なんかうまくいかないイラストの塗りを片付ける講座
ふたさこのサクフウです。
前回の記事からの続きです。
前回イラストの塗りがわかりました。
今回の記事ではその分かったことを解説していきます。
画力それなりについてきて陰影や立体もわかってきた。でも塗りがなんかうまくいかない。
そんな方向けに特に効くのではないかと思われます。
今回は前回お見せした以下の絵の完成過程を見ながらどうやって塗りをやっていけばいいか見ていきます。
なお肌の塗りに絞って見ていきますが他の部分についても同じ要領でやれば大抵はうまくいくと思われます。
それではまず塗りの主要なポイントを3つ押さえておきます。
・使う色に気を遣う
一番重要です。これで最も簡単かつ劇的な効果が得られます。
私自身、過去の絵を見てみるとだいたいここで躓いて全部台無しになっていました。
うまい人の絵や人気な絵と自分の絵を比較するとわかりますが肌は思ったより白っぽいし影はそんなに黒くありません。
以下に極端な肌の色使いの例を用意しました。
影の色のみ違いますが大きく印象が違うと思われます。
左のほうがよりきれいな肌に見えるのではないでしょうか?
が、先入観で影の色を選ぶと右のようになりがちです。私もそうでした。
最初のうちは自分で色を選ぶ前にまずはうまい人がどういう色を使ってるのか確認して真似ると良いかもしれません。
とにかく注意深く色を選び、色への意識を高めていくことが塗りの向上に繋がるのではないかと私は考えています。
・ハイライトに豊かさをもたせる
色の次に簡単で効果的なポイントです。
最初のうちは途端に見栄えがよく見えるので白いベタをどかっと置きがち。
しかし、そこをグッとこらえてまずはエアブラシでふわっと塗ります。
そして3つ星シェフがステーキの仕上げに葉っぱを乗せるかのように白いベタをちょんと乗せる。そのほうがより豊かで自然に見えます。
以下に例を用意しました。
左がどかっと白ベタのみ置いた例。右がエアブラシでふんわり+ベタちょん
簡単なので実際自分で試し撃ちして威力を確かめるのが一番良いです。
それでは最後のポイントです。
・使う色に気を遣う
もうとにかくこれ。とにかく色。
逆に言えばこの段階に来た人はとうとう色に向き合う時が来たと言えます。
うまい人のと自分の絵を見比べて見るのが一番良い勉強になります。
それでは以上の3つのポイントを踏まえて、以下の絵の完成過程を見ていきます。
使用したペイントツールはKritaです。
まずは線画にベースの色を置いたものがこちらになります。
1:陰影をつける
物体に光があまり当たってないことを表現します。
まずはベタ塗りで大まかな陰影をつけます。
今回の光源はシンプルに上あたりに配置。
そしてぼかしツールで陰影を滑らかにします。
ぼかしは物体に丸みのある部分なら強めに、角ばってるなら弱めにかけます。
余談ですが今まではエアブラシだけで頑張ろうとしてとにかく時間がかかったうえになんか汚いという結果になってました。
ベタ塗り→ぼかしが簡単な上にきれいなので圧倒的におすすめ。
なおこの段階でうまくいかねぇ~という人は陰影の知識が足りてないか人体構造の知識が足りてないか、その両方かと思われます(もしくは影の色)
陰影については、
スコットロバートソンのHow To DrawおよびHow To Renderがおすすめ。
人体構造については、
アーティストのための美術解剖学がおすすめです。(いずれもAmazonに飛びます)
この3冊は私の中で三種の神器と呼ばれています。
2:ハイライトを入れる
陰影をつけたからといって物体に光が当たってることにはなりません。
ハイライトを入れて物体に光が当たってることを表現し陰影をより豊かにします。
光が当たってそうなところにエアブラシで白をふんわり。
そして白ベタちょんのコンボを決めてやりましょう。
3:落影を入れる
影を落とすことでも物体に光が当たってることが表現できます。
それ以外にもさすがにここは暗くなるやろという部分もこの段階で同様に塗ります。
使う色については先程陰影で使った色を乗算レイヤーで塗れば良いのではと思っています。
なお光源が強いほど落ちる影はハッキリしています。
なので最強の光源である太陽が存在する快晴の屋外では落ちてる影は全くぼけていません(曇りだとちょっとぼける)
4:反射光(環境光)を入れる
これについてはちゃんとした講座を見たほうがいいです。
今回は白色で適当にやっています。
