市街地 2024/04/07 08:54

【小説サンプル】二柱の愛にこいねがう・第1話

※DL siteで販売中の作品のサンプルです。

あらすじ

とある依頼を受けて遥香が探っていた二人組は、とても彼女の手に負える存在ではなかった。
正体がバレて捕まって、無理矢理身体を開かれて——。与えられる快楽に溺れ……、やがて遥香は、自らの意思で彼らのもとへと堕ちていく。

全体を通したプレイ内容

快楽責め・無理矢理・焦らしプレイ・アナルプレイ・複数プレイ・3P・二穴責めetc.

【!ご注意!】

本編には下記のシーンがございます。

・無理矢理系の性描写。
・アナル責め
・複数プレイ(3P)



【第一話】


バレてたと、知ったときにはもう遅い。氷雨(ひさめ)と辰臣(たつおみ)に対して遥香(はるか)が畏れを抱き、「勝てない」と悟った時点で、支配と隷属の関係性はできあがってしまった。

精神を強○的に屈服させられたともいえる。



——私は何をしてたんだっけ?

かすみがかかっていた思考が、少しずつはっきりしてきた。

——そう、大学の学費を稼ぐために、土地神消失事件の調査することになって……、疑われている、先輩たちに近づいたんだ……。

それで、どうなったんだっけ……?

——オミ先輩と氷雨さんに捕まって、夢幻境に引き込まれて……。

「……っ、……ぁっ……んぅっ」

バラバラになった思考がゆっくりと組み立てられていくも、秘部に感じる快感が核心にたどり着くのを阻害した。

よくわからない。だけど、身体の中心が気持ち良いのだ……。

——……二人の活動の、ライブの手伝いをしてたの。オミ先輩が……バイトに誘ってくれて……。ホテルに泊まって……あれ?

だんだんと、記憶に残る出来事の時系列があやふやになっていく。そうして思考が混乱の渦に流された先でようやく「現状」へと意識が戻った。





クチュリ……。

ぬめり気のある水音と共に、身体の中心が甘く疼いた。

腹の奥底に感じる切なさにたまらず遥香は身をよじるも、背後からまわされた腕に抑えられ、体勢を変えることは叶わない。

「はぁ……ぁっ、ぅ……え……?」

「ふふっ、混乱してるね。でもやっぱり、力のある子は醒めるのが早そうだ」

後ろで楽しそうに笑っている、これは氷雨の声だ。

「それでもこんだけよがってんだから、起きてももう逃げられないだろ。感じやすい良い身体だ」

辰臣の声が、近くて遠い場所から聞こえてきた。出どころを探ろうと意識を向けたら、またあの甘い感覚が腹の底から湧き上がってくる。

「ふぁっ、あっ、あぁ……んあぁっ」

「軽くイったか? かわいいなぁ……」

喉の奥で笑われる。なんだかとても恥ずかしくなって、イヤイヤと首を横に振った。

何があった。何が起こっているの。どうしてアソコがジンジンしているの……?

