BL短編集「学園もののBLゲームにモラルがなさすぎて風紀委員の貞操が危ういです」試し読み
【学園もののBLゲームにモラルがなさすぎて風紀委員の貞操が危ういです】
外面がよすぎる姉は、反動で家では奔放。
家族がいる居間の大画面のテレビで18禁のBLゲームをしたり。
高校の部活帰りにエッチシーンを見せられ男の喘ぎを聞かされる俺の身にもなってほしい。
はじめのほうは大画面をあまり視界にいれないよう、居間に滞在しないよう気をつけていたのだが、なんだかんだ耳から情報がはいってしまい。
毎度毎度流れるエッチシーンの組みあわせがちがうのに、ついに「この高校のモラルはどうなってんだ!」と激昂。
ゲームの舞台はなんたら学園で、攻略相手はほとんど男子高生。
俺と年の変わらない連中が学校中に散らばってエッチしているなんてどうかしている。
「ゲームなんだから大真面目にツッコむんじゃないわよ」
「いくらゲームでも現実離れしすぎだろ!
よく漫画とかで学校でエッチしているけど、実際しているのは、ほんの一握りのいかれ野郎だ!
この学園、狂人しかいないのか!」
以降、姉とは喧嘩しまくり。
その間も続行するプレイ画面を見たり、姉の話を聞くうちに、すっかりゲームに詳しくなり、推しキャラも見つけた。
風紀委員の金義だ。
金義も攻略キャラの一人とはいえ不人気。
というのも、主人公と相手がいい雰囲気になると笛を吹いて「不純性行為は許さない!」と妨害をするから。
そりゃあ「BLゲームだろうと節度を!」と訴える俺が応援したくなるもの。
その声援が届いてか、金義がでしゃばり、攻略がままならず姉は苛苛。
「こうなったら、金義を落としてやる!」と宣言をし、それを聞いた夜に俺は眠れず。
【むせるようなお前の汗の匂いを本能的に俺は求めてやまない】
俺の鼻は利きすぎる。
おかげでエッチができやしない。
顔よし人柄よし家柄よしで、そこそこモテるものを、いざ彼女とベッドインすると、香水や服の柔軟剤の匂いが鼻について萎えてしまう。
といって、あまり人工的な香りをまとわない女子を選んでも下半身は意気消沈。
エッチになると発熱したり発汗したりで全身から放たれる匂いが濃くなるに、ふつうの人なら屁でもないのが、敏感な俺には耐えがたいのだ。
このままでは鼻のせいで、だれともエッチができず一生を終えるかも・・・。
高校生のときに自覚してから、そりゃあ焦りに焦って。
「死ぬまで童貞なんかいやだ!」と体臭が気にならない女子がいないものかと探し求めつづけて十年。
二十代半ばまでは、節操なく女子にアプローチをしたのが、そのせいでトラブルが多発。
以降は大人しくして「こりゃあ一生童貞確定かなあ」と半ば諦めつつ、つねに鼻をひくつかせ、運面の人といるような相手を探していた矢先。
同い年の黒崎が我が社に転職をしてきた。
爽やかな筋肉質のイケメンで、女性社員は大歓迎。
女子でない俺も惹かれて、ふだんは鼻のせいもあって人と距離をとりがちなところ、積極的に声をかけ、仲よしに。
というのも、黒崎は人工的な香りをまとわず、且つ体臭も鼻につかなかったから。
【デスゲームの究極の選択で因果応報に俺は辱めを受ける】
年齢職業立場さまざまな男女が目を覚ますと、そこは見知らぬ密室。
謎のしかけ人が、彼らに試練を与え、生きのこりを懸けたゲームを強いる。
いわゆるデスゲームを、オンラインでプレイ。
反則ぎりぎりに人を騙し、裏切り、蹴落とし、貶めて、嘲笑い、悠悠と一人だけ生きのこり、日々のストレスを発散。
高校では、品行方正の優等生を演じているから、こうしてゲームで押し殺した心を解放しないことには、やっていられないのだ。
もちろん、被害にあったプレイヤーの間で悪評がたつとはいえ、裏技で新しいアカウントをいくらでも作れるからノー問題。
新しいアカウントでプレイするたび「初めての参加で緊張しまあす」とぶりっ子をし、崖に落ちそうな人の手を、高笑いをして踏みつぶすなんて鬼畜なプレイを楽しんでいたのだが。
ある夜、プレイ中に寝落ち。
がくりと頭が落ちて目を覚ますと、そこにはゲーム内の光景が。
証言台がいくつも並んで円形に。
中央にむかって立つ人人が見渡せる。
円になって向かいあい俺たちを、巨大な悪魔が見下ろし、振り子をゆらゆら。
【「兄ちゃん」と呼びながら俺を抱かないでくれ】
ある町の一角には男の立ちんぼがいる。
体を売りたい男が、買ってくれる男を待ち受ける場所。
大学生のころ思いつめた俺は、この場所に訪れたが、そのときちょうどおっさんが青年を突きとばして。
仲裁にはいり、青年を逃がして以降は、体目的で行くことはなし。
ただ「また揉めてやしないか」と心配で、たまに覗きに。
立っている男のなかには、弟と近い年の子もいたから。
社会人になっても見にいったのだが、その日は、あきらかに浮いた一人を発見。
パーカーにジーンズと冴えない格好をし、縮こまって目を泳がせっぱなし。
しかもだ。
弟に顔や体つきが似ているし。
そりゃあ、放っておけず「きみ、ここがどんな場所か知っているの?」と声をかけると「し、しし知っています!」と必死にすがりつくように、まくしたてて。
「お、俺を百万で買ってくれませんか!
