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2024年 07月の記事 (3)

イナ 2024/07/03 23:13

クソザコ勇者の使い方~ドSバニーガール編~

前作


 ティファに責め潰されてから数日後、今日は違う冒険者が来るとカミルは知らされ、朝から気持ちが落ち込んでいた。
 
 カッツ、カッツ、カッツ、カッツ。
 
 陰気な筈の地下室に響くリズミカルで陽気な足音。
 
 それは徐々に音を大きくさせながら、カミルがいる部屋へと近づいてきて--。
 
「あはは! 今日は私が噂の勇者君のお相手だよ~」
 
 暗い雰囲気を吹き飛ばすような子供っぽい声と喋り方に顔を上げたカミルは驚いて目を丸くする。
 
 騎士や戦士、武闘家などの戦闘職に責められたことはあったが、目の前にいる少女は絶対に戦闘職ではないと断言できた。
 
「え? え?」

「にゃは~♪ さては混乱してるね~? なんで私みたいなジョブの人間がここにいるのかって驚いちゃって声も出ないかにゃ~?」
 
 ふざけた口調で訊ねる少女にカミルは頷くことしかできない。
 
「わかるよ~。私も普通ならこのジョブにレベルアップとかいるのかなって思うからね~」
 
 少女がうんうん、と頷く度に頭につけている長い耳が揺れる。
 
 それはとある動物の耳を模したもので、一般的には『ウサミミ』と呼ばれているものだった。
 
 そして、肩や胸部の半分近くさらけ出し、背中も大胆に見せつけた露出の高い服はバニースーツと呼ばれるものであり、脚をより細く見せるのは網タイツと呼ばれるアイテムだ。
 
 魔法使いとかが来るかと身構えていたカミルは混乱で陰鬱な思いすらも忘れて目の前の少女を見てしまう。
 
「今日は遊び人ことバニーガールのアリア様がお相手するよ?」
 
 ニィ、と八重歯を見せて笑うアリアはピコピコと耳を揺らして楽しげに言い放つのだった。
 
 ◆
 
「んふふ~まずは可哀想な境遇の勇者ことサンドバッグ君になんで遊び人に虐められないといけないのか教えてあげますね?」
 
 宙ずりにされているカミルを眺めながら、小馬鹿にした口調でアリアは話す。
 
 ここに来る女性はすでにカミルをまともな人間とは見ていない。
 
 ただの美味しい経験値生産機。
 
 人の言葉を理解する便利なアイテムくらいの認識だった。
 
 しかも、この部屋の雰囲気か、カミルのオドオドした態度のせいか、はたまた施しの勇者の能力のせいか、カミルに対して極めて残酷に振舞ってしまう。
 
「この王都で最大の施設は何か知ってますか~?」
 
「えっと、闘技場と……カジノ?」
 
 王都に縁のない田舎育ちのカミルだったが、王都に行ったことのある村人が大体口にする場所は闘技場とカジノと王城だ。
 
 なので、頭にパッと浮かんだ施設を答えたのだが……。
 
「正解です~。ド田舎出身の元貧乏村人にもカジノの噂が届いているのは喜ばしいですね~! でも~!」
 
 スっと紫色の瞳を細めたアリアは無造作に手をあげ--。
 
 バチィ!
 
 乾いた音が地下室に響き渡る。
 
 アリアの平手がカミルの頬を思い切り叩いたのだ。
 
「っ!?」
 
 レベル差とダメージ軽減の効果で痛みこそほとんどなかったが、いきなり頬を叩かれた衝撃にカミルは驚きの色を浮かべる。
 
 なんで?
 
 動揺したカミルの髪を乱暴に掴むと、アリアは自分の紫色の瞳と目が合う様に自分の方へと顔を向かせ--。
 
「誰に対してタメ口使ってんのよ? 道具の分際で敬語も使えないわけ? お前、自分の立場わかってんの?」
 
 ドスのきいた低い声で言い放つ。
 
 暴力を振るわれた事と、冷たい眼差しにいぬかれた瞬間、カミルの心は一瞬で萎縮し、折れてしまう。
 
「ひぃ! も、申し訳ありません! お許しくださいぃ! アリア様ぁ!!」
 
 半ば悲鳴に近い形で叫ぶカミル。
 
「分かればいいんですよ~? クズはクズらしく立場を弁えて下さいね?」
 
 怯えきった顔に満足したのか、アリアの眼から怒りの色が消え、愉悦に口元が緩む。
 
 髪の毛を掴んだままグリグリと頭を回すと、乱暴にカミルの腹を蹴る。
 
 痛みこそなかったが、彼女もまた自分を道具としてしか見ていないんだと思い知らされたカミルはこれからされることを考えて憂鬱になった。
 
「私は王国一のカジノでトップディーラーを勤めているのですが、これはあるスキルがあるからです。今日はそれをより強化するためにここに来たんですよ?」
 
「遊び人のスキル……ですか?」
 
「んふふー、このスキルは超レアスキルです。何せ、これがあったからこそ、私はカジノでトップに君臨してますから……ねっ!」
 
 ドスっ!
 
