「聖女のラブニング」⑮

　聖女としての仕事があり、私はフィルたちと共に遠くの町へ行くことになった。これまでは回復薬のために体液を提供するだけだったが、初めての出張だ。治療を必要としている町だそうで、回復薬もなるべく持っていっているが、足りなかった時のために私も一緒に行くということらしい。メンバーは私とフィル、ダニエル。そしてフィルたちの魔法協会の後輩だという男性が三人程。顔つきや元気でパワフルなテンション的に、十代後半か二十代前半くらいだろう。相変わらずダニエルには嫌そうな視線を向けられているが、基本的には和気あいあいと旅ができそうだ。

「その名の通り、犬系彼氏ができました」①

　昔から、動物に好かれる方だった。通りすがりの散歩中の犬に懐かれ、道をただ歩いているだけで猫が寄ってきて、家の周りでは常に鳥の鳴き声が聞こえた。

　そんな私は今――異世界にいる。