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2017年 05月の記事 (1)

Aqua-baiser 2017/05/30 22:36

【感想】ChronoBox -クロノボックス-

新規ブランドNO_BRANDさんの「ChronoBox -クロノボックス-」をプレイしました。

私が近年のエロゲで最も感銘を受けた駄作(CYCLET)のライター桜庭丸男氏がシナリオを書かれているとのことで、新作の情報を知った瞬間にもう購入は決まったようなものでした。
予約開始日に即注文し、新情報を極力避け、体験版を殆どプレイしないまま迎えた発売日。
18禁でしかできない極限の物語にふれた時のあの感覚を再び経験したくて。


本作の場合、ネタバレに一切ふれずに感想を書くことは難しいと思います。
ですが、本作に興味を持たれた方はできるだけ情報をシャットアウトして臨んでほしいのです。
ゴア表現が激しいため個人の好みは分かれることと思いますが、「18禁のフィールドでしか表現できない凄惨な物語」を体験したい方はぜひおすすめしたいです。
物語の内容に賛否はあれど「プレイして損した」ということには決してならないと思います。

なので、以下はプレイ済みの方、もしくは興味はあるけどネタバレ気にしないよ、という方のみお読みいただければと思います。(大したことは書いてないと思いますが、念のため)


基本的にプレイ済みの方にしか通じない感想 ↓
















結論から言うと、見事に期待に応えてくれた期待通りの作品でした。大満足です。
プレイ時間はノーマルエンドまで約13時間。TRUEエンドや未読テキスト回収にかかった時間を含めると14時間前後といったところでしょうか。ちょうどいい長さだったと思います。

初回は本当にテキスト送りが止まらなかった。集中力の無さにかけて定評のある私が夢中で読み進めるほどグイグイ引き込まれた。日常に支障を来すほど魂を引っ張られた(二日連続で夢に出ました)。
すごくおもしろかったし、コンプした時は「プレイしてよかった」と心から思いました。


もうね、初回は途中からプレイするのが本当にしんどかった。頭がおかしくなりそうでした。
まぁでも真相を知った今では「頭がおかしくなりそう」なのは当然の感覚だったんだなって思います。だってメタ的に主人公を罰するための展開なんですもの。それを追体験するプレーヤーが苦痛を感じるのは当然だなって(笑)。
他人の夢(それもとびきりの悪夢)になすすべなく放り込まれたようなものですからね。

でも那由太くんはリセット毎に忘れられるからいいけど、プレーヤーはがっつり覚えてるわけで……
Twitterでもふれましたが、筮の最後のアレは本当にきつかったです。ヒッ!てなりました。
グロリョナスカには耐性があるつもりでしたが、ああいうびっくりどっきり系の突然のホラーにはとことん弱いビビリです。

比べるのもどうかと思うのですが、筮のルート(?と言っていいものか)を読んでいて、筮にまどかマギカのさやかの面影を感じていました。キャラ的にも似ていますし、けっこう共通項あると思います。ちなみに私はさやかちゃんが大大大好きです。
だからというわけじゃないんですが、筮がプレイ中いちばん好感を寄せたキャラでした……うん……一番好き……だったと思います。
さっぱりしてて、主人公と適度な距離感で、でも乙女な一面と年頃の「メス」の顔を持っている。筮のオナニーシーンは数あるHシーンの中でも特にお気に入りです。あぁ、この子ならこういうオナニーをするんだろうなぁという生々しさと、微笑ましさがありました。
正直「これまでの展開から予想するに、この子も主人公にぞっこんなんだろうな。ん? 話したいこと? OKOK、さぁ胸に飛び込んでおいで!」とか調子こいてたら、まさかの「羽瀬が好きで……」の衝撃の告白に、片想い寝取られ主人公のような心境に陥りましたw まぁ乙女な筮が可愛くて、すぐ応援モードになりましたけど。
次の章(?)での包帯姿が痛々しくて、でも可愛くて、今度こそ結ばれたぜ……と思ったら、絵本の内容で「ん?」となってかーらーの、あのCG差分ですよ(泣)。二周目のことを考えると気が重いです……


で、も!
結局そんな筮とのふれあいも、筮自身のキャラクターもログワールドでの虚像だったわけで、クリアした今となっては何ともいえない感情が渦巻いています。だって、現実の筮(もちろん主人格)がどんな子なのかが本編では殆ど語られていない。え、じゃあ私が好きになった筮って何?
……ということで、正直どのキャラが好きかと言われても答えられないです。
プレイ中は間違いなく筮が好きでした。もちろん、他のヒロインもみんな可愛くて好感を抱いてました。