 アリアのヒールを履いたまま放たれた蹴りが深々とカミルの腹に食い込む。
 
「がはっ!?」
 
 さっきと同じくらいの力で蹴られたはずなのに、内臓まで揺れるような衝撃が襲い、胃液が喉までせり上ってきた。
 
 武闘家の一撃よりも重い!?
 
「んふふ! どうですか? アリア様の会心の一撃の威力は?」
 
 得意げなアリアに対して、なんと吐かずに済んだカミルは困惑していた。
 
 会心の一撃はごく稀に偶然でる大ダメージの事だ。
 
 なのに、彼女は会心の一撃が出るのをわかっていたかのような口調だった。
 
 そんな偶然の一撃を狙って出せるはずが……。
 
「わかりましたか? 私のスキルは確率支配。これを使えばサイコロの出目や役を揃えるのも簡単。まぁ、成功率はスキルの高さに直結しますが、今のは会心の一撃を出せる可能性を操作してみたんです。運良く100%の確率だったので、遠慮なく蹴らせて貰いました~」
 
「うっ……」
 
「まぁ、ここで会心の一撃狙いで君を痛めつけ続けるのもありだけど、私としてはスキルポイントが欲しいので、肉体的な責めをする時間は惜しいんですよ~。な・の・で……」
 
 カミルを獲物としてしかみていない残酷な光を瞳に宿しながらアリアは天井からカミルを宙ずりにする鎖の拘束を外した。
 
 ドサッ!
 
「うぐっ!?」
 
 手枷と足枷の自由がきかないカミルは受け身もとれないまま、無様に床に叩きつけられた。
 
 それを腰に手を当てたまま遥か高みから見下ろすアリアはヒールをカミルの顔の側まで近づけると--。
 
「屈辱的に虐めてあげますね~?」
 
 愉悦を浮かべた笑みで言い放つのだった。
 
 ◆
 
「まずはこのヒールを舐めて綺麗にしれくれるます? 仕事用で毎日歩いてボロボロなんですよ」

 靴を舐める。

 相手への隷属を誓う行為。

 とんでもなく屈辱的な行為なのに、カミルは命令に逆らうことはできなかった。

 度重なる女性からの暴力による恐怖だけではない。

 王妃がカミルを経験値生産機とする為、女性に絶対服従するように、とある魔法をかけたのだ。

 故にカミルは女性に逆らうことは絶対に出来ない。

 例え、どんな命令であってもだ。
 
「はい……わかりました」

 カミルは躊躇いながらもアリアの靴を舐めようと顔を床につける。

 どんな屈辱的な命令をされようとも実行するしか道はないのだから……。
 
「まずは靴底から舐めてくれます? カジノの中以外にもトイレとか行ったり、王都とか歩いたりもしてるから結構汚れてて困ってたんです~」

 舐めろいいながらもアリアはほんの僅かしかつま先を浮かさなかった。

 あれを舐めるには床に頬を擦り付ける様にして舐めなければならない。

 だが、少しでも躊躇ったり、必要以上に動けば……。
 
「あれ? どうしたんですか~? なんでそこで止まっちゃってるんですかぁ~?」

 アリアは靴を浮かせたままだ。

 当然躊躇するカミルに舐める気はないと思われているわけで……。
 
「もしかして私の命令が聞けないとか? ねぇ、どうなんですぅ?」
 
「い、いえ! そんなことはありません!」

 慌てて顔を床に擦り付ける様にしてアリアの靴を舐め始めるカミル。

「はは! 初めからそうしてればいいんですよ~? 惨めで笑えます~」
 
 頭上から投げつけられる罵声に、屈辱と恥ずかしさで顔が真っ赤になる。
 
 ザラザラと舌に広がる不快な感触に吐き気がした。
 
「はぅ……ん、んぁ……ペロ……」

 靴底を舐める屈辱に涙が溢れてくるが、アリアの命令に逆らうことはできない。

 カミルは懸命に靴底を舐め続けるしかない。
 
 そんな敗北者そのものの姿を腕を組みながら見下ろすアリアは甘美な優越感に抑えられない笑みが出てしまう。
 
「あはは! いいザマ~! どうですか~? 這いつくばって女の子に足を舐めさせられる感想は? しかも靴底とかちょ~汚いのに! 何踏んだのかもわからないのに、よくそんな必死に舐められるますね~? 命令だとしても私なら死んでも舐めたくないです~」
 
「…………」

 無理やり舐めさせておいてなんて酷いセリフだろう。

「て言うか、トイレにもこのヒール入ってるんですよ? 今日とか縁に飛んだ飛沫も踏んできましたし、他の女の子のも絶対こびり付いてるのに、ヤバいですね~。間接的に女のオシッコとウンチとかも舐めとるとかー! あはは!」
 
 ギュゥゥ!
 
