いて、それぞれ異なる動作で行ったり来たり出たり入ったりを繰り返しているのである。
 そのつど、蟲たちによる肛虐が続く尻穴からは、聞くに堪えない汚らしい音が木霊して、ミリーアの口から怒りと憎しみに満ちた抗議の言葉を絞り出させた。
「んぐぎぃぃいぃぃいぃぃぃいぃぃいぃぃぃいぃぃぃいいいぃぃぃぃぃぃいぃぃいぃぃぃいぃぃいぃぃいぃぃいぃぃッッッ! ぐぎぃッ、ひうぎッ、んぐうぅぅうぅぅううぅぅううぅぅうぅぅうぅぅううぅぅうぅぅぅッッッ! や、ややややべなッ、ざいぃッッッ、せ、せせせ聖女だるッ、んごおぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉおッッッ! わ、わだッッ、わだぐじにぃッ、んんぐぐぐぎぐぎぃぃぃいぃぃいぃいぃぃぃぃぃぃッッッ! ご、ごのようなッ、ぐごぉおおぉぉぉぉぉッ! は、はははは辱めをッ、ず、ずるッ、なんでぇえぇぇええぇぇぇえぇッッッ! んぎぃぃいぃぃぃいぃぃいぃぃぃぃぃッッッ! あ、あどでッ、が、ががッ、がならずッ、ご、ごうッ、後悔ッッ、ずるごどにッ、んぐぎぃぃいぃいぃいぃッッ、なるんだがッ、ぐぅごぉおごぉぉおぉぉおぉぉぉおぉおおぉおぉぉぉおぉぉおぉぉおぉぉぉおぉぉおおぉぉおぉぉぉぉおぉおぉおおぉぉぉおぉぉおぉおぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉぉおぉぉおぉぉぉおぉぉぉぉッッッッッ!」
叫んでいる途中で悲鳴が咆哮に変わった。肛門から身を潜り込ませているムカデ状の蟲たちが、より一層、深く、その身をミリーアの腸内に潜り込ませたからだ。一部の個体は大腸を通り越して小腸にまで達しているに違いない。そう思えるほど、ミリーアの腹部はムカデたちの蹂躙でぼってりと歪な形に大きく膨らんでしまっているのである。
いまやミリーアの肛門は悲惨極まりないことになっている。大惨事、と言っても過言ではないだろう。通常のサイズの何十倍もの大きさのムカデたちが何匹も腸の中に押し入っているために、つい先ほどまで、キュッと閉まっていた肛門は、すでに人の頭が入ってしまいそうなほど巨大に拡張されてしまっている状態で、そこからは溢れんばかりの腸汁が、茶色い唾液のようになって、ダラダラと垂れ流しになっていた。
 その穴に、ムカデ状の蟲たちが、頭と身体を突っ込んで、容赦なく出たり入ったりを繰り返しているのだ。ミリーアの腸の中でおびただしい数の脚をうぞうぞと動かしながら、身をくねらせ、腸壁をギチギチと引っ掻きまわして、とてつもなく激しく動いているのである。容赦なく。
 ぐぢゅぐづずぼぼりゅるるるるるるるるるるる・・・・・・っ!
 ずぶぐぢゅぐぢゅぶりゅるるるるるるるるるる・・・・・・っ!
