【よもやま話】2024年4月28日号
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市街地 2024/04/08 08:13
仕事で渡った人間界で、記憶を失った「はぐれ魔族」に犯された。
私を泥棒と勘違いした男は情け容赦なくこの身を蹂躙する。さらには彼の魔力のみなもとである、核のカケラを子宮内に入れられてしまった。
快楽に悶えながらもどうにか核の本体を彼の器に戻すことに成功して、魔界へ戻ることができた。それからしばらく何事もなかったかのように職務に明け暮れる毎日を送っていたけれど、ある日、魔王様からお呼びがかかる。
向かった王城の執務室で、私は彼と再会した。
私が人間界で遭遇したはぐれ魔族は、大昔に天界との戦争で死んだとされる大魔族だった。
未だ子宮に残る核のカケラが、本来の持ち主の魔力に呼応する。
耐え難い疼きに襲われて発情した身体を彼に抱かれ、強すぎる快感に逆らえず眷属へと堕とされる。
無理矢理・指責め・ポルチオ責め・異物挿入・連続絶頂・快楽堕ちetc.
※ ヒロインに名前のないネームレス小説です。
※文体はヒロイン視点の一人称です。
※『境界の向こう側でマスターに愛され、囚われる』と同じ世界設定ですが、作品は単体でお楽しみいただけます。
※時間軸は、
前:『境界の向こう側で遭遇したはぐれ魔族が、私のマスターになるまで』
↓
後:『境界の向こう側でマスターに愛され、囚われる』
となっています。
「お戻りの時間はいつもと同じですか?」
「そのつもりです。もしも朝になっても戻らなければ、あちら側に連絡してください」
「かしこまりました。どうかお気をつけて」
カロンカンパニーの船員に見送られ、私は人間界に足を踏み入れた。
「あぁー……、きつ……」
相変わらずこちらの世界は空気が薄くて息苦しい。
人間界には魔族の生命維持に必要な魔素がない。この空気に慣れていない魔族だったら一時間も生きられないだろう。
かくいう私もこっちで活動できる時間はそう長くなかった。経験を積んで人間界の空気に身体を慣らしてきたとはいえ、半日もとどまってはいられない。
トラブルにみまわれて足止めをくらえば、目的が達成できないどころか命が危うい。しかも人間界は退魔師や巡回中の天使など、敵との遭遇率が思いのほか高かった。
そんな危険な世界に単身潜り込んだのは、ひとえに仕事のためである。
魔王様直属の軍において、私は人間界に関わる任務を遂行する部隊に所属していた。
船着場から駅まで歩き、人間の乗り物を使って目的地を目指す。終電間近の電車内には、私のほかにもスーツ姿の女性が何人かいた。座席にぐったりと疲れきった表情で腰掛けている彼女たちに、人間社会の世知辛さを垣間見る。
私も、帰りのフェリーではあんな感じになっていることだろう。
終点のひとつ手前の駅で電車を降りた。改札を出たら住宅街に背を向けて真っ暗な遊歩道を進む。向かっているのは郊外にある博物館だ。
あそこに魔界由来の「何か」があるのは明らかだった。
敷地内に植えられた無数の木々に隠れるようにしてぽつんと建つ、一軒の建物。近づくにつれてそこからあふれ出る魔力の影響を受け私の身体は軽くなり、呼吸が少しだけ楽になった。
この魔力の発生源こそが、上から回収を命じられた目標物だ。
博物館の入り口扉をすり抜け、地下へと続く長い階段を下りる。収蔵室のドアも難なく突破した。
本来人間界で壁などの物質をとおり抜けるにはかなりの集中が必要なのだけど、充満する魔力のおかげで楽に入り込めた。
収蔵室は奥行きがあり、天井まで積み上げられた引き出し式の棚が列になってズラリと並んでいた。照明は入り口のドア上に非常灯が付いているだけで、奥は真っ暗だ。空調の唸るような低音がやけに目立っていた。
古い物が集められた場所に、曰くつきのモノが紛れ込むのはよくあることだ。
しかもこんなに強い魔力を発しているのだから、追加で変なものを惹き寄せているかもしれない。
何が起こるかわからない、未知への期待にドキドキしながら一歩一歩、魔力の発生源に近づく。
天井に届く無機質な棚がズラリと並んでいるのは、なかなかに威圧感がある。ありがたいことに目標物はハシゴを使わなくていい高さの引き出しに収納されていた。
それはこぶしほどの大きさをした、鉱石だった。水晶の原石のように根本からいくつもの角張った柱が突き出ている。視覚に頼らなくても、黒い部分と透明な部分がまだらに混ざり合っているのが、脳に直接届く情報で理解できた。
鉱石を両手で掬うように持ち上げると、強力な魔力の鼓動を手のひらに感じた。まるで心臓がドクンドクンと脈打っているようだ。
「すご……」
鉱石の正体は、魔族の魔力のみなもととなる核だった。しかも、魔力の純度の高さからして、大魔族のものだ。
よくこれほどの力を宿す物質が人間に利用されずに残っていたものだ。
今までに回収した遺物は、原石の状態ではなく、退魔によってアイテムに加工された品がほとんどだった。
「あなたはずっと、見つからないように眠っていたの? だとしたら、あなたの魂は今もどこかで生きている……?」
鉱石に問いかけたところで当然ながら返事はない。
もしもこの核の持ち主が生存しているなら器に返してやりたいが、探すとなるとまた別の準備が必要になる。
ひとまず目的の物は手に入れたから、今夜は魔界へ帰ろう。持ち主を捜索するかは、上司や魔王様が決められることだ。ひとりで勝手に動いてはいけない。
呼吸するたびに肺に入り込む魔力の濃さに魔力酔いを起こしながらも来た道を戻ろうとした。
そのとき——。
「それをどこに持っていくつもりだ?」
背を向けた収蔵室の奥から人の声が聞こえた。
「————っ」
反射的に攻撃に移ろうとした自分を、我に返って寸前で抑えた。
違う。無暗に殺してはいけない。魔界の魔力が満ちた場所で気配を察知できなかったことからも、潜んでいるのは天使や退魔師ではなく、同族の可能性が高い。
「誰なの? 名乗っていただけないかしら」
返事はなかった。
注意深く細い通路の先を凝視しつつ、出口へと後ずさる。
相変わらず何者かの気配は探れなかった。
刺激しないように、足音を立てずにゆっくりと。まるでこちらに目を光らせる猛獣を相手しているみたいだ。
回収した核を胸元で強く握る。これがなかったら、不審な行動をする同族を無力化すべく全力になれたのに。
私は魔王様の忠実なしもべ。人間界で裏切り者に遭遇しても、任務を最優先して動かなきゃいけない。そう自分に言い聞かせて、衝動を抑えた。
棚に挟まれた通路の終わりに辿り着いた。身を翻して走り出そうとした私の正面に、あるはずのない壁が現れる。
「……っ!?」
ドクンッ。
壁にぶつかったのと同時に、手に握る魔族の核が呼応した。室内に満ちる魔力が濃さを増して、軽いめまいに襲われる。
——この感覚は、まさか……。
よろけた足を踏み締めて顔を上げる。出口を照らす非常灯の光が逆光となり、ぶつかった壁の輪郭がぼんやりと見えた。
そこにいたのは、白衣を着たボサボサ頭の大男だった。男の鋭い視線が私の胸元で握る手に向けられる。
「コソ泥か。こんな寂れた施設ご苦労なことだな」
若干の嘲笑が混ざった低い声に慌てて否定する。
「ち、違うっ! これは」
「言い訳はいらねえ。泥棒に説教したところで意味がないだろからな」
この感覚、間違いない。
完全に私の失態だ。潜んでいる相手を警戒しすぎて、敵だと思い込んでしまっていた。
