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2024年 01月の記事 (103)

無名@憑依空間 2024/01/28 17:13

★無料★<入れ替わり>ゾンビチェンジ②~決意~(完)

--------------------—

「あっ…あぁぁぁ…うぁ…」
ゾンビ(優莉)がうめき声をあげながらその場に
涎を垂らして、倒れ込んでしまうー。

「優莉!」
優莉(ゾンビ)の手を引っ張りながら
目前に迫った生活拠点としている施設を目指していた
彼氏の順平は叫んだー

「ご、、ごめん… こ、、、こ、、の身体…うまく、、動かない…」
ゾンビ(優莉)が必死に口を開くー

「-大丈夫だ!もうすぐ俺たちの家だ!」

今ー
彼らに家はないー
生活拠点にしている施設こそが”家”だー

順平は優莉以外にも、何人かの若者が共同で生活しているー。

「---うぁ…ぁ…うん、、、あ、、りがと……
 ゾンビ、、って、、つら、、いね」
ゾンビ(優莉)はそう言うと、肥満体の身体を動かしながら
立ち上がるー

ゾンビ特有の腐臭がして、順平は思わず顔を歪めるー

「----」
ゾンビ(優莉)は、そんな順平の顔を見逃さなかったー。

好きだからこそー
彼氏の変化を見逃さなかったー。

「--さぁ、もう少しだ!」
順平は、優しいー
ゾンビと入れ替わってしまった優莉に対してもー

けれどー。

「--あぅあぁああああああっ」
優莉(ゾンビ)が、順平にしがみついて、順平に噛みつくー

「いてててて!くっそぉぉ」
順平が優莉(ゾンビ)をなんとか引きはがすー

優莉になったゾンビに噛まれてもー
身体は優莉のもので、”人間”であるために
順平が”感染”することはないー

ゾンビと違って歯もあくまで人間のものであるためにー
どんなに噛まれても致命傷にはならないー
せいぜい、歯型がつくぐらいだー。

だがー
身体は優莉のものである以上、
撃ってしまうわけにはいかないし、
この場に放置すれば、簡単に他のゾンビに
”人間”だと認識されて喰われてしまうだろうー。

だから、優莉になったゾンビも、生活拠点に連れ帰らなくてはならないー

「ついた!」
順平が叫ぶー

優莉(ゾンビ)の腕を引っ張りながら、
髪をボロボロに乱しながら「うあーーーー」と叫ぶ優莉(ゾンビ)の方を見るー。

「--ちょっと待ってて」
順平は、施設の入口で、ゾンビ(優莉)に対して声を掛けるー。

ここは、元々は図書館だった場所なのだが、
既に社会はゾンビにより崩壊しており、
現在は、順平らが生活拠点にしているー。

各地で、そういう光景は、どこにでも広がっており、
時々”生活拠点を奪おうとする人間”もやってくるのが現状ー。

順平は、自分たちの生活拠点である図書館の入口で「俺だ!」と叫ぶー。

「--おう!順平!戻ったか!」
順平の同級生で、施設のリーダー的存在・毅(たけし)が、窓から顔を出して返事をするー。

「--隠れてて」
順平が、ゾンビ(優莉)にそう呟くー

ゾンビの姿を見れば仲間が有無を言わさず発砲する可能性があるー。
だからー
先に施設に入って、優莉(ゾンビ)の現状を見せつつ、
みんなに事情を理解してもらう必要があるー。

