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ポケモンの記事 (3)

ポケトレスラー ユウリVSサイトウ 二人の戦乙女 《約16000文字》

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初めて支援者さん向けの投稿をしてみようと思います。

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ポケトレスラー カルムVSアカネ 

1本先取 ノーマルマッチ

カルムVSアカネ

設置されたリング中央で少年と少女が対峙していた。

少年の名前はカルム。艶やかな黒髪、まだどこかに幼さを感じさせながらも精悍な顔立ちをしている。

カルムはポケトレスラーの頂点、チャンピオンを目指して日々挑戦を続ける若きポケトレスラーだ。

華奢な体つきだが、胸板はたくましく盛り上がり、腹筋のシックスパックは鍛えてほんのり割れている。

青のブーツ、青のブーメランパンツに身を包み、若々しく爽やかな印象だ。

対して少女の名前は、アカネ。

ピンク色の明るい髪、クリクリとした愛らしい瞳、まるでアイドルのようなキュートな容姿だが、ジムをリーダーを担う戦乙女だ。

赤のリングブーツ、赤のラインが入った白の水着に身を包んでいる。

アカネは、小柄で、ムチムチとした豊満な体つきをしている。

まるでメロンのように豊かな胸が水着からこぼれんばかりに膨らみ、ハイレグ気味に食い込んだ水着からプリンとした桃尻と太ももがあらわになっている。

彼女が動くたびに、たわわに実った果実がふるんふるんと揺れて、男性レスラーは釘付けになり、生唾を飲み込む。

特に男性レスラーは注意せねばならない。戦う前から彼女のメロメロボディに悩殺され、醜態をさらし、試合を始められないものすらいるからだ。

また、愛らしい見た目に騙され、手加減などしてはいけない。彼女は可愛らしい容姿に油断して舐めてかかってきた挑戦者をことごとく粉砕してきた実力者だからだ。

舐めてかかると痛い目を見る。数々のレスラーにトラウマを植えつけてきた。

そしてついた彼女の異名は「トラウマミルク戦車」だ。

「うわー」

カルムは心の中でつぶやき、内心は穏やかでなかった。

目の前には水着からはちきればかりの柔らそうな双丘と切れ込みの角度がきわどいレオタードから覗くふともも、前からすら豊かなお尻の形がわかってしまうような気がしてカルムは目のやり場に困ってしまう。

「?」

アカネはなんだかそわそわしているカルムの様子を見て、小首を傾げる。

「カルムくん。大丈夫?具合でもわるいん?」

アカネは気さくにコガネ弁でカルムに話しかけてくる。

当人のアカネは、女を武器に勝とうとするような悪女系ではなく、健康的で天然な純情娘。

男を悩殺し惑わせるような扇情的なコスチュームもデザインが可愛くて着たいから選んだ。

動きやすいから選んだという感じで、相手がどんな目で自分を見ているか無自覚なのでたちが悪い。

「いえ、大丈夫です」

カルムはぎこちない笑顔を作ると答えた。

「そーかぁ、なら、よかったわー」

アカネはそう言うと目を細め、天真爛漫に笑った。

「なら、全力出さなきゃだめやで!ウチが女だからって手加減したら、ウチカルムくんのこと許さへんからね!」

アカネは頬を膨らませ、腰に手を当てるとカルムに念をおした。

またアカネの豊かな胸がたうんと揺れたのをカルムは見てしまい動揺してしまう。

「は、はい。」

カルムは少ししどろもどろになりながら答えた。

そして、いよいよ試合開始のゴングが鳴らされる。

両者かまえると相手のことをじっと見つめる。

カーン!開始のゴングが鳴らされる。


ゴングの音を聞いた瞬間、カルムのポケトレスラーとしてのスイッチが入る。

精神に動揺はなく、構えてアカネの動きながら、戦略を練る。

力なら、こちらが有利のはず、力比べを挑んでペースを掴めれば・・・

カルムがそんな算段をつけていた矢先だった。

カルムの目に跳躍するアカネの姿が映ったかと思うと次の瞬間、カルムの顔をむっちりとした幸せな感覚が包み込む。

なっ!しまった!!

カルムは心の中で叫んだ。

カルムは予想外の大技に動揺を隠せない。

アカネのふとももで締められ、カルムはうむむーと声にならない叫びをあげる。

アカネは飛び乗ったカルムの顔面の上で叫ぶ。

「食らえ!フ・ラ・ン・ケン!シュタイナー!!」

カルムの体はぐるんと反転し、リングに頭から力一杯叩きつけられた!

「ぎゃああ!?」

カルムは悲痛な悲鳴をあげる。

頭を揺らされて朦朧とする。でんぐり返しをしたような無様な格好からすぐに立ち上がることができない。

「ほら!まだやで!」

すぐに立ち上がれないカルムをアカネが連続で踏みつける。ストンピングの雨あられ!

「男の子なら!このくらい!耐えなきゃね!」

ガスッ!ガスッ!ガスッ!

アカネのブーツがカルムの体を蹂躙する。

「ぐあっ!ぎゃっ!くはっ!」

踏みつけられるたびカルムが短く悲鳴をあげる。アカネの踏みつけがじわじわとカルムの体力を奪っていく。

「ほら!立つんやで!」

「はぁ・・はぁ・・はぁ・・ごほっ」

アカネはカルムの腕を掴んで無理やり立ち上がらせる。

ううっ、頭がくらくらする。

カルムはダメージでまだ朦朧とする額を押さえる。視界には白いチカチカした光が舞っている。

カルムはフランケンシュタイナーのダメージがまだ残っていて、すぐに反撃できそうにない。

ふらつく脚でなんとか立っているのが精一杯という状況だ。

「ほら!行け!」

そんなカルムをアカネはコーナーめがけて力一杯振る。

「ぐっ!」

カルムは抵抗できず、コーナーに背後から叩きつけられる!

しかし、アカネの攻撃はこれだけで終わらない。

「いっくよ!!!」

カルムの叩きつけられたコーナーめがけて、突進!そして跳躍!カルムの顔面を黒い影が覆う!

