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【二次創作】ましろ色シンフォニー 紗凪ルートから十数年後のお話し

はじめに

🔲ぬこ部ってなに?🔲
 人間の身勝手な土地開発のせいで行き場を失った
 動物たちを一時的に保護して、
 自然へ帰すことを目的とした部だよ。
 でも時代の移り変わりもあって、
 昔よりは、ゆるい雰囲気の部活動になったみたい。
 現在は新聞部を兼任してる子もいるから、
 野良猫の里親募集なんかも積極的にしているよ。


🔲天羽 みう🔲

 
 ぬこ部を創った天使のような人だよ。
 でも、エッチの時には少し堕天するみたい。
 それはそれでちょっと興奮しちゃうね。
 学園を卒業した今でも、
 ぬこ部の部室には顔を出していて、
 後輩たちの手伝いをしてるようだよ。
 身長は低いけど、おっぱいが大きくて、
 ものすごく美人だから女子部員の憧れの存在だとか。
 なのに恋人はいないなんて、もったいないね。

🔲乾 紗凪🔲

 みう先輩と同じように、
 初期のぬこ部の活動を支えたすごい人だよ。
 言葉遣いは女の子っぽくないけど、
 本当は優しい子なんだ。
 でも、素直な感情表現が上手じゃないから、
 学生時代は誤解されることも多かったみたい。
 本作の主人公である『理央』のお姉ちゃんで、
 未だに、弟のことは子供扱いしてるようだね。
 みう先輩とは真逆なタイプだけど、
 学生の頃よりずっと美人になって、
 その男前の性格もあって、
 女子部員のガチ恋勢も多いらしいよ。

🔲乾 理央🔲

 本作の主人公だよ。
 この春、結姫学園に入学した1年生で、
 色々と注目されている存在みたい。
 素直な感情表現が下手なのはお姉ちゃん譲りかな?
 でも、本人には口が裂けても言わないけど、
 紗凪お姉ちゃんには感謝してるみたい。
 ぶっちゃけ、男のツンデレって鬱陶しいだけだから、
 早く素直になってほしいよね。

🔲岬 楓恋(かれん)🔲

 現ぬこ部の部長で、
 前部長を含めた他部員たち全員の推薦で、
 部長に選ばれたらしいよ。
 前部長はメイドさんだったみたいだね。
 相手が誰でもすぐ仲良くなれちゃう不思議な人で、
 瀬名学園長からは、もうお前が学園長やれよって
 言われてるのだとか。
(あの人、まだ学園長やってたんだ)
 今回は、この楓恋との出会いが中心のお話だね。
 余談だけど、
 こういう先輩って、散々年上ぶらせた後で、
 後背位で屈服させたくなるよね。


🔲なんで今さら紗凪ルートその後?🔲

 元々、PSP版の紗凪ルートを書いていた時に、
 理央を主人公にしたましろ色シンフォニー2とか
 面白そうって冗談半分で話してたみたいなんだ。
 あくまで引退したライターが趣味(二次創作)で
 書いたものだから、
 ここの記事を覗きに来てる物好きな人たちだけで、
 静かに楽しんでね。
 内容はPSP版紗凪ルート準拠で、
 もちろん、非公式だよ。


