有坂総一郎 2023/04/23 12:00

戦時における戦車のあれこれ

■戦時日本の戦車生産数

チハの1938-1941年までの生産数は三菱だけで以下の通り。
38年25、39年202、40年315、41年507
月産凡そ40-45両がMAX。これは三菱におけるチハの生産能力でだ。

米戦略爆撃団の調査における日本の戦車総生産数では以下の通り。
41年1024、42年1165、43年786、44年342、45年94

昭和産業史の総年産数が以下の通り。
41年1190、42年1290、43年780、44年295、45年130

三式チヌの45年生産数が111両だから昭和産業史の方が数字としては実態に近いのではないかなと思う。一応陸軍省の資料などを基準に作成された数字だという。

陸軍造兵廠を含む各社の年産MAXは凡そ110両、内半数を三菱が担っているという考えた方が良いだろう。三菱の月産40両程度はチハだけの数字だから実際はさらに増えることを計算に入れる必要がある。

そうなると、1個戦車連隊が40両程度だから毎月2個連隊と補充分が製造出来る余地があることになる。

これを多いと見るか少ないと見るか微妙なところだな。


■発動機と車両重量と行政と

300馬力台のガソリン発動機搭載の戦車の可能性。

装甲を強化しようと思うと250馬力台ではチヘ/チヌ水準が限界であるのは言わずもがな。前面50mm、側面35mmを一つの基準に考えると最低でも20t級は覚悟しないといけない。

そうなれば300馬力台は大前提となるし、Ⅳ号戦車みたいに将来発展性を考えると350-400馬力台は欲しいところ。

そんな都合の良い発動機はディーゼル発動機では存在し得ない。

であれば、自然ガソリン発動機となるわけだが、この際適当な発動機となるとW12やV12級のそれを考える必要がある。実際問題、存在しないわけではない。ぶっちゃけローレンぶち込めば事足りるわけだし、稼働率とか整備性無視すればチリと同じでハ9をぶち込めば良い。

けれど、問題はそこではなく、その必要性、必然性が「このはと」の37年春時点であるのかということ。

もしそれを望むなら試製チト57mmと大差ないことになる。それってどうなんだろう?

まぁ、チハ甲、チハ乙の発展系としてチリやチト(チヌ)という分岐はアリだと思うが、その場合、燃料事情考えるとそう簡単に陸軍省が首を縦に振るのかと疑問なんだよなぁ。

そういう意味でも安易に350-400馬力を狙ってガソリン発動機というのは選択しづらいなと。


■追記

思うのだが、薄い薄いというけれども、三式チヌとⅣ号F2ってそんなに装甲の違いないぞ?車体側面と砲塔後部が5mm負けているけれど、車体/砲塔正面は一緒だし、砲塔側面なら5mm勝ってる。

そりゃ、G型以後と比べたらダメだけれど、そこま言うほど酷くないぞコレ。

それもⅣ号は圧延鋼板だけれど、チヌは第二種防弾鋼板や第三種防弾鋼板であるから同じ厚さでも耐久度が違う。※ギリギリ焼入処理鋼板を使っている頃合だったと思うけれど、それでもそこまでの差はない。

Ⅳ号相手とするなら不当な風評被害じゃねぇのかな?

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