「このはと」装甲戦闘車
■「このはと」装甲戦闘車
最近、共通戦術装輪車の話題があったから少し検討しているのだけれども……。
帝国陸海軍の装甲車って言えば、九二式重装甲車や九七式軽装甲車、海軍九三式装甲車などが有名だね。
で、九二式重装甲車は熱河作戦で次々に落伍していく八九式中戦車と違い、敵部隊を追撃している。また、退却中の敵部隊を140㎞にわたって追撃しこれを撃破し承徳陥落の先陣を務めた。この際、追撃距離は最終的に3日間で280kmと歩兵部隊の3-4倍の速度だったという。
九七式軽装甲車も九四式軽装甲車の欠陥を改善し、豆戦車としては最終的に洗練され、南方作戦において各地で活躍し、マレー電撃戦においてもその機動力を遺憾なく発揮している。
さて、そういうことを考えると、「このはと」世界でもこの手の装甲戦闘車、豆戦車の類はそれなりに重視されるものになりそうだと思う。
特に追撃戦や迂回挟撃など帝国陸軍が比較的得意とする戦闘において活躍するであろうことは想像に難くなく、騎兵連隊を改組した捜索連隊の主戦力として望まれる存在であるだろう。
また、戦車開発が中戦車/重戦車方向へシフトする場合、どうしても軽戦車の代替兵器が必要になり、それを補う存在を考えると、こういった存在になると思う。
そういう意味で共通戦術装輪車的な存在が丁度浮かんでくる。というか、そももそも陸上自衛隊が構想している用途がまさにそれだからなんだが、ただし、これの場合、兵員輸送車的な側面もあるわけで、それは89式装甲戦闘車も同様なのだが、その辺を考慮するとどうしても、九七式軽装甲車の5t級どころではなく、15-25t級になってしまう。
つまり、この時点でそこまでの性能を望む場合、四式中戦車と同等のサイズ感を覚悟しないといけない。
まぁ、一式装甲兵車という兵員輸送車があるが、これが7t級で6mmの簡易装甲があるのだが、非武装であり、これをベースにしたところで、重機関銃を装備するのが関の山だろう。そうなると、九七式軽装甲車の様な装甲目標をも相手にできる能力は確保できない。
よって、そのあたりを考慮するとADGZ装甲車を輸入してベースとした形で12-15t規模でと考えるが、これでも九七式中戦車と同等のサイズ感だから、難しいよなぁと思う。
おそらく、参謀本部側が許容しうる最大重量は8-10t程度だろうから、それに収まるそれを考えると結局、一式装甲兵車というそれになってしまう。
結局、装甲戦闘車は装甲戦闘車、装甲兵員車は装甲兵員車として別枠で開発して装備することが適当なんだろうなと思う。それであれば、最大でも10t以内に収まるから兵站を圧迫しなくて済む、そして同じ予算で数を揃えることができると参謀本部が納得するだろう。
それはシャーシの共通化などを断念するしかないという結論に至ってしまうのだが、うーん、仕方がないかなぁ。