投稿記事

2021年 05月の記事 (5)

映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 ドラッグにフォーカスして語ってみた


監督:マーティン・スコセッシ 出演:レオナルド・ディカプリオ

実在する人物 ジョーダン・ベルフォートの自伝『ウォール街狂乱日記』を元に作られた回顧録。ひたすらジョーダンの成り上がりと金と女とドラッグを描いている、上映3時間にも及ぶ超大作です。

キャッチコピーは「貯金ゼロから年収49億円 ヤバすぎる人生へ、ようこそ」

この映画を撮るにあたってレオ様はジョーダン・ベルフォート本人から話術やセールストーク、相手を引き込むテクニックを何時間にも渡って教授されたとのこと。盲目の羊、強欲の豚を狩る『狼』であるための秘訣といったところでしょうか。

実際ジョーダンがやっていたことは、ペニー(クズ)株を詐欺的な文言で売りつける、自らも売りつけた株を所有、風説を流布し値が吊り上がったところで売っぱらう(そうです犯罪です)ことなどで褒められたことではないんですが、後悔や懺悔の意識の微塵もない主人公と、この物語に引き込まれるうち、この世界には法やモラルは存在していないんじゃないかと錯覚してしまうほどです。


コネも学歴もないジョーダンは、金持ちになる野望を抱きウォール街の投資会社へ入社。そこで彼の思想の根底にまで影響を与える事となる上司、ハンナと運命的な出会いをすることになる。

下ネタには愛想笑い、ドラッグは別の世界のもので関わりのない
純朴な青年のジョーダンはハンネから、この世界で成功する秘訣は
『常にリラックスすること』(ほう・・・)
『とにかくマスをかくこと』(ん・・・)
『そしてコカインだ』(・・・)
と伝えられます。

それが血の巡りや頭の回転を良くし『数字』に侵されないためのコツであると
そして顧客の満足や実益は無視し、仮に儲けが出たら欲を刺激して更にまた他の株を買わせろと。

『コカイン』もさることながら
「トイレでいつでもシコれ!」なる台詞は中々衝撃的で
オナ禁の恩恵に触れ、アダム徳永氏を心の師と仰ぎ、その流れで

早漏改善
や、元となっているソッチ系の東洋思想に傾倒し
房中術
(男女(陰陽)の気の循環、交流のイメージ化や身体操作によって精液を保留しながらするセックスの技法)

をテーマに音声作品を作っているものとしては、まったく相容れない思想ではありますが、これは一理あるなとも思います。オナ禁 オナしまくり 遅漏 早漏は所謂『癖』の分類であり、身体性の適材適所や性的な取捨選択の受ける影響(効果)の違いこそあれど、どちらが優れているだとかそういうものではないと。

話がそれました。

運命的なメンターとの邂逅も果たし、専門資格を取得し意気揚々と出社したジョーダンは、1987年の『ブラックマンデー』により職を失う事になる。

失業したジョーダンは「株式仲買人」の職を見つけ、小規模な会社ながら巧みなセールストークでボロ儲け、荒稼ぎをし一気に社内の英雄となる。

そんなおり、声をかけてきた家具屋のドニーに月収を聴かれ「7万ドル」だと答えると、すぐに家具屋をやめるから下で働かせてくれと言われる。そのお礼にと手渡されたお土産にてコカイン(クラック)を(多分初めて)摂取。ゴリラのようにドラミングせずにはいられないほどハイになり、全力で走りだすジョーダン。やがて自分の会社を設立し物語も疾走を始める。

異常なほどの勢いで業績を伸ばし、『師の教え』を超越し、会社には常に売春婦が常駐、取引を終えた高揚感そのままにオフィス内で公然セックス。コカインどころか(性病のお薬も含めw)あらゆるドラッグを使用。

処方箋薬も含め合法、非合法、様々なドラッグが手に入る環境にあるジョーダンの一番の『お気に入り』
『クエイルード』(鎮静剤として不眠症患者のため製造された有効成分メタカロンの非バルビツール酸系睡眠薬。飲んで15分眠気を我慢するとハイになる途轍もないほどの嗜好性もち乱用と中毒者を生んだ。)
は社内会議でも使用され
普段ではありえない閃きや記憶の中の情報を表層化させていました。

この『クエイルード』のオーバードーズ(過剰摂取)のシーンは本当に秀逸で、ライムスターの宇多丸師匠はこのシーンだけでもこの映画を見る価値がある!と言い切っておられました。

そんな乱痴気や絶頂は、ずっと続くわけもなくFBIによって、マネーロンダリング、インサイダー詐欺容疑で逮捕され会社を離れることになる。

しかし、そんな失敗にもへこたれることなく、すぐ次のコンサルや講演事業に着手

絶世の美女ナオミとの情事で、文字通り『みこすり』で果ててしまったジョーダンが、即座に自分のモノをしごき色んな意味で奮い立たせ、また向かっていくシーンはこのようなジョーダンの『へこたれなさ』を示唆していたように思えますw

