お世話になっております、ジャク三世です。
拙著のご購入とご評価、フォローやRT、ブクマやいいね、温かいコメント、ブーストやバックナンバーのご購入をありがとうございます!
またレビューを頂きまして、大変嬉しかったです!
https://twitter.com/pH_tissue/status/1591035064472997888
くまみさん、ありがとうございました!
さて、挨拶もさせて頂きましたので、本題に入りたいと思います!
本日の記事は、眞己さんの人気投票1位特典SS追加のお知らせとサンプルの公開です!!
なんの話かというと先月行ったサークル一周年記念イベントでやった人気投票の話です。
こんな感じで、トワさんと眞己さんが同率一位を獲得しまして、お待たせしていた眞己さんのSS追加を行いました!
・ボリューム:本文60ページ(1万6千字超)
・「あなたver」&「私ver」あり
・舞台:決戦編同梱のSS集後のある日、らぶほデート♥
・えっちシーン×1
【プレイ内容(全体初出順)】
一緒に泡風呂で大はしゃぎ、キス、耳責め、キスイキ、相互オナニー観賞、イイところを同時責め、潮噴き、腹部マッサージ、寸止め、焦らし、仲直り、エンディング
(※DLsiteでは決戦編に追加、BOOTHでは決戦編・SS集に追加しました。)
(※SS追加と併せて本編とSS集の誤字脱字修正等も行いました)
では!以下が本日追加されたSSのテキストサンプルです!
後日談のため若干のネタバレ含みます苦手な方はご注意ください!
(※サンプルはあなたverしか載せてませんが、ちゃんと私verも同梱しているのでご安心下さい。)
(続いて1~27ページまでの内容です。記事上で見やすくするために改行等行ってます)
(プライベッターのほうが見やすい方は「こちら」から)
《一周年人気投票1位特典SS》
コンビニで目が合った幽霊お兄さんと夫婦になったあなたがえっちなラブホデートする話
――――遠見 眞己(とおみ まき)は、「気が利く人」だ。
具合が悪いとすぐ気付いて世話を焼いてくれるし、「集中したいから黙ってて欲しいな…」と思っていれば、どうしようもなく浮かれてさえいなければ、ちゃんと察して静かになる。
また、片付け全般をこなしてくれるし、探し物をしていれば「それあそこに置いてたよ」「さっきあっちで見かけたよ」とすぐに教えてくれ、彼にもわからないときは楽しそうに一緒に探してくれる。
何かを選ぶのに迷っていれば、「どうしてそれとそれで迷ったの?」と、あなたから言葉を引き出して、話しながら考えを整理してくれるし、選ぶのを楽しんでいるときは一緒に楽しむか、あなたが迷っているのを黙ってニコニコと眺めている。
そして落ち込んでいれば、それとなく、あなたの気持ちが上向くような言葉をかけてくれる。
普段はウザ明るいお調子者だが、そうしてふざけて調子に乗って見せるのさえ、彼の気遣いであるときがあるほどだ。
―――そして、なんだかやたらと「女慣れ」している。
マッサージやストレッチなどのセルフケアに詳しいし、コスメや美容グッズやブランド、さらには女性ウケする外出先選びや映(ば)える写真の撮り方まで、彼はあなたよりもよほど詳しい…というか、「女の子が喜ぶこと」を調べ慣れている上に得た情報を行動に移し慣れている。
料理に対しても、あなたが切った野菜が不揃いなら、「いろんな食感が楽しめて飽きないね」、味付けを濃くしすぎれば「ごはんにもお酒にも合うね~」、薄くし過ぎれば「いくら食べても飽きないね!」、食材の下処理を間違えて味が悪くなっても「そ? 俺こういうのも好きだから気にならなかった」と述べるなど、フォローの引き出しがやたらと多い。
生理用品のパシリにも抵抗がなく(憑依で買い出しに行ってもらったら、特に説明せずとも必要なものを揃えてきた)、すぐに周期を把握して気分のムラに快(こころよ)く対応し、「気ぃ遣わせてごめん…」と言えば「え? それ今の対応良かったってこと? 惚れ直した?? んふふ~♡ じゃぁ俺のこと『好き』って言って♡」とじゃれついて、『好き』と言えば喜んで甘やかし倒してくる。