「あががが!」
 
 カミルは床とアリアのヒールで舌を挟まれる様な態勢で舐めさせられていた。
 
 逃げられないようにアリアは踏みつける力に強弱をつけながら、カミルを嬲る。
 
「あはは! 無様~! ほら、もっと必死に舐め下さいよ~! ふふ! 辛いのはわかってますよ~? だってスキルポイントがどんどん増えてますからね~!」

 今度はアリアはつま先を逸らし、カミルが靴底全体を余すことなく舐められる様に見せつけた。
 
 深紅のソールにはヒールのメーカーの金色のロゴが刻印され、つるりとしてつま先部分は長年アリアによって酷使されてささくれ、傷が目立っていた。
 
 誇らしく刻印されていた金色のロゴもかすれ、かなり履きこまれていたのが窺える。
 
 そんな靴底を見せつけたのは、別にカミルが舐めやすいようにするためではない。
 
 靴底を舐める惨めな姿を見下ろされていると言う光景をよりはっきりとわからせるため。
 
 上下関係を思い知らせ、精神的な苦痛をより与えるためだ。
 
「んん、んぁ……ペロ……レロ……」

 屈辱に震えながらもカミルは靴底を舐める。

 だが、アリアはそんなカミルの必死さを嘲笑う様にケラケラ笑っていた。
 
 汚い靴底を舐めさせているという罪悪感など欠片も無い。
 
「あはは! もう全然舐められてないじゃないですか~? ほら、もっとちゃんと舐めないといけませんよ!」
 
「んぐっ!?」

 突然アリアが足に力を入れて、カミルを床に押し倒すと、そのままつま先でカミルの舌を踏みつける。
 
「あごげばたぢ!?」
 
「あはっ♪ 変な声~。舌踏んじゃっいました~。役たたずの舌はこのまま踏み潰しちゃいます? それともヒールで串刺しにしてあげましょうかね~? ねぇ、どうして欲しいですかぁ~?」
 
「あば、あば、あぇぇぇ!」

 アリアの恐ろしい言葉すらカミルの耳には入っていない。

 舌を踏みつけられたことで口を開けっ放しにされて呼吸をするのがやっとな状態になっていたのだ。

 呼吸の合間に必死に靴底を舐めようと舌を動かすが、その度につま先で押さえつけられてしまい上手くいかない。

 そんな無様な様をしばらく眺めてからようやく満足したのかアリアは足の動きを止めた。
 
「ねぇ? もうそろそろ飽きてきたんですけど~? 違う遊びしていいですかぁ~?」

「!!?」
 
 靴底でカミルの舌を踏みにじりながら、アリアは冷たく言い放つ。

 こんな酷い事が遊びと言い放たれた事にカミルは酷く打ちのめされた。

 彼女にとっては自分をどれだけ苦しめていても遊びに過ぎないと言われ絶望する。
 
 勿論、それもアリアの計算の内だとはまったく気づかないカミルだった。
 
 ◆
 
 靴底を舐めさせ終えたアリアは芋虫の様に床に寝転がるカミルを見下ろし、何処から取り出したトランプを手にしていた。
 
「知ってました? 君って大人気なんですよ~? 気になるお相手って言えば冒険者ならまずカミル君って答えるくらいに!」
 
 そんな人気になる様なことしてないのに?
 
 ちょっと嬉しい情報に喜びを感じたカミルだが、その後の言葉にすぐに絶望感の海へと叩き落とされる。
  
「まぁ、男どころか人間としてじゃなくてお手軽経験値生産機としてだけですけどね~? まぁ、便利なアイテムって扱いでですけど~?」
 
「うぅぅ……」
 
「あは! 悲しくて泣いちゃっいました~? ごめん~気づいてると思ってたんですけど~! 自分がもう人間扱いされてないってことには! あははは!」
 
 無邪気とも入れる口調で放たれた言葉のナイフは容赦なくカミルの心を抉り切り裂いていく。
 
「まぁ、それはそれとして~、実はカミル君に~靴底舐めさせるだけで、目標のスキルポイントは溜まってしまったんですよね~」

「!」
 
 その言葉にカミルは勢いよく顔をあげた。
 
 もしかして、終わりなの?
 