数年後…ナード風のどうしようもない感じの聴衆達が見つめる舞台の上には、生涯『狼』であることを象徴するかのように、オーラをまとったジョーダンの姿が映りこの物語は幕を閉じます。

フォロワー以上限定無料

無料プラン限定特典を受け取ることができます

無料

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

いがらしみきお「I」


いがらしみきお「I」

作者の代表作のほのぼの動物ほんわかギャグ漫画『ぼのぼの』みたいな感じを
期待して読み始めた人は、トラウマ級の衝撃を受けたであろう
昭和30年から平成23頃までの史実の日本が舞台のフィクションです。

テーマはひたすら『生とは何か』『死とは何か』『神とは何か』を描いており

医者の家系に生まれ、何不自由ない暮らしをしながらも常に『自分とは何か』を思索している『雅彦』と
生まれてすぐ両親と死別し『社会』の枠組みの外側にいる存在で、一切の教育も受けていない、シャーマニックな不思議な力を持つ『イサオ』の
二人の成長や人生を描いた青春ライフストーリー…

と呼ぶには余りにも深く、哲学的な、『見てはヤバいと呼ばれる領域』を
まざまざと直視させられる様な『実存ホラー』と言ってもいいほどのシロモノです。

家族と食卓を囲み
テレビのニュースの中の出来事だけに『学生闘争』を見て
バラエティーの『コント55号のなんでそうなるの』を皆で笑い
恋人とデートで映画『卒業』見にゆくような田舎の普通の青年の
平凡な日々の暮らしのドラマの傍らで、心の中やモノローグでは

『この人たちは誰なのだろう。そしてこの世界。ここは一体どこなのだろう』
『同じ世界にいるのに誰の事もわからない 
皆ほんとに同じ世界で生きているのだろうか』
『なぜ生まれてきたのか なぜ生きていくのか』
『なぜ死んでしまうのか だれも知らないままだ』

の様な離人的な(メタとは違う)観察者のような観点で
他人や世界との隔離的な独白が綴られています。

そんな折

自ら呼吸を放棄し、息と共に心も体も鎮まった臨死状態のイサオに触れながら
その状態をエンパスし、自分、自我、自意識、各『自』を超えた所で初めて
世界とのつながりを認識します。

そして、そこで感じた『神』を模索しに、イサオと共に旅に出ます。

子供の出来ない農家や、宗教的な農業コミューンをまわるうち
雅彦は様々な深淵を覗くことになる。

この物語において『神』は

『自然の全て、そしてそのシステムや整合性がもう奇跡』
だという汎神論的なものから
『生まれて初めて見た偶像(トモイ)』

『人間の知覚や認知では感じられないもの』
『直感によって感じられる言語に因らないもの』

『超常的な能力を持つ人物』
『すべての人、そして自分自身(I)』

『普遍(不変)の母性』『無償の愛』

など様々な観点やシーンの移り変わりにより
ある種の矛盾を孕みながら語られてゆきます。

そして、その『答え』を出さず、衝撃的ともいえる最後の一ページの
台詞とビジュアルにて読者に『それ』を問いかけるよう終焉を迎えます。

フォロワー以上限定無料

無料プラン限定特典を受け取ることができます

無料

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

漫画『サ道』 サウナ×アカスリ


週刊モーニング23号 タナカカツキ(著)『サ道』

カーテンの向こう側に未知なる『ととのい』と題されて始まる今週の『サ道』
今週号のテーマは・・・『サウナ×アカスリ』(とうとう来たなこの時が)

アカスリは日本のサウナにおいて、近年出てきた『ウィスキング』と同じく
まだまだ、その真価が見出されていない素晴らしいものの一つだと思います。

主人公が友人から、その良さを力説され、初めて体験することになる
オススメの施設のアカスリ。施設サイトの宣伝文句には、
「アカスリのあと 休憩チェアーで『ニルバーナ』へ どうぞ」

(期待が高まりますw)

一コマでサラッと、まず先にサウナに入り(時間を合わせ)『ととのい』直後にアカスリを受ける順序が説明されています。かなり手間かもしれませんが、ここはかなり重要なポイントだと思います。自分の入り方は、そこでさらにもう一度サウナにはいり、その休憩タイムにて至高の『ととのい』へと向かっていきます。

そして、『母性そのもの』みたいなキャラのおばちゃんから施術を受け
その時のイメージを、ポエムのような台詞とともに
恍惚状態で空に浮かぶ赤ん坊と、こう表されております。

「この無防備な快楽は… 遠い記憶を呼び覚ます…」
それは赤ちゃんのときの肌の記憶
初めて世界に触れた人間の原体験
自分一人では生きていけない
与えられ得る愛だけが すべてだった世界…

