だいぶ前の動画ですが、ゲームのウリを考えるときに参考になりそうな動画を見つけたので、その紹介記事となります。
【ゲスト:安藤武博、kson、他】ニコニコ自作ゲームフェスMV作~る放送【第三回】
安藤武博という方は、元スクウェア・エニックスでゲームプロデューサーをされていたそうです。
この動画の中では
「プロデュースは自作ゲームを作る上でも、とても大事」
という話から始まり、「プロデューサー」と何かを定義しています。
プロデューサーは、商品をたくさん売れるように動く人です。
商品を大きく見せてお祭りを起こせる人のこと。
例えば、ゲームの発売日に
「今週、○○が発売される! 楽しみ!!」
とお祭りを起こせる人が、イケてるプロデューサーです。
今日のksonの衣装のように、キャラクターが立った衣装を着せて、
ksonを魅力的に見せられるようにするのが、プロデューサーのお仕事です。
では、
「ゲームを魅力的にするには?」
という疑問に次のように答えています。
ゲームの『ウリ』は一言で言えないとダメです。
例えばモンスターハンターのウリは、
「一狩りいこうぜ」
の一言で面白さが表現できています。
これを、
「PSPでBluetooth通信を使って最大4人でモンスターをハントしていく……」
という長々とした説明では面白さは伝わらない。
「みんなで狩りするゲーム」
という一言であればわかりやすいし、CMも打ちやすい。
長い説明は誰も聞いてくれないから、短い一言で『ウリ』を表現し、面白さを説明する必要があります。
自分のゲームを一言で説明し「面白そう!」と思わせられるのが『ウリ』ということです。
そして、ご自身が関わってきたゲームのウリを一通り説明した後、
「そういう『ウリ』となる部分は最初に決めます」
と言って、その理由を説明します。
ゲームを作っている人は、たいてい「ゲームシステム」から作り始める人が多いと思います。
例えば、RPGとかシューティング、パズルなどのジャンルを決めてから作り始めます。
けれどもプロデューサーは、それは最後に決めることなんです。
一番最初は『ウリ』を考えます。
このテーマなら多くの人が魅力的に感じられる……
と思えるものを最初に作ります。
「鈴木爆発」なら(当時は珍しかった)バカゲーをコンセプトにしたゲーム、
「ケイオスリングス」ならスマホ最強のRPG、
「ミリオンアーサー」は鎌池和馬そのままの世界観とキャラが楽しめるオンラインゲーム。
次に『ターゲット』を考えます。
考えた『ウリ』を魅力的に感じ、遊んでくれる人を決めます。
ゲームは個人的な趣味嗜好が大きく分かれるので、
自分が考えた『ウリ』を好んでくれる人が、どんな人物かを決める必要があります。
例えば「ハンバーガーを食べたい」という人に、ハンバーガー以外を勧めても食べてくれませんよね。
次に『プラットフォーム』を決めます。
PS4で作るのか、PCで作ってSteamで売るのか、スマートフォン向けに作るのか……
今から作るものを遊んでくれるターゲットがいるプラットフォームを選びます。
ここまで決めたら、やっと「ゲームジャンル」を決めることができます。
『ウリ』を魅力的に思える『ターゲット』が存在する『プラットフォーム』で、
遊びたいと思えるゲームを決めます。
自分だけが遊びたいゲームを作っても、それを遊んでくれる人がいなければ、そのゲームは売れません。
なので先に「買ってくれる人」を想定しておき、それに向けてゲームを作っていく……という考え方ですね。
そして番組の最後の方で、ゲームの「タイトル」の重要性について話しています。
ゲームの「タイトル」は絶対一番最初に決めるべきで、
僕の場合も一番最初に決めています。
「鈴木爆発」「ケイオスリングス」「ミリオンアーサー」も最初に決めました。
理由は、ゲーム開発は「タイトル」を目標として進んでいくからです。
例えば「新規RPGプロジェクトA」といういい加減なタイトルでは、
できるものは「新規RPGプロジェクトA」っぽいゲームになります。
ゲームタイトルを最後に決める人が多いですが、
それでは良いゲームにはならないです。
大事な自分の子供の名前をつける際、
「子供がこういう人間に育ってほしい」
という願いで名前をつけるように、
ゲームタイトルも最初に決めるべきです。
ゲームタイトルは、そのゲームの指針となるので、最初に決めておくことが大事、ということですね。
まとめ
- ウリは最初に決める
- ウリは「一言」で面白さを説明できるもの
- ゲームタイトルは最初に決める
この動画とは関係ないですが、セガではプランナーの新人研修で「クソゲーを面白そうに思わせるプレゼンの練習」をさせられるそうです。
プロデュースは、商品の魅力を最大限に引き出す仕事なので、こういう訓練をしてみるのも良いかもしれませんね。
個人的な話ですが、前回作ったゲームは「シューティングゲーム」というシステムの土台に、どうやってシナリオやHシーンをのせていくかを試行錯誤しました。
でもそれではダメなのですよね……。何を目的としているのか、とても曖昧なゲームが完成……。実際、ストアに情報を書く時に、このゲームは『ウリがない』ということに気がつきました。
今作では、ここで紹介した動画の内容を参考に、ウリを土台にゲームを良くするにはどうすればいいのか……を考えながら作っていこうと思っています。