取り敢えず、簡単なあらすじ部分を作成したので、進捗を。
推敲とかしてないから結構雑です。
設定とかも変わると思います。
——本編——
——イブリース歴二十四年。人類は未曾有の大厄災に直面していた。
噴火共に地下深くから噴き出した大量の魔素が、空を、海を、大地を穢した。
広がっていく死の大地に恐れをなした各国は、他の領地を奪い取ろうと愚かにも戦争を始め、多くの弔われなかった遺体が魔素の触媒となってかえって汚染を加速させた。
大戦を生き残った者達も活性化した魔獣・魔物によって、日々死に怯える生活を送っていた。
——絶望の時代の幕開けである。
「今日はまた一段と酷いな......」
寂れた都市の一画、神官兵の男は眼下の惨状を見てポツリと呟く。
そこはかつて自然豊かな公園として、市民の憩いの場であった。しかし、当時からは見る影もなく荒れ果てている。
ここ数年で土地のなくなった墓所の代わりに、現在は、遺体の処理場として連日運ばれてくる遺体で溢れていた。
「......こんな形で申し訳ない。せめて、その魂が安らかに眠れますように」
遺体の山を前に、男は錫杖を祓い、弔いの祈りを捧げる。それが彼の日課であった。
無念の死を迎えた遺体は、魔の触媒となり、瘴気の発生源となってしまう。よって、聖術によって迷える魂を正しく導かねばならない。
命の価値を見誤う混沌の世。
神官の数もかなり減った。教義に意味を見出せなくなり教典を置いた同士もいた。運が良いのか、男はまだ心が折れていなかった。これが正しい行いだと信じて、祈りを続けている。
しかし、一向に終わりの見えない絶望の時代に、精神の疲労は確実に蓄積していた。
(一体いつまで私は祈れば......。——ん?)
弔いを終え、帰ろうとした時、ふと、近くの林に小さな影を見つける。
「これは......」
ふと、気になり近づいてみる。よくよく見ると、ソレは薄汚れた布に包まられていた。中を覗き込むと、震えるように蠢く、純白の肌が見える。
——赤ん坊だ。それも小さなと尾と翼の生えた竜族の赤子である。
「赤目の魔竜......。忌み子として捨てられたのか......可哀想に」
男は赤子を抱き上げ、優しくあやす。
「おーよしよし、いい子だ。いい子だ」
「キャっ!キャっ!」
赤ん坊は笑う。この世の穢れや絶望などまるで知らない太陽のような笑顔。
男にとっては、久しく忘れていた希望の光そのものであった。
(......そう、だな。祈る以外にも、私にはやれることが......)
例え、望まれなかった命でも、こんなにもキラキラと輝いている。
いつかくる絶望の夜明けまで、この小さな希望を光を絶やしてはならない。
(これも聖竜様のお導きか)
この出会いは啓示だ。霞んでいた男の眼に光が戻る。
そして、男は赤子を抱えて、その場を後にした。