ダラナ 2023/07/02 20:19

BL短編「思いを遂げられなかった食人鬼は俺の体を貪りつくして堕落させる」試し読み

三人の兄貴分に憧れて、見劣りしないよう男らしくなろうとする大学生。
久しぶりに四人で会ったなら、成長ぶりを見せようと張りきるも、かつて食人鬼がいたという肝試しスポットに行くことになって・・・。

パンツをテーマにしたアダルトなBL短編です。R18。
すこしホラーだけどハッピーエンド。






父は柔道の師範。
そりゃあ当たり前のように、息子である俺は物心つくかつかないかのころから柔道をしこまれた。

とはいえ、俺の性格は柔道に不向き。
根っからの臆病だし、人と争うのも痛い目にあうのも相手を痛めつけるのもいや。

ただ、父の命令にも逆らえず、練習に励み、試合を重ねて、めきめき強くなってしまい。
自分も相手もあまりダメージを受けず、苦痛を覚えないよう、早く試合を終わらせるため一本背負いに磨きをかけたのが裏目にでてのこと。

すっかり父は「俺がとれなかった金メダルを!」と浮かれて、ますます俺はひっこみがつかなくなり。
父だけでなく、まわりから期待を寄せられては、とても「辞めたい」とは口が裂けてもいえず、ずるずると柔道を。

応援する人だけでなく、俺を敵視したり妬んだり、貶めようとする人もいて、胃が痛くなるし。
唯一の救いは、クラスメイトに恵まれていたこと。

平均身長より上背があり、制服がはちきれそうに筋肉質だった俺は小学生ながらに容貌も雰囲気も厳めしかった。
が、つきあいの長い友人は、その見た目にそぐわない小心ぶりを知っているに「おまえ、ほんとヘタレだなあ」と笑いとばし、昔と変わらず仲よくしてくれて。

そんな友人がいたから、非常に不本意ながら柔道をつづけていられたのが、その唯一の拠り所さえ失うことに。
原因は不良だ。

父の道場を辞めたという三人の中学生が登下校中の俺にからんできた。
べつに暴力をふるうでなし、カツアゲもしなかったとはいえ、よく噂される不良とつるんでいれば、そりゃあ友人は遠ざかるというもの。

もちろん、不良と親密になっていたわけではない。
彼らは馴れ馴れしく俺の肩を抱きながら「大会に優勝してるの、どうせ会長の父親の差し金だろ」「柔道の師範の息子は、人生が勝ちゲーでいいですねえー」と一方的にいやみを垂れ流していただけ。

柔道の技をつかって黙らすのはご法度。
肝っ玉が極少の俺に「かまわないで」と拒めるわけがなく、他にどうすればいいか分からず、ひどく思い悩んでいたそのとき。

「なにやってんだ、おまえら!」
「小学生相手にねちねちと、まー恥ずかしい!」
「同じ中学の者として見過ごせないな!」

三人の中学生が不良を叱りつけながら、登場。
神田くんと真山くんと水戸くんだ。

不良より三人は有名で、中学校や地域のアイドル的存在。

神田くんは陸上部のエースで、学年トップの成績を誇り眼鏡が似あう秀才イケメン。

真山くんはサッカー部の得点王で、芸人のように口達者なおちゃめなイケメン。

水戸くんは剣道部の最強剣士で、硬派を貫く日本男児なイケメン。

あまりの三人の輝かしさに怯んだようで、あっけなく不良はとんずら。
そのあとも「また、からんでくるかも」と三人は俺の登下校に同行を。

中学三年で部活を辞めたうえ、三人とも推薦が決まって、暇だったからつきあってくれたのだろう。
たまたまだったにしろ、不良のことで心配せずによくなっても交流は継続。

道場に顔をだして差しいれをしたり、試合を見にきて応援も。
そうして三人が練習や試合を見守ってくれるようになって、柔道アレルギーの俺の心境に変化が。

憧れの三人のように俺もなりたいと。
なるためには、唯一の取り得といっていい柔道で上りつめるしかないと。

そうした目標を掲げて、練習に打ちこみ試合に臨めば、まえよりも情熱を持って生き生きと柔道ができたもので。

三人のおかげで、新たな人生を切り開けたとはいえ、柔道にまい進することで弊害も。
高校卒業後、都会の強豪大学に行くことに。

まあ、俺だけでなく、神田くんは一流企業の選手団に、真山くんはプロのサッカーチームに、水戸くんは警察学校を卒業して県外に配属と、三人もばらばらに。

「これまでどおり連絡はとり合おう。
しばらくはお互い忙しいだろうから、一段落つくだろう夏に故郷で会おう」

そう約束して、三人に見送られながら俺は号泣して都会へ。

大人並に体が大きくなっても小胆なのは相かわらずで、三人と別れての寮暮らしは心細く。
でも、新幹線で向かう途中に涙をぬぐい「俺は生まれ変わるんだ・・・!」と決意。

外見も中身も男前な三人と肩を並べても恥ずかしくない雄雄しく立派な男になるんだ!

その目標を達成するため、大学生活では柔道の修行に精進しながらも、泣かず怯えず弱音を吐かず、男らしくふるまうよう心がけて。
顔を見たり声を聞くと、つい甘えてしまうから、リモートや電話をしたいのを堪えて、三人とは文字だけのやりとりを。

そうして自分磨きをして、約束どおり夏に故郷に帰り、一皮剥けた俺をお披露目することに。

待ち合わせ場所に三人を見つけ、前なら「わー!寂しかったよー!」と泣いて走っていくところ。
悠悠と歩いて「やあ、三人とも久しぶり」とにこやかに手を上げてみせた。

「俺の大学生活は順風満帆で、友人にも仲間にも先生やコーチにも恵まれて、なにひとつ困ることなく問題なく柔道に集中できて、日々、成長をしているよ。

ほら見てこの体。
三人より身長が高くなったし、これだけ筋肉がつけば、いざというとき三人を抱えることもできる」

力こぶをつくって見せたものを三人ともぽかん。

「いや、たしかに前より筋肉が張りつめてしゃ・・・いや、熱でもあるのか鉄治?」と神田くん。

「都会デューしたってか、鉄治?服が破けそうに胸を突きだして、もしや揉ま・・・やめとけよ俺らのまえで、変にかっこつけんなって」と真山くん。

「俺はどんな鉄治でも、弟のようにかわいいと思う。たとえ俺らより逞しくなっても、むしろ興・・・その、だから、むりに大人になろうとしなくても」と水戸くん。

歯切れがわるいながら、どうも俺の変貌をよろこんでないよう。
「どうして俺が一人前の男らしくなったのを認めてくれないんだよ!」と怒れば、三人は顔を見あわせて口ごもる。

さらに噛みつこうとしたら「じゃあさ!肝試しで、おまえの成長が本物だと証明してくれよ!」と真山くんが提案。

正直「肝試し!?」と早くも肝が冷えたとはいえ、真山くんがにやつくのにむっとして「受けて立つ!」と勇ましく応じたもので。


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