ダラナ 2024/01/26 20:35

BL短編集「同い年なのに『パパ』とよろこんで腰を振らないでくれ」試し読み


電子書籍のサンプル↑



【同い年なのに「パパ」とよろこんで腰を振らないでくれ】



町に友人と遊びにいくと、たいてい保護者にまちがわれるほど、俺は渋い顔つきとダンディな風体をしている。
目鼻立ちがはっきりとしているから、たまに英語で話しかけられるし。

私服姿だと四十代くらいと思われ、制服姿だと不思議そうに見られたり、他校の生徒には「どれだけ留年してんだよ」と冷やかされたり。

といって、中身は年相応の男子高生。
「テストやだー」と渋渋、勉強をして、部活に精をだして、山盛りの飯を食い、友人と好きな女の子やアイドル、下ネタで盛りあがり、ときにバカをやって笑いあう。

渋い面がまえを見慣れた周りは、ふつうの高校生のように扱ってくれるに、学校では問題なく青春を送れていたのだが。

「やんごとなきお人がくるらしいぞ」と転校する前から噂が。

国有数の大企業の息子が、セレブ御用達のインターナショナルスクールから、なぜか平均的なこの公立校に転校してくるという。
「受験をまえに庶民の学校を知っておきたいから」とか。

果たして、俺のクラスにきた彼、城之内は、ふるまいも言葉づかいも目を見張るほどエレガントで、制服を着こなしすさまは、ただならぬ風格があった。
しかも中身を伴っているようなイケメン。

クラスが浮き立つなか「じゃあ、権田のうしろの席に」と先生は俺のほうへと人差し指を。
ゆったりと歩いてくる城之内は、あるていど近づいたら足を止め、目を丸丸と。

予想どおりの反応とはいえ、その発言は思いがけず。

「・・・パパ!」



【助平な武闘家は二人もいらないし勇者の身がもちません!】



この世界で武闘家の地位は低い。
というのも、魔法を使えない落第者だから。

魔物と対峙するのに、人は生身ではとても敵わない。
だから魔法などの特殊な力がいるわけで、皆無の人間が物理で立ちかかうのは無謀。

どれだけ格闘に秀でた人でも、対魔物では攻撃力も防御力も低いし、逆に負傷したり死亡するリスクは高い。

「その高い志と、たゆまぬ努力は認めるが、正直、戦いにつかえねー」というのが本音で、武闘家はかろんじられていたのだが。

勇者たる俺の率いるパーティーが、洞窟に踏みいったときのこと。
町にいやがらせをする魔物討伐のためだったが、相手は知略に長けていたようで。

俺らが油断した絶好のタイミングで、毒沼に落としやがった。

沼からでる間もなく、白魔導師が解毒する間もなく、四方から魔物の襲撃。

回る毒をどうすることもできず、体力が削られていくなか、そこそこ強い魔物との戦闘。
じり貧でしかなく、魔物の攻撃を受けるのに精一杯で、打開策を考える暇もなく。

「ここが死に場所か!」と思ったそのとき。
俺らが落ちてきた穴から、男が跳びおり、地面に足をつくやいなや「どっせい!」と拳を突きあげた。





【肌の焼け跡がいやらしい彼と身を焦がすように乱れて交わる】



誰でも人にはいえないフェチの一つ二つくらいあると思う。
俺の場合は特殊で、肌が焼けたところと焼けていないところのコントラストと境目がたまらない。

ただし男に限る。

とはいえ、俺は日に焼けにくい体だし、今では男でも肌対策をしがちな時代。
肌を焼くにしろ、日焼けマシーンで全身をやるから、オセロのようなコントラストをお目にすることはすくない。

「昭和に生まれたかった・・・」と褌姿の男たちの写真を眺めつつ、あきらめないでトライアスロンのクラブに所属。
長時間、日に当たる競技だけに、俺好みの肌のコントラストと境目がある人がいるのではないかと思ったが、なかなか。