「---戻ったか」
毅が言うー

他に、4人ー
この図書館をアジトにして生活しているー。

「--うあああああ」
優莉(ゾンビ)がうめき声をあげるー。

「--!!」
毅が優莉(ゾンビ)に向かって銃を構えるー。

身体は優莉だが
”ゾンビ化した”と勘違いされたのだー

「待て!」
順平が叫ぶと、
起きた出来事を全て手短に説明すると、
毅は銃を下ろしたー

「つまり、優莉ちゃんとゾンビが入れ替わってー
 今、そこにいるのは、中身がゾンビな優莉ちゃんってことか」

毅の言葉に、
「あぁ」と、順平は答えたー

「身体は優莉だから、噛まれても感染の心配はない」
そう言うと、毅は「わかった」と頷いたー。

理解を得られたタイミングで
ゾンビ(優莉)を呼ぶと、ゾンビ(優莉)が、外から入って来るー

毅や、他の4人が警戒を露わにしたもののー
ゾンビ(優莉)が「わ、、た、、し…」と、事情を説明すると
毅たちは銃を下ろしたー

「--わかったー。
 とりあえず優莉ちゃんの身体はどうする?」
毅の言葉に、順平は、「外に行かれちゃうと、他のゾンビに食われるかもしれない。」
と、毅に対して言うと、ゾンビ(優莉)の方を見て、申し訳なさそうに、
「-優莉の身体は一回、拘束するけど…ごめんな」と呟いたー

勝手に人間の身体のまま、外に行かれては困るからだー。

毅と、元サラリーマンの雄太(ゆうた)が、
協力して、元々読み聞かせ行事のために使われていた部屋に
優莉(ゾンビ)を拘束したー。

「--ちょっと臭くない?」
女子高生の凛子(りんこ)が、ゾンビ(優莉)の方を見てそう呟くー

ゾンビ(優莉)は「ご、、ごめ…」と、呟きながらー
図書準備室の方に移動していくー

順平は、そんなゾンビ(優莉)に「元に戻れる方法、すぐ探すから」と、
心配そうに声を掛けたー。

リーダー格の毅と、サラリーマンの雄太は、入れ替わりのことを理解してくれたがー
女子高生の凛子と、元主婦の育枝(いくえ)、そして、フリーターの茂伸(しげのぶ)は、
ゾンビと入れ替わった優莉を迷惑そうな目で見ていたー

そんな空気を順平は悟り、早めに元に戻る方法を探そうとするー。

「--もう一度、階段から落ちるってのは?」
毅が言うー。

「--それも試してみる必要もあるかもな」
順平が返事をするー。

だが、外はゾンビが徘徊しているし、
優莉(ゾンビ)とゾンビ(優莉)をあの時のように
もう一度階段から落とすのは難しいー。

それに、元に戻れる確証もないー

「-----」
その時だったー

何やら、変な声が聞こえるー。

「--なんだ?」
毅がそう呟くと、順平もその声に気づき、
立ち上がったー

そしてー
声のする方に歩いていくとー

読み聞かせに使われていた部屋から、
喘ぎ声が聞こえたー

最初は、凛子か育枝のどちかが、
誰かとエッチをしているのかと思い、
そのまま放っておこうとしたがー

すぐにー
喘ぎ声が優莉のものであると気づいた順平は
慌てて部屋に駆け込んだー

すると、フリーターの茂伸が、優莉(ゾンビ)と
無理矢理エッチなことをしていたー

「あっ♡ あっっ♡♡」
中身がゾンビの優莉は、無抵抗で、茂伸に好き放題されていたー

「-な、なにしてるんだ!?!?」
順平が叫ぶと、茂伸は笑うー

「--へへ、だってさぁ、中身ゾンビなら、やりたい放題じゃねぇか。
 俺だってずっと我慢で溜まってんだ 少しぐらいいいだろ?」
茂伸が、お構いなしに優莉(ゾンビ)の胸を触り、服を触るー

「おいやめろ!!!」
順平が叫ぶー

しかしー
茂伸は「お前の彼女は、あっちのくっせぇデブゾンビだろ あっちいけ!」と
声を荒げたー

「--!!」
後から駆け付けた毅も表情を歪めるー

順平が茂伸に殴りかかるのを、毅は咄嗟に止めて、
「ふたりとも、落ち着け!」と、順平と茂伸をなだめたー。

毅は「この部屋の管理は俺が徹底する。だから安心しろ」と
順平に言い放ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

