早いもので「Bar Yaminabe」を公開してから一年が経ちました! 先月に!(おい
という事は当サークルも活動一周年……という大事な記念日を完璧に失念しておりました(おい
ワクワクしながら活動を再開させて、ちまちまゲームを作って、ドキドキしながら公開してから既に一年……。
Bar Yaminabeは未だに私の原点というか、心の支えとしてずっとそこに存在しています。
制作にかかわって下さったみなさま、プレイしてくださったみなさま、本当にありがとうございます!
一周年記念として、以前シチュスクに参加した時に限定公開した音声と、その直前の彼を書いたSSとイラストを置いておきます。
今後もどうか貴方の心の片隅に存在するこの小さなバーをよろしくお願いいたします。
優しい彼に見守られながら、ゆったりマインスイーパー【Bar Yaminabe】フリー公開中!
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一周年記念SS
えのき、エリンギ、かぶ、かぼちゃ……。
ゆったりとジャズの流れる店内で、「10月の食材」というページを眺めながら各食材を思い浮かべる。
どれもバーにはあまりイメージが合わない。
小豆、あんこ、ごま、ピーナッツ……。
ピーナッツはおつまみによさそうだが、逆に普段とあまり変わり映えしない。
いちじく、柿、栗、りんご……。
これもカクテルに入れるには難しい……か?
栗がごろっと沈んだシャンパングラスを想像して、ふっと笑みが漏れる。あの人もそんなカクテルが出たら笑いそうだ。
笑って……くれるだろうか。
楽しそうなあの人の笑顔を想像し、そっとメモ帳に「栗?」と書き留める。
「10月の魚」と「10月の海産物」を読み飛ばすと、もうそのページは読み終えてしまっていた。
はぁ、と一つ溜息をつき、一言しか書かれていないメモ帳を眺める。
「栗シャンパンで攻めてみるか……」
言葉にするとあまりにもネタっぽくて、さすがに気が引ける。
一応、いちじくとりんごジュースとカボチャスープも用意しておこう。
後はミネラルウォーター、自家製の梅酒、緑茶、玄米茶、あの人のふるさとの日本酒、フランス産の赤ワイン。一度悪酔いして以来頼まなくなった白ワインと、一口飲んで涙を流したウイスキーも。
あの人が今までに注文した物全て。
こうしてリストアップすると、自分があの人の事をあまりにも知らない事実に胸が痛む。
これ以上踏み込んだら確実に痛みが増すのはわかっているのに、どうしても踏み込みたいと思う事をやめられない。
踏み込んで、あの人の事をもっと知ることができたなら、もっと力になれるだろうか。
もっと、あの人に寄り添う事ができるのだろうか。
ほんの少しでも、あの人の幸せに貢献できるだろうか。
今はまだ、旬の食材をネタに笑顔にする事が精一杯だけれど。
あの人にとって、ここが安らぎの場所になるように。
泣きたい時だけじゃなく、笑いたい時にも来たいと思ってもらえるように。
「もっと、君の話を聴かせて。君の事を教えてほしい」
伝えよう。今度あの人が来てくれた時には……。
……。
……やっぱり、さっきの旬の魚と海産物にも目を通して
カランコロカランコロン―――。
来たっ!
逸る心を落ち着かせ、振り返る。
「おう、いらっしゃい」