「ぐあっ!」

あまりの衝撃でカルムは目に涙を浮かべ、意識がプツンと飛びそうになる。

アカネの必殺技、フライングピーチがカルムの顔面に炸裂!

アカネのボリューム満点のヒップとコーナーに顔面をサンドイッチされたカルムはたまったものではない。

逃げ場のない衝撃が脳を揺らす!

アカネがお尻をどかすと、支えを失ったカルムはぐたりとその場き尻餅をつき、舌を出した無様なアヘ顔をさらしてしまう。

「はぁ・・・はぁ・・・」

カルムは虚ろな目で、浅い息をする。

やばい。手も足も出ない。早く逃げないと次の攻撃はがくる。

自由の利かない体に鞭打って動こうとするが思うようにいかない。

「カルムくん、つらいやら?終わりしてあげるな」

アカネはカルムに優しくそう言うと足をつかみリング中央に引きずっていく。

カルムをリング中央に寝かせるとアカネはカルムの背後に回り抱きついた。

そしてカルムの腰に自分の脚を絡めて引きしぼる。

「ぐあっ!」

カルムは体をビクつかせる。

「それじゃ!いくで!」

アカネはカルムの耳元で囁くと体を反転させてぐりんと回転した。

腰をアカネの脚で掴まれているカルムもアカネの回転に合わせて強○的に回転させられてしまう。

アカネは止まることなく、円を描いてリング上をどんどん転がっていく。

カルムはアカネにされるがままリングの上を転がされ、三半規管を破壊されるダイヤル固めの餌食となる。

リングを3周ほど回転した後、アカネはカルムの腰をとらえたまま、体を半回転させ、フォールに入る。

カルムはまたしても、尻を突き出した屈辱的なでんぐり返しのポーズを強いられる。

「1・・・」

カルムの回転でグワングワンになった頭の中でアカネのカウントする声が聞こえる。

「2・・・」

僕は負けるのか?

されるがままやられて、このまま終わっていいのか?

カルムは体に力をみなぎらせた!

「うおおおおおおおお!」

カルムはスリーカウント入る直前で、体を跳ねあげ、アカネの拘束を引き剥がす。

勝負が決まると確信していたアカネは、カルムの土壇場の粘りに驚きを隠せない様子だ。


「よく返せたな?カルムくん。ウチ、そういうガッツのある男の子好きやで」

余裕の表情を浮かべるアカネ。対してカルムはなんとかスリーカウントを免れたものの蓄積したダメージが辛い。

アカネが完全に優勢なこの流れをどう変えるか。

カルムは一か八か勝負に出た。

防御を捨ててのインファイト!

アカネの懐に飛び込み、渾身の拳をアカネのボディに叩き込んでいく!

ドズン!

カルムのぎゅっと握った拳がアカネの無防備な鳩尾にめり込む。

アカネの柔肉にカルムの無骨な拳が沈み込み、蹂躙する。

「きゃあ!」

アカネはあまりの痛みにおもわず、女の子の声をあげてしまった。

カルムが捨て身の攻撃を仕掛けてきたことはアカネの誤算だった。

カルムは体力を回復させるために距離を取るだろうと予想していたアカネはカルムの攻撃に対する反応が一歩遅れてしまう。

「けほっ・・・けほっ・・」

鳩尾を殴られて、アカネは目に涙を浮かべてむせこむ。効果は抜群だったようだ。

カルムはアカネがひるんだ隙を見逃さず、次々に拳を固め叩き込んでいく。

アカネは必死に両腕でガードを固めるものの、その細い腕の隙間をぬって、カルムはアカネの脇腹あたりを責め立てていく。

「シュッ!シュッ!シュッ!」

カルムはジャブやフックを繰り出す。

ドスッ、ドスッ、ドス!

カルムの拳がアカネの脇腹を殴り、柔らかボディを変形させる。

「きゃう!あぅぅ!いや!」

柔肉を拳で殴られるたび、アカネは可愛らしい悲鳴をあげてしまう。

アカネは顔や鳩尾を殴られることを恐れて体を丸めて守りの体勢に入る。

反撃してこないアカネにカルムは勢い付いて拳だけでなく、蹴りも叩き込んでいく。

「オラオラオラアアア!」

カルムのローキックやミドルキックがアカネの肉を打ち据える。

ビシッ!バシッ!

キックがヒットするたびに、肉がふるんと揺れ、アカネは痛みに身をビクつかせる。

「きゃう!あうう!はうう」

試合開始とは対照的に今度はアカネがカルムに手も足も出ずサンドバッグのように叩きのめされる。

アカネはコーナーに追い詰められてしまう。

「捕まえた」

カルムはコーナーにアカネを追いつめると左手でアカネの首に喉輪をかける。

「きゃう!」

アカネは自分の喉を締めるカルムの左腕から逃れようと身をよじる。

「やあ!離して!」

アカネの抵抗も虚しくカルムの腕を引き剥がすことができない。

「きゃああああ!」

カルムが左手にさらに力を込めたのでアカネは悲鳴をあげ、喉輪を外そうと両手でカルムの左腕を搔きむしるがビクともしない。

カルムはアカネがガードを崩すこの瞬間を待っていた。

「いくぞ!!!!!」

たっぷりと右膝を引き絞り、がら空きになったアカネのどでっぱらめがけて渾身の一撃を叩き込んだ。

次の瞬間、アカネの下腹部に吸い込まれるようにカルムの右膝がじゅぷりとしずみこむ。

「いやああああああああ!」

アカネは膝で腹を貫かれ絶叫。

容赦ない一撃が内臓をかき混ぜる。

アカネは激痛が駆け巡り、息が止まりそうになる。

目を白黒させ、舌をだらしなく突き出した。

アカネはカルムが喉輪を外した瞬間、その場に尻餅をついてダウンした。

「あう・・・い、痛い・・・」

あまりの痛みに、貫かれた腹をさすり、アカネはリングをのたうちまわる。

「痛いよう・・・」

アカネは目に涙をため、お尻を突き出した無様な格好で攻撃された腹を庇っていた。

「ほら立って!もっと痛いのいくよ!」

無情にもカルムが追い討ちをかける。

「いや!いや!」

カルムは嫌々と首を振り抵抗するアカネを立ち上がらせて、後ろから腰をクラッチする。

そして、アカネの体を高々と持ち上げる。

ふわりとリングから持ち上げられるアカネの体。

「いくよ!!!」

カルムは掛け声とともに前にアカネの体を落下させる。

そして、落下地点にはカルムの膝が待ち構えている。恐怖のアトミックドロップ!