「---!」
深夜に目が覚めた順平はー
見てしまったー

フリーターだった茂伸ー
サラリーマンだった雄太ー

そして、毅までもがー

優莉(ゾンビ)を好き放題しているのをーー

「俺もたまには発散しなくちゃな!他のやつらには内緒だぞ!」
毅が言うと、
雄太と茂伸が頷いたー。

中身がゾンビになったのをいいことに、優莉の身体がおもちゃにされているー

”テメェら!!!”
そう叫ぼうとしたその時だったー

屋上から周囲を見張っていた元主婦の育枝から
”緊急連絡”が入ったー

”ゾンビが集まってきてるー”
とー。

順平も、
優莉の身体で遊んでいた毅たち3人も、それに気づき、
屋上に駆け上がるー

交代で見張りをしていた育枝が、図書館の周囲に集まって来た
ゾンビに指を差すー。

「---どうしてー
 ここには、今まで来なかったのにー」
舌打ちする毅ー

そんな毅を横目でにらみながら順平が、
図書館の入口のドアを叩きはじめたゾンビたちを見つめたー

その時だったー

「たぶん… わ たしの、、せい」
ゾンビ(優莉)が背後から姿を現すー。

ゾンビ(優莉)は言うー

”ゾンビになった自分がここにいるから、
 ゾンビが、ここに集まってきている”