「んぐぅううぐぐごごおおぉぉぉおぉぉおぉおぉおぉぉおぉぉぉおぉおぉぉおぉおぉおぉおぉおぉぉおおぉぉおぉぉぉぉぉおおぉぉぉおぉぉおぉぉぉおぉぉおぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉおぉおぉぉッッッッッ!」
汁気を伴う淫猥な音が辺りに激しく響き渡って、そのつど、ミリーアの口から美しさの欠片もない濁声が漏れ響いて辺りに充満した。
白目は天を向いたまま戻ってくる気配がなく、その大きく開け放たれた口からは、まるで狂犬病の罹患者のように唾液とも胃液ともつかぬ液体がだらだらと滴り零れていて、地面に作った小さな池をさらに大きく拡げていた。
 暴虐的な責め苦はなおも激しく続いている。ムカデ状の蟲たちが、ミリーアの腸内の中で、おびただしい数の細かな脚を動かして、出たり入ったり、行ったり来たりを繰り返している。それが何度も何度も繰り返されているのだ。時おり、鮮やかな色をした腸肉を齧ることも忘れずに。
 そのつど、大きく膨らんだミリーアの腹の内部からは、腸が蠕動運動をする音と一緒に、ムカデたちが蠢きまわる音が外に向かって響いてくるのだった。
 ずぐぢゅぢゅずぼぼぶりゅるるるるるるるる・・・・・・っっっ!
 ぐぢゅるぢゅるずぶりゅぶぢゅるるるるるる・・・・・・っっっ!
 と。
「うがあぁぁあぁぁあぁぁあぁあああぁぁぁあぁああぁぁぁあぁぁあぁぁぁああぁぁあぁぁぁぁあぁぁッッッ! ぐがッ、あがががッ、ぐぎぃぃいぃぃいぃぃいぃいぃッッッ! ふーッ、ぐふーッ、ふぎッ!? ぐおおおおぉぉおぉああぁぁあぁああぁぁあぁぁあぁあぁあぁあぁぁぁあぁあぁあぁああぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁッッッッ!」
 聖女たる者が、これほど汚らしい悲鳴を上げるなど、彼女を崇拝する信徒たちには想像もつかないはずだ。
ミリーアを内臓から責め苛める長大なムカデの大群は、大腸の部分だけでなく、小腸の奥深くにまで身を潜り込ませると、互いにその身を絡ませてくねらせながら、だらだらと滲み出てくる粘液状の腸汁をその身にまとわせて、滴らせながら外に出てくるのである。そのつど、大きく開け拡げられた肛門から、ぶちゅるぶちゅると腸汁が辺りに飛び散って、ピンク色の腸肉がはみ出て外に向かって飛び出すのだ。
その腹部は、なおも変わらず、内部で暴れ狂っているムカデたちによって奇怪な生物のようにぐにぐにと膨らんだり凹んだりを繰り返し、責め苦を受けるミリーアに五臓六腑の苦しみを与えて止まないのである。
「んぐぐぐごぐごごごぉおぉぉおぉぉおぉぉぉおぉおぉぉおぉぉおぉぉおぉぉぉおぉぉおぉぉぉおおぉぉおぉおッッッ、おぐぅぅぅーっ、ぐふぅぅぅぅーっ、ぐうッ、おごごごごぉおぉおぉぉおぉぉおぉおぉおぉぉぉおぉぉおッッッッ!、んぐごッッッ、ぐふぅおッ、おおぉッ、おッ、ぎふんぐぐぐごがごぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉああぁあぁあぁあぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁああぁぁあぁぁッッッ!」
 ミリーアの口からケダモノのような叫び声がほとばしる。苦しみに満ちた大絶叫が、薄暗い地下世界に木霊する。
もし腕が自由に動かせたとしたら、ミリーアは、ムカデたちの責め苦によって奇怪に膨らみ蠢くその腹部を、爪を立てて掻き毟っていたに違いない。あるいは、尻穴から潜り込んでいるムカデたちを必死になって引きずり出そうとしたはずだ。しかし、彼女の四肢は、触手状の蟲たちによって地面にがっちりと固定されているため、成す術なく、凄惨な凌○の惨禍を受けるしかないのである。
 苛烈極まりない肛虐は、終わる気配の無いままなおも続いている。さらにより一層の激しさを増しながら。
 ぐぢゅづぢゅるるるるるるるるるるるるるるるる・・・・・・っっっ!
 ぶぐぢゅぐぢずぢゅるるるるるるるるるるるるる・・・・・・っっっ!