相場より高いと思いますけど、殺さなければ、な、なななんでも、していいですから!」
「ば、ばか、こんなところで、めったなことを叫ぶんじゃないよ!」と慌てて腕を引っぱって、その場から退散。
カフェにはいって、あらためて話を聞いたところ。
【詰襟のヤンキーがくたびれたサラリーマンに「俺のものになれよ」と迫ってきます!】
会社で俺は女性社員にイジメられている。
正確には元カノ。
元カノは、自分の浮気が原因で別れたくせに、会社で交際中のことを暴露して俺の悪口を吹聴。
まあ、ほとんどの人は「口を動かすより仕事しろ」と呆れて相手にしないが。
とりまきが彼女を囃したて、俺にいやがらせをしてくるから厄介。
今日もその一人が、重要な仕事の伝達をしてくれず、残業をする羽目に。
くたくたになって帰宅し、ベッドにダイブしたいのを堪えてパソコンへ。
起動したのは女性向けの恋愛ゲーム。
OLが主人公で、年齢さまざま、立場もいろいろなイケメンが攻略対象。
このゲームは、元カノがはまって俺の家のパソコンにダウンロードしたもの。
今もゲームをやっているようで、俺の悪口ついでにゲームの愚痴を喚きちらしている。
それを聞いて「あいつが攻略できない男を落としてやる!」と躍起に。
面とむかって抗議できない代わりの、俺のささやかな復讐なわけ。
さて、元カノがてこずっている相手は詰襟のイケメンヤンキー。
【箱いり息子の若手社長は俺と子供をもうけたい】
俺の勤める会社をしきるのは敏腕の女社長。
その女社長が新たな事業を立ち上げたいと、若い一人息子に会社を譲った。
若手社長は俺と年がさほど変わらず。
箱いり息子のお坊ちゃまとのことで、歓迎会はあえて俗っぽい居酒屋にし、若手社長が「無礼講に」というので、どんちゃん騒ぎ。
定番の王様ゲームも、知らない若手社長を交えて大盛りあがり。
「一番が三番に熱烈なプロポーズを!」と王様が命令。
「一番」は俺「三番」は若手社長。
すっかりできあがっていた俺は、深々と頭を下げ、手を差しだして叫んだもので。
「どうか俺と子だくさんの幸せな家庭を築いてください!お願いします!」
そのあと頬っぺたにちゅーしたらしいが、覚えていなく。
二日酔いを引きずっての出勤。
頭痛に眉をしかめつつ、ドアを開けたなら、アパートのまえに黒光りの高級車。
窓がおりてお目見えしたのは「おはよう」と若手社長。
頬っぺたにちゅーが頭をよぎり「ど、どどどしたんですか!」と慌てるも、彼は澄まして曰く。
「婚約者と出勤したいと思うのは当然じゃないか?」
耳を疑ったとはいえ、狭い道に長く車を待たせるわけにいかず、とにかく乗りこむ。
すこし時間をおいて切りだそうとしたら、先に若手社長がぺらぺらと。
「きみはたくさん子供がほしいんだろ?
