カメラ青年とモデル少女《後編》 まだ“いたずら”だった、あの頃——
写真のモデルになってくれるという紀子ちゃん。
知らない大人を怪しむ風もない。
「こっちだよ」
紀子ちゃんの手を取って、公園の隅へと誘う。
ちょっと汗ばんだ小さな手のひらが、ひんやりと冷たい。
古タイヤの遊具の前でポーズを取ってもらい、フィルム一本分ほどシャッターを切る。
パシャッ、パシャッ……という小気味よい音が、紀子ちゃんの気分を高めてゆく。
そろそろ頃合いか——
「じゃぁ、そのタイヤの上に座ってみようか」
フィルムをつめ替えながら、紀子ちゃんに指示を出した。
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