嘘と兵隊
嘘と兵隊
たった一通のメールで、私の恋愛は終わった。
たった一言だけ記されたメールで、私の恋は終わった。
振られたら、もっと悲しいと思っていた。彼のことが大好きで、何よりも大好きで、だから終わってしまったら、きっと身が引き裂かされるような思いすらするものだと思っていた。
けれど、ああ、終わっちゃった、と、白い紙にインクを一滴落としたように、ぽつんと感じただけだった。
おしまいって、あっけないんだな、と、インクがシミを作っていくように、じわじわと、感じ始める。シミはシミ、定形がない。だから、その感情は、その感想は、千変万化した。
あっけなく終わった恋。実らなかった恋。何度体を重ねたかも覚えていない。何度デートに行ったか分からない。恋の楽しさを、彼のぬくもりを、夜のディズニーランドを思い出す。薄ぼんやりと、彼の方から告白してきた事を思い出す。
シミはシミでしかなかった。はっきりとした形、名状できる形は持っていなかった。
我ながら結構、似合いのカップルだと思ってたんだけどなぁ。
チカチカと通知ランプを点滅させているPHSを、画面を消したまま、ぼんやりと眺める。
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