とー。

ゾンビが、ゾンビを呼び寄せたのだとー。

「--はぁ!?マジ最低!じゃあ、あんたのせいじゃん!」
女子高生の凛子が叫ぶー。

複雑な表情を浮かべる順平ー

「--ゾンビになった彼女なんて連れ込むんじゃねーよ!」
フリーターの茂伸が叫ぶー

「みん、、な、、ごめ、、」
ゾンビ(優莉)が悲しそうに呟くー。

「---もごもご喋りやがって!聞こえねーんだよ!」
ゾンビになった優莉を蹴り飛ばす茂伸ー

「--おい!」
順平が叫ぶも、茂伸は順平のことも睨んだーー

「こんな汚らしいゾンビ連れ込みやがって!
 俺たちまで感染したらどうするつもりだ!?」

茂伸の言葉に、順平も茂伸を睨み返すー

「-なんだその目は?やるのか?」

2人が対立しているその時だったー。

ゾンビがさらに増えて、図書館の入口を叩きだすー。

屋上からその様子を見ていたサラリーマンの雄太が
「おい!!!ゾンビに入口が破られるぞ!」と叫んだー。

この数を相手にするのは、
正直、厳しいー

「--くそっ!」
リーダー格の毅も叫ぶー。

その時だったー

「じゅう…かして…」
ゾンビ(優莉)が言うー。

「え?」
順平が首を傾げる。

「--じゅう、、、かして…!」
ゾンビ(優莉)が必死に叫ぶー。

順平は優莉が自殺するつもりなのだと思い、
「だめだ!」と叫ぶー

だがー
ゾンビ(優莉)を良く思わない、他のメンバーが
ゾンビ(優莉)に銃を渡してしまうー

「--早く!ほら!あんたのせいでゾンビが!!
 早く!!早く!その銃で死ねよ!」
女子高生の凛子はパニックからか、過激な言葉を投げかけているー

順平はそんな凛子の姿を見て、悲しくなるー
最初にここで出会ったときはーー
凛子は穏やかで優しい子だったのを知っているからだー

長く続く過酷な生活で、みんな、変わってきているー。

「----わたし、、しな、、ない」
ゾンビ(優莉)がよろよろと歩き出しーー
非常階段の方から外に向かって行くー

「おい!!優莉!!?」
順平が叫ぶー

その後の光景はー
順平も、他のメンバーも予想していないものだったー。

ゾンビ(優莉)が、ゾンビの群れの方に向かっていくー
ゾンビは、ゾンビ(優莉)を、同じゾンビだと思ったのか
全く興味を示さないー。

ゾンビになった優莉は”ゾンビに襲われることなく”
1匹1匹、ゾンビを射殺していくー

撃たれてもー
ゾンビは、相手がゾンビだからか、ウロウロするだけで反撃せずにー
ゾンビ(優莉)に射殺されていくー

銃の弾が尽きるー。

ゾンビ(優莉)はまるで泣いているような雄たけびを上げながらー
”他のゾンビ”を食い殺したー

「すげぇ…!」
リーダー格の毅が叫ぶー。

図書館に集まってきていたゾンビは、
ゾンビ(優莉)によって、全滅したー。

ゾンビ(優莉)が戻って来るー

順平は、悲しそうにゾンビ(優莉)の方を見つめたー

「--すげぇ…!すげぇな、優莉ちゃん!
 これからはどんなゾンビがやってきても、優莉ちゃんがいれば
 安心だ!」

リーダー格の毅は、嬉しそうに叫んだー

「--最強の生物兵器、誕生ね」
主婦の育枝が笑うー。

雄太、茂伸、凛子も嬉しそうだー

「-----------」
順平は表情を曇らせたー。

その夜ー。

「あっ♡ あっ♡ あぁあ~~~♡」
優莉(ゾンビ)の身体が、
毅、茂伸、雄太にたらい回しにされながら
弄ばれているー

中身がゾンビだからか、何も抵抗することなく
快感に身を委ねて、何度もイカされている優莉(ゾンビ)-。

そこにー
順平とゾンビ(優莉)がやってきたー

「--!なんだよ!」
フリーターの茂伸が叫ぶー。

「--俺たちは最高の大人のおもちゃと、最強の優莉ちゃんを
 手に入れたんだ。
 これからは、ちっとはマシな生活をー」

リーダー格の毅の言葉に、
順平は言い放ったー

「--俺たち、ここから出ていくことにした。
 世話になったな」

とー。

”もう、ここにはいられない”
順平は、ゾンビ(優莉)と相談して、そう思ったー

優莉の身体をおもちゃにしてー
ゾンビになった優莉を生物兵器として扱うなんてー
もう、耐えられなかったー

「---はぁ?待てよ!この身体は置いていってもらうぜ!」
フリーターの茂伸が優莉(ゾンビ)を指さすー

「滅茶苦茶ヤリまくってやるんだ!」
茂伸の言葉にーー
ゾンビ(優莉)が茂伸に近づいて、
腕を掴んだー

ゾンビの歯でーー
茂伸を噛もうとするーーーー

仕草だけしたゾンビ(優莉)は、
茂伸を睨みつけるー

「ひっ………」
ゾンビの身体になった優莉に噛まれれば、
感染するー

茂伸は恐怖して、その場に尻餅をついたー

毅と雄太は、もう何も言わなかったー

「いこう」
順平は、ゾンビ(優莉)に声を掛けると、
「うあ~~」と叫ぶ、優莉(ゾンビ)の手を引っ張りー

図書館から外に出たー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--これか、、、ら、、 どぅ、、、する…の?」
ゾンビ(優莉)が不安そうにー

いやー
表情も分からないー

とにかく、そう呟いたー

「----わからない」
順平は銃を握りながら呟くー

安全な場所なんてどこにもないー
しかも、優莉(ゾンビ)を連れた状況で、行動しなければならないー

もしかしたらー
1時間後には、自分たちも屍になっているかもしれない極限状態ー

けれどー

「--俺は絶対に、優莉を守って見せるからー」
順平は、ゾンビ(優莉)に向かってそう言い放つとー

ゾンビ(優莉)に顔を近づけてーーー
キス、、、をする仕草だけしたー

”感染”してしまったら、優莉を守れないー
だから、今はキスはできないー

優莉(ゾンビ)の方も見つめながら、
順平は「絶対に、元に戻して見せるから」と、
優しくほほ笑んだー

絶対に彼女を元に戻してー
彼女と共に生き延びて見せるー

もしもー

もしもーー
1時間後に屍になっているとしてもーー

その時はー
最後の1秒まで、優莉を守るために、戦うー。

そう決意して、順平は、ゾンビ(優莉)と
優莉(ゾンビ)と共に、地獄のような街を歩き始めたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

ゾンビと人間の入れ替わりでした~!★
こんな世界にはなって欲しくないですネ~笑

お読み下さりありがとうございました~~~!!