汚らしい音を響かせながら、長大なムカデの大群が、拡張された尻穴から激しく出たり入ったりを繰り返す。そのつど、ミリーアの腹部が、より大きく、そしてより激しく、膨らんで蠢き動くのだが、その激しい責め苦の惨禍を、ミリーアは歯を食いしばり、半ば白目を剥きながら地面の土を握りしめ、狂いそうになりながら、懸命に耐えていた。
(ま、負け、ない・・・・・・ぜ、じぇっ、だいッ、に・・・・・・ま、負げッ、りゅッッ、もんでずがああああぁあぁあぁぁあぁあぁあぁあぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁ・・・・・・ッッッ!)
 そう、心の中で繰り返し呪詛のように叫びながら・・・・・・。


 ・・・・・・なぜ、彼女がこのような目に遭っているのか。
刻は少し前まで遡る。
 地下世界へと連れて来られたミリーアの周囲に、頭からフードを被った男たちが群がった。蟲使いたちである。暗がりと、フードのせいでその表情を伺い知ることはできなかったが、口角の端が吊り上がる形で歪んでいたことから、彼らが笑っていることがミリーアにはわかった。
 ミリーアの喉がゴクリとなった。唾液と共に恐怖も一緒に飲み込むと、ミリーアは自分の周囲に群がるフードを被った男たちを睨みつけて問いかけた。
「お、おまえたち・・・・・・おまえたちは、蟲使いどもね・・・・・・ッ!」
 声や言葉による返答はなかった。しかし、彼らから発せられた目に見えない悪意の波動を感じ取って、ミリーアは自分の質問が是であったと知ることができた。
 ミリーアは、麻痺毒のせいでいまだに痺れが残る唇を必死に動かして言葉を紡いだ。
「わ、わたくしを捕まえて、い、いったい、なにをするつもりなの・・・・・・ッ! こ、答えなさいッ! この、無礼者どもが・・・・・・ッッッ!」
 唇同様に、いまだ痺れが残る身体を起こしつつ、汗を流しながら問いかけるミリーア。不吉な予感を感じているのか、その表情には若干の不安と怯えの要素が浮かんでいた。
 こうするのさ――とは、蟲使いたちは言わなかった。
 ただ、彼らはミリーアに向かって手を伸ばしてきた。まるで蟲が触腕を伸ばすかのように。そしてその手が、ミリーアが身に着けている衣服の布地を掴んだ。
 ミリーアの口から、より一層、甲高い悲鳴のような叫び声がほとばしった。
「ひッ! や、やめなさいッ! 無礼者ッ! な、なにをするつもりなのッ! は、離しなさいッ! やめてッ、やめなさいッッ! やめてやめてッ、やめてったらあぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁああぁぁあぁあぁあぁぁぁぁッッッ!」
地下世界に拒絶の絶叫が響いた直後だった。
 ビリッ、ビリビビリビリリリッ、ビリッ、ブチィッ!