ドチュン!

「きゃあああああああ!」

カルムの膝爆弾がアカネのヒップを直撃!

衝撃で豊かな尻たぶと胸がブルンブルンと暴れまわる。

突き上げるような甘く危険な痺れがアカネの体を駆け巡り、抵抗する力を奪っていく。

「あえ・・・あへ・・・」

アカネは舌を突き出してアヘ顔を晒してしまう。

「まだまだ!」

「きゃあ!」

カルムの掛け声とともに再度体を担ぎ上げられアカネは我に返った。

弛緩した体は易々とカルムに担ぎ上げられてしまう。

「いやああああ!」

一撃で終わらない餅つき式アトミックドロップ地獄!

ドチュ!

カルムの膝が再度アカネのおしりを蹂躙する。

「あひいいいい!」

尻を打ち据えられた瞬間、アカネはぷるぷると太ももの肉を小刻みに震わせた。脚の力が抜けて、踏ん張りがきかずまるで生まれたての子鹿状態だ。

カルムが開放してやると、アカネはたまらずダウン。責め立てられたお尻をさすり、目には涙をため歯を食いしばって痛みに耐えている。

アカネが瀕死寸前であることは明らかだ。カルムはアカネを仕留めにかかる。

「ほら!立て!さっさとギブアップしろ!」

カルムはリングにへたり込んでいるアカネを無理やり立ち上がらせると後ろから首に腕を回して締め上げた。

「きゃあ!」

アカネは悲痛な声を上げた。

脚の踏ん張りがきかず、カルムが締め上げなくてもどんどんアカネの体は下がり、喉が締まっていく。

「はやく!ギブアップしろ!」

カルムが乱暴な口調でアカネにギブアップを迫る。

「ノ、ノー」

ジムリーダーとしての意地かギブアップを拒否するアカネ。

はぁ、はぁとあらい息を吐き、限界なのは明らかだが、負けを認めようとしない。

「はやくギブしろ!さもないと締め落とすぞ!」

カルムがギブアップをさせようとさらに語気を強めて迫る。

「い、いやや!」

アカネは駄々をこねるように体をばたつかせる。

「ギ、ギブなんて、しない!」

なおも強情に負けを認めないアカネ。

「もうどうなっても知らないからな!」

業を煮やしたカルムは全力でアカネの首を締め上げた。

「きゃああああああああああ!」

アカネは尾を引いたような悲鳴をあげ、ポロポロと涙をこぼした。

そして、次の瞬間、アカネの腕も脚もだらりと力が抜けていった。

アカネの柔らかい背中がカルムの胸板に寄りかかってくる。カルムはアカネが失神したのを確認。

カルムは優しくアカネの体を抱きとめるとリングに横たえさせた。

決着のゴングがリングに鳴り響いた。

カルムはリングに跪くと気を失ったアカネの頬をペチペチと叩き、名前を呼びかける。

しばらくするとアカネはぱちりと目を覚ました。

「よかった!目を覚ました」

カルムが安堵の声を漏らした瞬間、アカネは大声をあげ、目から大粒の涙を流し出した。

カルムは突然の出来事に呆気にとられる。

アカネはわんわん泣きながら、カルムの胸板をまるで子どものようにポカポカ叩き始めた。

「ウチ、カルムくん、嫌いや!!ギブアップしろ!とか怖い言い方して!悔しいし!怖いし!負け認めたくなくなるやん!なんでそれがわからへんの!」

カルムは自分の胸の中で子どものようにぐずっているアカネの頭を落ち着くまで、よしよしと優しくなぜてやった。

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ポケトレスラー カルムVSエリカ ザ・ファーストコンタクト