次から次へと疑問が浮かぶ。

芽生えた危機感に対応するかのように、聴覚に次いで、ぼやけていた視界が徐々に鮮明になっていった。

「は? ぇ……んぅっ、な、にが……?」

「おはよう、遥香ちゃん。時間的にはこんばんはが正解かな?」

「んんぅっ」

背後から耳に直接流し込むようにささやかれ、くすぐったさに遥香は思わず首をすくめた。

大げさな反応に氷雨がクスクスと笑う。後ろから伸びる手が、服を着ていない遥香の乳首をキュッとつまんだ。

チリリと感じた痛みに、遥香の肩がまた跳ねる。

「いっ……! あっ、なん……で、氷雨さんっ」

後ろにいるのは氷雨だ。むき出しになった背中に、彼の体温が感じられた。

首をまわした視界のすみで、浴衣姿の氷雨が美麗な微笑みを浮かべている。

御簾(みす)のかけられた、木造の建物の、どこかの部屋。

床に置かれた燭台には蝋燭が立てられ、室内を淡く照らす。

そんな部屋の中央で遥香は服を脱がされた裸の状態で、氷雨に背中をあずけて座らされていた。お尻に当たる感触はふかふかしていて、床には布団が敷かれているようだ。

視線が上から下へと移動する。遥香の脚元には、辰臣がいた。

辰臣は大きく開かれた遥香の脚のあいだに片膝を立てて陣取り、彼女の恥ずかしい部位に触れている。秘部に指をそえた状態で困惑する遥香と目が合い、辰臣がニヤリと口端を持ち上げた。

急に遥香の意識が覚醒する。

「なっ、なにして——っ!?」

後ずさって辰臣から離れようとしたが、背後に腰を落ち着ける氷雨によってはばまれた。

「こらこら、邪魔してはいけないよ」

秘部をいじる手を払いのけようとするも、氷雨に両手首を捕えられ、みぞおち部分に押し付けるようにして拘束される。相手は片手しか使ってないのに、どんなにもがいても手は自由にならなかった。

ならば脚を閉じてしまいたいのに、膝のあいだでは辰臣の身体が邪魔をしていた。しかも辰臣は遥香の膝に手をかけてさらに開脚させ、羞恥心を煽ってくる始末だ。

「オミ先輩……どうして……」

「今は理由なんざ考えるな。俺と氷雨が与える感覚だけに集中しとけ。——賢い遥香チャンならできるよな?」

目を合わせて、ゆっくりとした口調で辰臣が言い放った言葉が耳の奥に響く。意味の理解には、強烈な畏れが伴った。

得体の知れない圧倒的強者の言うことに本能的な恐怖が芽生え、遥香から抵抗の意思をかき消してしまう。

怯えながらも小さくうなずく遥香を、辰臣と氷雨は「良い子だ」と褒めた。

「心配しなくても取って食いやしないって」

「……ほんと、に……」

異形に屈した術者の末路はたいがい悲惨なものだ。異形の糧にされるか、精神を蝕まれて生き地獄を味わうか。実家でそういった話を頻繁に聞いていた遥香は、目に涙を溜めて辰臣の顔色をうかがった。

「当たり前だろバーカ。つーか死ぬのが怖いなら、俺らを探る依頼なんか受けてんじゃねえよ」

「だって……」

そうでもしないと、お金がもらえない。大学に通えないどころか、生活だってままならなくなってしまう。

それにワザオイを調査する依頼を受けたときは、二人がこんな大物だなんて知らなかった。

こぼれかけた涙を氷雨にぬぐわれる。そして頭をポンポンとあやすように軽く叩かれた。

「オミの言うことは聞き流していいよ。アレはただの八つ当たりだから。本当は君が神括連と接触するより先に、こちら側に引き込みたかったんだけど……叶わなかったのは俺たちの力不足が原因だからね。でも……ようやくここまでこられた」

口ぶりからして、遥香の行動を二人は逐一把握していたのだ。そのことに顔を青くする一方で、遥香は別の部分に引っかかりを覚える。

——こちら側に引き込むって、どういう……。

恐々と見上げた先で、氷雨はうっとりと見惚れるほどに美しい笑みを向けてきた。

「もう、ほかに目移りしてはいけないよ。といっても、そんな余裕は与えるつもりないけど」

目をぱちくりさせて告げられた言葉の意味を探そうとした遥香だったが、秘部に快楽が走りそれどころではなくなった。

辰臣が愛液でぬかるんだ膣口に指を挿入したのだ。

「や……、いやっ、やめて……オミ先輩っ」

「濡れているとはいえ、やっぱり狭いな。俺らの知らない野郎にここを許したことはあるのか?」

「なっ……ない、……ないですっ」

真っ赤になって否定する。

遥香は処女だ。中学時代に交際経験はあるものの、当時の彼氏とはキス止まりで肉体関係にはいたらなかった。

高校ではいろいろなことがあって周囲から浮いてしまい、誰かと付き合うなんて夢のまた夢だった。大学に入ったあとは、勉強とバイト、それに映像制作という趣味にであってしまい、恋愛はそっちのけになっていた。