 布地が破れる音がして、下着が引き千切られる音がそれに続いた。
「い、いやあぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあぁあぁぁあぁあぁぁぁああぁぁッッッッ!」
 自分に向かって伸びてきた無数の手によって、ミリーアは身に着けていた全ての衣類を剥奪されて全裸にされてしまった。衣服や下着を剥かれている最中、彼女は必死になって手足をバタつかせ、抗議の声をあげた拒絶の意思を表明したが、多勢に無勢であっただけでなく、麻痺毒のせいで身体が上手く動かなかったため成す術がなかった。
 ぼろん。ぶるん。
「おお・・・・・・!」
 衣服を剥いだことで、露になった豊満な乳房と、肉付きのよい臀部は、まだ幼さとあどけなさが残る童顔からは想像もつかないほど見事な魅惑の肉体であり、それを目の当たりにした蟲使いたちの間から、思わず感嘆の声が漏れたほどだった。
 ミリーアの顔面が真っ赤に染まった。その瞳には、薄っすらと涙が浮かんでいる。
「お、おのれッ、このおぞましき蟲使いどもめ! わたくしを裸にしてッ、い、いったいッ、なにをするつもりなのよ!」
衣服を剥かれ、露になった乳房を、痺れる腕で必死になって隠そうとするミリーアであったが、乳房があまりにも大きすぎるため、細腕から肉が零れ落ちてしまい、目的を果たすことがかなわない。まだ陰毛が生い茂っていないアソコに関しては、麻痺している足を使って懸命に隠そうと努力しているのだが、見る角度によっては綺麗なマン筋がはっきりと丸見えのため、その努力はある種の滑稽さを彷彿とさせるものがあった。
しかしそれでも、彼女は強い意思のこもった瞳で群がり集う蟲使いたちをキッと睨みつけると、不気味に沈黙を守っている蟲使いたちに向かって、怒気と強気がこもった言葉を放ちつけた。
「い、いえッ、答えを聞くまでもないわッ! お、おまえたちの目的はわかっているわッ! わ、わたくしを犯し、穢して、辱めるつもりなのでしょうッ! ふ、ふんッ、下種な輩が考えそうだことだわ! で、でもッ、わ、わたくしは、たとえどんなにこの身体を凌○されようとも、決して屈しはせませんわッ! 誇り高き聖女の名誉にかけてッ、おまえたちなんかには決して屈するものですか!」
声の大きさと混乱した様子が、彼女の内心の動揺を如実に表しているといえるだろう。カチカチと歯が鳴っているのもそのためだ。それを押し隠そうとしたのか、ミリーアはひと通り叫び終えた後、蟲使いたちに向かって唾をペッと吐きかけた。
 その唾が蟲使いのひとりにかかった。集団の中央にいた人物で、ひとりだけ色の異なるフードを被っている。
唾のかかったその者が、一歩を踏み出した。
「誇り高き聖女の名誉、か」
 そう呟きながら、フードを被った男が口元だけで嗤った。邪悪に。
「・・・・・・ッ!」
白い歯が覗いたその嗤いを見て、ミリーアは背筋にゾッと冷たいモノを感じた。言葉では言い表すことができない不吉な予感を、彼女は本能と肌で感じとったのである。
 この時、ミリーアは気づいていなかった。袖から覗いている男の手の平が、薄い紫色の光を放っていることに。
 男が、ミリーアに顔を近づけた。そして、無言のまま紫色の光を放っている手を伸ばすと、ミリーアの豊かな乳房を力任せにぎゅぅっと強く掴んだ。白い乳房に男の指がメリ込むように深く食い込み、それと同時に「ジュッ」という音がした。呪印が刻まれた音である。
「ひッ、ぐぅぅぅうぅッ!」
乳房を掴まれたことによる強烈な痛みと、理由が判らぬ灼けたような痛みを感じ取って、ミリーアは思わず顔をしかめた。その様子を愉しそうに眺めながら、男は言葉を続けた。
「くくくくく。我々は、その誇りとやらを踏みにじるために、おまえをここに連れてきたのだよ」
そう言って男は、ミリーアの乳房を掴んだ手に更なる力を込めた。
ぎゅうぅぅうぅうぅぅうぅぅうぅッ、と。