「どうぞ、こちらへ」

「お邪魔しまーす」

ジムに挑戦しに来たカルムは、案内係の女性に導かれ、入り口の門をくぐり中に入った。

ジムの中は、木造の落ち着いた雰囲気で、ヒノキの香りがほのかに香る。

なんだかしんと心が自然と静かになる。まるで寺社仏閣のような厳かな印象をカルムは抱いた。

カルムは案内役の女性に連れられて長い回廊を進む。

カルムが脇を見ると中庭が見えた。中庭は枯山水になっていて、白い砂利に流水のような模様が浮かび上がっている。

まるで古都の一角が切り取られて来たようだとカルムは思った。

「エリカお嬢様、挑戦者の方がお越しになりました」

カルムは弓道場に通された。

そこには、同着姿の黒髪の女性がまさに矢を射ようとしているところだった。

弓の弦を引き絞るその姿は凛として美しく、カルムは大和なでしことはまさにこの女の人のためにあるような言葉だなと思わず思った。

同着姿の女性は、声をかけられても動じる様子もなく、弓を弾く指をパッと放した。

矢は、ひゅっと風を切り、離れた的のど真ん中に寸分の狂いもなく命中した。

その鮮やかさにカルムは思わず、手を叩き称賛したくなってしまうくらいだった。

黒髪の女性はふぅと一呼吸入れると、弓を下ろした。そして、にっこりとほほ笑みをたたえ、カルムの方につかつかと歩いてきた。

カルムは女性の身のこなしがすべて洗練されているように感じ、見惚れてしまった。

「初めまして、わたくし、このジムのリーダーを務めさせていただいている。エリカと申します。どうぞよろしく、お願いします」

エリカはほほ笑むと優雅に一礼した。

カルムは、思わず委縮してしまう。

「こ、こちらこそ、よろしくお願いします。カルムです」

ガチガチになっているカルムの様子を見て、エリカは思わず、かわいいと小さく呟き、クスリと笑ったようだった。
カルムは思わず頬が熱くなるのを感じる。

「ジムへの挑戦ですね。わかりました。支度をしますから、先にリングでお待ちください」

カルムは案内の女性に更衣室へ案内される。

《時間無制限 5ラウンド 3本先取制 ノーマルマッチ》


あたりに観客はなく、水を打ったように辺りは静かだ。

まるで剣道の道場という雰囲気のフロアの中央に設営されたリングでカルムはウォーミングアップのために体を軽く動かしていた。

カルムのリングシューズの擦れるキュッキュッという音だけが辺りに響く。

カルムは青のブーメランパンツに腕にサポーターというシンプルないでたちだ。

エリカはどんなリングコスチュームで戦うんだろうかとカルムはぼんやりと考えた。

いままで対戦してきた女ジムリーダーは目のやり場に困るような挑発的なリングコスチュームを着ていることが多かった。

胸の谷間が強調されていたり、お尻のラインが露わになっていたり。

カルムは、試合開始前に相手と対峙するたびにドギマギしてしまう。まぁ、勝負が始まってしまえば、相手がどんな格
好をしていようが関係なく、真剣に闘うのみなのだが。

弓道場でのエリカの凛とした姿や清楚なイメージからすると控えめな白のワンピースとか、お嬢様だから、上品な和服をイメージしたもののような気がする。

「すみません。お待たせしました」

カルムが、考え事をしていると背後からエリカの声がした。

「いえ、大丈夫です」

そう言ってカルムが振り返り、エリカの姿を見た。

カルムは思わず、顔を真っ赤にして、気恥ずかしさに口をパクパク動かしてしまう。

「どうされたんですか?」

エリカはそんなカルムの様子に怪訝そうに小首をかしげ、颯爽とロープを跨ぐとリングインする。

「い、いや。なんでもありません」

なんでも大ありだった。カルムは頭の中でプチパニックを起こす。

エリカはカルムの予想していた通り確かに和服をイメージしたリングコスチュームだった。

見るからにきめの細かい織物が生地に使われ、着物を意識した長い袖のサポーターをしていた。

しかし、今まで抱いていたエリカの上品で清楚なイメージと身を包んでいるリングコスチュームには大きなギャップがあった。

その胸元は大胆にはだけ、美しい肩のラインと豊かに実った双丘を惜しげもなく晒している。いかにも男を挑発するような、扇情的で背徳的な感じだ。

カルムの頭の中で、時代映画に出てくる純真無垢なお嬢様が悪漢に押し倒されて、着ている服を乱暴に脱がされているシーンがぐるぐる回る。

エリカのリングコスチュームはそんなイメージだった。

さらにえんじ色の大きなリボンのあしらわれた袴をイメージしたスカートには切れ込みが入り、黒のニーソックスに包まれたむっちりとした太ももが露わになっている。

カルムは目の前に立ったエリカを直視できず、目が泳いでしまう。

「どうしたんですか?試合の前から、そんなに固くなっちゃだめですよ」

エリカはカルムの様子を見て、くすくす上品に笑うとつかつか歩いてきた。

「ほら、リラックス。リラックス」

「ふわわぁっ」

エリカはカルムの背後に周ると、カルムの肩を優しく揉み解した。

カルムは突然のことに思わず体をびくつかせてしまう。

エリカの姿は発表会で緊張のあまり固くなっている教え子をいたわる先生のようだった。

しかし、カルムは耳元にあたるエリカの吐息と花のような「あまいかおり」にますますクラクラしてしまう。

「いい体してますね。でもわたし負けませんよ」

エリカはそう言ってカルムの前に戻ってきた。

エリカは上目づかいで悩まし気に自分の胸に手を置く。豊かな胸がふるんと揺れる。

「さぁ、いい試合にしましょう」

エリカは合気道のように手を開いて、優雅に構えを取った。

カルムもクラクラした頭のまま、慌ててファイティングポーズを取る。


カーンというゴングが静かなリングに響く。

一戦目のバトルの幕が切って落とされた。

相手がどうでるか、お互い距離を取り、最初は出方をうかがう。

観客のいない静かなフロアの中に、二人のリングシューズの擦れる音だけが響く。

しかし、沈黙を破りカルムがエリカにしかける。

「たあっ!」

カルムはエリカを捕らえようと手を伸ばした。

「参ります!」

エリカはカルムを迎え撃つ。

腰を落としたエリカは向かって来たカルムの右腕を取り、カルムの力を利用して、体勢を崩した。

「なっ」

体勢を崩して慌てるカルムをエリカの掌底が襲う。

「せいっ」

エリカの掌底がカルムの顎にヒットする。

「ぐあっ!」

カルムは掌底でかちあげられて、意識が朦朧としてしまう。

さらに、のけぞって無防備になったカルムの、どでっぱらにエリカの容赦のない膝の一撃がめり込む。

「かはっ!」

エリカの膝でカルムの体はくの字に曲がり、口からは唾液が飛び散る。

カルムはあまりの痛みに目を白黒させてしまう。

く、くるしい。

カルムは激痛に思わずその場にへたり込んでしまいたくなる。

でも、ダメだ!このままじゃやられる!

