有坂総一郎 2023/04/23 12:00

標準軌重貨物用蒸気機関車

標準軌重貨物用蒸気機関車

いくつか参考にしている機関車性能だが・・・・・・。

鉄道省制式の貨物用蒸気機関車はD51形とD52形がある。いずれも最高速度は85km/hである。一部の宅扱専用急行貨物などではC51形と専用貨車を用いて95km/h運転を実施しているが、これは例外である。

そして、標準軌の満鉄及び鮮鉄はどうかというと、マウンテン形式(2D1軸配置)の重貨物用蒸気機関車が存在していた。これは満鉄マテイ形、鮮鉄マテニ形が90km/hとなっている。満鉄ミカニ形が100km/hであるが、満鉄ミカシ形が80km/hであることからミカド型式(1D1軸配置)は日系に限って言えば実用が80-90km/h程度と考えるべきだろう。

同時期のドイツの重貨物用蒸気機関車と言えば50形や52形が代表的であるが、これらも80km/hで、45形は90km/hである。いずれもサンタフェ型式(1E1軸配置)であるが、思ったほど高速運転を行っていない。その事情は占領地における運行ということを考えると本国は兎も角、保線状態やボイラー水確保という問題をクリアする必要があり、それを考えると闇雲に高速性能を求めるわけにはいかない。

そして、ドイツ国鉄は帝政崩壊に至るまで帝国を構成する各領邦が独自に運営する領邦鉄道が主体であったことから戦間期の20年弱で全国一律のサービスというわけにはいかない。

米帝のUPRなどではチャレンジャー形が110km/h、ビッグボーイ形が130km/h、FEFシリーズが160km/hと高速運転が行われていたが、これも単純に高速だからと手放しに判断基準にして良いモノでもない。

額面速度=牽引速度ではないからだ。牽引定数は勾配によっても制限を加えることになる。よって、重要なのは高速運転するにあたっての牽引定数になる。

空荷であれば機関車単機でも同じ車両数を牽引可能だが、勾配などを加味する速度低下どころか、牽引能力が極端に低下するため、途端に機関車3重連といった具合に必要数も変化するのだ。

よって、重視すべき点は運行速度を維持しつつ牽引定数を維持するかというところになる。

そういう部分で考えると、ロッキー山脈を越えるべくパワーが必要なUPRに頭のイカレたハイパワー機関車やハイスピード機関車が集中しているのは当然の帰結というモノなのだろう。

1両で3重連、4重連と同じ性能を発揮させることを前提としているのだからそんなものである。

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