私が本作で一番不満を感じているのがここです。
つまるところ、長い時間をかけてふれあったキャラクター達の殆どが虚像でありバーチャルであり、その本質は語られておらず、人物像が固定されていないため寄り添うことができない。
主人公の那由太にしてもそうだし、メインヒロイン格の樺音だって終盤にちょっと出てくるだけで、どっぷり感情移入する前に退場してしまう。
一つの物語としては非常に完成度が高く文句の付けようがない素晴らしいシナリオなのですが、キャラクターを重視する私のような人間には、ストーリーの辻褄合わせのためにキャラが割を食ったように思えてならないのです。
展開を「理解」「納得」できても、今ひとつ「入り込めない」という感じでしょうか……
那由太と樺音の馴れ初めとふれ合いを、もっと尺を割いてじっくり書いてほしかったです。そうすれば、教会のシーンがもっと悲しく美しいシーンになったはず。もっとも、喋れず性器を持たず体に多くの欠損を抱える那由太相手では、なかなか難しいところだと思うのですが……(ネタばらしの前にプレイヤーが気付いてしまう恐れがある)


ただこれは私がキャラクター重視の人間ゆえの我が侭、難癖のようなもので、本作が素晴らしい作品であることにかわりはありません。
無駄を削ぎ落としたスマートな人物描写は、だらだらと日常が続くよりむしろ好ましく感じる方です。
凝った画面演出は見ていて何度も唸らされたし(最たるものが立ち絵。ログワールドの時点で「立ち絵の表情が細かく変わってすごいなぁ」と思っていたのに、さらに目パチ口パクが実装された瞬間には「……! そういうことか!」と膝を叩きました)、本作が確かなこだわりを持って丁寧に作られたものであることがひしひしと伝わってきます。
赤く染まる海、反転する背景、鉄板で塞がれている窓、ノイズが重なって歪んでいくBGM、そして唐突に切り替わっていく場面。不安と違和感しかない中、それでもテキストを送る手が止まらない。
那由太が真実に向けて決意し、きれいな挿入歌が流れ出し、志依たちに別れを告げ、ああ感動の場面か……と浸っていたのも束の間、画面いっぱいにズラリと並ぶ首無しヒロインの立ち絵。あの時の自分の感情をどう言い表したらよいものか(笑)。
筮ショックを食らって以降、「少しも油断できない、心安らげない」とビクビクしながら読み進めていた日々が今もまざまざと蘇ります。
とにかく、他のエロゲではなかなか味わえないカオスな経験をたくさんさせていただきました。


エロシーンもよかったです。
駄作で非常に感銘を受けた桜庭さんのテキストがまったく変わっていなかったことに感動しました。シリアスな物語中、繰り広げられる淫語と絶叫と実況の嵐。これです、これが私の求めていたエロテキストなのです!
ギャグだとか萎えるだとかいう意見もありますが、私はこのエロテンションが好きで好きでたまらないのです。なので、どうか今後も自粛しないでいただきたいと強く願っています。

中でも御伽(in猶猶)の下劣っぷりはすごかった。テンションの高さに思わず笑ってしまい、醜悪なまでの欲望に目を瞠り、凄惨なレ○プ劇をひたすら眺め……
駄作の華愛美のクラスメイトを彷彿とさせますね。この時に語られる「いじめられっ子の顛末といじめっ子の将来」も物凄かったです。圧倒的な邪悪と残虐。
声優さんの熱演もすばらしい。特に夜々萌先輩の命乞いと内臓ドバーの断末魔、つつじ子の切り刻まれながらの強○イラマ、筮の熱&電撃責めの大絶叫とギフト発現時の下衆な男の声色……耳に全神経を集中させて、しかと拝聴いたしました。
……欲を言えば、小鳥にもリョナシチュが欲しかったです。木多野ありさんによる小鳥の悲鳴、ぜひ堪能したかった……w


そして、これは完全に私のわがままなんですが、さらに欲を言えばCGの差分がもっと欲しかったです。駄作は差分が20~90枚と非常に多く、シチュエーションに合った変化をしていました。かわいい絵とのギャップが大変によろしかった。
本作は、テキストの凄惨さに比べると、絵が少しおとなしめに感じられました。
たとえば猶猶が上下塞がれて嘔吐するシーン。階調の反転で済ませるのではなく、モザイクががっつりかかっていてもいいから、ちゃんと吐瀉物を差分で表現してほしかったところです。
スカ(大)が無かったのも寂しいといえば寂しいですね。駄作では食糞、放屁までありましたから、どうしても期待してしまいますw あぁ、あとアヘ顔も……!と個人的なわがままはここまでにして。


好き放題書いてしまって申し訳ありません。
なんだか不満点ばかり綴ってしまったような気がしますが、こんなのは些細なことで、全体的にはとても満足しています。本当にプレイしてよかった!

素晴らしい作品をありがとうございました。次回作も必ず買わせていただきます。

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