彼は魔族の核を横取りするためじゃなくて、取り戻すために現れたのだ。
それにしても、この鉢合わせはタイミングが悪い。
「ごめんなさい! まさか行き当たるとは思ってなくて……。これはあなたに返すから」
観念して核を差し出す。今後のためにも大魔族の不興は買いたくない。
「ずいぶんと変わり身が早い奴だな」
彼はつまらなそうに私から核を受け取る——が、あろうことかポイっと床へ投げ捨ててしまった。
「ちょっと!」
さすがに焦る。自分の物だからって、ぞんざいに扱いすぎだ。
「あんなもんどうでもいい」
「よくないわ。あれはあなたの」
「それに盗品を素直に返したからといって、お前が不法侵入した事実は変わらないだろ」
「話しを聞いて!」
懇願はあっさり無視された。
逞しい腕が腰にまわって抱き寄せられる。
「……なんでだろうな。お前見てると、胸がざわついて落ち着かねえ」
男が耳元で囁く。それだけで意識にかすみがかかり、ふにゃりと脚から力が抜けた。
「なんだ、お前もその気になったか」
「ちが……離して……」
異常の原因は魔力酔いだ。記憶を失って魔力の制御を忘れてしまった大魔族はタチが悪いって聞いていたけど、まさかこんなに酷いとは。
彼がジャケットの裾から手を入れて、背中をまさぐるように撫でてくる。シャツの生地越しに感じる男の体温と魔力のせいで、身体がじんわりと熱を帯びた。
「やめて……ゃっ、あなたは……んぅっ」
必死で訴えかける私の口を、彼が塞ぐ。分厚い舌が唇を強引にこじ開けてきた。
口内に男の舌が侵入する。これがただの人間だったら噛み切ってやったのに、彼の正体を知ってしまったからには、そうもいかない。
顔を背けて逃げようとしたら、先回りされて後頭部を掴まれた。ならばと口内を好き勝手に動く舌を自らの舌で押し出そうとするのだけど、うまくいかない。
「……ぅ……っ、……ん……ぅぅっ」
ブランデーのような濃厚な魔力にあてられて、身体がバランスを崩してかたむく。
「おっと」
倒れそうになったところを彼に支えられる。
「キスしただけで腰砕けとか、お前相当の淫乱だろう」
「……ちが……ぅ」
「まあいい。お前に事情あるってなら、いくらでも弁明すればいいさ。こっちも好きにさせてもらうが、耳だけはかたむけといてやるよ」
そう言って、男は私を床に組み敷いた。
※省略
ぐるぐる、ぐるぐる。快楽に抗いながらどうにか組み立てた思考は、胎内を穿つ衝撃によっていとも簡単に砕け散った。
「……っ、や……んっ、くぅ……あぁっ!」
熱い肉棒が膣内を隙間なく埋め尽くしながら際奥に到達して、子宮口を抉る。ナカを強引にこじ開けられているというのに、痛みはほとんど感じなかった。
「はっ……こんだけ手酷くされてもよがっていられるとか、とんだマゾメスだな」
「ち……ちが、ぅ……んぁ、あっ……。もぅっ、……抜い、て……、おねが……っ」
「何言ってんだ。まだ挿れただけじゃねえか」
私の腰を両手で掴んだ男が腰を引いた。上向きにそり返った肉竿にねっとりと膣壁を擦られる。背中に甘い痺れが走ってじっとしていられない。
「どうした? 物欲しそうに自分から腰浮かせて、抜いてほしいんじゃなかったのか?」
言いながら、男は面白そうにカリの出っ張りが膣口に引っかかる感触を楽しんでいた。浅い位置で抜き挿しを繰り返し、時々亀頭が入り口を大きく広げる。
床まで腰を下げれば、凶悪なペニスから解放される。そうしなければいけないのに、膣は肉棒を逃すまいいと必死にうねり、締め付けを強めた。
「……や……ちが、これは……っ」
「お前は『違う』ばかりだな」
——ゴチュンっ。
奥まで一気に突き上げられて重い快感がはじけた。
腰がビクンと激しく打ち震え、膣道がぎゅうぅっと肉棒にしゃぶりつき、思考が快楽一色に染まる。
こんなことをしている場合じゃない。時間だって限られている。
何より今は仕事中だ。職務を忘れて快楽にふけるなど、あってはならない。
駄目だとわかっていながら身体は言うことをきかず、気持ちばかりが焦る。
そんな私を嘲笑うように、彼は容赦なくペニスを膣奥に打ちつけた。
あれだけ目立っていた空調の音は、私の嬌声と、男の荒い息遣い、そして卑猥な水音にかき消され、今では聞き取ることも難しい。
硬い床の上でスーツのボトムスとショーツを乱暴に脱がされたものの、上半身の服は袖を通したままの状態だった。
ただし、ボタンがとんではだけたブラウスも、フロントホックが外れてズレたブラも本来の役目を果たすことはなく、彼の律動に合わせて押さえつける物を失った胸がタプタプと揺れた。
ぷっくりと勃起した乳首が、私の興奮を彼にありありと伝えている。それが恥ずかしくて、咄嗟に前が開いたブラウスを胸の中心で握り肌を隠した。
——が、すぐに男がそれに気づき、私に覆い被さった。
「ん、ぐ……うぅっ」
膣の奥深くでペニスの先端がポルチオをぐぐぅと強く押して、そこでとまった。
腰を秘部に密着させたまま、男は私の両腕をひとまとめにして、床に抑えつける。あえてブラウスの上から、薄い生地を突き上げる乳首をカリカリと爪で引っ掻いた。
「ぁっ……ぅ、んぁ……、ゃ……、ぅっ、んんっ……はぁ……」
ゆるい刺激に腰がヒクヒクと震えてしまう。
膣道のうねりに彼は気をよくして、ブラウスを割り開いた手で直に胸を鷲掴む。
角張った長い指の加減に合わせて、柔らかい乳房が形を変えた。胸全体をまさぐっていた手は、やがて乳首を重点的に愛撫しはじめる。
親指の腹で優しく頂上をクニクニされ、私がその動きに慣れてきたら粒をきつく摘まれた。
「きゃぅ、んっ……あっ」
チリリとした痛みに身を固くしたのは一瞬のこと。ジンジンと痺れる乳首を親指で撫でるようにして慰められ、痛覚はすぐに甘い快感へと変わった。
「痛みにも感じてるのか。俺のをギチギチに締め付けて、酷くされるのがそんなにイイのか?」
違う——と。言いかけた否定の言葉を封じるように、奥をゴチュゴチュと穿たれる。途端に頭が真っ白になって、口からは言葉にならな喘ぎがひっきりなしにあふれた。
セックスで身も世もなく乱れて、自分がわからなくなる。こんな経験初めてだ。
彼の魔力に酔っているのもあるが、原因はそれだけじゃない。
最悪なことに、この男と私は、身体の相性が最高なのだ。
彼のペニスは、気持ち良すぎる。
「やっ、あっ、あぁっ……だ、だめ……っ、イッ……、や……ああぁっ!」
膣内がビクビクと痙攣して身体が甘イキを繰り返す。その間も彼は腰を止めないから、積み上がる快感は際限を知らず、腹の奥には熱が溜まる一方だ。
膣奥ばかりを責めていたペニスが徐々に律動を激しくする。イキっぱなしの私に、彼は容赦のない快感を送った。
自由を奪われ身悶えることもままならない。そんななかではっと、彼の熱い吐息が首筋にかかった。涙で滲んだ視界に、自身を○す男の笑みを見た。
彼はこの行為を楽しんでいる。サディスティックな一面は人間としての性格か、それとも魂に刻まれた、彼の本性なのか。
「やっべ……、すんげぇ……気持ち良い……、お前、……なんつー身体してやがんだ」
思わずといったふうに囁かれた低い声に、肉体だけでなく精神までもが犯される。圧倒的強者の支配に密かな悦びを得ていた私は、彼がこの身に満足している事実に嬉しさを感じているのだ。
——こんな感情、本来あってはいけない。
「ひぃんっ、あっ、やだ……っ、やだぁあっ」
愉悦を消し去るために必死でもがく。
流されちゃいけない。私は、職務に忠実な、魔王様の猟犬なんだから……っ。
ゴチュッ、ゴチュッ、ズヌヌゥ……ズチュン——っ!