彼の愛情は、疑う余地がどこにもない。
ただ気持ちを押し付けるのではなく、うまく大切にしてもらえる日々は、あなたにとって、とても快いはずなのだが―――…
(…―――なぁんか、イヤなんだよなぁ…)
窓から夕日の差す、寝室のデスク。
あなたは書きかけのレポートを映すタブレットを前に眉根を寄せて、ギィ…ギィ… と椅子の背を鳴らしていた。
彼が彼岸から戻ってからしばらくは、待望の再会だったこともあり、些細(ささい)なことにもときめいたし、「やっぱり好きだな」と改めて彼の無事を喜んだものだった。
…けれど、彼の甲斐甲斐しさに慣れてきた最近は、どうにも彼が経験してきた女性関係の名残が鼻につく。せっかく彼と協力して手に入れた二人暮らしの新居に、あなたが顔も知らない「前の女」の影が差すようで、とても気分が悪いのだ。
「どーしたの、難しい顔して。課題、わかんないトコあった?」
集中を妨げている元凶である眞己が、気遣わしげに声をかけてきた。
「俺わかるかもしんないよ、講義一緒に聴いてたし」
「…。学生んときも、カノジョにそーゆーこと言ってたの?」
脈絡のない質問を投げかける、苛立たしげな声と口調。
モヤモヤした気持ちをそのままぶつけてしまったのに、眞己は パァアアッ♡ と表情を明るくして天井近くまで舞い上がり、両手で口元を覆って キャピキャピ♡ 跳ね回った。
「え? ヤキモチ? ヤキモチ⁉♡ なんで俺こんな唐突にご褒美もらえてんの⁉⁉♡」
「はぁー…喜ぶだけなんだよなぁ…」
「え? 俺に喜ぶ以外のどんなリアクションを期待してたの??」
「してねーけど…」
「けど?」
あなたの顔を覗き込める位置に移動して、眞己はゆるく首を傾(かし)げた。
やさしく続きを促(うなが)すその仕草が、あなたの罪悪感を膨らませる。
彼が、今までの経験まで全部含めた「あなた」を大切にしてくれるように、あなただって彼の全部を大切に想いたい。それができない自分に苛立って、「きっと子どもっぽく見えてんだろうな…」と、ひとりでにいじけてしまうのだ。
「なんか最近、よくモヤっとした顔してたけど、そのこと?」
察しが良い。…当然だ。察しが良くなければ、あんなに気の利いた立ち回りはできない。…察していて、今まで黙っていてくれたのだ。
「…眞己さんはさ、そういうの、前のカノジョで覚えたの?」
思わずこぼしてしまった拗(す)ねた問いに、眞己は「うん??」と目を大きくした。本気でわけがわからない時の、宇宙猫みたいな顔である。
「だから、その…」
あなたは今までに彼がしてくれた様々なことのうち、特に前のカノジョの存在を感じたことを、歯切れ悪く並べていった。
「…で、そういうのから、元カノのことがこう、チラつくって言うか…」
始めこそ、宇宙猫のまま瞬きを繰り返していた眞己だが、あなたの言いたいことがわかったのか、最後には真剣な表情で頷いた。そして一つだけ残った右手をあなたの手に重ね―――…
「うん、わかった。つまり、俺はきみにヤキモチを妬いてもらえたワケだね??」
キラキラした目で見上げられ、あなたは呆れ顔になる。
「嬉しそうだな?」
「ん? だって、別にされてヤなことだったとか、不安になったとかじゃなくて、単に俺の中に元カノとの付き合いの中で培(つちか)ったもんがある~ってのがヤなだけだろ?」
「うん…まぁ、そう…」
「ふふ、俺がそーやってきみに独り占めされたがって、喜ばないわけないと思わない?」
「い、言い方…ッ!」
「違うの?」
「…っ、ちがわない、けど…」
「だったら気が済むまで上書きすればいいだけじゃん! ねぇねぇなにしてほしい?♡ いっぱいギューする?♡ いっぱいちゅーする??♡♡」
頭の中がゴチャついて、気恥ずかしさや情けなさやらで赤面したまま言い淀(よど)むあなたと、そんな反応も可愛くて堪らないとばかりに嬉しそうな眞己。
ご機嫌な彼は、こんなことでもイチャつく口実にして楽しんでしまえるらしい。
手放しで喜ばれて、どうにも出来ないことを気にしてしまう自分に落ち込んでいた気持ちがやわらぐ…というか、悩むのがバカらしくなってきた。
