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2015年 05月の記事 (24)

●いろかにほへと22●

(はあ・・・ちょっと落ち着けましたかね・・・)



電車の窓の向こうを流れる景色を見ながら、鬼灯はようやく安堵のため息を吐いた。



現在の時間帯は、ちょうど穴が開いたように乗車率が少なかった。ほとんど乗車客がいないガランとした車両が、ガタゴトと揺れている。
鬼灯は一番端のボックス席の窓際に座り、窓の細いサッシに肘を置いて頬をつき、しばらくの休息に安堵していた。



電車に乗るまでも、なんと周囲の者たちの目の騒がしかったことか・・・。



上下に柔らかく弾む鬼灯の乳房に皆注目し、そこから目線を外せば絶世の艶なる美女。
まとっている衣装が鬼灯と同じだということには気付いているかもしれないが、妖艶な美女が鬼灯のコスプレでもしてるのだろうぐらいに考え、まさか美女本人が鬼灯の成り替わった姿だとは思いもしないだろう。



正体を知らない無礼な鬼の中には、列車の乗合でわざと隣に立ち、鬼灯の香りを嗅いだり、スマホをいじる振りをしてさりげなく肘を柔胸に当てようとして来たり、鬱陶しいことこの上ない。



しかも、反対車線のホームからは鬼灯の姿が丸見えで、まばらな数の上客たちのほとんどが、鬼灯をはっきりと見つめていた。
男も女も・・・。



さらに悪いことに、鬼灯の威厳を象徴する金棒を忘れてきたことが、ますます鬼灯本人だと気付き辛くさせていた。
いつもなら、片手になければ落ち着かない金棒が、今の鬼灯では男のときほど自由自在に扱えなくなっている。



持ち上げて肩にかつぐことはできるのだが、時間がたつにつれ、体力的に疲弊がたまってくるのだ。
気が付けば、金棒を引きずって歩いているし、そういう理由もあって、仕事の忙しさにかまけてつい、金棒を閻魔殿に忘れてきてしまった。



重くて邪魔だったとはいえ、やはりいつもあるものがないと落ち着かない。



ようやく人目から解放され、電車のボックス席に座ってゆっくり精神を休めながら、鬼灯はため息を深くついた。
その気だるそうな姿こそ、艶色で廃頽的な美を含んでいて、誰も見る者がいないかわりに、空気だけが、どこか気恥ずかしそうだった。



席の後ろでドアが開かれる音が聞こえ、切符拝見かと鬼灯が胸元に手を入れたところで、すぐに勘違いだったと鬼灯は手を再び出した。
足音は数人。
若い者たちらしく、軽薄なしゃべり方で会話を好きにしながら、いささかやかましく入ってきた。



(うるさいですね・・・)



目を瞑って彼らが通り過ぎるのをやり過ごそうとしたが、すぐ隣に人の気配を感じて目を開けたところで、目を瞑る前と座席の景色が変わっているのを知覚した。



若い男たちは鬼灯が一人で占領していた四人掛けのボックス席に陣取り、ただならぬ目線を鬼灯に注いでいた。



(・・・また何やら不穏な空気ですね・・・)



面倒を察知し、鬼灯は立ち上がって席を移ろうとした。
しかし、隣と前方に座った男たちがわざと足を投げ出して通路を完全にふさいでしまっている。



「すみません、席を移りたいので、足をどけてくれませんか?」



いささか冷ややかな声で鬼灯は言い放ったが、男たちの足はびくともしない。
瞬時に立腹した鬼灯は、その足を蹴り飛ばしてやろうと身体を後ろに引いた。しかしその瞬間、タイミングを見計らって帯を引っ張られ、バランスを崩して隣の男の上に腰を置いてしまった。



「おいおい、大丈夫かよ・・・」



「っ、離してください・・・!」



いきなり自分の身体にのしかかってきた柔らかい女体に喜びをかくそうともせず、若い鬼はさらに鬼灯の身体に腕を回そうとした。



(このっ、痴○行為ですよ!)