あがく私を嘲笑い、暴力的な快感が、使命感をすり潰す。
ダメだダメだと自分に言い聞かせているうちに、何が駄目なのかがわからなくなっていく。
「やぁあっ、あっ……もぅ……ゆ、ゆるじ、……でぇ……、ああっ」
プライドを捨てた懇願に、膣内に埋まる肉棒が太さを増した。ギチギチに締まる肉路を、愛液と先走りのぬめりを借りて勢いよく押し入ったペニスが、最奥でドクリと脈打つ。刹那、お腹の中が灼熱で埋め尽くされた。
「ぅあっ、あっ、あっ、…………っ!」
これ以上ないほど子宮口へ密着したペニスの先端から精液が放たれた。
ビュクビュクと注がれる熱に、子宮が歓喜する。あまりの快感に逃げを打つ腰を抑え込まれ、射精中のペニスでグニグニと奥をこねられた。そんなことされたらいつまでも絶頂から降りられない。
イキっぱなしで呼吸もままならない私をたっぷりと楽しんで、ようやく彼は膣からペニスを引き抜いた。
肉杭が外れた膣口から精液があふれて秘部をつたう。重力に従い肌を滑り落ちるねっとりとした感覚に、ふるりと背中が震えた。
そうして身じろいだことで、背後に当たる床の硬さを思い出す。快感以外の感覚に意識が向くと、肉悦に奪われていた使命感がよみがえった。
いつまでも絶頂の余韻に浸ってはいられない。
自由になった身体を起こし、彼に背を向けて立ち上がろうとしたところ、寸前で足首を掴まれた。体勢が崩れ、両手が床につく。
「逃げんなよ」
「うぁ、……くっ」
諦めきれず、うつ伏せになって床に転がる彼の核へと手を伸ばした。アレを彼に戻せたら、魔族としての記憶を思い出させることができるのだ。
もう少しで指が鉱石に触れる。それを見計らったかのように足首を引っ張られた。床に爪を立てるも無駄な抵抗でしかなく、指先が魔族の核から遠ざかる。
「犯して中出し決めた俺は眼中にナシか。あんな石ころの何がいいってんだか」
口調から呆れ混じりの憤りを感じ、ぞくりと悪寒が走る。
「放して! ……もう、いいでしょ!」
床にへばりつく私のナカに、彼が指を挿れてきた。無遠慮に奥まで侵入した指に、先ほどさんざんペニスに責められたポルチオをいじられる。
「ひっ、だめっ! ゆび、ぃっ……あっ、やだぁっ」
快楽の熱が冷めきっていない肉体に新たな快感を加えられてはひとたまりもない。
彼は自ら放出した精液を子宮口へと執拗に塗り込み、ポルチオの刺激によがる私を見下ろし笑う。
「よがっていていいのか? 目的のブツはすぐそこだぞ」
「あぁ、やっ、おく……こねるのっ、だめだかりゃぁあっ!」
「……って、聞いてねえのな。隙なくスーツ着込んで、最初は真面目一辺倒みたいなお堅い顔をしてたくせに、中身はマゾの淫乱とか、人の性癖煽るのもいい加減にしろよ」
「しりゃ、しりゃな……っ、やっ、イ……イク、イッちゃうからっ、あっ……ああぁっ、——っ!」
ポルチオを指でいじられて、あっけなく快感の大波に呑み込まれた。
「ぅあ……あ、おぅ……っ」
絶頂のさなか、長い指の先がにゅうっと子宮口をこじ開ける。少し入れては媚肉を押しながら後退して、角度を変えて、また……。子袋へ繋がる狭い場所を、揉みほぐされている。
「……っ、……あ……うっ、や、あっ……ぁっ」
激しい動きではない。だけどじぃんと重く深い快感に絶えずみまわれ、身体は一秒たりとも休まらない。
腹の奥底から湧き上がる極上の愉悦に身がしなり、下腹部の痙攣が止まらなかった。
こんな状態で核へと手を伸ばすのは、とてもじゃないけど無理だった。
「……ぅっ、ぁあ……、…………っ!」
身体がぎゅうっと力んだ直後に大きく跳ねた。しかし何度ポルチオで深イキしようが、彼の指責めは終わらなかった。
ヌゥ……。
「ふぅんっ、んっ、んぁあっ……っ」
子宮に入れられた指が、入り口近くの肉壁をすりすりと撫でながら抜け出ていく。
「ひっ、いいっ、ぐぅ……、おっ、ぅ、あ……ああっ!」
今度は狭い入り口に指を含ませ、小刻みに指先を揺らされる。
「……っ、だめ、あっ……ぁ……も、それ……っ。だめだからぁ……っ、やっ、あぁ……っ」
どれだけ腰を左右にひねって逃げたところで、彼の指は子宮口から離れてくれない。床にうつ伏せになって、彼の気が済むまで、ポルチオの刺激を受け入れるしかなかった。
「こんなもんか」
「……、ぁ……ふぅ……っ、は……ぁ」
快楽に溺れて喘ぎ声もあげられなくなったころあいで、ようやく彼はナカから指を引き抜いた。しかし執拗にこねまわされて熟れたポルチオはジンジンと熱を発し、おかしな感覚が尾を引いて残った。
立ち上がった彼が大股で横を通り過ぎる。
「あっ……」
私の目と鼻の先でかがみ、足元に転がる核を手にする。彼はそれを私に見せつけるように掲げた。
「そんなにコレが欲しいのか?」
両手を床について上半身を起こした私はゆっくりと首を横に振る。
欲しいのではなく、それを、あなたの器に返したいの。
今の彼は魔族だったころの記憶が失われていて、自分のことを人間だと認識している。そんな状態の人に、魔界のことを話しても信じてもらえないだろう。
どうしよう。ここはいったん退却して、魔王様の指示を仰ぐのが正解か。
——こんな強烈な魔力を放つ核と、脆い人間の肉体でいる彼を置いて魔界へ帰っていいの? 天使や退魔師に見つかったら、今の彼じゃ太刀打ちできないというのに。
立ち去るならせめて、核を彼の器に戻してからにするべきだ。……私だったら、それができる。
相手が大魔族だからといって、格上の魔力に萎縮している暇はない。多少強引な手段を取ってでも、彼の動きを封じよう。
深い呼吸を繰り返して息を整えながら、まっすぐに彼を見上げた。
視線を受け止めた男はニヤリと口端を持ち上げる。
「否と意思表示しておきながらそれはなしだろ。まだ諦めてねえって、顔に書いてあるぞ」
「……そうね」
「ああ、その目、たまんねぇな。視線でこんなにゾクゾクするのは初めてだ」
うっとりと呟かれた言葉に眉を寄せる。
気分を害したのが伝わったのだろう。「褒めてんだから怒んなよ」と彼はフォローにもならない物言いで私を宥めた。
「あなたに褒められても嬉しくないわ」
「わかった、悪かったって。詫びといっちゃなんだが、コレはお前にやるから、機嫌なおせよ」
しゃがんだ彼が私へと核を差し出す。
魔族にとって、核は力のみなもとだ。こうもあっさり他人に渡すなんて、本能的にもするはずがない。
甘い言葉は偽りだ。
警戒心をむき出しにする私に、男は満足そうに笑みを浮かべた。
「——やっぱお前、最高だよ。本気で欲しくなる」
「こっちは願い下げよ」
「そう言うなって。俺は自分で言ったことは守る男だぞ。お前にこの石をやるっつったのは本当だ。……ま、全部ってわけじゃないけどな」
意味深な呟きに眉を寄せる。
真意を探り当てるより先に、目の前の男が信じられない行動に出た。
彼は手にした核の、いくつも突き出た多角形の柱のひとつを指でつまみ、まるで木の実をもぐように、先端を折ってしまったのだ。
——パキッ。
歯切れのいい音が室内に響く。
開いた口が塞がらなかった。
「な……は、え……? ……嘘でしょ」
ありえない……ことはないか。
あの核の主人は彼だから。持ち主が望めば鉱石は形を変えるし、分離だってするだろう。でも、それを人間の器でやってのけるって、いったい何がどうなっているの。
「ほれ、こっちはお前にやるよ」
核の本体を壁際の机に置いた彼が、カケラを指で摘んで見せつけながら近づいてくる。
彼の意図が謎すぎて呆然としてしまい、反応が遅れた。
正面で立て膝になった男に身体を起こされる。彼と同じく床に膝をついた状態で向かい合い、抱きしめるようにして身動きを封じられた。
密着したことで相手の体温が伝わってきて、どきりと心臓が鼓動を強めた。突き放したいのに、身体が思うように動かない。
「大事なもんは、誰にも盗られないようにしまっておかなきゃいけねえよな」
「んっ……」
耳に直接注ぎ込むように囁かれ、肩がビクンと跳ねる。
鼓膜を揺らす低音ボイスに腰が砕けそうになったが、腰にまわった逞しい腕に抱き込まれていては床に崩れることもできない。
核の破片を持つ彼の右手が、下方へと移動する。太腿の内側押し当てられた鉱石が、肌の上をすべりながら秘部へと近づく。
「んっ……ぁ、あつ……ぃ」
冷たさを感じたのは最初だけで、膣口からこぼれつたう精液に核が触れると、その場所がカッと熱くなった。
男の手が、脚の付け根に到達する。熟れた陰唇をゆったりといやらしくなぞり、やがて硬いモノが膣口へとあてがわれた。
膣内にかすかな異物感をおぼえた次の瞬間、下腹部に痺れをともなう強烈な快感が襲った。
「——っ、や、やめて……あっ、や……そんなっ」
嘘だ……。——まさか。
男の凶行に理解が追いつかない。
混乱しているうちに、胎内へ魔族の核を押し込められる。
つい先ほどまで極太ペニスで犯されていたソコは、小さな核の破片をすんなり膣奥へと通してしまった。
「はっ、ぅあっ、あ……ぁ……だ、め……おく、いれちゃ……ぁっ、あぁっ」
魔力酔いってレベルじゃない。圧倒的強者の濃厚な魔力に身体の内側を侵食されて、思考がドロドロに溶けていく。
せっかく思い出した使命感はあっけなく崩れ、力が入らなくなった身体を彼の胸に預けた。
ナカに残る精液が核に反応して熱を持つ。ドロドロにぬかるむ卑猥な肉路は快感を求めて核の破片と、彼の指にしゃぶりつく。
「あぅっ、あ……きもち……ぃ……んぁっ」
「おいおい、やってる俺も俺だが、異物挿れられて興奮するとか、とんだヘンタイじゃねえか」
「ち……が、そうじゃ、な……っ、あにゃ……りゃ、ぁっ、まりょく、がぁ……あっ、……んあぁっ!」
膣道の最奥に核が到達した。
