今回は、小説を書くときは手が届くところに辞書を置いておきましょうというお話です。
小説を書いていると、普段の会話では使わない言葉を多数使うかと思います。
そのときに少しでも分からない言葉があったら辞書を引く癖をつけましょう。
そうしないと、思わぬ恥をかくことになります。
また、そういう表現が蓄積することによって、読者離れという恐ろしいことにもなりかねません。
これは自戒の意味をこめて記事にしておきます。
・例文1
思わぬ勝利に恵まれて、兵士たちは歓喜に浮き足立った。
まずは序の口。
この文章には致命的な部分があります。
これをスルーしてしまうとなると、小説を書くのを一旦やめて1ヶ月間は流行の本を辞書を引きながら読み耽ったほうがいいでしょう。
さて、その間違いはどこなのか?
それは辞書を引けば一発だと思います。
浮き足立つ=そわそわして落ち着かないこと。逃げ腰になること。
と、あります。
つまり「浮き足立つ」とは、嬉しくてピョンピョン跳びはねることではなく、ネガティブな感情によってなるものであることが分かります。
・例文2
今日の正午より開催される宮廷晩餐会に参加するために、各国から要人が集まっている。
これもやりがちな間違い。
この文章にも致命的な部分が存在します。
その致命的な部分をなんの疑問もなくスルーしてしまうと、校正さんから赤ペンを頂くことになります。
それはどこなのか?
辞書を引けば一発で分かるかと思います。
それは……。
晩餐=夕食。現代では客人を呼ぶなどして改まった感じの豪華な夕食を指す。
つまり、今日の正午から開かれるはずなのに「晩餐会」とはいかがなものか、ということです。
こうなってしまったら時間をずらすか、晩餐会という言葉をお茶会・会食などの言葉に言い換えることで矛盾を回避しましょう。
このように、日本語というのは一つの言葉に間違いはなくとも、複数の言葉が組み合わさることによって間違いになってしまう言葉があります。
こういったミスを防ぐためにも、隣に辞書を置くか、可能であればPCに辞書ソフトを入れておくことをオススメします。
僕の周りでプロとして小説を書いているほとんどの人は、『ATOK 広辞苑』と『角川類語新語辞典』を入れています。
このソフトを入れておくと、変換するときに『End』ボタンを押すだけでその言葉の意味が表示されるようになります。
こういった便利ソフトを使うことで、小説を書く環境は劇的に良くなるはずです。