──サクマさん! 手動で5年分のツイートを全消したらシャドウバンから解放されたと聞いてやってきました!
サクマ伺貴 はい。無事に解放されました!
──そもそもいつからシャドウバンされてたんですか?
サクマ伺貴 最初にされたのはたぶん2023年の頭くらい。その頃って、ちょっとしたことでシャドウバンになってしまう時期だったんですよ。私は外部URLを宣伝目的で短時間に複数個ツイートしてシャドウバンされました。
──そんなことでもなるんですね。
サクマ伺貴 やっちゃいけないルールみたいなのが色々あったみたいなんですけど何をやっちゃいけないのかよくわからなかったんですよ。イー〇ンがやってくるまではシャドウバンが流行してましたね。
──シャドウバンの流行。なんかあったような気がします。
サクマ伺貴 いろんな人がされてましたよ。いつかめちゃくちゃバズって、たくさんのフォロワーが欲しいな、と思ってはいたのでシャドウバンは不安でしたね。だからパンケーキの画像をアップしてました。
──パンケーキの画像?
サクマ伺貴 当時、シャドウバン解除のおまじないに「パンケーキの写真をアップしてそれ以降何日もTwitterを触らない」というのがありまして。
──がっはははは! あー、自分は危険な人じゃないよ、というアピールするわけですね。パンケーキ画像を張る一般的な使い方をしている人ですよ、と。
サクマ伺貴 そうです。ぼくは悪いスライムじゃないよ、と(笑)
──効果あるんですか?
サクマ伺貴 無駄でした!(笑)
──無駄!(笑)
サクマ伺貴 で、イー〇ンに経営が変わった瞬間、シャドウバンが一斉に解除されたんですよ。
──あっ、そうなんですか。
サクマ伺貴 イー〇ンになった途端に一気にリセットされたんです。なので一気に野に放たれたイストレーターのみなさんが「ありがとう! イー〇ン!」ってツイートしてたのを覚えてます。
──地獄の伏線っぽくてドキドキしますね(笑)。
サクマ伺貴 私も超うれしくて、その流れでブルアカのファンアート投稿してみよう! ってなったんですよね。それが人生ではじめて1万いいね越えで。
──激動の予感ですね。
サクマ伺貴 フォロワーも一気に増えまして。手ごたえがあったので、続けて絵をアップしてたんですよ。そしたら突然Twitterから見たことない通知がきました。要約すると「お前はエッチなやつをセンシティブ設定にしないでアップしてるな?」っていう結構強めの警告で。
──センシティブ設定というのはクリックしないと見れないようにするアレですね。
サクマ伺貴 この絵について言われたんですよ。
──なるほど。これは微妙ですね。
サクマ伺貴 ブルマを履いているので行為中ではないんですけどTwitter的には「これ絶対入ってるよね?」って。
──……まぁ、ぱっ、と見ただけだと入っているように見えますよね。
サクマ伺貴 いや、入ってないです(笑)。だから一生懸命Twitterに「これは日本の体操服のブルマというものを履いている状態で男性の膝の上に座っているイラストです」みたいに説明して。
──がっははははははははははは! 通用しなさそう!
サクマ伺貴 そしたら異議申し立てありがとう! みたいのがくるんですよ。
──ありがとう!(笑)
サクマ伺貴 ありがとうは言ってないかもしれないけど(笑)。でもまだ数日後には「入ってるよねえ!?」ってくるんですよ。
──こっちは入ってないって言ってるのに(笑)。
サクマ伺貴 3、4回繰り返していたと思います。入ってない!!! って(笑)。
──入ってないぞ!(笑)。
サクマ伺貴 日本の! ブルマという伝統的な衣装!
──すみません。正直、その理屈が通用すると思えないです!(笑)。
サクマ伺貴 こっちも必死だったんです。これ3万いいねもいったんで、どうしても消したくなかったんですよ。
──自分の作品を引っ込めるのは嫌ですよね。
サクマ伺貴 でもこのままだと凍結にるかもーと思って。確かTwitterの設定で、アカウントまるっと「投稿する画像をすべてセンシティブ設定にする」っていうのがあるんですよ。元々成人向けのイラスト専門でやっていたので、もうわかった! と。ちゃんと住む世界を分けていい子にするから許してと、その設定にしたんですよ。
──それなのにシャドウバンに?
サクマ伺貴 ですね。センシティブな画像を表示するっていうチェックに入れてる人には届くって思ってたんですよ。それなのに!
──その設定にすると自動的にシャドウバンに?
サクマ伺貴 ……ん~。厳密にはわからないですね。当時、私はTwitterにちゃんとふれてなかったので。でも、これが理由かもしれないです。パンケーキは無意味でした(笑)。
──やっぱり無意味(笑)。
サクマ伺貴 その頃ってTwitterにAIイラストがわんさか出てきてあんまり治安が良くなかったうえに、イー〇ンが変なこと沢山やって元々あったルールがぐちゃぐちゃになっている印象でしたね。
──何が何だかわかんない、と。
サクマ伺貴 イラストの仕事もあったし、フォロワーの方もそれなりにいたので、このままでもそんなに焦ることないかな、と思ってたんですけど……。
──そうは言ってられない状況に?