ペニスでガン突きされ、さらには指で徹底的にほぐされたそこは、硬い異物からも敏感に快楽を拾った。刺激に歓喜して分泌された愛液が、精液と混ざって膣口から流れ落ち、彼の手を濡らす。
「ぃ、ひぁ……あ……、あぁ……っ、あっ……やらぁ……」
快楽に喘ぐしかできなくなった私を無視して、膣奥の攻略は続けられた。
「いい子だ。そうやって力抜いて、俺に全部を捧げてろ。どうなっても、責任は取ってやっから」
「はっ……はひ、ぃっ……うぅ……」
硬い石が、少しずつ、子宮口に埋まる。
媚肉の隙間にめり込んだそれを、男の長い指が軽く小突き、くるくると輪郭を撫でまわした。
中途半端な位置に留まるそれに、子宮が強烈に疼いた。もっと奥深くで彼の魔力を感じたくて、暴力的なまでの灼熱に身を委ねたくて、下腹部が切なく震えている。
「欲しいか?」
「あ……ほし……っ、ほしぃ、欲しいのっ、……おく……っ、奥まで、いれ……てっ」
必死になって懇願する私は、どう考えても正気じゃなかった。
体内を染める上位者の魔力に抗えず、彼の望むままに声を発してしまう。魔族としての本能が、彼を支配者と認めてしまったのだ。
「そうだな。ココに入れてしまえば誰にも……お前にも手出しできないだろうからな」
ググ、グウゥ——。
膣に挿入された指に力が入る。子宮口がカケラの形に沿ってじわじわと開き、子宮内へ魔力のみなもとが潜り込んだ。
※省略
執務室に足を踏み入れた途端、漂う魔力に全身から汗が噴きだす。子宮の中で核が魔力に呼応してさらに熱くなった。
ふらふらとおぼつかない足取りで、先を行く上司の背中を頼りに室内へ。
重厚な雰囲気が漂う魔王様の執務室に、彼はいた。
執務机の手前にあるソファスペースで、ひとりがけのソファに足を組んで腰掛ける魔王様の後ろに、控えるようにして立っている。
ボサボサだった髪は後ろに流して整えられ、着古した白衣ではなく、魔王軍の軍服を着込んだその御仁に、人間界にいたときのみすぼらしい印象はどこにもない。でも、間違いなく、そこにいるのは、人間界で遭遇したはぐれ魔族の彼だった。
元はぐれ魔族……アガレス様の猛禽類のような鋭い目が私をとらえる。薄い唇がかすかに弧を描き、両端が吊り上がった。
ただ見つめられただけだというのに、背筋にゾクゾクと電流のような快感が駆け抜ける。
崩れそうになるのをかろうじて踏みとどまり、魔王様に挨拶を述べた上司に倣い深々と頭を下げる。しかし前のめりになったことで平衡感覚が狂い、身体が倒れてしまった。
「おいっ」
「構わん。そいつは俺が預かる」
支えてくれた上司から、彼は私を引き取った。
ああ、そういえばこんな声だったなと、なかば現実逃避気味に思い出していると、アガレス様に抱えられた。彼に触れられると、身体の疼きがますます強まる。
「……っ、もうしわけ、ございません……っ」
「すげえな、まだ正気でいられんのか」
「……く、ぅ……っ」
耳の近くで告げられた感嘆の声に、ぶるりと身体が震えた。
出かかった喘ぎを必死で噛み殺す。魔王様の御前でみっともない姿をさらしてたまるか。
「閣下……よくぞご無事で」
上司は私の心配よりも、アガレス様と再会したことへの感動が勝ったようだ。感極まって言葉が続かない上司に、アガレス様はゆったりとうなずく。
「ああ、お前の育てた部下のおかげだ」
「もったいなきお言葉……至極光栄にございます」
上司の涙ぐんだ声とか、初めて聞いた。というか、庇ってくれるんじゃなかったの。
お腹がジンジンして、苦しい。もう耐えられそうにない。
「はぅ……ぁ、ぅ……んぁっ……」
吐き出す息に喘ぎが混ざる。
アガレス様と上司は感動の言葉を交わし、再会を喜びあっている。そこに魔王様がひと言、二言、短く話しに加わって、私は完全に置いてきぼり。
息を殺して、気配を殺して、この場は上司たちを邪魔しないのが正解だ。頭では理解できている。でも、淫らな欲望に支配された私は、アガレス様の意識が自分に向いていないことが悲しくて、甘えるように彼の肩に額を押し付けた。
はやく、もっと……身体の隅々まで触れてほしい。身体の奥深くまで、アガレス様で満たされたい——。
欲望の肥大に歯止めがきかない。
彼を捕縛することになるなら、ぜひとも志願したいとか……自分の考えがいかに甘かったかを思い知らされる。
大魔族に抗うなんて、最初からできるはずがなかったのだ。
「……っ、うぅ〜〜……っ」
「さすがに限界か」
背中にまわった大きな手に撫でられる。それだけで心臓がドクドクと高鳴った。おかしい、こんなのは私じゃない。
「ご厚意に甘えて、これは連れて行きます」
「好きにしろ」
魔王様は発情する私に見向きもせず、いつもと変わらぬご様子で淡々と言い放った。
状況が飲み込めていない上司が戸惑いながらアガレス様をうかがう。視線を受け止め、アガレス様が上司へと口を開いた。
「悪いな、お前の部下は俺がもらうことになった」
決定事項とばかりに告げられても、上司はさほど驚かなかった。
しかし了承の意を伝えながらもほんの少しの逡巡をみせ、複雑そうに言葉を紡ぐ。
「閣下、その者は取り扱い要注意の猛犬なのですが……」
進言に、アガレス様は声をあげて笑った。
「昔のお前みたいじゃねえか」
「当時は私も、まだまだ若造でしたので……お恥ずかしい限りです」
「大事に育てるから心配すんな。壊したりしねえよ」
魔王様と上司を残し、私はアガレス様に抱えられて執務室を退出した。
広い王城の内部をどう移動したのか、全部は覚られなかった。
城勤めでも限られた者しか立ち入ることが許されていないエリアにある豪華な部屋に入ると、アガレス様は私をベッドへ降ろした。
「久しぶりだな。俺のことは忘れてないな?」
「は……ぅう……、はい……ぃんっ」
深くうなずく。あんな経験、忘れるはずがない。
ベッドのふちに座った彼に顔を覗き込まれ、頬に熱が集まる。
「人間界で探し回っても見つからないわけだ。まさか魔界から単身であちらに出向いていたとはな。とんだ命知らずがいたもんだ」
アガレス様が喉の奥で笑う。
「人間の器だと核を持ち主に返す、あのレベルの魔術は使えないと失念していた俺も俺か」
「……ん、ぁ……か、閣下……ふぁ……ぁっ」
彼の長い指が頬の輪郭をすべるように撫で、唇に触れた。
「こんなことなら、もっと早く戻るべきだった。お前もお預けくらってつらかったろ」
唇から喉へ、胸の谷間へと移動した大きな手が、服の上から下腹部にあてられる。次の瞬間、子宮内に埋め込まれた核が活性化して、身体の内側で彼の魔力が暴れだした。
「は、ひっ、あ……あぁっ、や……、ぁうっ」
「それでも、しばらく待った甲斐はあったな。うまい具合になじんでいる」
「や、ぁ……、おなか、揉むの……っ、だ、め……です……くんっ、あっ……へんに、なっちゃ……ぅ」
「どこがだ、これが正常だろ? というあまだしゃべる余裕があるのか。俺の核を胎内に留めて、なおかつ魔力に器を侵食されても壊れないとか、とんでもない逸材だな」
腹部が圧迫されて、子宮の内壁に核が押し付けられると、じゅわりとアガレス様の魔力が体内に浸透していく。
気持ち良い……でも、外からの刺激だけじゃ、ぜんぜんたりない。——違う。私が、良くなってる、場合じゃなくて……。
「それっ、しきゅう……の、だして……カケラ……ぁっ、お、返し……しなきゃ……っ」
「なぜ? 取り出す必要はないだろ」
「ふぁ、あっ、だっ……て……んああぁっ!」
グニィ——。
子宮を腹の上から強く押され、身体の中心で快感がはじける。秘部を直接いじられてないのに、軽くイッてしまった。
「コレはお前にやると言ったろ。返すとか言うなよ」
スリ、スリ、ググゥッ、グニ、グニィ……。
彼の手のひらが、下腹部をいやらしい手つきで撫でまわす。気まぐれに子宮を強く押したり、揉み込んだり……。
「ああっ、それ、……だめっ! しきゅ……押しちゃ……あぁっ」
外側から圧迫されて、核が子宮の肉壁にめり込む。そこから彼の魔力がぶわりとあふれ、理性が焼き切れる。
ひとときもじっとしていられずベッドの上で身悶えるが、アガレス様の大きな手は私の下腹部を離れない。
「まあ……お前がなんと言おうが、今から二度と取り出せないようにするんだが」
低い声に不穏な響きを感じて背筋がぞくりとわななく。だけど芽生えた危機感は、彼の魔力がいとも簡単に消し去ってしまった。
※省略
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市街地 2024/04/07 09:04
※当記事は2話以降のサンプルとなります。
第1話のサンプル記事はこちらからお読みいただけます。
→【小説サンプル】二柱の愛にこいねがう・第1話
とある依頼を受けて遥香が探っていた二人組は、とても彼女の手に負える存在ではなかった。
正体がバレて捕まって、無理矢理身体を開かれて——。与えられる快楽に溺れ……、やがて遥香は、自らの意思で彼らのもとへと堕ちていく。
快楽責め・無理矢理・焦らしプレイ・アナルプレイ・複数プレイ・3P・二穴責めetc.
本編には下記のシーンがございます。
・無理矢理系の性描写。
・アナル責め
・複数プレイ(3P)
意識が覚醒し、遥香はベッドから跳ね起きた。
見覚えのある部屋。ベッドと壁際のデスクが床面積のほとんどを占領しているここは、遥香がワザオイの二人と宿泊しているビジネスホテルのシングルルームだ。
自分はいつ戻ってきたのか。
夢幻境で辰臣たちと話しているうちに睡魔に襲われて……、二人がここまで運んでくれたのだろうか。
深夜にホテルを抜け出したところから、何もかも夢だと思いたかった。しかしながら秘部の違和感が遥香の願望を否定する。
あの淫らな時間は……二人に犯されたあの出来事は決してなかったことにならない。
——どうしよう、どうしたらいい……?