「じゃあ…眞己さんが、元カノとしたことないことしたい」
どうせなら、一緒に楽しめて、お互いが満たされた気持ちになれること。少しだけ開き直って告げた要望は、彼をたいそう喜ばせた。
喜色満面、「俺の嫁かわいすぎかー⁉♡」と叫んであなたに抱きついた眞己は、浮かれ騒いでいる最中に突然ピタリと沈黙し、情けなく眉毛を下げた。
「…え、いっぱいしてると思うけど…??」
むしろハジメテだらけなんだけどどうしよう、と困り顔で首をかしげられ、あなたは「へ?」と聞き返す。
「だってさ、そもそも俺、自分から好きになった相手と両想いで付き合ってる状態がハジメテだし、プロポーズも、『実家にご挨拶』も、同棲もハジメテで、きみが初婚なんだよ? 生還祝い兼ねた披露宴で散々暴露大会したから、お嬢さんも知ってるはずだけど…」
「そ、それは知ってるよ! でも、そうゆうんじゃなくてさ、眞己さんがしたことないデートとか、して欲しかったけどしてもらえなかったこととか…そういうの、私がいっぱいしたいんだよ」
―――多分、あなたは元カノたちに対して、マウントのようなものをとりたいのだろう。
「あんたらと違って私は眞己さんとこんなふうに過ごして、こんなに彼を喜ばせられるんだ」…そんな心の安全地帯のようなものを手に入れることで、いつも「彼の愛し方」に感じている劣等感をやっつけて、「私が眞己さんのヨメですから」と、気分良く胸を張っていたかった。
幽霊になった彼と惹かれ合ったことや、『祟り』の一件は劇的だったけれど、そういう特殊な状況ではなくて、彼女らと同じ「日常」という土俵の上で、それをしたい。
「両想いのカノジョとするのが」とか「ヨメとするのが」とか、そんな限定のついた「ハジメテ」などではなく、「前はこうだったからお嬢さんにはこうしよう」…そんな工夫をする余地のないことを、あなたと経験して欲しい。そうしてゆくゆくは彼があなたと接するときに参照するものを、あなたと経験したことだけに―――…
(…―――あれ? なんか怖いこと考えてない…??)
これって相手のためにならない思考なんじゃぁ…? 浮かびかけた疑念を、眞己の歓声がかき消した。
「ね~~♡ もぉ~なんでそんなカワイイことゆーのー?♡ そんなこと言われたら俺調子乗っちゃうじゃんっ!!♡♡」
「…いや、構わんけど」
「ほんと?♡ ほんと⁉♡ じゃあ俺、念願だったけど生前一度も行けなかった、某内装のすごさで有名なラブホに行きたいです!♡♡」
あまりに彼らしい要望に、あなたは思わず吹き出した。
「え? それどういう爆笑?? ラブホデートはネタ枠なの??」
あれだけ思い切り調子に乗っていたクセに、すっかり おろおろ している姿に、あなたはまた笑ってしまう。
「ねー笑ってないでさぁ~…お嬢さんもやっぱりイヤ? だったら他に考えるから早めに教えてほしいんだけど…」
「はは、はぁー笑った…んーん、大丈夫。しよう、ラブホデート。私はイヤじゃないからさ」
なんとなく晴れやかな気分で、あなたは眞己とデートの予定を立て始め―――…就寝直前に、慌てて課題に取りかかるのだった。
「―――わ…すご…」
予定を組んだ日の、翌週の祝日。
あなたは眞己の念願だったラブホの一室に足を踏み入れ、ポカンと口を開けた。
「御殿(ごてん)みがすごい…」
眞己が『驚く顔が見たい』と内装について内緒のまま予約したときは『大げさな』と思ったが、これは確かに「ラブホ」の域を超えている。
はへー…と、感嘆の声を出しながら、あなたは荷物も降ろさずに部屋を見回した。
生け花の飾られた靴箱に靴を預け、金糸の装飾が豪奢(ごうしゃ)な赤絨毯(あかじゅうたん)を踏んでアンティーク調の姿見の前を通り過ぎると、一段高いところに茶の間(ご当地もののお茶とお菓子・冷蔵庫・電子レンジ・テレビ完備で、猫足の座卓と肘掛け付きの座椅子がある)があり、その奥には礎石(そせき)の上に立つ複数の柱が床板を高く持ち上げる御簾(みす)付きのベッドスペースがあり―――…その二つをつなぐ太鼓橋(たいこばし)がかかっている。