「うごっ!」



鬼灯は男の脇腹に肘をめり込ませ、その邪な考えと共に意識も轟沈させた。
男の腕から解放された鬼灯は、スッと立ち上がって今度こそその場から去ろうとした。
だがその瞬間、正面の席の男に妙なスプレーを顔面に吹き付けられる。



「っ!な、なにをするっ!」



慌てて顔をかばって得体のしれない気体から身体を守ろうとしたが、やはり少々吸い込んでしまったらしく、直後、天地が引っくり返るような奇妙な感覚に囚われて足元をふらつかせた。



(なんだ、これっ・・・)



必死に体勢を立て直そうとして意識を集中するが、傍から見たら脆弱この上ない足取りに、男たちの笑みも深くなる。



気絶した隣の男の代わりに新しい男がとってかわり、ついでに鬼灯を突き飛ばして、易々と元の座席に戻してしまった。



「う・・・・」



「まあ、おとなしくしてなよ、ネーサン。」



椅子に座った振動で頭がクラクラし、まともに思考を巡らせることができない。
自分でも危険な状況だとわかっているものの、バネ人形のようにグラグラする視界の中、鬼灯は指一本ろくに動かすことができなかった。



「ふふ、すげえデカ胸だなあ・・・顔も別嬪だし、たまらねえ・・・」



「エロいのに、黒い着物ってのがまたエロいよな・・・」



「真っ白な肌だぜ・・・なんかいい香りがするなあ・・・」



そう言って隣の男が、鬼灯のうなじに顔を近づけて蓮の花の香りを鼻孔へと運んでゆく。
意識は不鮮明ながら、カンであたりをつけて鬼灯は動き、その腕は見事に香りを無断で嗅いだ無礼な男を横殴りにした。



「おがっ!」



不意に予想だにしない攻撃を食らい、男が悶絶する。



男の鬼灯であれば、相手が吹っ飛んで車両のガラスを割り、外へ飛び出るほどの威力があっただろうが、現在のか弱い腕では、男に鼻血を出させるほどしかできなかった。



「痛ってなにしやがる!」



鬼灯に反撃しようとする仲間の手を一人が止め、



「まあいいじゃねえか。これぐらい生きが良いほうが、楽しみがなくね?」



と言って意識朦朧な鬼灯の身体に視線を這わせて、邪な笑みを浮かべた。


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●いろかにほへと21●

「鬼灯様、鬼灯さま・・・・・」



名前を言われ、意識が目覚めた。
一瞬自分の状況が把握できず、慌てて上体を起こして周囲を見回してみるが、周りには薄笑いを浮かべた女獄卒が数人いるだけだ。



(そ、そうだ、私、達してしまって・・・?そのまま意識を・・・・?)



拘束されて身体をいいように弄ばれた記憶がよみがえるが、自分の四肢はすでに拘束を外されていて、裸の上半身だけが居心地の悪さを伝えてくるだけだった。



「大丈夫ですか?マッサージ中に急に意識を失われてしまって・・・・」



「心配したんですよ?」



「でも気持ちよさそうな寝息をたてていらっしゃったから、たぶんお疲れなんだな・・・と・・・」



鬼灯は周囲の様子を探りながら思考をフル回転させていた。



意識を失う前、自分は確かに屈辱ともとれる扱いをうけていた。
絶頂してしまった胸の熱さも瞬時に思い起こせるし、下半身に受けたジクジクとせりあがってくる快感も覚えている。
しかし、自分をとりかこむ女獄卒たちの表情は自分を心底心配する様子が垣間見られ、気絶する前の彼女たちとはガラリと違って見える。



「それより鬼灯様、マッサージの甲斐があって、ワンカップ落ちましたよ!」



そう言われて後ろから乳房をすくい上げられると、一挙に快感がせりあがってビクンと身体を強張らせてしまう。
やはり、意識を失う前の自分は凌○を受けていた。
ここで厳しく叱責しておかないと、自分は舐められたままで終わる・・・