「あのな……お前、そんなに子供が欲しいのかよ」

「……わかった、わかった。だったら好きにしろ」

「言っておくけど、お前が子供を産んでも、
 俺は責任なんて一切――」

「あれ?
 そこにいるのって、もしかして首席くん?」

「!?」

「やっぱりそうだ。
 キミって、遠くからでも目立つね」

「うちら、3年の間でも話題だったもん。
 結姫学園統合以来、トップレベルのイケメンが、
 首席で入学してきたって」

「…………」

「で、首席くんはさー」

「その呼び方、やめてもらっていいですか?」

「じゃあ、なんて呼べばいい?」

「新入生代表挨拶の時、周りがうるさくて、
 名前よく聴き取れなかったんだよね」

「……乾(いぬい)です」

「下の名前は?」

「そこまで教える必要は、ないと思いますけど」

「そうかな?」

「あたしは、知っておきたいと思ってるよ」

「だって、キミ――」

「うちの部に入部希望でしょ?」


子供の頃から、自分の名前に抵抗があった。

理央という、女みたいな名前。

小学校に入って、
それをバカにされたこともある。

だから、今では滅多なことでは名乗らないし、
下の名前で呼ばれるのも苦手だ。

そして、それとは別にもうひとつ。

俺には、人前では口にしなくなった、
言葉があった。

「キミってさ、猫に話しかける時、
 女の上客を堕とすホストみたいな
 顔するのね」

「どういう喩えですか」

「女を狂わせるぐらい、
 優しい顔をしてるなーってこと」

「…………」

「猫、好きなんだ?」

「別に」

「あははっ、ほんと噂通り。
 キミって面白いね」

「噂?」

「そ。せっかくの美形顔なのに、
 女の子相手には無口で無愛想」

「おまけに――」

「いつも、動物に話しかけてる変なヤツ、
 ですか?」

「…………」

 小学校に入るまでは、当たり前だと思ってた。

 ――動物は、人間の話す言葉がわかる。

 でも、それは世の中の常識ではなかったらしい。

 何度もそのことを笑われるうちに、
 いつしか、俺はそんな『非常識』を口にしなく
 なっていた。

「この子、野良ちゃんなんだけど、
 もうすぐ、盛りの季節みたいなんだよね」

「あたしもよく、言ってやってる」

「いつの時代も、泣くのは女なんだから、
 簡単に子供を作ろうとするなって」

「奇遇だね。
 あたしもキミと同じ、
 動物に話しかけてる変なヤツなんだ」
 

 その屈託ない笑顔に、思わず目を奪われる。

 そうだった。

 昔から、
 ここには俺を笑うような人たちはいない。

 だから、堪らなく居心地が良くて。

 幼い頃は、毎日のようにここの部室へ
 顔を出していた。

「……でも、乾って名前、
 どこかで聞いたことあるんだよなー」

「うちのぬこ部のOBとかで、
 乾姓の人っていたかな……」

「乾なんて名前、珍しくもないですよ」

「みう先輩は『天羽』だし、
 紗凪先輩は『瓜生』でしょ?」

「うーんと、あとは……」

「……その先輩たちは、
 今でも部室に顔を出したりするんですか?」

「ああ、みう先輩と紗凪先輩?」

「うちの部に入れば、
 すぐ顔を合わせることになるよ」

「部の創部メンバーなんだけどね。
 今でもうちらのこと、気にかけてくれてるの」

「あ、でも、二人ともめっちゃ美人だから、