そう、橋だ。室内なのに橋があるだ。
しかも橋とベッドスペースの下には、水の代わりだろうか、壁際まで白い砂利石がたっぷりと敷き詰められていて、隅(すみ)は苔むした小島があり、そこが竹やら石灯籠(いしとうろう)やらで飾られている。さながら、日本庭園の中にある、スケベなお殿様の遊び場である。
「見て見てお嬢さん! ベッドから入浴シーンが見えちゃうよっ!!♡」
室内を ふよふよ 飛び回っていた眞己が歓声をあげた。
いつもの白い袴姿の彼は、半ばまで御簾の降りたベッドにいるとせっかく神様っぽいのに、呆れるほど俗(ぞく)っぽいことを言って子どものようにはしゃいでいるからおもしろい。
笑いを堪えながら隣まで行ってみると、そこか見下ろせる壁には大きな額縁のように磨りガラスがはめ込まれていた。ここから見るとかなり目立つが、左右に茂った竹が目隠しになって、茶の間からはよく見えなかったらしい。浴室の明かりをつけて入浴すれば、この磨りガラスに肌色のシルエットが浮かび上がって、入浴ショーに鼻の下を伸ばす殿(との)の気分が楽しめること請け合いだ。
「おー…えろーい…」
「どう? えっちな気分になってきた?」
「いや、テーマパークに来た気分になってる」
「あはは、実は俺もそう。ねぇねぇ、このスイッチ押してみてよ!」
眞己が指さすほうを振り返ると、キラリとまばゆい金屏風(きんびょうぶ)が飾られた殿(との)感満載(まんさい)のベッドヘッドボード。そこには向かって左から順に、電話機、漆塗(うるしぬ)りのケースに入ったティッシュ、金縁(きんぶち)の漆塗りの丸盆に乗ったコンドームやローション等々えっち応援グッズの盛り合わせがあり、一番右にはベッドから押しやすい角度に飛び出した小ぶりな操作盤(そうさばん)。スイッチが5つとダイヤルが1つついたそれは、室内の照明を操作するための設備のようだった。
「じゃあ、とりあえず、『消灯』な」
パチリとスイッチを切ると、室内の明かりがすべて消え、真っ暗になった。ベッドがフカフカでいいにおいなのはよくわかるが、せっかく内装のスゴイところに来た楽しさは損なわれてしまった。
「見えないねー」と言う眞己と小さく笑い、あなたはすぐに次のスイッチを押す。
すると、最初についていた照明は消えたまま、今まで付いていなかった、部屋の隅にある石灯籠や、ベッドを覆う御簾の周囲に設置された吊り灯籠が点灯した。雰囲気のある装飾の場所だけがかがり火のような色のライトに淡く照らされ、「御殿み」がいっきに増した。
「他のは…あー全部点けたり、茶の間だけとか、ベッドの上だけってのもできるんだ。こっちのダイヤルは光量の調整用だな」
キュキュ、とダイアルを回して光量を抑えると、ベッドからは茶の間の様子がよく見えないほどの薄暗さになった。ここは装飾がきらびやかだから、これくらい視界が悪いほうが落ち着いて過ごせるかも知れない。
「あ、いいね。これくらいなら、えっちした後そのまま寝れそう」
「ふは」
「ん? 同じこと考えてた?」
「うん。でもまだお菓子食べたいし風呂場も見たいから明るく…あれ、風呂場の入り口どこ?」
「んー、この構造だと玄関のほうかな?」
「まじか、こっちスゴすぎて素通りしてたわ」
「あはは、俺も~」
テーマパーク気分のまま部屋を明るくし、茶の間に荷物(撮影をしにきたコスプレイヤーを装うための大きめの荷物だ)を置いた。道すがら買ったお弁当やお総菜も冷蔵庫に入れ、二人でバスルームへの入り口を探しに玄関スペースに移動する。
どうやら、靴箱の横にあったアンティーク調の姿見が、バスルームに続くドアであったらしい。
「へぇ、鏡が開くんだ! 秘密の抜け道っぽくてテンション上がるね!」
「そうだな、早く中見たい」
ワクワクしながら鏡の取っ手を引くと、開くと同時にセンサーで灯りが点いた。
吊り灯籠に照らされた洗面所は、床が畳(たたみ)だったり、家具が木製だったり、洗面台についている洗面器が焼き物だったりと、和風な内装と合せた造りになっていた。
アメニティも充実しており、「手ぶらでOK」と胸を張って居並ぶお泊まりセットに加え、入浴剤などのバスグッズも選び放題だ。