今どきの日焼け止めの効果とマシーンの有能さを恨みながらも、競技をつづけて、運命の人を探したところ。

はじめた動機は不純でも、やるなら本気とあって、大学生になると全国大会に出場するまでに。
「全国から集まる選手の中に、もしかして」と目を光らせたところで、いた。

日焼け止めを塗っていないのか、一際、黒光りする肌を誇る彼が。
まわりに聞くと、高校生のころから名を馳せている選手で、オリンピック代表候補なのだとか。





【子供を生まないためにも俺が攻略したいのは令息より父親の侯爵です】



俺は乙女ゲームがきらいだし、この世からなくなればいいと思っている。
というのも、ゲームのキャラに彼女を奪われたからだ。

金髪に青い瞳の紳士的なイケメンにして、良家の侯爵令息、エリオット。
彼女がこいつに夢中なあまり「エリオットのために時間をもっと費やしたいし、課金するため働きたいから、もうあなたとは会えない」とふられてしまい。

泣いて土下座までさせられて、引くしかなかったとはいえ、まだ彼女のことが好きだったし、あまりに屈辱的なふられ方に納得がいかなかったし。
やり場のない怒りを、実在しないゲームキャラに向けるしかない、虚しい日々を送っていたところ。

電車の事故に巻きこまれて死んだらしく、まさかの忌まわしい乙女ゲームに転生。
しかも主人公のヒロインに。

ただし顔つきも体つきも男のまま、股間には重たいものがぶら下がったまま。
なぜか性転換しないまま、きらびやかなドレスをまとい、我ながら不恰好だと思うが、まわりは「ああ、今日もなんと可憐で美しい・・・」とうっとりしてため息をついている。

まあ「令嬢に扮したとんだ変態!」と騒がれたり処刑されるよりは、ずっといい。
問題は結婚について。




【女装した教師の秘め事を目撃した俺はもう取りかえしがつかない】



高校の担任の古賀先生は冴えない。

眼鏡をかけた地味な顔をして、いつも猫背で気弱そう。
声が小さくて、たまに聞きとれないし、必要最低限にしか生徒と接さず、職員室でも孤立しているという根暗。

ホームルームがはじまって古賀先生が教壇に立っても誰も気づかないほどに存在感が薄かったのが。

その年の学園祭は、生徒会命令で、学校の全員、男子が女装を女子が男装をすることに。
男子はネタ的なやつが多かったが、なかには女子に「女をやめたい!」と唸らせる珠玉も。

なんとその一人が古賀先生。
ヘアメイクを担当した女子曰く「いやー!羨ましいほどの美肌!そして化粧ばえ!」らしく、見ちがえるような美女に。

化粧をして服を身繕った女子の腕前による賜物か。
清楚なお嬢さまに変貌した古賀先生に見惚れて、寄りつく醜い女装男子ども。

古賀先生が生徒にちやほやされるのは珍しい光景とはいえ、俺にはもう一つ気になることが。
クラスメイトの剛城がその群れを睨んでいること。

柔道部所属の坊主のガチムチでメイド服を着用。
喫茶店で給仕をしながらも、たびたび鋭い視線を向けている。

古賀先生になのか、掌をかえして、もてはやす女装男子になのか。




【勇者になった俺はふたなりの魔物のおっぱいを揉みしだきたい】



俺がはまっているRPGには厄介な魔物がいる。
誘惑を得意とする「ドダケ」だ。

ふつう誘惑は魔物のオスがかければ、人間の男には効かないし、メスがかければ、女には効かない。
が、ふたなりだから男女どちらにも有効だし、かなり強力。

遭遇した場合、ほぼ必ずドダケが初めのターンになり誘惑を発動。
誘惑を解くアイテムや魔法はないし、あったとして使う間もなく誘惑された男女は殺しあい。

「ドダケを抱くんだ!」「ドダケに抱かれるのは私よ!」と争った末の勝者を、もちろん抱くことも抱かれることもなく、おまけに自分の手でくだすこともなく雑魚たちに袋叩きにさせるから、もっとむかつく。