時計を見ると、朝の六時をすぎたところだった。
ホテルのすぐそばに駅があるのは知っている。二人が起きる前に、ここを離れないと。
氷雨さんもオミ先輩も、私がどうにかできる相手じゃない。
「……ぅぅ」
腰の鈍痛に耐えながら遥香はベッドから這い出た。
彼らの正体を神括連に報告するかどうか、いろいろ考えるのは後回しだ。
床に置いてある小型のボストンバッグを肩に担ぎ、急いで靴を履く。壁の差し込み口からカードキーを引き抜いたら照明が消えた。
勢いよくドアを開けた瞬間——背後に強烈な気配を感じた。
驚きの悲鳴をあげる前に口を塞がれ、振り返る間もなく遥香は部屋の中へと引き戻される。
パタン。ひとりでに部屋のドアが閉まった。
「朝っぱらから元気だな」
辰臣が遥香からカードキーを奪い、壁の挿入口へ差し込む。暗かった部屋に明かりがついた。
「オミ、先輩……っ、い……、いつから⁉︎」
などとついうっかり聞いてしまったが、答えはとうにわかっていた。ほんの数秒前まで、室内にこんな強い存在感はなかった。辰臣は遥香の逃走を察知して瞬時にここまで移動してきたのだ。
昨日の夜まで普通に人間をやってたくせに。本性を知られたからっていきなりこれは反則じゃないか。
「そんなにビビんなよ。つーか腹減ってねえか? コンビニでパン類適当に見繕ってきたから食えよ」
遥香を抱きしめるように片腕で拘束しながら、辰臣はワザオイのオリジナルグッズであるトートバッグを掲げた。
そんないつもと変わらない辰臣の態度に遥香の反発心が強まる。
「のんきに朝ごはんなんて食べてる場合じゃないでしょう」
自分たちの関係はもう、以前と同じとはいかない。
遥香は神括連の手先であって、ワザオイの辰臣と氷雨に近づいたのは、彼らを探るためなのだから。
気まずさと寂しさと——様々な感情がせめぎ合って泣きそうになる。感傷に浸る遥香とは対照的に辰臣はあっけらかんとしていて、彼女の立場を気にする素振りをみせなかった。
「なんだいらねえのか。せっかく買ってきてやったのに」
などとわざとらしくぼやきながら、デスクの上にエコバッグをぞんざいに放り投げる。
そして軽々と遥香を抱きかかえ、ベッドの上に押し倒した。
「きゃ……っ」
「だったら先にお仕置きしとくか」
辰臣のまとう空気が変わった。
「……っ!」
昨夜を思い出させる不穏な気配に遥香の身体が硬直する。そんな彼女と顔を突き合わせ、辰臣は悪どい笑みを顔に貼り付けた。
「チェックアウトまで時間はある。それまでに俺たちから逃げようなんて、二度と考えないようにしとかないとなあ?」
宣告に、頭からさっと血の気が引いた。まずい……。本能的な恐怖から、脳内で警報が鳴り響く。
そんななかで、なぜか遥香の子宮は雄を求めてキュンと疼いていた。
泊まったビジネスホテルの客室の壁は薄い。昨日の晩は、隣の宿泊客が視聴するテレビの音が、遥香の泊まった部屋まで漏れ聞こえていた。
防音は完璧でない。隣の部屋で宿泊客が寝ていることも知っている。叫んで助けを求めれば、誰かが駆けつけてくれるかもしれない。
だけどそれをしてしまうと、自分はこの痴態を他人に晒すことになって、辰臣が社会的に殺される。……その前に、一般人が辰臣のいるこの部屋に立ち入るなんて、果たしてできるのだろうか……。
「考えごととは余裕だな」
「んっ、く……ぅ、ぅう……ぅっ」
こぼれそうになった嬌声を、枕に顔を押し付けることでこらえた。
服を脱がされた遥香はベッドの上で後ろから辰臣に犯されていた。最初は四つん這いになっていたが、枕を手繰り寄せたときに上半身がベッドに沈み、そこからずっと、掴まれた腰を高く掲げる体勢で貫かれている。
ズリィ……——ドチュンッ。
遥香が必死で声を抑えるのを嘲笑うように、辰臣はじわじわと腰を引き、膣口にカリが引っかかったところで、勢いをつけて奥を叩いた。
「——っ! んんぅっ……うぁっ」
パンっと肌がぶつかる音とともに子宮口をペニスの先端で容赦なく抉られ、全身に電流のような快感が駆け巡る。
おかしいおかしい。昨日はこんなに気持ち良くなかった。
許容を超えた質量に肉壁が引きつる痛みはなく、遥香のナカは愛液を分泌しながら剛直を咥え込み、与えられる快感に歓喜し収縮を繰り返す。
「ぁっ……身体、おかし……ぃの……っ。わたしに、なに……したんですか……っ」
「なんもしてねえよ。もとから素質があったんだろ。自分が淫乱なことを俺のせいにするのは、さすがにまだ早いんじゃないか?」
「なっ、ぁぁっ……っ! ……だめ……っ、ダメだから……っ」
クリトリスをクニクニとこねられる。不自由な体勢でなんとか振り向き静止を乞うも、彼が聞き入れるはずもなく。
肉芽の裏側を膣のナカから亀頭でズリズリと擦られ、遥香はあっけなく絶頂した。
「……あっ、やぁ……んっ、もぅ……っ」
「まぁ、お前がこんなに感じやすかったってのは、俺らにとって予想外だったが……嬉しい誤算だ。これからもっとエロい身体にしてやるからな」
「なに、ヘンタイみたいなこと、言ってんですかっ」
息を乱しながらも言葉で噛みつく。たとえ彼の正体が神格であろうと、辰臣は辰臣。彼があまりにもいつも通りだから、遥香は畏怖の念からくる恐怖心を抱けない。
強がりな後輩の一面が復活してきた遥香に、辰臣はおもしろそうに笑みを深めた。快感に耐え、必死で平静を装う彼女に加虐心が湧き上がる。そんな顔をされたら、もっといじめたくなる。
膣道の浅い位置に留まっていたペニスが動く。肉壁のうごめきを楽しむようにじわじわと奥に到達して、辰臣は遥香の背中に被さった。
「——ひんっ、んっ……ぁ」
「俺がヘンタイなら、お前はなんだ? 昨日の今日でこんなに感じて……」
「ゃ、耳元で……しゃべらないで……っ」
くすぐったさに肩が跳ねる。男の低音ボイスから逃げるように、遥香はきつく目を閉じた。
グジュ……ググ、グゥ……。
「……っ、ぅ……う……」
視界の情報を遮断すると、ペニスが埋まる膣内の感覚がより鮮明になる。辰臣は何もしていないのに、遥香の腰がわずかに揺れることでナカが刺激され感じてしまうのだ。
膣奥にペニスの先端が当たる。気持ち良いけど……もどかしい……。
「腰、動いてんぞ」
「……っ、やぁ……っ」
「ナカもぎゅうぎゅうに絡み付いてきやがる。これで嫌だなんてよく言えたもんだ」
「んんぅっ! うっうぅ——っ、……くっ……んぁっ」
辰臣が腰をグラインドしてきて、子宮口をこねまわされる。
重い刺激に腹の奥底から痺れるような快感が湧き上がった。腰の痙攣が止まらない。
自分の肉体がおかしくなっていく。危機感に足をばたつかせるも、それで蹂躙者をしのげるはずがなかった。
切羽詰まった遥香が顔を上げ、涙のにじむ目を辰臣に向けた。
「もぅ……やぁっ、……からだ、おかしく……しないでっ」
「はっ——、嫌に決まってんだろ」
「……っ、オミ……先輩っ、も……ほんと、やだっ!」
これ以上辰臣を嫌いになりたくない。遥香にとってはそんな意味のこもった拒絶だったのだが、それに辰臣はがらりと空気を変えた。
「にしても……ずっと俺たちのそばで影響を受けてたってのに、堕ちきってないのはすげえよ。さすがは遥香チャン……だが、そろそろ自分の立場を理解しようか」
無邪気な笑顔に不穏さを察知して遥香の背筋が凍りつく。対照的に、下腹部が燃えるように熱くなった。
「ひっ……あ、や……っ」
ベッドの上部にずり上がろうとした身体は辰臣に引き戻され、容赦のないピストンが始まった。
抉るように肉壁を擦りながらペニスが膣道を往復する。最奥に衝撃が加えられるたびに、遥香の口から上擦った嬌声が押し出された。
「やっ、だめ……っ」
咄嗟に手にした枕を辰臣に奪われ、ベッドの下へと放り投げられる。
「抑えようとすんな。感じてる声、ちゃんと聞かせろ」
「……ゃ、ちがっ……ぅっ、となり……聞こえちゃう、からぁっ」
「どうせ聞かれたところで、相手は朝っぱらから盛ってんなぁぐらいしか思われねえよ」
そんなわけあるか。
恨みがましく辰臣を睨むも、鼻で笑って軽くあしらわれた。しかも遥香は掴まれた両腕を背中にまわして固定されてしまったため、手で口を塞ぐこともできなくなった。
後ろに手を引かれて背中がそり返り、肩甲骨がきゅっと中心に寄った。拘束をとこうともがくものの、膣道をペニスで穿たれると身体から力が抜けてしまう。