豊かな乳房がさらに歪な形に変形した。ピンク色の乳首がツンと立ち、爪が食い込んだ部分から赤い血が滲み出る。
 ミリーアが歯を食いしばりながら顔をしかめた。
「ぐぅッ、ぎぃぃぃぃいぃいぃぃぃぃぃッ! い、痛いッ! 痛いいぃいぃぃぃいぃぃいぃいぃぃッッ! こ、この無礼者めッ! わ、わたくしの乳房はッ、この世でもっとも高貴なッ、宝物ですのよッ! お、おまえたちのようなッ、ぎぐぅうぅぅうぅうぅッ、げ、下賤な輩がッ、触っていい代物ではなくてよッッ! は、離しなさいッ、そ、その汚らわしいッ、手をッ、いぎぃぃいぃぃッ、ど、どけなッ、さいッッッ! んぎぃぃいぃぃぃいぃぃいぃぃいぃぃいぃぃいぃいぃぃッッッ!」
懸命に抗議の声をあげながら、乳房を掴んでいる手を必死に剥がそうと、ミリーアは蟲使いの男の腕に爪を立てた。だが、乳房を掴む男の腕力は強く、ミリーアの非力ではビクともしなかった。
「くくくくく・・・・・・」
その様子が滑稽だったのか、男はまた低く笑った後、ミリーアの乳房から手を離した。
解放された乳房には、くっきりと赤く手形がついており、爪が食い込んでいた場所からはツーっと滴るように血が流れた。またこの時、乳房に、紫色の文字で、古代ルフテル語で「奴○」を意味する言葉が浮かんでいたが、それはすぐに溶けるように消えてしまったため、ミリーアが気づくことはなかった。
「は、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・う、うぅぅ・・・・・・」
ミリーアは、強く握られた乳房を庇うように抱きかかえながら、自分に辱めを与えた男をキッと睨みつけた。
「こ、この屈辱・・・・・・、決して忘れませんわッ! おまえは絶対にッ、絶ッッッ対にッ、絶対に許しませんッッッ! か、必ずやッ、この世に存在するありとあらゆる苦痛を与えて殺してやりますわッ! 覚悟しておきなさいッッッ!」
それは間違いなく渾身の脅迫であった。もし、男がエルマン王国の国民であり、聖女たるミリーアにそのようなことを言われれば、震えあがって平身低頭し、地面に頭を擦りつけて慈悲と許しを乞うていたに違いない。
 しかし、乳房を握りしめた蟲使いの男には通用しなかった。
「この世に存在するありとあらゆる苦痛、か。うん、それは良い案だ」
男が口元だけでニンマリと嗤った。
 男はミリーアに名乗らなかったが、彼にはメジェドという名前がある。当代蟲使いの長を務める者であり、聖女ナタリアの蛮行によって生みの親をノコギリで、名付けの親を車輪引きで殺されたという過去を持つ。聖女と聖王国に復讐するために、古代ルフテルの呪術を習得した呪術師でもある。得意技は、呪印を通しておこなう「思考行動の制限」と「深層心理の操作」で、呪印を施された当人は、それと気づかず、自我と意識を保ったまま、メジェドの思惑に沿った行動をとるようになるのである。
 そうとは知らず、そんな男に向かってミリーアは、「この世に存在するありとあらゆる苦痛」を与えると言ってしまったのだ。これがどのような結果を招くか、少し考えればわかるだろう。
 メジェドが口元だけで嗤いながら、ミリーアに愉しそうに告げた。その様子はさながら、玩具で遊ぼうとする子どものようだった。
「では、これよりおまえにソレをくれてやるとしよう。泣いて、喚いて、七転八倒苦しんで、脳ミソが自壊して溶け尽くすまで、この世に存在するありとあらゆる淫惨の宴を存分に愉しんでくれたまえ」
それはある種の宣戦布告であった。


・・・・・・かくしてミリーアは、身体を拘束された後、肛門を拡張され、長大な体躯を誇るムカデたちに嬲り尽くされるという○問めいた恥辱を味わう羽目になったのであった。
 激しい肛虐は、相も変わらず続いている。
 ぐぞるじゅるるるるるるるるるるるるるるるる・・・・・・っっっ!
 ぶじゅるぐぎゅぢゅるるるるるるるるるるるる・・・・・・っっっ!