遭遇すると全滅する確率が高いし、といって逃げようにも、その前に誘惑されて、お手上げ。
なので、多くのプレーヤーは出現しやすい場所を、魔除けを持って通過するのだが、俺は懲りずに挑みつづけている。

豊満なおっぱいが揺れるのを睨みながら「誘っておいて、やらせないなんて許さない!」とやや、ずれた怒りを抱いて、困難なドダケ討伐を果たそうとしたのだが。

ゲームを一旦、休憩し、ベランダに干した洗濯物を取りこもうとしたとき。
なぜかカラスに襲われて、目をつむり手を振っているうちに転落。

俺の部屋は五階とあって「なんて死に方だ!」と覚悟をしたはずが、目を見開いたら、そこはRPGの世界。
どうやら転生したらしく、しかも俺は主人公の勇者。




【俺のお乳を飲みたがる従弟を止められない】



俺は従弟に甘い。
「エッチの練習させて」と抱かれるくらいには、大甘だ。

ただ、練習の甲斐なく「『へたくそ!』ってフられた!」と泣きわめいたし。
すぐに新しい彼女をつくったとはいえ「ねえ!また練習させてよ!」と頼まれて、さすがに呆れたし。

俺の恋愛の考え方は古風で、恋人や結婚相手以外と性交するのをよしとしない。
対して従弟は性については奔放。

もし従弟が俺を好きなら、考えなくもないが、彼女持ちなんて冗談ではない。
二回目となれば「練習」も通じず「俺は好きな人とエッチしたいの!」と断言したものの「えーべつにいいじゃん」と従弟はあきらめず。

断りつづけても、定期的に「練習させてよ」と求めつづけて、俺も従弟も退かないでいたところ。

その日は両手を叩いて「兄ちゃんのお乳飲ませて!」とお願い。
「寝言は寝ていえ」と一蹴して済ませたくても、俺は従弟に甘いから、事情を聞く。

「いやね、母ちゃんが『粉ミルクでもあんた立派に育ったね』っていうからさ。
聞いたら、母ちゃん、お乳がでなかったんだってよ。

てことはだよ?
赤ちゃんが誰しも吸ったおっぱい、そのお乳を俺は飲まずに育ったわけ!

お乳を飲まなかったことで、なんか俺、欠陥があるように思えて!」




【悪役令息の俺が王子たちに夜○いをされてどうする】



ゲーム会社に勤めている俺が今、手がけているのが乙女ゲーム。
中世ヨーロッパ風の世界が舞台で、不憫な侯爵令嬢が、平民から王子まで多彩なキャラに思いを寄せられるという内容。

男キャラはほとんど主人公ラブだが、一人だけ悪役令息は例外。
家同士の因縁があり、主人公を恨んで「幸せになるのを許さん!」と恋路を邪魔しまくり。

まあ、所詮は噛ませ犬だし、相手がわるい。
なんとこの国の王子五人が、主人公にぞっこんで後ろ盾になっているから。

心優しい主人公は、王子にチクることはないものを、いつかは露見して、悪役令息は懲らしめられる。
そのシーンの制作をしたときは、目も当てられない悪役令息のぶざまさを見て、いっそ哀れんだほど。

なんて思いいれのある悪役令息に俺がなろうとは。
交通事故で死んで、制作していたゲームの世界に転生してのこと。

まだ王子に悪事がばれていなかったので「惨めな未来から救ってやる!」とそれを第一目標にして行動。
まずは主人公と親御さんに土下座をして謝り、自分で垂れ流した彼女の悪評を払しょく。