 変な気を起こさないようにしてね」

「……二人のことは見慣れてるので平気です。
 片方は、どうでもいいですし」

「あれ、先輩たちと顔見知り?」

 隠す必要もないか。

 遅かれ早かれ、
 アイツと顔を合わせればわかることだ。

「昔、ここの部室によく遊びにきてたんです」

「瓜生紗凪は、俺の姉なんで」

「ふーん、そうなんだ。
 紗凪先輩がお姉さんねー」

「って、えええええーっ!?
 てことは、紗凪先輩の弟ってこと!?」

「声、でっか」

「そういえば、言ってたっけ。
 今度、弟が結姫に入学するかもって……」

「でも、瓜生? ……あ、そっか。
 先輩は、結婚したから苗字が変わってたのね」

「理解が早くて助かります」

「言われてみれば、確かに美男美女の姉弟だし、
 納得ではあるけど……」

「もしかして、キミが女の子に無愛想なのって、
 美人な姉と一緒に育ったから、
 目が肥えすぎて他がジャガイモや茄子に見えるとか?」

「あんなの、美人だと思ったことないですよ」

「みう先輩は?」

「あの人は美人ですね。ていうか、天使です」

「うわー、露骨ー……」

 それにしてもよく喋るな、この人。

 でも、会話をするのが苦じゃないというか、
 妙に落ち着いてる自分がいる。

 初対面でここまで気を許せたのは、
 子供の頃に出会った桜乃さん以来か。

 不思議な感覚だ。

「確認しておくけど、
 姉弟の仲が悪いわけじゃないよね?」

「お姉さんのこと、
 あんなのとか言ってたけど……」

「仲は良いほうだと思いますよ」

「……あと」

「姉貴のことは単純に人として尊敬してます」

「どうしようもないクソガキだった俺を、
 見捨てずに、面倒見てくれたので」

「……また、その顔」

「え?」

「なるほど、そっか。キミって、そういうことか」

「なんの話ですか?」

「キミが、女殺しのホストみたいな顔をする条件。
 なんとなく、わかっちゃった」

「いちいち、ホストを喩えに使わないでください」

「もっと、増えたらいいね。
 キミがそういう顔でいられる時間」

「…………」

「そうだ、自己紹介がまだだったっけ」

「あたしは、3年の岬 楓恋(かれん)。
 ぬこ部の部長をしてるの」

「うちの部がどんな活動をしてるかは、
 説明する必要ないよね?」

「……なんで、にじり寄ってきてるんですか」

「いやー、うちの部って女子ばっかりでさ。
 ずっと男手が欲しかったんだよねー」

「いきなり、肩組んでこないでください」

「なんで? うちの部に入部希望でしょ?」

「まだ決めてません。考え中です」

「もう、焦らし屋さんだなあ。キミは……」

 歴代のぬこ部の部長は、
 前部長を含めた、皆からの推薦で決められている。

 俺はこの人のことを何も知らないけど、
 部長に選ばれたということは、
 それなりの理由があるんだろう。

 それが、何なのか気になった。

「……先輩は、どうしてぬこ部に入ったんですか?」

「ぬこ部に入った理由? そんなの決まってるでしょ」

「子供とか動物が好きな女の子って、
 男にモテそうじゃん!!」

「…………」

「失礼します」

「いやいや、待って待って!
 最後まであたしの話を聴いて!」

 頭痛がする。

 今のぬこ部は人手不足なのか?