サクマ伺貴 ですね。イラストの仕事はしているのに、それが諸事情で表に出ないことが続いてしまって。自分が忘れられているというか……。FANBOXやskebで、サクマ伺貴の名前を外にアピールしないと廃業になっちゃうかも! と思ったんですよね。それで久しぶりにTwitterに趣味絵をあげてみたんですが……。
──ですか?
サクマ伺貴 何を上げてもまったく伸びない! 渾身の、エッチでもない、ブルアカのイラストが…………。
──あきらかにシャドウバンの影響ですよね。それでシャドウバンを解除せねばと?
サクマ伺貴 すぐには思わなかったですね。この1年、Xがなくなる!? というムーブ何度もありましたよね?
──ありましたね~。
サクマ伺貴 なのでもうこのままXなんて爆発しちゃえって!
──がっはははははははは! そっちに期待をかけていた、と!
サクマ伺貴 ぜーんぶなくなっちまったらいいんだ! と思っていたのでパンケーキをはる元気もなくて(笑)。もうお亡くなりになった、と割り切ることにしたんです。
──サクマとしてはXは死んだ! と(笑)。
サクマ伺貴 あとpixivの方がかなりいい感じに伸びていたんですよ。たまに総合ランキングとかも載ったり、そこからちょっとだけFANBOXに入ってくれたり。
──Xに頼らなくてもいい、と。
サクマ伺貴 なにより命を繋ぐskebに安定してリクエストが来てくれるようになって、ある意味承認欲求が満たされていたというのもあります。
──そんな状況からシャドウバン解除に向かう何かがあったわけですか?
サクマ伺貴 昨日の14時くらいまでは、Xは爆発しちゃえって思ってたんですよね……。
──昨日の!?
サクマ伺貴 急に全部消してみよう! ってなって、1時間くらいで全消ししてあっという間に解除されたので……やっぱりブルマだったんですかね?
──なんで消そうと思ったんです?
サクマ伺貴 新年だからかもしれません。
──新年?
サクマ伺貴 昨年末から急に来年やりたいことがどわーーって出てきまして。今まであらゆる事に受け身のイラストレーターだったんですけど「自分のつくったものを発信したい」って気持ちが芽生えたんです。
──積極的に行くぜ! という気持ちの発露としての全消し!
サクマ伺貴 あと折角ここまでフォロワーを増やしたアカウントをXが爆発するまで放置するの? と疑問に思って。
──冷静に考えるともったいないな、と。
サクマ伺貴 爆発を待ってるくらいなら、全部消してみようかなって。相互フォローの方で全消しして復活したってつぶやいている人がいたんで、やる価値はあるかな、と。
──全消しというのは一般的なシャドウバン対応なんですか?
サクマ伺貴 わかんないです。やってるのはその人と自分しか知らないです。もうこのアカウントがダメなんだろうな、と思っていたので期待はしてなかったんですよ。
──解除されてよかったですね! 手動で消すのって大変だったんじゃありませんか?
サクマ伺貴 無料でつぶやきを消します! ってサイトが幾つかあったんですけど、使う前に怖くなって。
──他人がふれるの怖いですよね。
サクマ伺貴 一個ずつ消していったらいつかは終わるだろ! って思ってやったらだんだん効率よく出来るようになって比較的簡単に終わりました
──あっ、そうなんですか。こつがあったら教えてください
サクマ伺貴 コツっていうほどのものでもないんですけど、まずはリツイートした記事だけ頑張って取り消ししていって、自分のツイートは記事の右上の「…」をクリック1回&エンター2回で1つ消えるので1時間くらいひたすら 1クリック!&2エンター!を連続で叩き込むだけで終わります!
──1時間は確かに短いですね。
サクマ伺貴 昔のツイートを読むと謎の恥ずかしさがあるので文字は読まずにひたすら連打してお掃除しました。
──で、解けてどうですか?
サクマ伺貴 いいねの数が全然違います。そしてフォロワーの増え方が全然違います。去年1年で増えた数よりも1日で増える数の方が多いです。
──それは凄いですね。
サクマ伺貴 シャドウバンは凄かったんだな、と思います。もしず~~~っと悩んでいる方がいたら、全消しの選択肢は結構ありなのかも。
──解けて今の心境は?
サクマ伺貴 一番驚いたのはバズった時の嬉しさですね……。
──しみじみと感じましたか(笑)。
サクマ伺貴 あんなに爆発しろって思っていたのに(笑)。通知が止まらないと うっへぇってなっちゃうんですよね。くやじい(笑)。
──うれしい、そして感じちゃう。
サクマ伺貴 ほぼイきかけました(笑)。でも、これからまたシャドウバンになるかもしれませんよね。
──それは怖いですか?
サクマ伺貴 ですね。それに、どうやって運営していこうかな、という悩みもあります。それはそれとして、今は固い扉が解放されたような清々しさと謎の万能感があります。結局、私にとって「見てもらえている」ことって大事だったんだな、って。
──創作する人はみんなそうですよね。
サクマ伺貴 今めちゃくちゃ血流いいんですよね。ぽかぽかしてます(笑)。
──健康にもいい!
サクマ伺貴 今後はXを有効活用できるようにしたいです。シャドウバンチェックを小まめにしてきちんと管理して。何でされるのか、という調査もしていこうって思ってます。
──爆発を願わずに(笑)。
サクマ伺貴 ですね。Xとちゃんとつきあっていこうと思います。
・サクマ伺貴
https://twitter.com/nananananahush1