スキャンダラスブラック おまけ
桃太郎が注文された薬草を取り終えて帰ってきたとき、薬屋のテーブルにスマホが置いてあった。
(白澤さん、忘れて行ったな・・・全く、中身ジジイは・・・)
呆れてみていると、ちょうどラインの着信音がした。
人のプライバシーも考えたが、桃太郎は何度も白澤に苦渋を舐めさせられている。
ラインを覗くぐらいは許されるだろう。
開いてみると、ちょうど鬼灯からのライン。中身は、先日の生放送の発言を訂正しろ、との内容だった。
(ああ、そりゃそうだよな)
勝手に番宣言されて、鬼灯の方はたまったものではない。
しかし番の報告をしたというのに、その口の乾かない内から女遊びとはどういう神経をしているのか。
桃太郎は既読スルーして、そのままスマホを放置した。
そして一時間後、またラインの着信音が響く。
開いてみると、やはり鬼灯だ。
ラインの内容から相当な怒りが伝わってくる。これは白澤さんヤヴァイなあ・・・と思いつつ、桃太郎はこれも既読にしてスマホを置いた。
そして三時間後、すっかり夜も更けてきたが、家主は帰ってくる気配がない。
そんなときにまた着信音。
桃太郎は自分が怒られているわけではないのに、怒られているような気分になりながらラインを開いた。
そこには、「訂正しろ」の羅列。
「ひい!」
桃太郎はすばやくラインを閉じ、スマホを元あった場所に放置した。
とりあえず白澤が帰ってきたら、鬼灯からラインがあったことを伝えておこうか。いや、それでは自分が勝手に白澤のスマホを覗いたことがバレてしまう。
帰ってきたらラインを確認するかもしれないし、そこはもう白澤にまかせよう。
第一、これぐらい怒られるようなことはしでかしているのだし。
そして桃太郎はそのまま就寝した。
白澤とはタイミングが合わず、二日顔を合わせず過ごしてしまった。
ラインの件はどうなったのか桃太郎には知るすべはないが、白澤は今日、地獄へ出張極楽満月に行くらしい。
(鬼灯さんブチ切れるだろうなー・・・・)
桃太郎は白澤の行く末に涙しながら、その背中を見送ったのだった。
!!!終!!!