カルムは、決死の思いで歯を食いしばると、バックステップで、なんとかエリカから間合いをとった。

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

カルムは口元を手で拭うと、なんとか乱れた呼吸を整えようとする。

「ふふっ、いい判断でした」

自分から間合いをとったカルムの姿を見てエリカは余裕の表情を浮かべて笑った。

エリカは息一つ上がっていない。早くも青息吐息のカルムとは対照的だった。

そんな状況がカルムを焦らせる。

うぅ、思った以上にダメージが大きい。なんとか流れを変えないと。

「うおおおおおおお!」

焦りから、カルムはぎゅっと拳を握るとエリカに向かって行く。

「あらあら、まるでイノシシですね」

エリカはカルムの必死な姿を見て、くすりと笑うと余裕の表情を崩さない。

カルムはエリカめがけて、ジャブやフックのコンビネーションを放つ。

しかし、それをすべてエリカのまるで舞のような動きでいなされ、手刀で拳をさばかれてしまう。

「ふぅ……ふぅ……ふぅ……なんで当たらないんだ」

攻撃があたらず、焦り、カルムはどんどん興奮して、息を荒らげてしまう。

対してエリカは涼しい顔をしている。

「ふふ、がんばってください」

エリカはカルムから少し間合いをとると、上目遣いと余裕のセリフでカルムを「挑発する」。

「くそぅ、なめるなぁ!」

頭に血が上ったカルムは、腰を落とすとなりふり構わずエリカに突進した。

エリカのきゃっという小さな悲鳴が上がり、そのままカルムがエリカをマットに押し倒す。

カルムの目の前には仰向けの状態で、はぁはぁと吐息をあげ、胸を上下させている無防備なエリカの姿があった。

「もらったぁ!」

絶対的有利。エリカを組み敷いたカルムの目には、それが逆転の千載一遇のチャンスに映った。

カルムは右の拳を振り上げると力いっぱいエリカの鳩尾めがけて振り下ろした。

エリカがその瞬間、口元を歪めて笑ったのにも気づかずに。

それは一瞬のできごとだった。

カルムは振り下ろした拳をエリカの腕で受け止められた。カルムが咄嗟に腕を引こうとした瞬間、首と肩にエリカの

むっちりとした太ももが待ち構えていたように絡みつき、三角締めが極まってしまった。

まるで甘い蜜に誘われた虫が食虫植物の罠にかかった構図だ。

ぎゅううううううううう。

エリカの太ももがカルムの首を圧迫して、呼吸を阻害していく。

「ふぐんうぅぅぅううううっ!………」

カルムは声にならないくぐもった声を上げた。

カルムはエリカの両脚で頭と右手を固定されて抵抗ができない。左手で必死に首に「まきついた」太ももを引き剥がそ
うとするが、指がエリカの柔らかい太ももに沈み込むだけで、うまく引き剥がせない。

美少女の太ももで締め上げられる羞恥心のせいか、はたまた呼吸を阻害される苦しさのせいか、カルムの顔は見る見る朱に染まっていく。

「ほらほら?さっきまでの威勢はどこにいったんですか?」

カルムが上目遣いで見ると、エリカが小ばかにしたような笑いを口に浮かべている。

「ほらほら、もっとがんばってください。じゃないと落としちゃいますよ」

エリカはそう言うとカルムの首を絞める太ももに力を込める。

ぎゅううううううううっ

「うむぅうううううっ!………」

カルムの首に激痛が走る。カルムは腕を必死にばたつかせ悶え苦しむ。

カルムの意識が段々と遠のいていく。

やばい……このままじゃ……本当に落とされる……

視界が霞みカルムがそう思った瞬間だった。

「はーい。休憩です」

エリカが三角締めを解かないまでも唐突に首を絞める力を少し緩めた。

「ぷはっ……けほっけほっ………けほっ!」

カルムは思わず咳き込み、新鮮な空気を貪った。

「カルム君……」

「!?」

むせこむカルムが顔をあげるとそこには上気したエリカの顔があった。

「参りました。僕では、敵わないので、もう許してくださいって、そう言えたら、技を解いてあげてもいいですよ」

エリカがカルムをギブアップへと誘う。

屈辱的な敗北宣言を口にすれば楽になれるという甘い誘惑。

「だれが……はぁ……そんなこと言うもんかっ!……はぁ」

カルムはエリカを睨み付けると、荒い息を吐きながら、気丈に言い放った。

「そうですか。女の子の太ももで首を絞められている情けない恰好のくせに、言うことだけは一人前ですねぇ」

エリカは、流し目でカルムを見ると小ばかにした調子で言った。

「それなら、もっと苦しみなさい」

「う……んぐっ………っ………ぷはっ……んぐっ!」

再び、エリカの太ももがカルムの首にぴったりとまとわりついて、締めつけてくる。

しかし、今度は絞め続けるのではなく、絞める力を加減して、強く締めたり、弱く締めたりして、カルムを責め立てる。

「ほらっ!ほらっ!降参しなかったことを後悔なさい!」

くそっ、ぼくは、完全にエリカに遊ばれてる。このまま、終わるもんかぁ!

カルムは全身に闘志をたぎらせた。

エリカは完全に僕を舐めて油断している。

思いあがったお嬢様ジムリーダーに思い知らせてやる。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

カルムは雄たけびを上げると全身の筋肉のバネを使って躍動した。

「きゃっ!」

突然、エリカは高々と担ぎ上げられて驚きのあまり短い悲鳴を上げる。

「バカな。この子のどこにこんな力が!?」

カルムは体が壊れるのも、三角締めがさらに締まることも覚悟の上で、立ち上がった。
「いやっ」

エリカの顔に初めて焦りの色が浮かぶ。

しかし、カルムはエリカを逃がさない。持ち上げたエリカを背中から思い切りリングに叩き付けた。

ズダァン!!!

凄まじい衝撃がリングに響く。

「かはぁっ!」

エリカは背中からリングに叩き付けられたインパクトの瞬間、目の白黒させ、唾液を飛び散らせた。

エリカは脱力し、カルムの首を締め上げていた太ももも緩んで隙間ができる。

カルムはその隙をついて、抜け出すと、ぐったりとしているエリカに追い打ちをかける。

「エリカさん。いままでのお礼をたっぷりさせてもらうよ!」

カルムはそう言うと、仰向けでひっくり返っているエリカの体をうつ伏せにし、どっしりとその背中に腰を下ろした。

ぎしぎしぎしいぃぃぃぃ!