「やっ、あっ……あん、あ……っ、やぁっ」
剛直にポルチオを突き上げられるたびに、子宮に快感が溜まっていく。頭の中が快楽に染められ、他のことが考えられない。
「あぅっ、あっ……あぁんっ」
喘ぎ声が艶を帯びたものに変わったのを、辰臣は聞き逃さなかった。
「……気持ち良いか?」
「ぁっ……だめっ、あ……いぅっ……せんぱいっ……やっ」
それでもまだ、享楽を認めるのは恥ずかしいらしい。うわ言のように拒絶の言葉をもらしながら、遥香は首を横に振った。
そのくせ膣は辰臣のペニスを締め付けて快楽をむさぼり、射精を誘ってくる。身体のほうが正直だとはよく言ったものだ。
嫌がったところで誰が放すか。
天邪鬼な後輩に辰臣はいっそう執着を強くする。彼女が自分たちのものだと周囲に——そして遥香自身に教え込むためにも、行為を止めるつもりはさらさらない。なにより辰臣自身が、彼女のナカで達したいと強く望んでいるのだ。
「あぁ……、俺はすんげぇ気持ち良いんだけどなあ……。お前のナカが良すぎて、すぐにイってしまいそうだ」
不穏な言葉に遥香がハッとした。何も考えなくても膣内の剛直に意識が向いた。
熱い、硬くて、大きいのが……イイところを、ズリズリって……っ。さっきより太くなって、ドクドクしてるっ。
膣の感触を鮮明に感じたことにより快楽が増幅する。ビクビクと腰が小刻みに跳ねて絶頂を迎えるも、辰臣はピストンを止めなかった。
「んん——っ、ああっ、やあぁっ……っ!」
イった直後の余韻に浸れず、遥香の頭は真っ白になった。激しい抽送による強烈な快感に全身が痙攣を起こす。
「やめてっ、イッ……イったのっ、あっあぁ、……あっ! ……もう、いやぁ——っ」
悲鳴に近い喘ぎ声を聞きながら、辰臣がズチュンッと一際深く膣奥を叩いた。そして子宮に己の精を注ぎ込む。
「————っ!」
胎内に熱い飛沫が叩き付けられる。熱い……熱くてとても、気持ち良い……。
絶頂に絶頂が重なり、精神がとろける。全身が震えるなかで自ら秘部を辰臣の腰に擦り付けたのは、まったくの無意識だった。
膣道はペニスから最後の一滴まで精液を搾り取ろうと収縮を強める。それにまた、遥香はたまらないほど感じてしまうのだ。
「はぅ……あっ、……あぁ……っ」
ぐぬ……ぐぅ……っ。二度ほどたっぷりと媚肉を擦りながら膣道を往復して、辰臣は名残惜しそうにしながらもペニスを引き抜く。
「はっ、なんつう顔してんだ」
涙で瞳を潤ませ恍惚とする遥香の頭を撫でる辰臣の手つきは、どこまでも優しかった。
※省略
言葉の応酬のさなか、辰臣は薄紫の棒を指で挟み、遥香の目の前で見せつけた。
「……なんですかそれは……」
どう考えてもいい予感がしない。
「まあそう怯えるな。お前が寝てるあいだにひとっ走りして買ってきてやったんだから」
「どこに⁉︎」
「いやあ田舎でもこういう店は探せばあるもんだなあ。最近のは小さくても高性能なのが増えたらしいから、ひとつ試してみような」
話が微妙に噛み合ってない。絶対にわざとだ。
詳しくはなくても遥香だって大人のオモチャの存在ぐらいは知っている。辰臣の口ぶりから道具のおおよその使い道を察した途端、下腹部にきゅっと力が入った。
「……っ」
逃げなきゃ……嫌がらないといけないのに……。ソレが膣内に入れられるさまを想像してしまい、トロリと愛液が膣口からこぼれた。
パステルカラーのバイブが秘裂を往復して、本体に愛液をまとわせる。
クチッ、クチャ……クチィ……。
「……ぅ、ふぅんっ、……ゃっ」
光沢を帯びたバイブの膨らんだ先端で膣口を押される。辰臣の剛直よりも細くて小さなソレを、入り口は簡単に呑み込もうとする。しかし辰臣はなかなか奥へと入れてくれず、焦れた遥香は腰を揺らした。
チュプリ……ヌポッ……。
膣口に嵌るも、すぐに抜かれてしまう。じれったさに膣がきゅうっと締まった。
もっと奥まで挿れてほしい……。自分の淫蕩な欲望を自覚させられ、うろたえながらも遥香は無意識に自ら膝を開いた。
「……せんぱい……っ」
「奥をいじめてほしいか?」
問われて羞恥に目を泳がせる。
「これがナカでぶるぶるーってなったら、きっと気持ち良いぞ」
「んぅ——っ」
耳元でささやかれて肩が跳ねた。
求める気持ちは自覚していても、素直に伝えられるまで遥香の心は陥落していない。
かたむいていた精神は些細なきっかけで正気を取り戻す。一瞬でも快楽に身を委ねようとした自分を恥じて遥香は反射的に脚を閉じた。しかしその程度のことで辰臣のイタズラを阻止することなどできるはずもなく——。
「まあお前が嫌がってもするんだけどな」
辰臣がほんの少し力を込めただけで、ヌチリとバイブは遥香のナカへと呑み込まれた。
直後、異物に広げられた膣道を振動が襲う。
「いぅん……っ、……やっ、……なにっ? 動いてる……っ」
「そういうオモチャだからな」
「これ、や……あっ……はいって……くぅっ、止めて……いやぁっ」
バイブの振動と膣の収縮によって、異物が勝手に奥へ奥へと進んでいく。たまらず秘部へ伸ばされた遥香の手を、ストラップに指がかかる寸前で辰臣が掴んだ。
「——っ、放してっ!」
「ダメに決まってんだろ。なに勝手に抜こうとしてんだ。これがお仕置きだってこと、忘れてんじゃねーよ」
「……ぁっ」
「良い子だから手は横に……な?」
ことさらゆっくりと告げて、辰臣は遥香の手を放す。
強力な力に逆らえず、遥香は両手をベッドにつけた。
「……ぅっ、あぁっ……あんっ」
単調な振動が下腹部に甘い疼きをもたらす。呼吸が乱れてひとときも休まらない。
辰臣がストラップを引っ張り、バイブの位置を調整してくる。先端の膨らみでGスポットをピンポイントで狙われた。
カチリと小さな音がして、異物の振動箇所が先端部分のみに切り替わる。
「あぅっ……あっ、あ……っ、んぅっく、んぁっ」
快楽の波は静かに高まっていった。身体を手で支えるようにして腰が浮き、へこへこと上下に揺らしてしまう。
「良さそうだな」
「んっ、い……いぃっ、気持ちぃ……っ、あっ……い、イきそ……ぁっ」
「そうか。じゃあここまでな」
遥香が絶頂の気配を感じた途端、バイブの振動が止まった。
「え……あっ……」
「簡単にイかせたらお仕置きになんねぇだろ」
戸惑う遥香にあっさり言ってのけ、辰臣は指でバイブを膣奥へと押し込む。
「あぅんっ……ゃあっ」
媚肉を擦る刺激に身悶えるも絶頂感はほど遠く、どかしさがつのる。
「続きはあとでな」
「……オミ先輩、あ……あの……」
熱のこもった視線を向けて呼びかけても、辰臣はあっさりとベッドを降りてしまった。
※省略
ワザオイが拠点としているマンションに帰ってきて、地下の駐車場に車が止まった。
「お疲れさま。よく我慢したね」
「……は……っ、ひゃ……ぃっ」
氷雨に頬を撫でられ、嬉しさで胸がいっぱいになる。遥香は甘えるように自ら氷雨の手に顔を寄せた。
運転席を降りた辰臣が遥香の横側のドアを開ける。
「大丈夫か?」
「ぅっ、……い……ぁっ、せんぱい……ぃん、あぅ……っ」
「これだとさすがに歩けねえか。ほら、運んでやっからこっちにこい」
氷雨にシートベルトを外される。遥香は背中を向けた辰臣の両肩に手をかけて身体を預けた。
遥香をおぶって膝裏に腕を絡めた辰臣が、体勢を整えるために軽く身をはずませる。
「きゃぅんっ!」
「あ、わりぃ」
落下の衝撃でナカのバイブが媚肉を擦りながら下方へと移動して、腰がビクビクと痙攣を起こした。地下駐車場に嬌声が響くも、遥香に周囲の目を心配する余裕はもはやない。
「ぅ……あぁ、んっ、せんぱい……はぁうっ、や……とまらない……っ」
少しでも快感を得ようと辰臣の腰に秘部を押し当ててしまう。はしたないとわかっていても、やめられなかった。
辰臣の背中で落ち着きなくもぞもぞと動く遥香へと、氷雨が自身のジャケットをかけてやる。
「家に帰ったら、たくさん気持ち良くなろう」
耳元でこっそり囁かれた。そのときを期待して子宮がきゅんと疼きを強める。
涙で顔をくしゃくしゃにしながら、遥香は何度もうなずいた。
※省略
唾液で濡れた唇に、氷雨がキスを落とす。自然とそれを受け入れて、薄く開いた唇から口腔へ入り込んだ氷雨の舌を、遥香はちゅっと吸った。
「……ぅ、……んぅっ」
「キスは好き?」
「……だと思います」
氷雨とのキスは安心する。……辰臣も。
