「鬼灯君、次の裁判はどうなってる?」
一人の亡者の裁判が終わり、閻魔大王はため息とともに椅子にもたれかかり、疲れた声で訊いた。
「・・・・・・」
「鬼灯君?」
返事がない有能補佐官に不自然を感じ、閻魔大王は名前を呼ぶ。
「はい、次の裁判は享年66歳、生涯の仕事は大工、名前は・・・」
ようやく記録を読み上げる鬼灯に、閻魔大王は安堵の思いが込み上げてきた。
最近の鬼灯はおかしい。
見た目はいつもと変わらないのだが、普段のようにカミソリのように鋭く、キビキビと動くのではなく、どうも動作が緩慢なのだ。
(まあ、仕事に差し支えはないけれど・・・)
いつもの無表情を決め込んでいる鬼灯を見下ろし、閻魔大王は不穏な思いを抱いていた。
一方、天国にある薬屋、極楽満月。
一階建ての平屋家屋だが、実は秘密の二階があることは、家主である白澤しか知らない。
そして、秘密の二階は誰にも見えない。
「んんっ・・・うっ・・・はぁぁ・・・」
乳白色の空間の中、同じく乳白色をした無数の触手に群がられ、黒い着物の人物が悩まし気な声を上げている。
「この、いい加減に・・・ううっ!」
触手が二本、大きくはだけた着物の襟から中に入り込み、すでに何度も弄ばれた胸の突起に密着する。
触手の先端には小さな口が付いていて、胸の突起を肉厚の唇で挟み、奥から伸ばした蛇のような舌で敏感な性感帯を上下に舐め始める。
「くうぅっ・・・!やめろっ・・・!」
この妙な空間に放り込まれて三日、鬼灯は体中を触手に弄られ続け、徐々に精神を快楽で蝕まれ始めていた。
全身に甘い香りがする白い液体を掛けられ、欲情で紅く上気した顔が、普段は陶器のように白い鬼灯を官能的に彩っている。着物は腰帯で辛うじて引っかかっている姿で、上半身も下半身もほぼ露出し、ぬめる触手に体中をからめとられ、自由を奪われながら性的に嬲られ続けていた。
鬼灯の胸の突起にとりついた触手は、その小さな歯でカプカプと甘噛みを繰り返し、そのたびに鬼灯の性神経に稲妻のような快楽を与えている。
「んああああっ!あっ!あぁぁああっ!」
身体中をブルブルと痙攣させ、鬼灯が胸の快楽に艶声を上げる。
表面がぬるぬるとした粘質な触手が体中に巻き付いて滑りながら、わざと性感帯をかすめて通り、鬼灯をさらに感じさせてゆく。
幾本もの触手がのたうって絡みつき、両腕や腹、腰、太ももや足首へ縄のように絡みついてくるが、表面がひどくぬるぬるとしているので痛みは一切無い。
しかし、それが鬼灯にとっては逆に毒となっていた。
痛みでもあれば、少しは快楽を反らすことができるのがだ、与えられる全ての感覚が快感で、知らず鬼灯の身体は愉悦に溺れさせられてしまう。
「は・・・・ぅぅ・・・っ!は、離れろっ・・・!」
自由になる手首で触手を掴み握るが、ぬるぬるした表面で一切の摩擦がなく、そのまま触手は鬼灯の手の中を通ってぐるぐると腕に絡みついてくる。
先端が丸くなっているその触手は、そのまま鬼灯の無防備な脇のくぼみを撫で、ぞくぞくと、くすぐったさと快感を両方同時で鬼灯に浴びせてくる。
両腕と脇の下に何重にも触手が絡みついたかと思うと、膝裏にも巻き付き、そのまま空中へと鬼灯は引き上げられた。
「くっ・・・こんなっ・・・!」
両足を広げられた恥辱の恰好を取らされてしまうが、鬼灯の羞恥心など知る由もなく、触手たちは遠慮なく鬼灯の身体を蹂躙してくる。
どこから光が入ってくるのかわからないが、昼間のように明るい周囲が、余計に鬼灯の恥辱感を煽った。
身についている粘液のテカりを煌めかせながら、ぬるぬるとした感触が鬼灯の性感をどんどん高めてゆく。
目の前に、手足に絡みついている触手とは比べ物にならない丸太のような触手が現れ、鬼灯は先にされた屈辱の責めを思い出し、動く部位を総動員して暴れたが、すべて触手の締め付けで無効にされてしまう。
丸太触手が広げられた両足の間に滑り込み、鬼灯が丸太触手の上に座るかのような恰好にさせられる。
しかし、触手はそれだけでは終わらない。ゆっくりと前後に動き始め、下着も引きはがされた裸の下半身を上下に摩擦し始める。
「ん、んくっ・・・!はぁ、ぁ、あっ・・・あぁっ・・・!」
鬼灯の身体に甘い電流が走り、下半身から全身に向かって愉悦がこみあげてくる。
触手から分泌される粘液は媚薬効果も高いらしく、すでに感じやすい鬼灯の身体をさらに感じやすい身体へと底上げし、休む間もなく嬲り続けている。