「きゃあああああああああああ」

エリカの尾を引くような艶めかしい悲鳴がリングに響き渡る。

エリカの背中に腰を下ろしたカルムが膝にエリカの腕をひっかけて、これでもかとエリカの上半身をのけ反らせる。

カルムのキャメルクラッチがエリカの腰を破壊せんと責め立てる。

「ほらっ!エリカさんギブアップしなよ!」

カルムは厳しい口調で、エリカにギブアップを迫る。

「いやああああああああああああ」

エリカは腕をばたつかせ、艶やかな髪を振り乱して首を振りたくるがどうすることもできない。抵抗するたびに豊かな胸が虚ろにふるふると揺れる。

「いやっ、ギブアップなんかしないっ!」

エリカは目に涙を浮かべ、ギブアップを拒否する。

「それなら!これでも食らいなよ!」

そう言うとカルムはエリカがばたつかせていた腕を掴んで、エリカの喉の前でクロスさせ、後ろに引き絞った。

「ひぐううううううううっ!!!」

エリカはくぐもった悲鳴を上げる。

クロスされた自身の腕がエリカの喉をどんどん圧迫していく。

「はひっ……あうっ……」

容赦なくエリカの体を引き絞るカルム。

エリカは苦し気な吐息を漏らし、エリカの体から抵抗する力が失われていく。

そしてエリカはほとんど白目を向いた半失神状態に陥ってしまう。

カルムは引き絞っていたエリカを解放してやる。

エリカは力なくとさりとリングに倒れ伏す。

エリカは散々痛めつけられて虚ろな目、弛緩した口からだらしなく舌を突き出し、リングに這いつくばることしかできない。

カルムはエリカを仰向けにすると覆いかぶさりフォールした。

「フォール!」

エリカはカルムを跳ね除けられそうにない。

「1………2………3!」

3カウント入り1戦目はカルムが制した。ぜぇぜぇと胸を上下させ、リングにダウンするお嬢様ジムリーダーを尻目に、カルムは静かにガッツポーズをした。

カルム 1 - 0 エリカ

両選手ともに、しばらくのインターバル自分のコーナーにもたれかかり、息を整える。

1本先取したカルムは流れを掴み余裕の表情でコーナーポストにもたれかかる。

向かい側のコーナーポストにもたれかかっているエリカが憎しみのこもった眼差しで自分を睨み付けているのに気づいた。

カルムは思わず笑ってしまいそうになる。

お嬢様ジムリーダーのヒリヒリとした焦りと屈辱感が伝わってくる。

格下相手と自分を侮っていた相手を叩きのめすのは小気味のいいものだ。

2戦目のゴングが鳴らされ、試合が始まった。

両者、ゆっくりとコーナーポストから離れ、リング中央へ。

しばらく間合いをとって互いに相手の動きをうかがっていたが、カルムが動いた。

カルムはにやりと笑うと両手を上げ手四つの構え、自分に分のある力比べにエリカを誘う。

エリカのプライドが力比べの挑戦から逃げる屈辱に耐えられないと読んだのだ。

そして、その読みは的中。エリカはカルムの手のひらに自分の手のひらを重ね、力比べに応じてきた。

エリカをパワーでねじ伏せようとカルムはほくそ笑んで、腕に力を込める。

しかし、そのカルムの考えには大きな誤算があった。

カルムが力を込めるとまるで暖簾に腕押しをするように力が流された。

相手の力を利用する合気道の技。

カルムは前のめりにつんのめる。そして、次の瞬間、カルムの体は突然ふわりと重力を失った。

カルムは後方に軽々と投げ飛ばされて、受け身も取れず背中から叩き付けられた。

カルムの目にリングの天井が映る。カルムは突然のできごとに呆然とし、何が起こったのか頭が追い付かない。

「ごほっ!ごほっ!」

ただただカルムは、背中をリングに叩き付けられた痛みで目に涙を溜めて咳き込んだ。

そんな隙だらけのカルムにエリカが手を緩めるわけはない。

流れるような動きでカルムの脚を自分の脚に絡め、四の字固めを完成させる。

「ほらっ!どうです、かっ!」

エリカが腰を浮かせるとカルムの脚が極まって、激痛が走る。

「ぐあっ!」

朦朧としていたカルムの頭が痛みで覚醒する。

「まだまだ!いきます、よっ!」

「ぐあああっ!」

エリカに脚を極められ、カルムは思わず悲痛な声を上げてしまう。

「くそうぅ、なんとかひっくり返せれば……」

四の字固めは、ひっくり返せば、逆にかけた相手の脚が極められる。カルムは上半身をひねり、なんとか体をひっくり返そうともがく。

カルムの上半身が半回転位したところでエリカは四の字固めをひっくり返されそうになるのを察知するとさっと技を解き、カルムから離れた。

「はぁ……はぁ……」

やっと四の字固めから解放されてカルムはうつぶせで、荒い息をつく。

「何休んでるんですか?」

カルムの背後にエリカの冷たい視線を感じた。

「まだまだこれからですよ!」

カルムは背中にぞくりと寒気がする。

カルムは脚をクロスさせられ、背中にエリカが正座するようにのしかかってきた。

「ぐえっ!」

カルムは背中を圧迫され、息を吐き出す。

エリカは、カルムの顎とクロスした脚を腕で捕らえると一気に後ろに寝転がった。

エリカのボー・アンド・ロー。

弓矢固めでカルムの背骨が極限までアーチ状に反らされる、呼吸を阻害されて、カルムはまるで金魚のように口をパクパクさせることしかできない!

「あっ……かはっ……あがっ……」

エリカはカルムの腰をへし折らんばかりに、膝で押し上げていく。

「ほらっ、みじめに力尽きなさいっ!」

エリカに体を小刻みに揺すぶられ痛みが増す。

カルムは、あまりの激痛で脳の神経回路が焼き切れるような思いだった。

反射的に救いを求めて、自分の腕を捕らえるエリカの腕をタップしそうになるが、なんとか気力で踏みとどまる。

「しぶといですね。こういうのを雑草根性っていうのかしら?」

やっとエリカから解放されて、カルムはよろよろと立ち上がる。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

カルムはエリカを見据え、思考を巡らした。

このままじゃまずい。完全にペースを握られてるし、さっきの技で体力を相当削られた。こっちの体力はもう赤色で瀕死寸前なのに、相手はほとんど体力満タンだ。

あと一撃でも食らったらまずい…

なんとか流れを変えて、一気にギブアップさせないと!