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無名@憑依空間 2024/01/28 11:26

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無名@憑依空間 2024/01/27 16:13

★無料★<入れ替わり>ゾンビチェンジ①~わたしがゾンビに!?~

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「--こっちだ!」

若い男が、銃を放つー。
撃った相手は、人間ーーー

ではないー。

人間の形をした歩く屍ー。
元々は生きていた人間”だった”
別の存在ー。

”ゾンビ”

歩く屍となったそれが、最初に確認されたのはー
2032年のことだったー。

世界的権威であった
科学者、Drウィリアムソンが、開発した新薬ー

それにより、ゾンビが生まれてしまったのだー。

各分野で多大な功績を上げていた
Drウィリアムソンは、”人間の寿命”をも克服しようとしていたー

”体内の細胞を若い状態に作り替える”
そんな技術を作り上げたのだー

Drウィリアムソンは、熱心に説明を繰り返した。

その説明はー
”理”に適っていたー

そして、2032年ー
Drウィリアムソンによって、とある研究施設で、
人間に対する”新薬”の投与が行われたー

”GOD”

人間が”死”という概念を超越し、
”神”の領域に突入するーーー

そんな思いを込めて名付けられたー

GODを投与された人間たちの
健康状態はみるみると、良くなっていき、
GODは、あらゆる病気をも治したー

まさに”奇跡の薬ー”

だがーー

Drウィリアムソンの狙いは別にあったー。

GODを投与した人間はみるみるうちに”健康”になっていきー
やがて”健康”を通り越えてー
”不死の肉体”へと変化していくー。

食欲が爆発的に増しー
健康を通り越えた人々はーー
”ゾンビ”となったー。

最初からー
Drウィリアムソンは、
それを狙っていたのだー

20年かけてー
様々な分野で天才的頭脳を駆使して
人々の信頼を得、世界的権威となりー

自分が”信頼”される存在になったタイミングで、
”ウイルス”を開発するー。

そして完成したのが
人々をゾンビへと変貌させるウイルス”GOD”だー。

GODを”人々の寿命を延ばす薬”と偽り、投与ー、
”ゾンビ”を生み出したー

各地に解き放たれていたGODの被験者たちは、
たちまちゾンビになり、周囲の人間に噛みつきー
周囲の人間をも、ゾンビにしたー

あれから数年の現在ー

2035年ではー
世界中にゾンビが溢れていたー。

「ーーー順平!」

若い女が叫ぶー。
ゾンビに銃を放った男・順平の彼女、優莉(ゆうり)だー。

順平と優莉は、年齢的には”大学生”なのだが、
大学には通えていないー。

ゾンビから、日々生きるだけで精一杯なのだー。

「----くそっ!まさか囲まれるなんて!」
順平と優莉は、近くのとある施設を生活拠点にして暮らしているー

順平の両親は、ゾンビとの戦いに巻き込まれてから消息不明ー
優莉の両親は、優莉を逃がすために犠牲になったー

それからは、二人で生きて来たー。

今日は、食料の確保に向かった帰りにゾンビの襲撃を受けて、
順平が持っていた銃でゾンビに応戦している最中だー。

「--はぁはぁ…」
ゾンビを始末すると、順平は物影に隠れた状態で、
優莉に「大丈夫か?」と声を掛けたー。

「うんー」
優莉は頷くー。

生活拠点にしている施設まではあと5分ほどー。
そに入れば、頑丈な扉があるために、ひとまずゾンビからは
逃れることが出来るー。

「---でもまさか、俺が本当に銃をこうして握ってー
 撃つことになるなんてなぁ…
 
 数年前まで、FPSゲームで銃をぶっ放しているだけだったのにー」

自虐的な笑みを浮かべる順平ー。

優莉は「いつまで続くのかなー…」と、
ゾンビまみれになった世界に不安の表情を浮かべるー。

「--……」
順平は答えないー。

この事態を解決できるとすれば、
人間がゾンビ化するウイルス”GOD”を作り上げた
Drウィリアムソンしかいないー

Drウィリアムソンが解毒剤を作れば、
ゾンビになった人間を元に戻すことが出来るかもしれないー

だが、残念ながらそれは実現しないー。

何故ならー
Drウィリアムソンは既に死んでいるからだー。

”地球を守るために、何をすべきか、
 私はその答えにたどり着きましたー”

GODにより、人間をゾンビ化させ、ゾンビ化が
伝染していくのを確認した
Drウィリアムソンは潜伏拠点から、全世界に向けて動画を配信した

”それは、人類を滅亡させることですー”

