2000字前後のエッチでやおいなショートショートを十作収録したBL短編集です。R18。
学生から社会人、人外もあり。
青春、オフィスラブ、異世界ものなどいろいろ。
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【幼なじみ二人の視線が俺を舐めまわす】
俺にはイケメンの幼なじみが二人もいる。
陽気なチャラ男のヒカルと、硬派で知的なタツキ。
しかも二人とも親が資産家。
学校中の女子が恋をしているといって過言でないほど、二人とも大モテ。
比べて、断然、釣りあわない平凡な庶民の俺。
そりゃあ、まわりは「従者?」「金魚の糞」と笑うとはいえ、俺は気にせず、昔からの二人との関係も変わらず。
二人は彼女もちながら、デート以外は俺と遊ぶし、たまにお泊り会をするし、長期休みには旅行するし。
外野の目や声もなんのその、たとえ二人が結婚しよと、この友情は問題なく継続すると思っていたのだが。
バレンタインの日、廊下の長蛇の列を見ていたら「はー今年もすごいなあ」と友人がため息を。
「ここまで突きぬけていると、嫉妬もしねえわ」
苦笑して、列の先頭にいる二人を見やる。
「そういえば、俺は二人を妬んだことないな」とあれこれ思いだしていると「なあ」と友人が指摘。
「なんか、あいつら、ちらちらおまえを見てね?」
指摘されて目を凝らすも「そっか?」と眉をしかめる。
ぴんとこなかったのだが、友人はかまわず「ていうかさあ」とつづけて。
「思いかえすと、あの二人、どれだけ女子に囲まれてても、彼女といても、視線を泳がせているような。
そんときも、おまえを探しているんじゃ?」
【男ぎらいの狐を神より先に抱く】
幼いころ、俺は田舎に住んでいた。
で、通っていた小学校にいけ好かない同級生がいて。
色白で切れ長の目をした、中性的な美少年で、名は狐野田(このた)。
女子には「王子さまみたい」とちやほやされるほど紳士的なのに対し、男子には寄りつかず、寄りつかせもせず、いちいち発言は批判的。
「同じ男として恥ずかしい」が口癖で、もっとも、その痛罵を受けたのは俺だと思う。
まあ、俺も俺で「このおかま野郎が!おまえこそ生きる恥だ!」と噛みつきまくり。
そうしてお互い一歩も引かず、いがみ合っていたが、中学に上がるまえに俺が引っ越し、決着はつかないまま。
ぎゃふんといわせられなかったのを悔しがりつづけて十年。
同窓会の案内がきて、勇んで田舎へと。
「若く有望な企業家としてマウントをとってやる!」と会場にのりこんだとはいえ、狐野田は不在。
幹事曰く「急用でこれなくなったらしい」とのこと。
拍子ぬけしたというか、自分でも意外にがっかりし、二次会を断って帰路についたところ。
近道をしようとし、山の横道にはいったら迷子。
「子供のころから道が変わった?」と焦りながら、スマホで照らし歩くことしばし、向かいから人が。
なんと狐野田が。
体は成長したとはいえ、相かわらず美麗な顔。
ただ、いろいろと変な点が。
白い着物を着て裸足、頭に三角耳がついて、尻からふさふさの尻尾が。
【いとこに求婚されるも先に神に抱かれる】
俺ら、狐の一族は、古来から人と交わり生きてきた。
幼いころから変化の練習をし、小学校にあがるときにデビュー。
まさに明日、デビューを迎える従弟が、さっきから俺にしがみついて泣いていた。
「もし、狐だとばれたらどうしよう・・・」
俺も似たような不安を抱えていたとはいえ、口にせず、顏にもださず、頭を撫でて宥めたもので。
「おまえは俺より変化がうまいからさ。
デビュー直前まで変化できなかった俺でも卒業できたんだし、だいじょうぶだよ」
「ほんと?」と涙目を向けられ、うなずけば「じゃあ、じゃあ!」と胸に顔を埋めて。
「ちゃんと学校に通えたら、ぼくのお願い聞いてくれる?
