「聖女のラブニング」⑩

「それでは、裸になりましょうか」

　そう言って微笑むフィルに、私は唇を噛む。一緒に来たのは、広いお風呂場。バスタブやシャワーと、中にあるのは見慣れたものばかりだが、見たことないくらい広い。そんな中、二人で立っている。

「聖女のラブニング」⑨

　この世界に来てから数日が経った。特に何をするでもなく、ゆったりと過ごしている。正直、ちょっと暇だ。フィルは仕事があるようで、忙しそうにしている。街へは一人で行かないようにと言われているため、外に出ることもできない。

「聖女のラブニング」⑧

　魔法協会を出た後は、フィルの家へ向かうことになった。部屋が余っているため、自由に使っていいとのこと。そんなフィルに感謝しながら、しばらくは遠慮なくお世話になろうと決める。別世界から来たばかりのため、右も左もわからない状態だ。一人で暮らしていくのは難しいだろう。

「聖女のラブニング」⑦

「ありがとうございます。それでは、はじめさせていただきますね」

　そう言ってまずは身長と体重を測った。どちらも全員が聞こえるように言われ、恥ずかしさで目が泳ぐ。見た目の方が大事とは思っていても、体重はあまり人に知られたくないものだ。

　次に、身体のサイズを測っていくらしい。きょとんとしていると白衣の男性がメジャーを手に近付いてくる。

「聖女のラブニング」⑥

　フィルの話によると、連れてこられた場所は魔法協会というところで、魔法師であるフィルたちの職場らしい。先程転んでズボンを脱がしてきた子供も魔法協会で魔法を学んでいる子だそう。

　そして私は今、その建物の中を案内されている。これから身体検査をするらしい。この世界に来てからずっと散々な目に遭っているため、不安がよぎる。