BL短編集「狼のような彼を監禁して愛でる」に小説を2作追加しました

BL短編集「狼のような彼を監禁して愛でる」に小説2作を追加しました↓

【ラジオで聞く地下四畳半の彼の秘め事】

狂った内容のラジオを聞きつづける高校生。
ラジオに異変があったのをきっかけに、自分も狂っていくことに・・・。
痛々しい暴力的な描写があるのでごご注意。

【硝子玉のような目をした少年は性に目覚めてもその眼差しは曇らなかった】
ラムネに入った硝子玉。
そんな硝子玉のような瞳をした従弟と、美しさの真理を説いた従兄を巡っての、狂気めいた儚い物語。

試し読みはこちら↓

【ラジオで聞く地下四畳半の彼の秘め事】

素人が録音したのをラジオとして公開できるアプリ。
高校に入ってから、授業中以外、そのアプリでラジオを聴きっぱなしにしている。

今、はまっているのは「監禁○○日目」という番組。
すこし加工しながらも、地声が高そうで、話し方からして僕と年が近そうなパーソナリティが週に二回、録音したものを配信。

その名も「カンキン」は、はじめにベートーベンの「月光」を流してから「今日も四畳半の世界からこんにちは」と物憂げに挨拶をし、そのあともずっと鬱々と語りかけつづける。

「監禁二○○日目、めでたくないキリ番の放送です。
いい加減、毎度毎度趣向を変える、義理の父の虐○バリエーションも尽きたかなと思ったけど、とんでもなかったです。

加虐性愛まっしぐらで、歯止めがきかない義理の父は、とうとう電撃を持ちだしました。
受けてみて思い知りましたが、言葉攻めはもちろん、直接的な打撃より心へのダメージがすさまじく、とても抵抗や我慢できるものではないですね。

情事後、四畳半の世界から父がでていっても廃人になって失禁したまま、半日を過ごしました。
では、本当の意味で逝きかけた、今回も義理の父絶好調な、阿鼻叫喚残虐ショーをどうぞ」

挨拶トークが済むと、隠し録音したらしい、ノイズ交じりの聞きとりにくい音声が流れだす。

「あああ！やめて、と、父さ・・・！う、あ、ああ！こんな、ああ・・・だったら、どれだけ、な、殴って、も・・・ああ、ああああ！はああ、ああ、そ、そう、今度、こそ・・・おし、おしっこ、飲むからあ！も、もう、やあああ、あああ！やめてええ！」

「そこ、だめ！だめえ！やだあ、ああ、ああああ！や、火傷しちゃ・・・！う、ぐ、やあああ、やだああ！ち、乳首、焦げちゃ、あ、あああ、やだああ！」

【硝子玉のような目をした少年は性に目覚めてもその眼差しは曇らなかった】

家の近くにはラムネを瓶詰めする工場があり、年中、スーパーでは商品が置かれていた。

ので、夏に限らず、習慣的に飲んでいたものだが、瓶の中の硝子玉を取りだせたことはない。

ラムネに入っているのは「A玉」おもちゃなどで売られているのは「B玉」と呼ばれている。

ラムネに入れられるのは、蓋代わりで、炭酸が抜けないよう密閉できるのが「A玉」。
すこしでも歪みがあって使い物にならないのが「B玉」。

「選ばれし良質な硝子玉だけがラムネにこめられる」と工場のおじさんは教えてくれ、規格外の「B玉」を俺たち、近所の子供に無料でくれていた。

B玉もキレイだったものの「選ばれし」と聞いたからか、A玉のほうが磨きがかかっているように見えた。
ラムネの分厚い硝子瓶を通して眺めると、尚のこと、数多の星が瞬くようにきらめいて。

地球よろしく、広い海をたたえた一つの星のようだった。

手にすれば、世界征服した気分になれるのではないか。

と考えて、どうにか、硝子玉を取ろうとしたもののできず。
取りだす方法ばかりは、工場のおじさんも教えてくれず。

「もう、割るしかないか」と呟いたところ「やめたほうがいい」と返された。

たまに遊びにくる従兄で、そのとき俺は五歳、従兄は七歳。
その弟で、俺の従弟、三歳も肩を並べてラムネを飲んでいた。

「でも、硝子玉が閉じこめられているようで可哀想だ」と訴えれば「閉じこめられているのが、悪いってわけじゃないと思う」と。
今から思えば、従兄は子供らしからぬ思考をし、発言も哲学的で意味深なものばかりだったような。

「それに、取りだしたらキレイじゃなくなるかもしれない。
閉じこめられているからこそキレイなんだよ、多分」

今も、理解しきれない言葉を、でも、当時の俺は聞きいれて、以降、瓶を割ろうとはしなかった。
というのも、一人っ子だったこともあり、俺は二人を兄弟のように慕っていたからだ。

2作追加したのはDLstireのみ。
販売ページはこちら↓
https://www.dlsite.com/bl/work/=/product_id/RJ368647.html