ぼく、ぼくね、兄ちゃんと結婚したいの!」
一瞬、言葉をつまらせるも「いいよ」とにっこり。
物心ついたときから、俺に求婚しつづける従弟が愛しくあり、哀れでもあり。
「できないよ、俺は明日、男狂いの神の元に行くから」と正直に伝えるべきだろうか。
そう迷わないでもなかったが、十才下の幼い従弟には理解できないだろうし、させるのも酷というもの。
結局、きちんと別れを告げられないまま、翌日、複数の狐に囲まれての儀式を受けて、神の元へ。
男狂いの神は、不定期に顔のいい雄、半妖の狐を欲する。
【社畜の俺は蛸に愛され触手で愛でられる】
今日も社蓄の俺は、退勤処理をしてから残業。
○時を過ぎて、やっとアパートに到着。
ふらつきながら階段をあがり、自分の部屋の扉に向かったら、ノブに袋が。
メモには「隣に引っ越してきた蛸吉です。よろしく」と。
「蛸吉?」と眉をしかめ、袋を覗きこんで硬直。
蛸が一匹丸ごと入っていたから。
しかも蠢いているに生きているらしい。
いたずらにしろ、隣人が異常者にしろ、いい迷惑でしかなく。
殺して食べる気になれないし、捨てるのもためらわれて、とりあえず家へ。
社蓄になるまえ、趣味で熱帯魚を飼っていたから、その水槽に水をいれ蛸を投入。
熱帯魚の餌をあげると、体力が尽きてベッドに倒れた。
翌朝は跳び起きて、慌てて支度をし、一応、蛸に餌をあげて出社。
時間ぎりぎりに出社したのを上司に小一時間叱られてから、息つく間もなく仕事に追われて、気がつけば深夜。
ため息を吐きつつ、コンビニで夜食を選んでいて、目についたたこ焼き。
つい邪心が疼いて、購入し帰宅。
蛸に餌をあげてから、背広を脱いで、温めたたこ焼きをまえに「いただきます」。
一つ頬ばって、ちらりと水槽を見ると、さっきは底にいたのが側面に貼りついて体を萎ませている。
心なし、震えているような。
哀れな社蓄の、ささやかな憂さ晴らしのはずが、まさかの蛸のナイスリアクション。
とたんに食欲が失せたし、心が咎めてしかたなく「ごめん、ごめんて」と水槽にすがりつく。
【ガテン系の鬼上司は縄で縛られたい】
だれにでも人にいえない秘密の一つや二つはある。
俺の場合、生粋のサドで、SM愛好クラブの会員になっていること。
ふだんは弱腰で、人に舐められがちだが、クラブでは引く手あまたの凄腕のサド。
得意の緊縛に、血も涙もない言葉の鞭をふるえば、どんなマゾでもいちころ。
そこが悩みどころでもある。
求めるのは「ああん、もっとイジメてえ!」と大歓迎するのでなく、屈辱を噛みしめつづけ、最後まで抗おうとしながら「ああ、くそお・・・!」と腰をふってしまうの。
タイプのガチムチのマゾは、意外といるとはいえ、求めるほど生意気なのは、なかなか。
プレイ前にリクエストしても、演技がへただったり、俺の虐げにすぐ屈したり、ままならず。
とはいえ、いつか理想のタイプを見つけられるはずと、こうして定期的開催のパーティーに参加。
参加者は全員、仮面で目元だけ隠している。
白はマゾ、黒はサド。
さて、俺が目をつけているのは、白の仮面をつけたガチムチ。
みんな着飾っているなかで、Tシャツにジーパンとは、無防備なのか挑発的なのか、読めないところがいい。
ガチムチの胸につけたバッチ、その番号を紙に書いて給仕へ。
給仕に紙を渡されたガチムチが、首をふるか、顎をしゃくるか。
【動かぬ彼の一物を俺にちょうだい!】
俺は男に後背位で犯されたい。
性に目覚めてから、そう願っているものを学生になった今も処女。