ある程度まわりの誤解がとけてから、因縁が深い家同士の仲をとりもち、ぎすぎすした関係を改善。
すっきりさっぱり和解をして、主人公とのわだかまりをほぼゼロに。

ここまで立てなおせば、過去の悪事に王子も目をつぶってくれるだろうと思ったのだが。





【水分補給に汗を舐めるお前は狂っているが体を許す俺も大概だ】



知っていたはずなのに。
体育倉庫はドアを閉めると内側から開けられないことを。

野球部にはいって、はじめに念いりに教えられたのを、同級生の部員、和馬とのおしゃべりに夢中になり失念。
ドアが閉まる音に振りかえったときには、時すでに遅し。

体育倉庫はグランドの隅にあり、校舎から遠いから声は届かない。
さっきまで練習をしていたとあり、スマホもないし。

「最後に監督が更衣室を見回るから、そのとき気づくだろう」と和馬がいうに、むだに体力を消耗しないよう、大人しく待つことに。

ただし、監督がきてくれるまで体力がもつか。
夏真っ盛りとなれば、夕方でも熱いし、窓の小さい体育倉庫はサウナのよう。

「熱中症で死んだ生徒もいたってニュースで・・・」と憂鬱になる俺の隣から水音が。
見やれば、一心に腕を舐めている和馬。

眉をしかめる俺の視線に気づき「これなら水分補給できるし、永遠に循環する!」と親指を立ててみせる。
とても真似する気になれず「そう・・・」とため息をつき、水音を聞きながら、ドアを見つめつづけていたのだが。

のぼせて、ぼうっとしていると、ふと水音がやんだ。
「なんだ?汗がでなくなったぞ」との呟きに「それって、やばいんじゃ・・・」とふりむいたら首を舐められ、おまけに太ももに固いのを当てやがって。





【勇者の俺は世界平和のために魔王の夜伽をする】



伝説の剣をぬき、仲間を集めて魔王打倒をすべく危険な冒険を。
数々の試練を乗り越え、絆を深めた仲間とやっと魔王城に到着。

限界まで体を鍛えあげ、究極まで能力値を上げて、最高品質の装備とアイテムを揃え、準備万端に魔王上内部へ。
最強の仲間との結束力でもって、どんな罠やしかけも突破し、強敵の直属の部下を蹴散らし、いよいよ魔王とご対面。

玉座に座り、悠悠と見おろすのに「世界平和のために、ここでお前を打倒する!」と伝説の剣を振りかざし、突撃しようとしたのだが。
魔王は腰をあげず、だるそうに頬杖をついたまま、片手で指ぱっちん。

と同時に衝撃波が放たれ、俺らは床に突っ伏した。
見えない巨大な手のひらで押さえつけられているようで、このままでは体がぺしゃんこになりかねない。

剣を持てなければ、魔法の呪文も唱えられないし、アイテムの使用もできなく、呻いて震えることしか。
体力がつきそうになったところで、にわかに重圧から解放されて、空気を貪りながら、とりあえず仲間を確認。

勇者の俺以外は、目をつむって倒れたまま動かず。
顔の筋肉が痙攣しているに生きているようだが、とても戦闘はできないだろう。

「いや、白魔導師を回復させれば、まだ・・・!」とアイテムを取りだそうとするも、また指ぱっちん。
とどめを刺されるかと思いきや、さっきのような衝撃波を受けず、倒れていたのが座っているよう。

やおら瞼を上げれば、目のまえには魔王。
どうも指ぱっちんで俺を瞬間移動させて、魔王と向きあいその足に跨っているらしい。

反射的に背中を反らせば、がっしりと太い腕でつかまれる。
手で胸を押しながら「なんで!?」と叫ぶも、股間に違和感を覚え「どういうこと!?」とさらに悲鳴。




電子書籍で販売中。


DLsiteで↓
https://www.dlsite.com/bl/work/=/product_id/RJ01140055.html

ギフト券発行!
先着一名様に無料で小説を↓
http://dlsite.jp/c7abgav/VS1Y-C0G9-HCM6-MSE6

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

記事のタグから探す

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索