順平も、その時の動画を見ていたー。
2年前、だっただろうかー。
当時のことは、今でも忘れないー

”私は”GOD”によって人類を一人残らず抹殺しますー
 ゾンビになった人間は繁殖能力を持ちません。
 いずれ、全員が死に絶え、人間は滅亡しますー

 地球にとって、人間は毒です。
 故に、滅ぼさなくてはならないー

 そして、それはー”

順平は、あの動画を見た日のことを忘れないー
決して、忘れられない”トラウマー”

”私とて、例外ではありませんー
 私も、地球にとって毒となる存在のひとり。

 よってー
 ここで、私は私を処分しますー”

Drウィリアムソンはにこっと笑うと、
全世界への生配信の最中にー
持っていた銃を自らの頭に突き付けて
自分の脳みそをぶちまける要素を
全世界に流したのだー

Drウィリアムソンは、もういないー。

「---きっと、いつか、また平和に暮らせる世の中が来るさ」
順平はそう言いながら、優莉の方を見るー

ゾンビ騒動に”終わり”はあるのだろうかー。
そんな風に思いながらー

「---!」
その時だったー
肥満体のゾンビが、優莉に襲い掛かるー

「きゃああああ!」
掴みかかられた優莉が悲鳴を上げるー

”噛まれたら”
感染ー。

「-優莉!」
順平が慌てて叫ぶー

銃をすぐに撃とうとするが、
優莉とゾンビが取っ組み合いになっていて、
優莉にもあたる危険性があるー。

順平は決して”プロ”なんかじゃないー
生きるために、銃を握っただけの、ごく普通の若者だー。

「く…くそっ!」
順平は”優莉!”と叫びながらー
ゾンビに近づきー
ゾンビを物凄い勢いで蹴り飛ばしたー

しかしー

「あっ!?」
吹き飛ばされたゾンビに引っ張られた優莉はー
そのままゾンビと一緒に階段から転落してしまったー

「--ゆ、優莉!」
”優莉を助けたい”
その一心で、咄嗟にゾンビに対して強烈な蹴りを
お見舞いしたのだが、
その結果ーゾンビと共に、優莉が階段から
転落してしまったのだー。

優莉の元に慌てて駆け寄った順平は
優莉の名前も何度も何度も呼ぶー

「----うぁ…」
優莉が目を覚ますー。

「ゆ、、優莉!よかった!怪我はないか?」
順平が慌ててそう言うとー
優莉は突然「うあぁ~~~」と言いながら
順平の腕にかみついたー

「--!?!?!?!?」
順平は咄嗟に優莉を振りほどくー

肥満体のゾンビに噛まれて、優莉がゾンビ化してしまったのではないかと
思ったからだー

そして、もしそうならば、
優莉に噛まれた自分もー

そう思い、すぐに自分の腕と優莉を確認するー。

しかしー
優莉は”ゾンビ”にはなっていないし、
自分の腕の傷も、ゾンビに噛まれた時のようなものではなく
歯形がついている程度だったー

「ゆ、優莉!?」
戸惑う順平ー

優莉が再び無表情で、涎を垂らしながら
順平の方に向かってくるー

だがー
優莉の外見には”変化”がないー
ゾンビ化すると、すぐに皮膚に変化が合われるのだがー
まるでゾンビのような仕草で近づいてくる優莉は
紛れもなく”人間”だったー