そんなところに、憧れの先輩からあっけらかんと男性経験を尋ねられたのだ。恥ずかしくないはずがない。

辰臣は慌てふためく遥香に気をよくして、膣内で指を動かし腹側のザラザラした部分を軽くひっかいた。

「……っ、ぅ……ん」

「ならいい。手間が省けて助かるよ」

——お前を先に食った奴がいたなら、そいつを始末しなきゃいけなかったからなあ……。

ボソリと漏らされた独り言は、声量が小さすぎて遥香の耳には届かなかった。

そんなことよりも。膣壁を押す指の存在に遥香は戸惑った。よくわからない不思議な感覚が腹の奥に溜まってくのを自覚して、理解が及ばず無意識に膣を締め付けてしまう。

クチッ、クチャリと辰臣の指の動きに合わせて秘部からはいやらしい音が聞こえてくる。

「ぁ……ゃあ……っ、先輩、こんなの……もうやめて……っ」

「ああ、やっぱりナカよりも、今はこっちのほうが感じるか」

懇願はあっさり流され、辰臣は膣に指を挿れたままもう片方の手の親指でクリトリスをぐりぃと押した。

途端に鋭い快感が遥香を襲う。

「ひぅんっ! あっ、なっ……それ、やだぁっ」

「嫌じゃなくてイイ、でしょ? これからもっと良くなっていくんだから、こんなことで音を上げていては身がもたないよ」

そう言った氷雨に胸を揉まれる。やわやわと下からすくうようにして乳房をゆらされ、大きな手のひらに二つの膨らみを包まれる。

「大きくて柔らかいね。いつも隠しているのがホントにもったいない」

「や……むね、だめっ、……っ! ソコも、あっぁあ……ぁ……っ」

二人がかりで責められては、遥香にはどうすることもできない。

辰臣は親指と人差し指で挟むようにしてクリトリスの皮を下ろし、むき出しになったピンクの肉芽を指で撫でこする。途端に遥香の両膝がビクビクと揺れた。

クリトリスに刺激が走るさなかに、膣を攻略する指を一本増やされた。膣道の広がりに遥香は一瞬息を詰めたが、愛液を纏った指でクリトリスをぬるぬると擦られてすぐに口から甘い嬌声がこぼれた。

奥から手前へ、辰臣は柔らかい肉壁をゆるく押しながら指を引いていく。膣道は遥香の意思に反して異物を歓迎し、愛液を分泌させてうごめいていた。

「んっ……あん……うぅ、ぅあっ、ああぁっ」

Gスポットを重点的に揉み押されるのと同時に、クリトリスを指で挟んでしごかれる。まるでクリトリスで得られる快感に、膣内の感覚を連動させるように。今はまだ眠っている快楽の根幹を、強引に呼び覚ますように。