夢中になっていると頭の中がふわふわして、幸せを実感できるから。
恋人でもなんでもない。自分たちの関係性を考えるとこの幸福感はまやかしなのかもしれないけど……それでも、二人の優しさに触れられるひとときを、遥香は嫌いだとは言えなかった。
「うん。——俺も好きだ」
——好き。それは口付けのことであって、自分に言われたわけじゃない。わかっていても、顔が赤くなってしまう。
優しく微笑みかけてくる氷雨は、相変わらず綺麗だった。
甘い空気に気恥ずかしさをおぼえてうつむいた遥香を、ソファに深く腰掛けた氷雨が抱き寄せる。
「はぅ……ぁあんっ」
体勢が変わったことで下腹部に快感が走り、咄嗟に氷雨へと抱きついた。
「そのまま、じっとしていられる?」
「……はい……ぅっ、んん……」
ナカの快感は耐えられないほどじゃない。うなずいた遥香の耳に、氷雨が唇を寄せた。
「良い子……」
中性的な声音が頭に直接響き、身体からくたりと力が抜ける。
快楽に浸りながらも脱力した遥香の背中に腕がまわされた。氷雨のもう片方の手は、二人の結合部へと降りていく。
「すご……ギチギチに広がって、俺のを咥え込んでる」
「へ……? ……やっ、そこダメっ、あっ……ゃっ」
膣口とペニスの境目を指でなぞられ、小さく腰が跳ねた。ソコを意識した途端に膣壁がうごめき、剛直のカタチを体内で鮮明に感じ取ってしまう。
「ひぁっ、やぁ……んっ」
氷雨は些細な刺激にも反応する遥香を楽しんだあと、膣口からあふれた愛液を指ですくい、イタズラをやめた。そして愛液で濡れた指は遥香の後ろに移動して——。
「ひ……ぇっ? 氷雨さんっ⁉︎」
「うん。じっとしていて」
後ろの穴に指の腹が押し当てられ、遥香がはっと正気に返る。理解が追いつかず戸惑うあいだも、氷雨はきつく窄んだ小さな孔に指を食い込ませてきた。
「だっ、ダメですっ! そこは……そんなとこっ」
「なんにも駄目じゃない。遥香ちゃんならこっちでもすぐに感じられるようになるよ」
「うそっ、……む、無理です……やぁっ」
どうにか逃げようともがくものの、膣を氷雨に貫かれた状態では前にも後ろにも進めない。腰を上げて引き抜こうとしても、背中を抱きしめる腕がそれを許してくれなかった。
「やっ、ホントに、ダメ……っ、んっ、ゆび、やめっ……んぅ」
後ろのふちに愛液が塗り込まれる。孔をパクパクと開閉させてしまうのが自分でもわかった。
これは反射であって、断じて期待しているわけではない。
アナルプレイなんて無謀すぎる。普通のセックスだって昨日が初めてだったというのに、いきなりこんなハードなことをさせるとは何事か。……経験を積めば良いってもんじゃないけど……。
ここは流されちゃいけない。
爽やかに笑いながらなんてことしてるのこの人は⁉︎」
快楽に染まっていた思考に理性的な考えが混ざる。
そうだった、いくら品行方正に見える好青年であっても、氷雨さんはあのオミ先輩の相方なんだ。ただ優しいだけの人なはずがない。
そもそも品行方正な人間はこんな無理矢理な行為はしない。それ以前にそういや彼らは人間でもないのか——とか。
遥香の頭はたとえ正常に回り始めたとしても、現状をどうこうできる妙案は浮かんでこなかった。
「氷雨さん、ほんっとうに、……その、そこで……」
するんですか? とは、怖気付いてしまって最後まで聞けなかった。
「うん、するよ。裂けないようにじっくり慣らしていこうね」
氷雨は遥香の言えなかった部分を察して言葉を拾ってくれた。しかしそんなのはなんの慰めにもならない。
前側で愛液を追加した指がまた後ろへと戻る。後孔に指先が埋められた。慣れない異物感に、遥香は背中を縮こませた。
「やっ……キツいの、だめっ……」
「だからゆっくり拡げてるんだけど……俺の指が嫌なら専用の器具で拡張しようか?」
さらりと言われたとんでもない単語に勢いよく首を横に振った。
「そっか、指のほうが良いんだね」
「……そういうわけじゃなくて……」
どっちも嫌なんです……と、もごもごと口の中で呟いた言葉は氷雨に届いていておかしくないのに、さらりと流されてしまった。
「強引に入れたり、痛いことは絶対にしないよ。それにこっちでも快感を拾えるようになったら、遥香ちゃんはもっともっと気持ち良くなれる」
「そんな、とこで……感じるなんて……」
「お尻が性感帯になるって、知らなかった?」
「……っ、別に知らなくてもいい、ことのはずですよっ」
「知ってしまって、戻れなくなるのが怖い?」
心の内を見透かされたような指摘に言葉が詰まる。
氷雨の目つきがかすかな冷たさを帯びて、遥香は身をすくませた。
「まだ俺たちから逃げられると思ってるんだ」
「や……ちが、う……」
「だったらなおさら、ここはしっかりと開発しないといけないな。普通じゃ満足できないぐらいが遥香ちゃんにはちょうどいい。心配しなくても、俺とオミがいつでも君を満たしてあげるから」
「んぅ……っ」
後孔の上を撫でていた指が、少しずつ窄まりにめり込んでいく。
痛みはないけど……やっぱり怖い。
きつく目を閉じた遥香は、暗闇の中で膣内に埋まるペニスの熱を感じ取り、無意識に腰をくねらせた。快感が、下腹部にじわりと広がる。
「あっ、……あんっ、んぁあっ」
「嫌がってるわりには、甘い声が漏れてるけど……」
「ち……ちがうのっ……、ナカ、と……氷雨さんの、声が……っ」
「耳でも感じてるんだ。——ホントに敏感な身体をしてる」
「んん——っ」
耳元でいつもより低めの声で囁かれ、耳穴に舌を差し入れられた。
グジュリ……クチャ——ッ。
頭の中にダイレクトに響いた水音に脳が痺れ、ゾワゾワと肌が粟立つ。上半身が力んだのは数秒のことで、すぐに身体からふにゃりと力が抜けた。
その瞬間を見計らい、後孔に氷雨の中指が第二関節まで侵入を果たす。
「ひっ……」
お尻に力を入れたが、遅かった。
アナルへと入り込んだ指に抜け出る様子はなく、そのまま指先にやんわりと肉壁を押される。わずかな動きにも強烈な違和感があって、遥香の息が詰まった。
「も……やっ、抜いて……っ」
「苦しい?」
「わ、かんない……、へんな感じ……っ、お尻、熱くて……」
狭く閉じた肉路をこじ開けられて、身体の内側が広げられる、今まで体験したことのない感覚だ。
違和感がとてつもない。これが快感に結びつくとは到底思えなかった。
「……でも、遥香ちゃんの腰、さっきから揺れてるよ?」
「え……んんぅっ」
アナルを○す指がぐるりとまわされる。
「前のほうで、奥を突かれるのは気持ち良いよね? こっちからも子宮をズンズン押し上げて、二本のペニスで境目の壁をずりずりぃって同時に擦ったら、どうなるかな?」
後孔を開発する指が膣側の肉壁をクニクニと揉み押す。氷雨の言葉とその指の動きに、膣道でめいっぱい咥え込んでいるペニスへと意識が向いて、カッと下腹部に熱が灯った。
「はぁ……ん……っ」
脳裏に浮かんだ淫らなイメージが膣の快感を増幅させる。背中をしならせて悶える遥香から、氷雨は指を抜いた。
「んんんっ……ぁあっ」
強烈な異物感から解放された瞬間、背筋に痺れるような感覚が走り抜けた。ほっとしたのも束の間、愛液を追加でまとった指は再びアナルの攻略にかかる。今度はもう少し、奥まで……。
「いっ……ぐ、うぅ……」
「そう力まないで、力を抜いて、リラックスして」
そうしてしばらく指は動きを止める。遥香が戸惑い、アナルの違和感に慣れたころあいをみて、拡張の作業を開始した。
「やっ、氷雨さん、動かしちゃダメっ」
「やっぱり抜くときが一番感じるみたいだな」
「違います! そんなこと、ないっ……ぁっ」
「ないことないでしょ。ほんの少し引き抜いただけで、膣が俺のをぎゅっと締めてくる。解放感と快感が結びついてるって、自覚できてないのかな」
自覚もなにも、それこそありえない。アナルから指が抜けたときに感じたあのゾクゾクは、快感ってわけじゃなくて……。
「もっと奥からずるずるぅって、中の壁を擦りながら熱くて硬いモノが抜け出ていったら、どんな感じがするんだろうね」
言葉を模して、氷雨がアナルから指を引いた。
「……っ、ふぁ……あんっ」
ひくんっと遥香の身体が小さく跳ねる。
後孔に入り込む圧迫感は苦しいけれど、出ていく感覚は、なんだかクセになりそう……。アレが、もっと奥から、ズルズルゥってなったら……。
※省略