「--ちょ、優莉!何してるんだ!」
順平がそう叫んだ直後ー

優莉の背後で、肥満体のゾンビが起き上がったー

「こいつ、まだー!」
持っていた銃を放とうとするー

しかしー

「--な、、、い、、、で」
肥満体のゾンビが、何やら奇声を発したー

ゾンビの通常のうめき声とは違うー

順平は戸惑いながらも銃を撃とうとするー

それを見た肥満体のゾンビは
「うだないでえええええええええええええええ」
と、大声で叫んだー

「---!?!?!?」

”撃たないで”
そう聞こえたー。

順平は慌てて銃を下ろすー。

優莉が、再び腕に噛みついてくるー

「おい!やめろって!」
順平が優莉にそう言い放ちながら、
肥満体のゾンビの方を見つめるー

何故か噛みついてくる優莉を必死に振り払おうとしているとー
肥満体のゾンビが突然ふらふらと近づいてきてー
優莉を突き飛ばしたー

「おい!やめろ!」
”優莉がこいつに襲われる”
そう思った順平は再び肥満体のゾンビに向かって銃を構えたー。

「--う、、た、、ないで、」
肥満体のゾンビが順平の方を見つめるー

順平に襲い掛かって来る様子もなければー
たった今、自分で突き飛ばした優莉の方に襲い掛かる様子もないー

「---お、、お前…人間の言葉が分かるのか?」
順平が警戒しながら肥満体のゾンビの方に銃を向けると、
肥満体のゾンビは口を開いたー

「--わ、、、わ、、、た、、、し」
とー。

順平は表情を歪めたー。

肥満体のゾンビの姿を今一度よく確認するー。

”ゾンビ化した知り合い”である可能性もあるからだ。

しかしー
その姿をどんなに見ても、思い当たる人物はいないー。

肥満体のゾンビに突き飛ばされた優莉は
「うあ~~~」と叫びながらうずくまったままー。

「---知り合い…?悪いけど思い出せないー
 喋れるなら教えてくれー。
 名前は?」

順平が周囲を警戒しながら、肥満体のゾンビに銃を向けたまま言うー。

すると、肥満体のゾンビは信じられない言葉を口にしたー。

「--ゆ、、うり、、、わたし、、、ゆうりぃ!」
とー。

「---なに!?」
順平は、起き上がった優莉の方を見つめながら、
肥満体のゾンビを見るー

「--わ、、わ、、たしが、、、ゾンビの、、、身体に…」
苦しそうに、口を動かす肥満体のゾンビー。

起き上がった優莉は、再び順平に噛みついてくるー。
胸が順平の腕に押し付けられるのもお構いなしに、
噛みついてくるー。

「---(なんだって…?)」
順平は、自分の腕に噛みついてくる優莉と、
目の前にいる”わたしは優莉”だと主張する肥満体のゾンビを
交互に見つめたー

「--まさか…中身が入れ替わっている…とでも言いたいのか?」
順平は、そう言い放ったー。

先程から、まともな言葉を話さず、順平に噛みついてくるだけの優莉ー。
そして、様子がおかしく、自分が優莉だと主張する肥満体のゾンビー。

順平は、”ゾンビと優莉が入れ替わった可能性”にたどり着いたー。

既に、Drウィリアムソンの手により、ゾンビが溢れる世界ー
何が起きても、順平はもう、驚かなかったー。

「----本当に、優莉なのか?」
噛みついてくる優莉を押さえながら、順平は肥満体のゾンビに対して言い放つー

肥満体のゾンビは頷くー。

「---わかった。落ち着け優莉ー」
順平がそう言うと、銃を下ろすー。
ゾンビになった優莉と、優莉になったゾンビー

この状況をどうするべきかー

他のゾンビの姿が遠目に見え始めるー。
ゾンビ同士共食いをしているのは見たことがないからー
ゾンビの身体になった優莉はひとまず安心かもしれないー

だがー
逆に、中身がゾンビだとしても
優莉になったゾンビは食われてしまう可能性があるー

仮に二人が入れ替わっているのだとすればー
どちらも失うわけにはいかないー。

「--くそっ!」
優莉(ゾンビ)の手を掴み、無理やり引っ張る順平ー

「--優莉!ついてきてくれ!」
ゾンビ(優莉)に対して叫ぶ順平ー

とにかく、隠れ家にしている施設まで行かないといけないー
順平は優莉(ゾンビ)の手を引きながらー
あまり走れないゾンビ(優莉)を心配しつつ、
生活拠点にしている施設を目指したー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

まさかのゾンビとの入れ替わりデス~★笑

★無料★作品は、完結までしっかり無料なので、
安心して楽しんでくださいネ~!
(※毎回お知らせしておかないと、初めて読む皆様は不安だと思うので念のため~!)

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無名@憑依空間 2024/01/27 11:33

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無名@憑依空間 2024/01/26 15:44

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