・・・実は私も(サウナと合わせた)アカスリを初めて受けた時
まさに『一皮むけた』文字通り『無垢』な状態で
サウナトランス(ととのい)を迎え、ほんとに同じような印象を感受しました。

はがされて、やがて水に流されていったのはアカ(皮脂や角質などの汚れ)だけではなかったと思います。確実に。

そして、『このかんじ』は、退行系の音声作品の催○の誘導(喚起)によって
表現(再現)したい事そのもでもあります。


とまあ宣伝もそこそこに、
ばっちりハマると相乗なんてもんじゃない『サウナ×アカスリ』

母体回帰の一歩手前
生まれたて を 迎えさせ
リ・バース(再び誕生)するような
リバース(折り返し)を

肯定的になれることが自明の
非日常的な恍惚と安らぎの中
感じてみるのもいいかもしれません。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

ウルトラヘブン


小池桂一(著) 漫画『ウルトラヘブン』

現在までに単行本が3冊創刊されている(多分)未完の作品です。

一部の方々に異常なほどのカルト的人気を誇る超寡作の漫画家。

漫画版の『AKIRA』のような緻密な書き込みによる作画と
唯一無二のコマ割りによる幻覚や神秘体験のビジュアライズ。

薬事法改正で、大幅にドラッグの使用が認められる事となった近未来を舞台に
自身もそれらを使用する、退廃的な、お薬売人青年の物語。


超越的な存在として描かれている登場人物の見た目が『ケン・ウィルパー』

元は大学教授で、量子力学を掘るうち脳の研究に行き着き、その後、瞑想センターを創出する事になる人物が、教祖『ラジニーシ』や、その筋でとっても有名な薬理学者『アレクサンダー・シュルギン博士』のような風貌。

作家の『ウィリアム・バロウズ』をモデルに書かれたであろう人物が差し出してくるドラッグのカクテルの名前が『ノヴァ・エクスプレス』
などなど

ソッチ系の蘊蓄のツボをくすぐる登場人物やシンボルのオンパレード。

ディズニーのようなファンタジーな幻覚は、ほとんどなく
幽体離脱や現実と幾何学を織り交ぜたような主観
エッシャーのだまし絵やアルチンボルドのような錯視
複視や残像の連続、白昼夢にデジャブやタイムリープ
観ている者が『その時』用に用意されたであろうコマ
(酔いにより浮き上がってみえたり不意に繋がったりする)
臨死体験に走馬灯、記憶や原体験、無意識のイメージを
ひたすら幻視する内省的なトリップが
これでもかと描かれております。

ハンターハンターの冨樫先生もびっくりの
10年程で3巻分の超スロー連載の、この作品の幻覚模写は
一部の情報によると、その時期時期に流行った代表的な
ドラッグのエフェクトの変遷と符合しており

後追いじゃない(色んな意味で)現役で追っていたガチ勢の方々は、
そうそうwコレコレwこのかんじwwwアルアル
みたいな感じで読んでいたんでしょうか(笑)

【 420円 】プラン以上限定 支援額:420円

このバックナンバーを購入すると、このプランの2021/05に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

催○ガール


大嶋信頼 著『催○ガール』

著者は様々な自己啓発本を何冊も出版されている現役の心理カウンセラー。

主人公のJK 夏目明日香が書店で偶々ミルトン・エリクソン(催○の大家)の本を
手に取ることがきっかけで始まる『催○』そのものをテーマにした珍しい物語です。

そして、高校生の少女の、悩みや心の機微を描いた、しっかりとした青春小説でもあります。

夏目ちゃんにとっての『催○』は、
スラムダンクの桜木花道における『バスケット』であり
はじめの一歩の幕ノ内一歩の『ボクシング』であり
ちはやふるの千早の『競技かるた』
ゆるキャン△における『キャンプ』
俳句ガールにおける(以下略

青春時代に出会う、それまで知らなかった異文化との
邂逅の物語でもあります。

現役のカウンセラーの描くある種、独特な心理描写。
催○や暗示の説明と効果、主観による時間の感覚の変化、
ふと眠りに落ちる瞬間や起き抜けのまどろみ、 
ゾーンにばっちりはいってゆく感じ、
そして催○をかけたり、かけられたり…

この様なシーンが何度も丁寧に描かれていて
読者の無意識をやさしく引っ張り出してゆく。
そして、引き込んでゆく。

実際この物語を読んでいるだけで、催○にかかったような感覚になった
というような感想もチラホラ見かけます。

被暗示性やエンパシー、イメージの視覚化が強めな人は
かなりの確率でそのような不思議な感覚に持ってかれると思います。

そして、催○を軸とした青春群像の面白さに加えて、読んでいるうちに自然と説明されている催○のハウツー的な要素もふんだんにあるので、催○をテーマに作品を作ってるものからしたら一挙両得の小説であり、素晴らしい物語でした。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索