ひどく奥手なのと、中学のころのトラウマで、セフレも恋人もつくれず。
妄想して自慰に勤しむ虚しい日々を送っていたところ。
大学のアトリエで油絵を制作していたら「なあ、ちょっといいか」と彫刻科の友人がドアから顔を覗かせた。
「彫刻科の教室を今、整理しようってんで、大きい彫像をどかしているんだ。
そいつらを一旦、別の場所に保管しておきたいんだけど、スペースがなくて。
で、アトリエの個室に一体ずつ置かせてもらえないかって交渉して回ってるところ」
俺のアトリエには空きスペースがあったに「いいよ」と了承。
すこしして運ばれてきたのは等身大の裸体の男。
素人でも見知っている石膏のルネサンス彫刻。
理想のような筋肉美を誇る西洋のイケメンに見惚れて、つい下半身に目をやろうとし「女じゃなくて残念だったな」と友人の軽口にはっとする。
「い、いや、逆に集中できないよ」と返せば「そりゃ、そうだな」と笑ってくれ「じゃ、しばらく、よろしく」と去っていった。
すこししてからドアを施錠し、あらためて石膏像とご対面。
かのルネサンス彫刻とあって局部もまざまざと再現。
生唾を飲みこんだものを「でも、生きた相手ではないんだよなあ」とため息。
【後輩にセクハラをしたら逆セクハラをされました】
俺は人の尻を撫でたくてたまらない。
男女年齢問わず、いい尻があれば、手を伸ばしてしまう。
が、このご時世、うかつに女性の体を触れないし、同性に対しても気をつけないと訴えられかねない。
ので、慎重に相手を見極め、戯れと受けとめられるよう加減せねば。
そうして弁えたり、空気を読んで、いろいろ苦心しつつ、尻を撫でていたのだが。
近ごろは、都合のいい相手がいて、尻なでなでライフを満喫中。
相手は会社の後輩にして新人で、今、俺が指導中。
指導係となれば、触りやすいし「今日も元気そうだな!」とかるく尻を揉んだところで、彼は「もう先輩」と笑って済ませてくれるし。
なんたって、いちいち初心な反応をするのがいい。
セクハラに慣れることなく、頬を染めて「も、もお先輩」と潤んだ瞳を震わせるのが、たまらず。
なんて、後輩のいじらしさに、きゅんきゅんするうちに恋心が芽生えたらしい。
自覚をしとたん、尻に手を伸ばせなくなり、目を逸らすようにも。
そう、俺のセクハラはあくまで手癖のようなもの。
性的な目的はないから、恋をして相手を意識したら、むしろ触れないわけ。
恋をすればとたんに奥手になって、相手との肩が触れあうだけで悲鳴をあげそうになるし、エッチなんてもってのほか。
【書庫で不純性行為をする貴様は死刑だ!】
高校には大規模で立派な図書室があり、二人も司書が常駐。
その一人が俺だ。
司書の資格をとっても就職が難しい時代に、卒業生ということで採用を勝ちとった俺は幸運。
また毎月仕いれる本を自分で決めたり、書庫にこもって整理をしたり、暇があれば本を読んだり、本の虫の俺にとって、この環境は天国。
人づきあいが得意でなく、高校生の相手をするのだけは気が重い。
ただ、もう一人の司書がカウンター業をすべて負ってくれているに、気がねなく書庫にこもって本を愛でていたのだが。
桜が咲くころ、新入生が入学。
それから間もなく、昼ご飯を済ませて一目散に書庫へいくと、不穏な物音と声が。
「ああ、ね、ねえ、してよお」
「だーめ、今、ゴムがないから」
「ふあ、あ、い、いいよ、いいからあ・・・」
物心ついたころから本の虫だった俺は、世俗に疎く、青春を謳歌した覚えもない童貞。