一旦ここらでただ陰影をつけたものと比較してみます。
光が当たってることの表現であるハイライトと落影、さらに反射光で陰影がかなり豊かになりました。
なお今回陰影を豊かにする意義は女体の肉感を表現するためにあります。
もし可愛い特化のイラストを描くなら陰影の表現は控えめにしたほうがいいでしょう。いやらしさがノイズになります。
さて、陰影については問題なさそうなので他の部分も同様に塗りました。
ここで完成としても良いですがここからは調整を行っていきます。
特に、色について。
5:赤みを入れる
この絵は先程のものと同じものです。
これはこれで好きな人もいるかもしれませんが今回はここに赤みを足すことにしました。
理由は2つ。
1:人間はなんだかんだ赤っぽいところがあるのでより自然になる
2:肌の紅潮を表現できる。つまりエッチ。
やり方としてはエアブラシで全体をバーッと赤く塗り、レイヤーオプション(乗算とか)をいじっていい感じになるやつを選びました。
さらにここからフィルタを使って色味を整えました。
ペイントツールによってはフィルタというものがないかもしれませんが大抵は色味を調整するやつがあると思うのでそれでうまいこと整えてみてください。
整える際の基準はうまい人の絵と見比べてどうか、というのでまずは良いと思います。
今回はちょっと黄色みを足すような調整をしました。
6:陰影のコントラストを上げる
完全にエロ向きの調整です。
明るい部分をより明るく、暗い部分をより暗くすることで立体感が際立たせます。
これにより女体の肉感がより強調されます。
先程と同様に可愛い特化のイラストならここで逆にコントラストを下げる方向で調整したほうがうまくいくかもしれません。
7:最終調整
さぁ大まかな調整は終わったので最後に微調整です。
色々考えられますが今回は暗い部分がちょっと暗すぎるように感じたのでエアブラシを使ってほんの軽く明るくしました。
というわけで完成です。
色についてはまだ調整する余地を感じますが今回はこのあたりで終わりとしました。
塗りの作業時間は40分程度。
今回は肌にのみ注力しましたが他の部分も同様にやっていけばそれらしいものになるかと思われます。
なおレイヤー構成が気になるという人はPSD用意したのでお役立ていただければと思います。
塗りレイヤー構造など.psd (6.50MB)
ダウンロード最後にこの絵を描いた所感などを振り返ります。
所感
こうして塗りを理解し、言語化してみると複雑怪奇に思えた塗りが驚くほどシンプルな工程で成り立っているんだなと思いました。
陰影をつけ、色味を調整し、用途に向けた調整を行う。やってることはこれだけです。
なのに今まで私が塗りに躓いていたのはやはり色に対する意識がなかったからでしょう。
陰影のつけかたは間違っていないのに使う色がまずいおかげで全部悪いように思え、ドツボにハマっていたように思えます。
またうまい人の絵と見比べる、または資料を用意するのはいつどんな時代でも最強パワーだと感じました。
さらに積極的に活用していきたいと思います。
あとは気づきとしてエロ特化の美少女イラストなら顔に気を遣う必要がないと感じました。
どちらかというと顔より身体が主役になるからです(もっと言えばおっぱい)
なので可愛い特化ではご法度ですが今回描いた2点の絵には顔に陰影をつけるような光源設定をしてみました。
おそらく多くの人とってそんなに気にならなかったと思います。
なにかと顔まわりはコストがかかりがちなのであんまり気を遣わなくても良さそうなのは気楽でいいです。
とはいえ結局構図にはよりますがそういう判断もわかるようになったのも嬉しいところ。
そして今回ようやく塗りが分かったことでペイントツールについてる便利機能の便利さが身にしみました。文明最高~!
そんな便利なものが色々ついてしかも無料で使えるKritaをよろしく!
私はドットアニメもイラストも全部これ1本でやっています。
さて最後にゲーム製作の進捗について軽く触れて終わりとしたいと思います。
現在90個作る予定のアニメーションのうち半分ほどのラフがとりあえず完成しました。
数は多いものの本当に色んなアニメーションが描けるのでマジで面白いです。
今回はせっかくなのでそのラフをいくつか紹介して終わりとします。
ほんの一部ですが色んなアニメーションを作ってるのが伝わったのではないでしょうか。
早く全部完成させてお見せしたいところです。
ただいかんせん数が多いので気長にお待ち下さい。
よろしくお願いします。