エリカはカルムにもうなにもできまいとたかをくくっているのか油断している。

チャンスは今しかない。

カルムは、まるで倒れるように姿勢を低くした。

エリカはカルムが力尽きて倒れたかと錯覚したかもしれない。

次の瞬間、カルムはぐっと両脚に力をこめて、まるでロケットのように助走をつけエリカに突進した。

「きゃっ!」

蜂のようにするどい肩の一撃がエリカの柔らかい腹部を刺し貫くスピアータックル

虚を突かれたエリカはそのままカルムに押し倒され、リングに大の字にダウン。

ここからが本番だ!

カルムはすぐに立ち上がると次の技に移行した。

大の字にダウンしたエリカのふくらはぎに自分のふくらはぎをひっかけて股を開かせる。そして、エリカの腕を両手で引っ張って無理やり状態を起こした。

「いやあああああああ!」

次に何をされるのか察したエリカが悲鳴を上げるが、もはやどうすることもできない。

「ラフレシア!!」

カルムはエリカの腕の関節に自分の腕の関節をひっかけるとリングに寝転がった。

「いやああああああああ!放せっ!放せっ!」

エリカの股関節がカルムの脚で極限まで開かされる。

ぎしぎしと股を開かされる度エリカの股関節に電流のような痛みが駆け巡る。

しかし、エリカを責めさいなむのは痛みだけではない。

普段清楚でおしとやかなお嬢様が、年下の少年にはしたなく股を開かされているのだ。

その羞恥心は並みのものではない。

さらにエリカはひっくり返されて、袴風のスカートに隠れていた扇情的な黒のショーツもむっちりとしたヒップラインも露わにさせられ、カルムに晒されてしまっている。

この技ははしたなく晒された自分の痴態をもっとも近くで見せつけられる形になる。エリカは恥ずかしさと痛みで顔を真っ赤にする。

もしも、周りに大勢の観客がいたならば、エリカは消えてなくなってしまいたい気持ちになっただろう。

「やめてっ!やめてってば!」

エリカが叫んだ。声は今にも泣きだしそうだ。

「だったら、早くギブするんだ!」

もし、エリカにこの技から抜けられたら勝機はない。技をかけるカルムも必死に叫んだ。

「ギブしないなら!ずっと続けるぞ!」

「わかった!わかったから!ギブするから!」

エリカはイヤイヤと顔を横に振り、必死にリングをタップした。

カルムはエリカのギブアップを確認するとようやく技を解いてやる。

エリカは散々痛めつけられ、晒された自分の股間を庇うようにおさえるとしばらくリングにうずくまっていた。

カルム 2 - 0 エリカ

リングにうずくまっていたエリカだったが、しばらくすると落ち着きを取り戻し自分のコーナーへと戻っていった。

どんなことがあっても、やるべきことを最後まで全うする姿勢はさすがは誇り高いジムリーダーといったところか。

自分の力を示したいカルムとしては、なんとか3連勝をおさめてエリカに完全勝利をしたいところ。負けるわけにはいかない。

カルムは自分の頬をパンパンと叩き、自分に気を入れた。

3戦目の始まりを告げるゴングとほぼ同時にエリカはカルムに突進する勢いで迫ってきた。

「よくも!よくも!よくもぉぉぉ!」

「ぐっ……がっ……ぎゃっあ!」

エリカの手刀と鞭のような回し蹴りのコンビネーションがカルムを襲う。

優雅さをかなぐり捨てたエリカの猛攻はカルムのガードをすり抜けて、カルムの体に次々とヒットしていく。

ううっ、やばい、攻撃のスピードも威力も段違いだ。腕を顔の前で構えるとカルムは歯を食いしばった。

「はぁっ…はぁっ…よくも…よくも私にあんな恥ずかしい恰好を!!」

エリカは大股開きを晒された恥ずかしさを思い出したのか、上気した顔で叫び、前蹴りを放った。

「うぎゃあっ!」

エリカの前蹴りがガードをすり抜けて、カルムの顎をかちあげる。

カルムは目から火花が散った。

カルムは立っていられずに、たまらず尻餅をついてしまう。

「あえ……」

舌を出した無様な表情、カルムは脳を揺らされて、視界も定まらない。

「ふぅ……ふぅ……ふぅ……」

エリカはと興奮してしばらく肩で息をしていたが、段々と落ち着き、冷静さを取り戻す。

「ふふっ、無様ですねぇ」

エリカは目の前で尻餅をついているカルムを見下ろすとぽつりとつぶやいた。

カルムが朦朧とした頭で顔を上げると、じっとりとした目でエリカが自分を見下ろしていた。その目にはちっぽけな虫けらを見るような冷たい光が宿っていた。

カルムの目に足を上げたエリカの姿が映る。

ダンッ!

