映画「ブレイブストーリー」
映画「ブレイブストーリー」
まず、一言ですがこの作品は全年齢の皮を被った成人向け作品だと思います。
成人向け作品が好きな人はたぶん気にいると思います。
僕の好きな作品TOP5に入るかも知れません。
声優が下手などの意見があるかも知れませんが、たぶん監督はアニメでドラマが作りたかったんじゃないかと思います。この映画の主題歌の歌詞みたいに"下手くそで、気取りたく"なかった、とか…?
この作品はゲーム化なども昔されていて、ファンタジー色が強いので何となく僕は見なかったんですが、
映画を観てビックリ、煩悩まみれの文芸作品みたいな内容でした。
調べると小学五年生という子ども雑誌でも漫画化しているらしく、この内容を小学校向けにみせてたのもビックリです。
ジャンプ作品の人気漫画などに、心の中の自分自身と戦うシーンがある漫画があったりしますがこの作品にインスピレーションを受けた人は多い気がするんです。(勝手な偏見ですが)
というのも、明らかに別格なんですよね。(以下、軽いネタバレ)
地味で見逃されそうなんですが、
主人公が自分自身の弱さにハッと気付いて顔がアップで映るシーンで、
目は笑ってるのに口は笑っている…だけどそれ以外の複雑な感情がぐちゃぐちゃになってる顔の魅せ方とか、
裏の自分を受け止めないといけないけど、剣を向けられて逃げずに…それでもすごく怖くて震えてる主人公とか、
裏の自分を正面から受け止めるんじゃなく背中で……つまり、弱い自分に背中を向けながらそれでも自分自身なんだって言う主人公がすごく深いなと思うんですよね。
映画最後ではハッピーエンドなんですが……。
まぁ、元々のターゲットが子ども向けなのでそこへの配慮としてハッピーエンドにしたんだと思うんです。
でも、たぶん最後あたりのまる呑みにされたシーンで主人公は死んでます。
というのも、このへそ曲がり的なシナリオの作りでハッピーエンドはあり得ないんです。
もっと言えば、最後に主人公は女神様を見るんですが、風の集まりみたいな体なんです。
それは主人公が女神を…神様なんか嘘っぱちだと思ってるからです。
そして、最後の友人の妹に「君はあの時映っていた!」ってわざわざ口に出すのも含めて、主人公は自分がみたものしか想像出来ないんです。だから女神様も透明な体なんです。
そして、映画最後に友人が映るシーンで友人の目が映画のフレームに入らないんですよね。
僕は最初、映画クライマックスとして感動的な感じにするために映さなかったのかな?と思ったんですが違います。
主人公はその友人を救ってあげれなかった罪悪感で目が見れなかった…主人公の目線って意味だと思います。
しかし、主人公は友人の方向…顔をはっきりと"向いて"はいるんです。
そして、何より飲み込まれた主人公は十字架みたいな武器にしがみ付いて脱出するんです。その意味は…ね。
意味がわかるとこの作品は鬱作品なんですが、そのまま観るとたぶん「アクションシーンもパッとしない理屈が少しある子ども向け作品」にしか見えないんですが、
シーン1つ1つに考察しがいのある素晴らしいアニメ映画です。