氷雨に見下ろされ、不穏な空気にごくりと唾を飲み込む。
「今日はさすがに疲れただろうから、俺もオミも、朝までゆっくり寝かせてあげようと思ったんだよ? それなのに……遥香ちゃんの元気には驚かされるよ」
「元気なわけないでしょう! 疲れてます。はっきり言って疲労困憊です! だから自宅に帰ってゆっくり休もうと……」
「そっか、家に帰るだけの体力があるなら問題ないかな」
「ちょっ——、待って!」
胸元で握りしめていたスウェットのトップスを奪われ、ボトムスもショーツと一緒に脱がされてしまう。
「視聴者とオミを待たせてるから、手早く済ませようか」
「だったらこんなことしてないで、帰るなって一言命令して、とっとと戻ればいいでしょう!」
「急にどうしたの?」
「……そもそもお二人が忙しくしてるなら、私はここにいなくてもいいはずです」
「夜道は危ないのに、ひとりで帰らせたりはしないよ。魑魅魍魎だけじゃなくて、生きてる人間も油断ならないってのに」
「バカにしないでください。これでも多少は生きてる人間対策にも鍛えてます」
挑むように睨むと、氷雨はへぇと気のない返事をして、遥香の内腿をするりと撫でた。
「……ゃっ」
「なんにしても、君がそれだけ動けるなら、こっちの予定も変わってくる」
「…………ぁ……」
墓穴を掘ったことに、遥香は今になって気がついた。ヤバい。さっと血の気が失せて慌てふためく。
「ち、違うっ……本当に、もうムリっ」
「そんなことはないでしょ。ひとまず手は頭の上……ね?」
両手首をひとまとめに掴まれ、頭上でシーツに押し付けられる。氷雨が離しても、遥香の両手はベッドに縫い止められたまま動かせなかった。
縛鎖の術だ。それも、恐ろしく強力な。
「これっ! といてください!」
こんなの暴漢よりもよっぽどタチが悪い。
「せっかくだし足も縛っておこうか」
ついでと言わんばかりに、肩幅に開いてゆるく膝を曲げた状態の左右の足も、その状態で固定されてしまった。
遥香のしなやかな裸体が氷雨の前にさらされる。氷雨は己の成果に満足し、ヘッドボードの棚に備え付けられている引き出しから、ローションと怪しげな道具を取り出した。
黒々とした道具の素材がシリコンなのかプラスチックなのか、遥香には判別ができなかった。氷雨が先端にある輪に指を通したそれには、ビー玉ほどのサイズの黒い球体がいくつも連なっていた。輪っかの持ち手に一番近い部分の玉だけは、他の球体よりも大きい。
遥香の腹の上で、ボトルのローションが真っ黒な玉のひとつひとつにたらされる。
「な……んですか、それ……」
「後ろを開発するためのオモチャだよ。暇してるならこれを咥えておこう」
秘裂にもローションを流され、冷たさにうっと息を詰めたのも一瞬のこと。どろりとした液体を塗りつけるように、後孔のふちをフニフニと押され、お尻にぎゅっと力がこもった。
「やめて……、やだっ」
「嫌がってるわりには、ここは物欲しそうにヒクヒクしてるよ。昼間の感覚を忘れていないうちにおさらいしようか」
「ひっ……ぃ……っ、や、やめ……っ」
プツ、プツ……と、アナルの入り口を押し広げて球体が中に入り込んでくる。ひとつの球体が入ると口が窄まり、また球体に沿って広がって……その繰り返し。
「んぁっ……ゃっ……やだぁ……っ」
ゾリゾリと腸壁を擦りながら奥へ奥へと侵入する球体の連なりは、ついに指では届かない未開の場所まで攻略し始めた。
どうして……。
あらぬ場所を異物に占拠される感覚が不快でないことに、遥香はうろたえた。尾てい骨の奥あたりがぞわぞわと甘く痺れて、膣道がこっちにも刺激が欲しいと切なくうごめくのだ。
氷雨は貪欲に快感を求める肉体に困惑する遥香に構わず、小さな球体を遥香のアナルに押し入れる。
「すんなり入りきった。……これが最後」
「やっ、ん、いたっ……ぐ、ぅ……っ」
持ち手と直接繋がったゴルフボールに近いサイズの球体が後孔を広げる。このときだけは引きつる痛みに遥香がうめいた。しかしそれも球体が半分を越えるまでのこと。後半は氷雨が何かをする必要もなく、口の窄まりとともにオモチャはすんなりアナルの中へと呑み込まれていった。
アナルから生えた持ち手の輪を氷雨が軽く引く。
「ぃうんっ」
孔からわずかに覗いた黒い球は、ふちがきゅっと閉じたことにより見えなくなった。まるで外に出すのを拒むような遥香の反応に満足して、氷雨は先端の輪から手を離した。
「じゃあ、あっちが終わったら続きをするから、それまで良い子にしていてね」
額に軽くキスされて遥香は慌てた。
「やっ、氷雨さん、待って……これ取って。手のやつ、といて。……お願いっ」
「風邪ひかないように暖房つけておくよ」
懇願はあっさりと無視される。自身のスマートフォンを使って空調を操作した氷雨は、遥香の頭をひと撫でして、そのまま部屋を出て行ってしまった。
バタン——。無情にもドアが閉められる。
「——っ、あの人は!」
込み上げた怒りに任せて叫ぶ。こんな状態で放置するとか鬼畜すぎやしないか。
「……ぅあっ、ゃ、……もうっ」
無意識に浮き上がった腰が揺れる。アナルの異物感もさることながら、何もされていない前側が刺激を欲して疼く。どうにもじっとしていられなかった。
ひとり全裸で腰を振って、私は何をやっているのか。自分を客観視できる理性が残っているだけに、この状況に羞恥心を抱かずにはいられない。
本当は、家に帰ろうとせず、ここでワザオイの配信が終わるのを待っているのが正解だったと、遥香だってとっくにわかっていた。
知っていながら彼らの望んだとおりにできなかったのは、自分の子供じみた嫉妬心が原因だって……それぐらいちゃんと自覚している。
でも……だからってこの仕打ちはあんまりじゃない!?
「……氷雨さんのバカ……っ」
——氷雨が馬鹿なら自分は何だ——?
悪態には常に感情の矛盾が付きまとった。
処女を奪われ、逃げることを許されず二人に良いようにされている現状。当然納得はできないでいるものの、遥香はこんな扱いを受けても氷雨と辰臣を嫌いになれなかった。
ワザオイとして活躍する、二人のパフォーマンスも大好きだ。これからも続けてほしいと思うし、神括連なんかに潰されたくない。
この身を無理矢理犯した相手だというのに、悲観にくれることのない自分の図太さに驚かされる。二柱の神に強烈な畏怖の念を抱くことはあっても、遥香は精神を強○的に屈服させられてはいなかった。
その証拠に、こんなことになっても遥香は彼らに軽口を叩けるし、文句も言える。辰臣と氷雨も、遥香のそんな態度を咎めず、当然のこととしていて——。
「……なんなのよ、もう……」
明らかに歪んでいる関係を、神様だったら仕方がないかと受け入れている自分も結局のところどこかおかしい。
ねじ曲がっているのは彼らに向ける好意か、はたまた自分の性癖か。
「……ぅっ、く……ぅ」
腰をくねらせると体内の異物を鮮明に感じ取ってしまう。
「ぐっ、うぅ……んぅっ」
どうにかしたいのに、手前の大きな球体は、多少力を入れたくらいではアナルから出ていきそうになかった。
「も……いやぁ……」
壁にかかった時計を見る。時刻は二十三時をまわったところだ。辰臣たちが配信を終えるまであと三十分もある。
期待した快感が得られないもどかしさは記憶に新しい。というか、今日車の中で体験したばかりだ。あのときはずっと、ナカにバイブを挿れられた状態で氷雨にじらされて……。
「んぁっ……ぁっ……」
思い出したら下腹部がことさら疼き遥香を追い詰める。
あのときとは違い、そこは何もされてなくて、代わりに、後ろの穴を変なオモチャに犯されている。痛みはない。それどころか、よくわからない異物感を、遥香は快感と認識し始めていた。
……たしかに気持ち良いのかもしれないけど、秒針の音と自分の吐息や喘ぎ声しか聞こえないこの空間は、ただただむなしかった。
こんなオモチャなんかより、熱い肉棒がいい。……ううん、そんなことよりも……彼らに傍にいてほしい。
「……氷雨さん……オミ先輩っ」
名前を呼ぶと、求める気持ちがよりいっそう強くなる。応える声はなく、寂しさに拍車がかかった。
カチ……、カチ……。
時間を気にするほどに、秒針の進む速度は遅く感じた。
※省略
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