「ぎゃあっ!」

カルムはエリカに胸を踏みつけられ、リングにひっくり返った。

「ううっ」

カルムは息を詰まらせる。思わず、目じりに涙が浮かぶ。

エリカはそのまま靴裏でカルムの胸板をぐりぐりと踏みにじる。

「ほらほら~、どうしたんですか?早く立ちなさいな」

「ううっ」

カルムはエリカに胸を踏みつけられて、うまく立ち上がれない。

カルムはエリカを睨み付けることしかできない。

「ふふっ、どうしたんですか?悔しかったら、立ってごらんなさい?そんなこともできないんですか?」

エリカは挑発するように、ひっくり返ったカルムに顔を近づけて言った。

「くそうっ」

カルムはエリカめがけて拳を繰り出すが、易々とかわされてしまう。

「ふふっ、残念でした」

そう言うとエリカはカルムの胸板を踏みにじる足に力を込める。

「ぎゃあああああ」

カルムは肺の空気を絞り出されてしまう。

エリカはなすすべのないカルムの姿を見下ろして、小ばかにしたような笑いを顔に浮かべた。

「私みたいな女に踏みつけれて、ただ泣き叫ぶことしかできないなんて、本当に情けないですねぇ」

カルムはお嬢様ジムリーダーに完全に舐められ、弄ばれているのを感じた。

自分を見下す言葉が降ってくるたびに、カルムの心の温度がじわりと上がってくる。

男としてこのままじゃ、負けられない。

カルムの胸に闘志が込み上げてくる。

同時に、目の前の世間知らずなお嬢様に、本当は何一つ自分に敵わないことを思い知らせて、屈服させてやりたいという征服欲がカルムの胸にむくむく込み上げてきた。

余裕の表情を浮かべているエリカを叩きのめし、力の差を思い知らせた時、エリカはどんな表情をするだろうか。

そんなことを想像するとカルムはゾクゾクとした奇妙な感覚にとらわれてしまう。

「なめるなっ!」

カルムは一気に体のバネを活かして、跳ね起きた。

突然のできごとにエリカはよろめき、隙ができる。

カルムはよろめいたエリカに突進、腰に腕を回して抱き着いた。

「なにするの放しなさい!」

エリカは必死に腕を振り回してカルムに抵抗するが、カルムに体を密着させられて威力が通らない。

カルムは一気に腕に力を込めてエリカを抱きかかえる。エリカの華奢な体は持ち上げられ、つま先がリングから浮いて
しまう。

カルムはエリカの腰を自分の厚い胸板と腕で挟んで圧迫、エリカの背骨はたまらず軋みを上げる。

「きゃああああああああああ!」

カルムのベアハッグが極まり、エリカはあまりの痛みに悲鳴を上げた。

エリカの柔らかい肢体を熊の抱擁が蹂躙する。

エリカは脚をばたつかせ、カルムの腕を振りほどこうと腕でばたつかせるが、なすすべがない。

「放せ!はなせぇええ!」

「ほらっ!参ったしちゃいなよ!私じゃ、敵いませんって、みじめったらしくさ!」

「嫌だっ!ギブなんてしないっ!」

エリカは首を振りギブアップを拒否する。

「ふーん。なら、もっと苦しめば?その口から参りました。許してくださいって言葉が出るまで、締め上げてあげるよ!!」

カルムは体を揺すぶりエリカの腰を抱く腕にぐっと力を込めた。

その瞬間、きゃあああああというエリカの糸を引くような悲鳴がリングに響く。

技をかけられるエリカも必死だが、技をかけるカルムも必死だ。

エリカから敗北宣言を絞り出してやろうと全力でエリカの腰を責め立てる。

ちょうど自分の顔の目の前でエリカのたわわに膨らんだ胸がエリカが暴れるたびに、形をかえてたうたうと揺れているが、今はそれを見て楽しむ余裕もない。

カルムが腕に力を込めて、エリカの体を揺すぶるたびに、悲鳴を搾り上げられる。

「あひぃ……はひぃ……」

エリカは最後には悲鳴すら上げる気力まで搾り取られ、体を引くつかせるばかりになった。

徐々にエリカの抵抗が弱くなり、体から力が抜けていく。

やがて、エリカはこのままでは失神させられると意を決したように、カルムの腕をペチペチとタップした。

エリカ屈辱のタップアウト!

カルムはエリカが自分の腕をタップしたことに気付いた。

しかし、カルムは無情にもエリカを解放せず、それどころかさらに腕に力を込める。

失神寸前のエリカの意識が引き戻され、悲痛な悲鳴が響く。

「いやややっ!放してっ!もうタップしてるのにっ!」

「タップしたって、技は解かないよ!」

カルムはさらに腕に力を込める。

「きゃああああああああああああ」

締め付けら悲鳴を絞り出されてしまう。

エリカは目には涙、口の端からは唾液を垂らして身を悶えさせる。

「やらぁ、このままじゃ、腰が、腰がおかしくなっちゃうっ!おかしくなっちゃうぅぅ」

「ほらっ、なんて言うんだった?」

エリカは口をつぐんでいやいやと首を振りたくる。

「まったく、強情だなぁ」

カルムは呆れたようにつぶやき、腕に力を込める。

カルムの腕がエリカの細い腰をぎしぎしと万力のように締め上げていく。

「いやあああああああああああ」

「参りました。私じゃ、あなたに敵わないので、許してくださいだろ!」

「ひぐぅう」

カルムの責めにエリカの心は完全に折れてしまった。

「ひぐっ……ま、参りました……」

エリカは消え入りそうな声で呟く。

「何?よく聞こえないよ?」

カルムはわざと聞き返し、また腕に力を込める。

「ま、まいりましたぁ!」

エリカは、体を搾り上げられることを恐れ、慌てて叫んだ。

「わ、わたしじゃ、あなたに敵わないから!だから、もう、許してください!!」

エリカは目に涙を浮かべて、屈辱の敗北宣言を絶叫する。

カルムは自分の腕の中でのけぞり、悲鳴をあげるエリカを眺めて、優越感の余韻に浸る。

「よくできましたぁ!」

カルムは満足したように言うと、やっと技を解いた。

カルムの腕から解放されたエリカの体がとさりと落ちる。

エリカはたまらずくたりとその場にへたりこんでしまった。

「はぁ………はぁ………」

カルム 3 - 0 エリカ

一矢報いることもできず、三連敗を喫してしまった。

年下の少年に完膚なきまでにやられて、力の差を思い知らされてしまった。

「はぅ」

エリカは自尊心をズタズタにされて、頭の中はもう真っ白になってしまう。

カルムはエリカを見下ろすとはなむけの言葉をつぶやいた。

「僕の実力、わかってもらえました?エリカさん?」

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