 汁気を帯びた淫猥な音が木霊して、耐え堪えるような女の絶叫がそれに重なった。
「んぐぎぃぃぃいぃぃいぃぃいぃぃぃいぃいぃぃいぃいぃぃいぃぃッッッ! ぐふーッ、ふーッ、ぎふぅぅうぅぅうぅぅうぅぅうぅぅうぅうぅぅッッッ! んぐぐぐぎぃぃいぃぃいいいぃぃぃいぃぃいぃぃぃぃぃぃぃッッッ!」
 すでに何時間、ムカデの大群に腸内を責め弄られているだろうか。当人たるミリーアにはもはや見当がつかなかったが、それでも腸内蹂躙は一瞬の暇を置くことなく続いている最中だ。
 ずぼるぐぢゅるじゅるるるるるるるるるるる・・・・・・っっっ!
 ぐぢゅるぐぢゅるぶぢゅるるるるるるるるる・・・・・・っっっ!
 粘液状の腸汁が、ムカデたちの動きに合わせるようにして、びちゃぶちゃと盛大に噴き零れ、激しく辺りに飛散する。拡張された肛門が痛々しく腫れあがり、裏返って外に飛び出てしまっている腸肉は、もはや中に戻る気配がない。
 それでも、ムカデたちによる責め苦はまったく終わる気配がなかった。
 ぐぢゅるぶぢゅぢゅぐぢゅるるるるるるるる・・・・・・っっっ!
 ぶぎゅるぢゅづりゅぢゅるるるるるるるるる・・・・・・っっっ!
 淫猥な音を響かせながら、長大な体躯を誇るムカデ状の蟲たちが、まるで競い合うようにして、ミリーアの腸内を行ったり来たりを繰り返す。身を絡ませあいながら、おびただしい数の脚で腸肉をひっかきまわして、肛門から出たり入ったりを繰り返すのだ。
そのつど、ミリーアの腹部が、腸内で暴れ狂うムカデたちの形にぐねぐねと奇怪に膨らみ蠢いて、内臓がねじ切れるような激痛と苦しみ、そして猛烈な不快感を責められる当人にもたらして止まないのだった。
しかし、これほどの責め苦を受けているにも関わらず、ミリーアの瞳からは、まだ強い意志の輝きが喪われてはいなかった。
ミリーアは、拳を強く握り締め、歯を食いしばって、咆えるような叫び声をあげた。
「んぐぎぃぃいぃぃぃいぃぃいぃぃいぃぃぃいぃぃぃぃいいぃぃぃいぃぃぃいぃいぃいぃいぃぃぃぃッッッ! ま、負けにゃ、いッ、ままま敗けッ、でッ、ぐぎぃぃいぃぃぃッ、だまるもんッ、でずがあぁあぁぁあぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁああぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁッッッ! ぐぐふぐぅぅぅうぅぅぅうぅぅうぅぅうぅッ、わ、わだぐじッ、はッッッ、ぐほぉぉおぉぉおぉぉぉおぉおぉぉッ、おぐぐごおおぉぉぉおぉぉぉぉおぉおぉぉぉぉぉッッッ! ぜ、ぜぜぜ絶ッッ対にッ、負けなッ、敗けませッッッッッ、んほごぉおぉおぉぉおぉあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁああぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁッッッッッ!」
 身動きが取れないまま、ムカデたちに腸内を蹂躙し尽されているにも関わらず、ミリーアの口から泡と一緒になって噴き零れた叫び声は、抵抗の志を言語化したものであった。
 この精神力は称賛に価するといえるだろう。
 しかし、彼女に対する凌○は、まだ始まったばかりだ。
 ムカデたちによる肛虐腸姦の責め苦は「この世に存在するありとあらゆる苦痛」の、ほんの始まりに過ぎないのだから。


・・・・・・無料プランにて続きを掲載しておりますので、もしよろしければ登録してご覧になってください。

フォロワー以上限定無料

無料プラン限定特典を受け取ることができます

無料

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索