「やっ、そこ……っ、いっ、きちゃっ……ぁっ……っ!」

執拗な責めに遥香の身体は抗えず、絶頂へと追い上げられた。

ぎゅっと身体に力が入る。ビクンとひときわ強く膝が痙攣して、氷雨にあずけていた背中が仰け反った。

氷雨は荒い呼吸を繰り返す遥香の背後からしりぞき、彼女を敷布に寝かせた。

仰向けになって身体が安定し、絶頂の余韻に身を委ねる遥香の様子を観察していた辰臣が、膣に挿れる指を三本に増やす。

快楽に引きつるような痛みが加わりはっとするも、氷雨によって両手を敷布に縫い止められ、身を起こすことができない。

「やっ、氷雨さん……放してっ」

「オミの邪魔をしてはいけないよ。大切な準備だから、もう少しがんばろうか」

口調は優しいが、彼らは決して遥香の懇願を聞き入れてはくれなかった。

「なるべく痛い思いはさせたくない。トラウマになられても嫌だからね」

「ま、お前が痛くされるほうが好きってのなら、それはそれで良いんだが」

加虐心を隠そうともしない辰臣の空気に、遥香の背中がぞくりとわななく。

「ひっ、……ゃ……いやぁ」

「だーからすぐにはしねえって。どんなことで気持ち良くなれるかは、これからじっくりと見つけていこうな」

ぐじゅり……。膣奥の壁を押し上げられ、子宮がかすかに疼いた。

「遥香ちゃん」

呼ばれて視線を上げると、身を屈めた氷雨の顔が眼前にせまってきた。口元を舌先で舐められ、ちゅっと唇を吸われる。

……キス、されてる。遅れて気づき、遥香はどうしていいのかわからず目を泳がせた。

初々しい反応に氷雨が目を細める。

口腔内に侵入してきた舌に口蓋をくすぐられ、遥香の身がすくむ。反射的に顔を背けると、氷雨はあっさりと口付けをといた。

「逃げないで、舌を出して」

頭の中に命令が反響する。遥香の力では逆らうことができず、薄く開いた口からおずおずと舌を差し出す。

「……よくできました」

氷雨の薄い唇が、遥香の舌を挟んで吸い上げる。ちゅっという音は口からか、それとも秘部からだったのか。

舌を口内に押し戻すようにして、氷雨が遥香に深く口付ける。今度は顔を背けて逃げる気が起こらなかった。

口内で逃げようとする舌を絡め取る、氷雨の舌に翻弄される。初めてディープキスに気を取られていると頭がぼうっとしてきた。

清涼感のある甘い香りは氷雨のつけている香水だろうか。うっとりとする遥香から、次第に力が抜けていく。

「ふ……むぅっ、……んっ」

左右の手が自由になっていることに、遥香は気づけない。たとえ自分の意思で動けたとしても、その手で氷雨たちを拒絶することはできそうになかった。

リップ音をさせて氷雨が唇を離した。

至近距離で微笑まれ、胸の中が喜びでいっぱいになる。

どうしてこんなにも嬉しいのか。自分の感情に思考が追いついてくれない。

「氷雨さん……っ、私」

この不思議な感覚の正体を知りたくて、支配者へと伸ばした手は、指を絡ませるようにして握り返された。

「大丈夫、怖いことなんて何もない」

言葉に疑う余地はなく、すんなりと腑に落ちた。元々正体を知る前から尊敬し、慕っていた相手だ。そんな彼が大丈夫というなら、何も心配しなくていいと思えてくる。

とんっ……と、遥香の手は敷布の上へと戻される。眼前で微笑む氷雨に魅入っていると、秘部に熱の塊があてがわれた。

ぐじゅり。

愛液がこぼれる膣口に突き立てられたソレは、狭い肉路を広げながらゆっくりと遥香のナカに押し入る。

「いっ……ぃた……っ、ぃやっ、やあぁっ」

「……っ、くそっ、まだキツいか。……まあでも裂けることはないだろ」

亀頭がナカに収まりきったところで、辰臣は遥香の腰を掴んだ。

「苦しいか? にしてはナカは俺のを柔らかく包み込んでくるぞ」

ズ……グウゥ……。

また一段と深く剛直が入り込む。

膣内に痛みはあるが、それ以上に膣道を強引に広げられる圧迫感が強かった。

しかしそんな肉体の感覚よりも、辰臣に犯されている事実に遥香は愕然とする。