「あ、あなたたち・・・私に・・・」



そこで鬼灯は言葉に詰まった。
私を絶頂させたでしょう、などと、言えるはずがない。
自分の身体を自由に弄んだことも批難できるが、ニコニコと笑う周囲の女獄卒の表情をみていると、意識を失う前の出来事は夢だったのかと考えてしまうほどである。



「はい?どうされました?私たち、鬼灯様のお体にマッサージをいたしましたが・・・お気に食わなかったですか?」



「・・・・・」



毒気のない顔で言われ、今度は鬼灯が詰まってしまった。
彼女らを責めるにしても、自分がされたことを思い起こさねばならず、それは鬼灯にとって屈辱で、羞恥を伴うものだった。



「大丈夫ですか?鬼灯様・・・」



優しい声で顔を覗き込まれて、つい逸らせてしまう。
ささやかな抵抗だったが、今の混乱した頭の鬼灯では、これが背いっぱいの反応だった。



「鬼灯様、それよりも新しい下着を用意しましたよ!今度はこちらを着けてくださいね!」



一人の女獄卒が下着の上下を持ち、鬼灯は瞬く間にそれを身に着けると、周囲が言葉を発するまでもなく黒い着物を身にまとい、



「お世話様でした」



と、少々冷たい声でドアを閉め、マッサージ室を後にした。




(胸が小さくなってる・・・?ホントですかね・・・)



廊下を歩きながら、鬼灯はぽよぽよと弾む柔肉を見おろし、女獄卒たちの施術を未だに疑っていた。



やはり自分が拘束されて弄ばれたのは事実だった。
意識がはっきりするごとにその鮮明な記憶がよみがえり、これから戻って殴り込んでやろうかと思いながら、いや、それは今更すぎる、なぜあのときもっと激しく詰め寄らなかったのだ・・・
と、堂々巡りな思考に陥っていた。



「あ、そういえば・・・」



目の前に設置されていた柱時計を見て、鬼灯は自分のこれからの予定を思い出した。
彼女たちのことはとりあえず放っておいて、今は業務に専念すべきだ。



次の予定はTV局で政見放送の収録だ。
今後のEU地獄との付き合いの方向性についてだが、EU地獄には鬼灯も思う所もある。
特にある一部の悪魔たちには、百度、阿鼻地獄に落としても足りないぐらいの怒りをもっている。



私情は私情。
仕事とは別に考えなければならいことが辛いところだ。



鬼灯は自室に戻って書類を風呂敷に詰め込み、懐中時計で時間を確かめながら電車に乗るべく、閻魔殿を後にした。


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もう満足か?

アレッポの石鹸にハマって、

すっかり足裏もやわらかくなった大臣だ・・・・


注文していた商品が全て届いたぞ・・・。














さあ・・・・・もう満足だろう・・・・・・・・

何年分だよ・・・・・・・・・・・・

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Iカップか・・・

現在連載中の
「いろかにほへと」
鬼灯女体化ものですが、

鬼灯様は男のとき体格が良いので、安易に

「IカップIカップ!ワンピースのナミとおなじ!」

とバカ丸出しで決めましたが、

先日実際にIカップの女優さんが出ているAV見て(無料視聴分な)

改めて


「めっちゃでかい・・・・・・」

と思いました。

ナミはこれでウエストが50センチ代なんですから、上半身はほぼ乳だけってカンジになりますね・・・。

さらにハンコックはJカップということですから、もう大臣の想像の範疇こえるわ・・・・・・


まあ、鬼灯様はそれでもIカップということで。

フニフニフヨフヨ。

ところで、22日に新刊発売だあああああ!

楽天ブックス!ちゃんと予約したからね!

私の元に、コミックスとDVDを届けておくれええええええええええええええええええ!!

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ですよね・・・

ヒラコー先生の公式ツイッターが更新されている!

ウエエエーーーイ!!

自キャラのおっぱいマウスパットの紹介をされていましたが、
続きに

こうありました。




ああ・・・・

私も考えたんですが・・・・・・・・

ですよね・・・・・

(尻か。それはいいアイデアだ・・・出ても買わないけど、(買わんのかい)実物見たい・・・)

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