「眞己さん、泡風呂! 泡風呂がある!」
「絶対楽しいヤツじゃん! ねぇねぇ、お風呂場どうなってる?」
「待って今開ける…わぁ、広い! 旅館みたい!」
浴室内も床には畳が敷いてあり、暖かみのある木の壁や白っぽい色の磨りガラスや浴室の四隅で淡い灯りを揺らす竹細工のライトと雰囲気の相性がよい。室内の半分のスペースを占める浴槽は大きな楕円形の黒っぽい焼き物だし、水栓(すいせん)が竹材で覆われているしで、ちょっといい旅館の個室についている露天風呂のようだ。
「すごい、これで泡風呂したら背徳感ヤバイ」
「だね~モッコモコにしてやろう!」
「ねぇ、泡風呂のもとってどのタイミングで入れればいいの?」
「袋に説明書いてない?」
「はい」
「えっと~…要約すると、2袋分を蛇口の真下に出して、ちょっとぬるめのお湯を勢いよくぶっかけるとモッコモコになる」
「おっけ」
眞己の要約してくれた通りに泡風呂の準備をして、お湯を溜めている間にお茶とお菓子を頂くことにした。
眞己が好きな濃いめの緑茶を淹れて煎餅(せんべい)と最中(もなか)を食べ、少しだけ憑依を許して味などの感想を言い合った。
「―――ぅわッ! マジでモッコモコじゃん!!」
浴室の戸を開けるなり、あなたは歓声を上げた。
眞己が告げた泡風呂のもとの分量は適量よりも多いものだったらしく、モッコモッコと泡が溢れ出て、高価な焼き物の浴槽が「こぼれるいくら丼」のようなコミカルな有様になっていた。
「ひゃー! マンガみたい! お嬢さん、早く入ろー!」
ばっさばっさと景気よく脱衣を始めた眞己につられ、あなたもせっせと服を脱いだ。泡風呂は中で全身を洗うものだと言うので、かけ湯をして気になる場所も軽く清めて、トプンッと湯につかる。
深めの浴槽なので、お湯は胸の下あたりまでしかないが、泡の嵩(かさ)がすさまじく、肩まですっぽり泡の下に隠れてしまう。フローラルな香りはこの和風テイストな空間には不似合いだったが、そんなことも気にならないくらい童心に返らせてくれる泡立ちっぷりだ。
向かい合って湯船に入った眞己があなたの左手に右手を憑依させ(かさね)て泡を投げてくるので、あなたも右手で泡をすくって彼に投げつける。
ばしゃばしゃ びしゃびしゃ と盛大に騒ぎ、あなたの頭が泡とお湯ですっかり濡れたところで、眞己があなたの左手で髪を洗い始めた。
わしゃわしゃ、ごしごし。彼に洗ってもらうのは気持ち良かったし、向かい合って泡風呂でじゃれあっている、この状況がこそばゆくて嬉しかった。「お嬢さんも手ぇ動かしてよ~」と言われても、「え~?」とぐずって彼に任せてしまう。…彼がそれを喜ぶのが、またなんともこそばゆいのだった。
「んふふ~♡ たのしーねー?♡」
「ふふ。うん、楽しい」
「もーなにその顔すげーかわいい♡ …ちゅーしていい?」
照れながら頷いて、少しだけ静かに見つめ合い、ふ… と小さく微笑み合って、笑顔の吐息を唇で食(は)む。
ちゅ…♡ ちゅぅ…♡ ちゅ♡ と、幾度となく繰り返した小鳥が啄(ついば)むような口付けが、次第に熱を帯びていく。ちゅぷり♡ と唇を侵(おか)して誘う舌に応えて、あなたは口を開けて舌を差し出した。
「ん、かーわい…♡」
甘ったるい声と同時に、操られた左手が、こしょこしょ♡ と耳たぶをかわいがる。
思わずこぼした甘えた吐息を、眞己が唇ごと ぱくり♡ と頬張った。
彼の口腔に捕らわれた舌が、実体を持たない彼の舌に、ちゅぷちゅぷ♡ じゅぷじゅぷ♡ 舐め侵される。媚薬入りのぬるついた炭酸水に口内の細胞が溺れるようで、あなたは くらくら♡ してしまう。
「んぅっ♡ ぁ、ぁ…♡」
「ちゅぅ…♡ きもち?」
「はぁ…ん、きもち…♡」
「ふふ、じゃぁもっとしてあげる…」
サンプルはここまでです。
眞己さんいいな~と思って頂けましたら…↓
本編はこちらです!
今回のSSはこちらの《決戦編》に追加させて頂きました!
前編となる《遭逢編》はpixivで無料公開してます↓
【完結】幽霊お兄さんシリーズ リメイク版《遭逢編》
PDF版(100円)もあります↓