だったら、どれくらいの頻度でするか、どちらが生むか、今から決めておかないと」
どうやら、おとといの王様ゲームのつづきらしい。
といって、冗談でもないらしい。
いや、もし真に受けたとして男が子供を生めるわけ・・・。
そう疑問に思うも、はっとする。
噂では「結婚は糞だ!」と豪語する女社長たる母親が、監禁レベルで世俗と切りはなし育てていたというから。
それほどの箱いり息子なら、誤解を正すのは大変。
「こりゃ時間がかかる」と思い「す、すこし考えさせてくれませんか」と今はスルー。
「すまない、急かしてしまったな」とあっさり引いてくれ、ほっと一息。
ちょうど会社に到着し、気まずいのから逃げたくて「すみません急ぐので」降りようとしたところ。
猛スピードの自転車とぶつかりそうに。
すかさず若手社長が俺の腕を引っぱり車内に。
しばし若手社長の胸にもたれて「しゃ、社長!」と顔をあげれば「大丈夫?」とイケメンスマイル。
あまりの、その眩さに目がつぶれそうに。
「俺、社長の子供を生めるかも・・・」
自分のデスクで呟いたなら同僚は呆れつつ「早めに育休申請しろよ」と応じたものだ。
【酒癖のわるい教師はお節介な男子生徒に毎晩、お持ち帰りされている】
俺は酒が弱いくせに、酒を飲むのがやめられない。
おまけに酒癖がわるい。
おかげで周りに迷惑をかけまくり、いい加減、懲りたので、今では人とは飲まず。
友人が経営する地下のクラブ、隣の空き店舗で一人で酒を飲み、一人で笑ったり泣いたり暴れたり発狂したり。
元カラオケバーだから防音が利いているし、どうせ両隣の店舗は音楽をがんがん鳴らしているし。
酔っぱらったまま外を跳びだす危険もない。
なぜか、扉は外からしか開けられず、朝近くになって友人が起しにくるまで、自分を閉じこめておけるわけ。
そうして対策万全に酒を煽っていたのだが、その日は目覚めると、アパートの自室。
「運んでくれたのか」とあくびをして起きあがり「ん?」とふりむいたところ、隣に寝ている男が。
見覚え大あり。
担任をするクラスの生徒、満田だ。
俺はパンツ一丁だし、満田はTシャツにパンツ。
「まさか・・・」と息を飲んだところで、相手が起きあがり「とりあえず、コーヒーいれてよ」と眠そうな顔をしながらリクエスト。
乞われるままコーヒーをいれ、あらためてテーブルを挟んで向きあうと、これまでの経緯を教えてくれた
【俺の風呂を覗いた侯爵令息が逆恨みをしたので十倍返だ!】
家の風呂に浸かりながら、スマホで動画観賞。
中世ヨーロッパ風の世界を舞台にした乙女ゲームの広告が流れたとき、地震が起こり、立ちあがった俺は足を滑らせ、蛇口に頭を強打。
目を眩ませたまま湯船に落ちて、だんだん意識を遠のかせていき。
「ぶはあ!」と水面から跳びだして見回したそこは、きらびやかな大浴場。
失神する直前に見ていた乙女ゲームのプレイ画面とそっくりな。
たしか、なんちゃら伯爵令息が決め顏で「私と裸のつきあいをしないか?」と臭い台詞を吐いていたような。
なんて思い起こしていると「お前!そこでなにしている!」「お坊ちゃまの風呂を覗いているのか!」と窓のあるほうで騒ぎが。
慌ててそばにあったタオルを腰に巻いて、脱衣所らしいところに避難。
身支度を整えたら、父親らしい伯爵に呼ばれて広間に。
そこにいたのはテーブルに膝をついて頭を抱える父らしき男と、それを慰める愛らしい女の子、おそらく妹。
「ああ、セロルド、急かしてすまない」と顔をあげつつ、長いため息をついてから風呂場の一件について説明を。
【ガチムチのメイドを舐めまわすように眺める教授の脳内がふしだらすぎる】
物心ついたころから、俺は人の脳内イメージを見ることができた。
案外、人は人と向きあったり、物事に打ちこんでいるとき、関係ないイメージを思い浮かべていたりする。
たとえば、笑いあいながら、脳内では相手の首を絞めているとか。
どちらかというとマイナスのギャップが多く、あまりにかけ離れたイメージのえげつなさに吐き気を催すことも。
それでも人間不信に陥らず、比較的まともな生活を送れているのは幼なじみの光輝のおかげ。
光輝は俺の透視のような能力を知っているし、態度と脳内イメージの差異がほとんどない。
たとえば「お腹空いたあ」とまぬけな顔をすれば、脳内には大好物のからあげが浮かびあがるといった具合だ。
どれだけ人の醜い一面を覗いても、ほぼ裏表のない光輝と接すると「人も捨てたもんじゃない」と救われる。
そうして癒されることで、この特殊能力に人生を振りまわされながらも、なんとかやり過ごしている日々。
光輝なしでは生きられないといって過言でなく、末永く友人として良好な関係を保ちつづけたいと思ったのだが。
その日は大学の学園祭。
光輝が所属する柔道部は「ガチムチメイド喫茶」をやると聞いて遊びに。
【いじらしい生贄の男は大蛇に抱かれて食べられてもいい】
ある山に人食いの白い大蛇がいたそうな。
そりゃあ、多くの者が恐れおののいたが、入山する人は絶えず。
なにせ、その山はどこよりも豊かだったから。
年がら年中、木の実や果物、茸、薬草、山菜がとれて、猪や鹿、兎なども溢れていた。
というのも、大蛇のおかげ。
大蛇は人を食らったあと、しばらして唾液をとばす。
それが土に染みると山に生命力が漲り、植物や動物の成長や活動が精力的になるのだとか。
そのことが分かり、ある村の長が大蛇に頼みごとを。
「一人、生贄にさしだすので、代わりに我が山にきてくれませんか」と。
村の山は土砂崩れによって荒廃したため、大蛇の力で甦らせようとしたのだろう。
それ以降、同じような山に大蛇は招かれるように。
今に至るまで行われているという。
「だから、わるい子は生贄にされてしまうよ」
施設の先生に聞かされたのを、俺は迷信だとは思わず。
だって「わるい子は鬼に食べられる」と脅すのに比べたら、前提の物語が具体的だったから。
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