が、本についてはあらゆるジャンルを読み漁り、官能小説も嗜んでいるに、二人のやりとりや、伝わってくる雰囲気から、ぴんときて。
隅隅まで把握している書庫とあって、どんぴしゃりで本棚の角から踏みだすと、二人を視界にとらえる間もなく一喝を。
「ここで不純性行為をする貴様らは死刑だ!」
初手から一発噛まし、さらに説教を畳みかけようとしたが、あらためて二人を見て絶句。
だって男同士だったから。
【ツンデレ魔王の染まった首にしゃぶりつきたいんだが!】
俺は勇者だが、魔王と幼なじみでもある。
じつは魔王は人との合いの子。
なので、幼いころは母親と森の奥に隠れて暮らしていたのが、たまたま俺と遭遇し、友人に。
人の形をしつつ、角とコウモリのような翼、先がとがった尻尾が生えていたものを、俺は気にせず親交を深めていたのだが。
もちろん、まわりの大人は放っておかず。
俺の知らないうちに、母親を殺し、子供の魔王も手にかけようとしたらしい。
が、母親の死体を見て覚醒した魔王が、その場にいた大人を惨殺。
そのあとは魔物が多く住む森へと去り、多くの部下たちを統率して、世界征服をもくろんでいる。
と、されている。
そんな魔王を打倒すべく、かつて強大な悪を葬り去ったという伝説の剣をぬいてしまった俺は勇者となって、今は旅の真最中。
ただ、ぶっちゃけ、順調ではない。
選ばれし者として、女神の加護を受けているし、無尽蔵の聖なる力を持っているとはいえ、おっちょこちょいなものだから。
うっかりの致命的ミスで、全滅しかけたことが、どれだけあるやら。
なんとか全滅をしないでこれたのは、魔王のおかげ。
仲間が倒れて、俺一人が敵に囲まれるというピンチに、かならず跳んでくるのだ。
手の一振りで魔物を消しさると、俺からぷいっと顔を逸らして曰く。
「べ、べつに、おまえのためじゃないからな!
わたしが、城で貴様を嬲り殺すのをたのしみにしているだけで・・・!」
【おまえに触れるのは俺だけだと思っていたのに】
幼なじみのタケトは、人に触られると拒絶反応を示す。
蕁麻疹ができて発熱し、寝こんでしまうのだ。
物心ついたときから、この厄介な体質に悩まされ、幼なじみの俺はずっと寄り添いつづけた。
ボディーガードのような役割で。
変わった体質であることを、いくらまわりに知らせても、初対面の人が悪気なく触ったり、集団のなかで、うっかり接触することがある。
そんなとき体を盾にして守るわけ。
そんなこんなで幼稚園から小中高とタケトのそばにいたのだが、負担や重荷を覚えたことはない。
物心ついたころから、俺はタケトが好きだったし、運命の相手だと思っていたから。
なにせ俺も変わった体質で、人を触ると拒否反応が。
呼吸困難になり、吐き気がこみあげてくる。
ただし、タケトに対してだけは、触っても平気。
そう、タケトも、俺に触れられるのだけは平気で。
お互いだけが触れて、触れられる関係が、特別でないわけがない。
人と触れあえない分、二人でお互いの体を撫でまわし、ぬきあっこもしたのだ。
となれば、もちろん、とっくに恋仲になっているものと、俺は思いこんでいたのだが。
ある日、学校でタケトと歩いていたとき。
むかいからきた先輩が「ひゅー!今日もお熱いねえ!ホモ野郎!」と囃したてた。
耳蛸の冷やかしのうえ、否定できないことでもあり、聞き流そうとしたら「こら!」と先輩の背後にいた先生が一喝。
「後輩相手だろうと、無礼だろ!」
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