ぼくときみの物語。
これは過去ではなく、未来の話。
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はじまりは、死と混沌と永遠のボウケンタン。
――最高に楽しかった、私達の旅。
ある日、白いうさぎが美しい世界を救おうと決めました。
――誰よりも泣き虫で臆病なあの子が。
黄金の獅子は、青い巨人を白のうさぎに託すと、永遠の眠りに尽きました。
――がんばったね。いっぱいいっぱいがんばったね。
そうして平和になった世界で。水星のうさぎは夜空を見上げる。
――私、弱くはないわ。強いのよ。
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ねえ、君はこの物語を覚えてる?
さあ、覚えているでしょう?
さあ、思い出せるでしょう?
大丈夫。あなたはまだそれを実際に見てはいないけど。
これはあなたの物語だから。
あなたの中にある話だから。
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――きみはまだ、おぼえてる?
1960年。蒼い隕石と銀河鉄道の走る夜を。
宇宙大航海時代。惑星を一周するレースの風を。
世界征服を目論むカルト集団と戦った、夏休みの日記を。
鋼鉄の巨人に囲まれながら、必死にあなたと目指した光を。
無限に複製される黄金のカタツムリの、誰も傷つけない真っ白の剣を。
空を飛ぶ歌姫。沢山の歓声。一緒に踊ったよね。楽しかった。
次元の狭間に囚われて、永遠を浴びて風化した。
それから。それから。どんなことがあったっけ?
たくさん、たくさんのボウケンタン。
ぼくと君がまだ見たことのない、懐かしい思い出。
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さあ、いっしょにいこうか。
君への愛を信じる、蒼いうさぎと一緒に。
君への忠義を信じた、白い獅子と一緒に。
これはまた、ずいぶんと長い旅になるけれど。
きっと、最高に楽しい旅になる。
苦しんだり、悲しんだりする必要はない。
楽しく、笑って、歌でも歌っていればいい。
だって、そうでしょ?
だって私達、
幸せになるために生まれてきたのだわ。