 どうやら、この人は誰も候補がいなかったから、
 仕方なく部長に選ばれたパターンみたいだ。

「……あたし、大昔に運命の出会いを
 したんだよね」

「いわゆる、初恋ってヤツ?」

「どうでもいいです、そんな話」

「んじゃー、ここからは独り言」

「あたしさ、子供の頃に自分の家で
 飼ってた猫を殺しちゃったんだ」

「!?」

「家の中で放し飼いしてたんだけど、
 あたしが玄関のドアを閉め忘れちゃって……」

「その隙に、外へ脱走しちゃったんだよね」

 家飼いの猫が外に逃げるのは、珍しい話じゃない。

 家によっては、来客時に猫の脱走を防ぐため、
 玄関先に『猫を飼っています』という、
 ステッカーが貼ってある場合もある。

「必死に猫を捜して、見つかった時には……
 路上で車に轢かれちゃってた」

「あたしが玄関のドアを閉め忘れなければって、
 すごく後悔した」

「二度と猫なんて飼わないって、
 その場でずっと泣きじゃくってさ」

「……そんな時、ひとりの男の子が、
 あたしを救ってくれたんだよね」

「路上で横たわってたうちの猫を抱き上げて、 
 このままじゃ、また車に轢かれちゃうからって……」

「その子があたしに言ったこと、
 今でもはっきり覚えてる」
 

「『大好きだったものを嫌いにならないで』って」

「あたしに、自分が持ってた、
 白い猫のぬいぐるみをくれてさ」

「……その一年後ぐらいかな」

「あたしは、親に頼んでまた猫を飼ってもらった」

「今でも、大好きだったものを嫌いにならずにいる」

「それが、あたしがここにいる理由だよ」

 話をしている間、先輩はずっと優しい眼差しで
 猫たちを見つめていた。

 それだけで、ぬこ部の部長に選ばれた理由としては
 充分だった。

「あと、動物たちに関わってたら、
 いつかその男の子と会えたりしないかなーなんて」

「きっと、その子も動物が好きだろうし、
 もらったぬいぐるみ、きちんと返したいしね」

「普段から持ってたぐらいだから、
 すごく、大事なもののはずなんだ」

「…………」

「頭の中、お花畑だーって笑う?」

「……笑いませんよ」

「それに、その男の子も喜んでるんじゃないですか?」

「今でも先輩が猫を好きでいてくれて……」

「そうかな?」

「そう思います」

「だといいな」

「…………」

「こらこら、あたしにそのホストみたいな
 笑顔を向けるな」

「あたしには心に決めた初恋の相手がいるんだから、
 誘惑しようったって無駄よ?」

「そこまで暇じゃないです」

「ふーん、そう」

「忙しいなら部活動するのは無理かな〜?
 そっか、残念だなー」

「ウサギ、こんなにかわいいのになー」 

「……待ってるよ、入部届け」

 気がつくと、話のペースを握られてる。

 やりにくい相手だ。

 でも、嫌な気はしなかった。

「乾理央です」

「え?」

 あらかじめ、ズボンのポケットに入れていた
 記入済みの『それ』を差し出す。

 同時に深く頭を下げて、先輩への敬意を示した。

「今日から、ここの部でお世話になります。
 よろしくお願いします」

「……なんだ、入部届け持ってきてたんだ」

「理央くんか。いい名前じゃん」

 結姫学園に入学してから、
 ずっと、自分の居場所がないように
 感じていた。

 女みたいな名前も、
 動物相手にしか心を許せない自分も、
 みんな、嫌いだった。

 嫌いになっていた。

 でも――

「じゃあ、改めて」

「ようこそ、結姫学園ぬこ部へ」

「うちのかわいい部員たちを紹介するね」

 目の前の笑顔に釣られる。

 部室の中から聴こえてくる明るい笑い声。

 動物たちをあやす、優しい声色。

『もっと、増えたらいいね。
 キミがそういう顔でいられる時間』

 そうだ。

 昔から、ここは。

 たくさんの『そういう顔』が
 集まる場所だった――。


本当は1話に一人ずつ登場キャラをピックアップして、
4話完結にしようと思ってたんですけど、
色々とやらなきゃいけない作業が増えてしまったので、
1話で打ち切りみたいです(笑)。

最後に登場予定だった、
里桜(りお)ちゃんの話は書きたかったんですけどね。

理央が小学校に入って、
女みたいな名前だって馬鹿にされる原因にもなった、
隣の家に住んでる里桜ちゃんは、
小さい頃から、
二人で一緒にぬこ部へ入ろうと約束してましたが、
訳あって、里桜ちゃんだけ入部できていません。

そんな幼馴染のために、
いつもクールな理央きゅん感情を爆発させるのが、
共通ルートの山場という勝手な妄想(笑)。

でも、自分で絵素材を作って、
それ前提で話を書くようになると、
正直、ゲームのシナリオを書ける気しないですね。
多少演出を盛ったとしても、
立ち絵の表情差分&ポーズ差分だけでは満足できない
体になってしまった……!

GWは、この絵素材を作るので力尽きたので、
PSP版紗凪ルートの話は、次の更新にしときます。
考えてみたら、個人のサイトで紗凪ルートの話を
したことってほとんどなかった気がするので、
書きたいことがたまってr

無印のましろ色で、
キャラ紹介4番目で人気でなそうだし、
プレッシャーかからないからという
理由で担当ルートにみう先輩を選んだ人間が、
一番プレッシャーのかかるルートを書くことになって
しまった悲哀の裏話をお楽しみください(笑)。

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