 そんな思いが顔に出てしまっていたのだろう。
 
 アリアは殊更意地悪な笑みを浮かべ、
 
「あは! もう終わりと思いましたか~? そんなわけないですよ? ば~か! まだ時間はあるんだから最後まで楽しませて貰うに決まってるじゃないですか~! わっかりやす~!」
 
「そ、そんなぁ……」 
 
「くふっ! またスキルポイント増えちゃった~! カミル君ってばサービスいいですね~。なら仕方ないからチャンスをあげます!」
 
 カミルの歪んだ顔を見て、上機嫌になったアリアはトランプをシャップルしながらーー。
 
「簡単なゲームですよ~? 今シャッフルしたカードの1番上がジョーカー以外なら残りの時間は虐めないであげますよ? でも、もしジョーカーならとびきりの罰ゲームをしてちゃいます」
 
「罰ゲームって……」
 
「それは教えられないですよ~? ゲームにならないじゃないですか? どうします? カミル君にありえないほど有利なゲームですよ、これ?」
 
 確かに54分の2しか外れないのだ。
 
 余程運が悪くなければ勝てる。
 
 普通なら……。
 
「そ、そのトランプ、実は全部ジョーカーだったりしないですよね?」
 
「そんなつまらない事するわけないじゃないですか! イカサマなしの普通のトランプですよ?」
 
 ケラケラ笑うアリアはトランプを捲って数字を見せてくれる。
 
 このまま拒否しても彼女はまた責め苦を開始しかねない。
 
 なら、やるしかない。
 
 カミルはゴクリと唾を飲み込んで、答えた。
 
「や、やります」
 
「あは! ゲーム成立ですねぇ? まぁ、私に勝てるわけないですけど~」
 
 意味ありげに笑ったアリアはトランプを目に見えない速度でシャッフルしていく。
 
「カミル君が止めた所で1番上のカードをめくりますよ?」
 
 カミルが目を皿のようにしてカードを注視しているのを見て、アリアは腹の中で爆笑していた。
 
(あ~、カミル君って本当におバカさんですね! 私のスキルを教えてあげたのに、勝てるわけないじゃないですか! だって、カミル君がジョーカーを引く確率--100%なのに! あんな必死な顔してバカみたい! あははは!)
 
 そう、アリアはゲームを仕掛ける前にすでに勝負をつけていた。
 
 カミルが絶対にジョーカーを引くように確率を操作していたからこそ、あんな提案をしたのだ。
 
 全てはよりカミルを絶望させるための演出。
 
 希望があるからこそ、絶望の味はより深いのだ。
 
 そんなことを知る由もないないカミルは、カードがどんどんシャッフルされる中、覚悟を決めて叫んだ。
 
「ストップです!」
 
 ピタッと手を止めてみたアリアは自信満々に手元を見下ろし、
 
「ふふ、天国か地獄か~カミル君はどっちを見ることになりますかにゃ~?」
 
 恐ろしい台詞とともにカードを捲るのだった。
 
 ◆
 
「そ、そんな……」
 
 アリアが捲ったカードの絵柄は死神が鎌を持った姿が描かれていた。
 
 即ちそれは……。
 
「あっは~! ジョーカー大当たり~!
 アリア様最強~! カミル君ってばザッコ~! あはは! さぁ、お待ちかねの罰ゲームの発表~!」
 
 愕然としたカミルに対し、アリアは興奮で頬を染めながらニンマリと笑いながら、宣告した。
 
「負け犬クソザコ勇者への罰ゲームはバニー様による人間便器の刑で~す!」
 
「!?……に、人間便器?」
 
 単語だけで何をされるのか想像がついてしまうが、あまりに、怖くて想像すらしたくなかった。
 
 そんな恐怖と絶望の表情をうっとりとアリアは眺めながら……。
 
「これ最高に楽しいんですよ~? カジノで全財産巻き上げて、人権まで賭けちゃって奴○堕ちした負け犬にもたまにさせるんだですけど、もう惨めすぎて超笑えるんですよ~! 勝ち組だけが味わえる優越感が最高で病みつきになるほど楽しいんです! だって同じ元人間を便器にしちゃえるんだから!」
 
「いや、いやいやですぅ! お許し下さいませ! アリア様ぁぁぁ!」

 カミルは必死に懇願するが、アリアは心底不思議そうに首を傾げる。
 
「なんでですか?」
 
「だって……人間便器って……そんなの」

 そんなの人間に対して事じゃない! と叫びたい所をなんとか堪えて言葉を濁すが……。
 
「別にカミル君は人間じゃないから大丈夫でしょ~? それにゲームに負けた負け犬に拒否権とかありません。ほら、仰向けになって口開けなさい! これは命令ですよ!」
 
「!」

 命令と言われた瞬間、カミルの意志に反して身体が勝手に動き、無理やり天井を仰がされる。

「きゃはは! 聞いてた通りですね~。命令されたらどんな事でもしちゃうんでしょ? これから人間以下のお便器にされるのに口開けて待っちゃうなんて! へ~んたい!」
 
 視界に広がるのは細長いアリアの美脚と股に食い込むような細いバニースーツ。

 そこには細い銀色のジッパーがついていて、アリアはカミルに見せつけるようにそれを下げていく。
 
 ジジジジ……。 
 
 徐々に露わになっていくアリアの秘裂。
 
 しっとりと濡れた黒い毛に覆われたそこは今か今かと獲物が待ち遠しくてたまらないと言いたげにヒクヒクと揺れていた。
 
「さぁ、負け犬。勝ち組アリア様からの~有難い聖水ですよ~? ありがたく飲んで下さいね~? きゃははは!」

 勝ち誇った笑みで言い放ったアリアの身体がブルっと震えたかと思うとーー。
 
 ジョロロ!!
 
「!?!?」

 開かれたジッパーから溢れ出す黄金色の液体がカミルの顔へ降り注いだのだ。

 生暖かく凄まじいアンモニア臭のそれは容赦なく口へと注がれていく。
 
「がぼっ!かぼっ!」

 あまりの勢いに言葉にならない呻き声をあげるカミル。

 そんな醜態を見てアリアは大喜びだ。
 
「あはは! なんですか、その顔~! なっさけないですね~! ちょっ、凄い勢いでスキルポイント増えてる! うわ~初めからこうしてもよかったですね~! 目を閉じちゃダメですからね? 自分が便器になってる姿をしっかり目に焼き付けるんですよ?」

 ゲラゲラ笑いながら黄金の聖水を頭から浴びせ続けるアリアに対し、もはや声も出せず、カミルは目を見開きながらおしっこを飲み続けるしかない。

 アリアはカミルにより屈辱を与えるようにわざと腰を振り、おしっこを顔中に浴びせかけた。
 
「!? ごぼっ! ごほっ!」

 鼻から入った聖水のせいでまともに息もできない。

 酸素を求めて口に溜まった分のおしっこを嚥下しようとしても、アリアのおしっこはカミルにそんな余裕すら与えてくれなかった。
 
「あはははは! 最高の顔ですね~! あ~気持ちいいです! まだまだ出ますよ~!」
 
 ジョロロロロ!
 
「がぼぼぼぼ!!」

 意識が遠のく……。
 
 地下室で溺死させられるのか、とすら感じ始めた頃、やっと顔に浴びせかけられる聖水の勢いが弱まり出した。
 
 長い長い聖水の放水を終えたアリアはゆっくりと立ち上がり……。
 
「ふぅ……スッキリしちゃいましたぁ」

 と、満足げに微笑んだのだった。

 そんなアリアに対して、ようやくまともに息を吸う事を許されたカミルは激しく咳き込みながらも、呼吸を整えようとしていた。
 
「げほっ!ごほ!おえぇ……」
 
「あは! まさか、罰ゲームで靴舐めさせるのの倍以上もスキルポイントが貰えるとか思ってなかったですよ~! ご褒美にカミル君が舐め舐めした靴でキスしてあげますね? 便器には勿体ないご褒美ですよ? 靴でとは言え、こんな可愛いアリア様からキスして貰えるんですから……ね!!」
 
「!?」

 未だに呼吸の整わないカミルがぼやける視界のまま声の方を見た瞬間、真っ赤なソールが凄まじい速度で顔へと迫り--。
 
 ガンっ!
 
「がぶっ!?」

 想像よりも遥かに強烈な一撃を受けてカミルの意識はブツリと切れてしまうのだった。
 
「あは!予期せぬ会心の一撃をがでちゃっいました~。 ふふ、それにしても楽しかったな~! あ~スッキリしたし、カミル君のおかげで私の無敗記録がまた伸びちゃいますね~? カジノに来たカモから毟りとって新しい便器を増やしてあげますね~! あははは!」

 そんな一言を残してアリアは地下室から去っていく。

 床に溜まったおしっこの海に沈んだカミルが意識を取り戻すの彼女が城から出たずっと後になるのだった。
 

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