「……ゃっ、オミ先輩、そんな……ダメっ」

「はっ、今さらだろう。なんのための準備だと思ってたんだ」

「でもっ……ぅっ、くぁ……っ」

「落ち着いて。オミに任せて、身体の力を抜いてごらん」

「むりっ……むり、ですっ」

首を振ってもがく遥香を困った子だと氷雨は苦笑して、赤く色付いた頬をするりと撫でた。

「ゆぅっくりと呼吸してごらん……そう。……身体のナカにあるオミを意識して。どんな感じか、俺に教えて?」

繊細なタッチで氷雨の指先が唇に触れる。

「あ……」

目の前の青年を凝視しながらも、遥香は秘部の感覚に集中した。

「あ、あつい……ぃっ、んぅ……」

「熱い、だけ?」

「……ぁっ、熱くて、……いっぱい、広がって……おなかが、ぞわぞわって……」

剛直が膣内に埋まるほどに、腹の奥から痺れのような、それでいて疼きに近い不思議な感覚が湧き上がってくる。

「うん、えらいね。ちゃんと快感を拾えてる」

快感? ……これが?

「今は違和感のほうが勝っているかもしれないけど、すぐにほかのことなんて考えられないぐらいに気持ち良くなれるよ」

うそだ。こんなのが良いだなんて、とてもそうは思えない。

ズンッ——。

「…………っ」

「……入りきったな」

身体の内側を侵略され、遥香はうっと息を詰めた。

快感とかそんなことよりも、辰臣に犯されているショックが大きくて、きつく閉じた遥香の目から涙がこぼれた。

「こんなことで泣くなよ」

グリリと奥を強く抉り、辰臣が遥香の腰から手を離した。

「氷雨だけじゃなくて俺も見ろ」

目蓋を持ち上げると、ぼやけた視界に辰臣が映った。大学に入学したときから慕っていた青年の顔だ。容姿は同じなのに、彼が放つ気質は人間のものではなく、強烈な畏怖の念を遥香に抱かせた。

「どうして、……こんなことっ」

振り絞った声は自分でもわかるぐらいに震えていた。

怯えて泣く遥香に、辰臣は不機嫌そうに眉を寄せた。

「これから何が起こるのか、なーんもわかってないって顔だな」

「それに関しては仕方がないことなんだから、この子に当たるんじゃないよ」

氷雨の口出しに辰臣はフンと鼻を鳴らし、口端を吊り上げる。

「……まあ、先のことはどうでもいいか。今は俺を感じろ」

宣言と共に、亀頭が膣奥——子宮の入り口に押し付けられる。

「んぅっ、う……ぅあ、や……ぅ」

辰臣が奥を穿ったままゆっくりと腰をまわす。

深い場所をこねられて、胎内がじわじわと熱を孕んだ。ペニスの動きに呼応して、もどかしさが腹の奥に溜まっていく。

ペロリと、辰臣が遥香の首筋を舐めた。唇は肌の上をつたって胸元へ移動し、そこに赤い所有の印を残す。

「そろそろ動くぞ」

再び遥香の腰を掴んだ辰臣がゆっくり後ろにさがる。ずるずると肉襞を擦りながらペニスが引き抜かれ、遥香は背をしならせて悶えた。

開放感と喪失感が一緒になって押し寄せる。感情に折り合いがつかず混乱していると、膣口に引っかかった亀頭がまた膣内に侵入してきた。

ゆっくりと、確実に、狭い肉路をほぐされる。

最初に感じていた体内を強引にこじ開ける強烈な拡張感は次第になくなり、それと共に抽送がスムーズになっていく。

辰臣が微妙にペニスを挿れる角度を変えてきた。それはまるで遥香の感じる場所を探しているかのような動きだった。

「……っ、オミ先輩……んぁっ、あ……ぅっ」

身体の奥深くから湧き上がってくる、確かな快楽に遥香が身震いする。それを目敏く見つけた氷雨は彼女の秘部に手を伸ばし、クリトリスをいじりだした。

「ひあっ、あっ、やあぁっ!」

突然鮮明な快感を与えられ、膣道がきゅうっと締まって意図せず辰臣のペニスを感じてしまう。

「……おい」

「楽しむのはあとにしてほしいな。最初は譲ったんだからさ」

いつになく先を急がせる相棒に内心驚きつつも、辰臣は顔に出さずに肩をすくめてみせた。

「しゃあねえな、まあ遥香もだいぶなじんだろうから、いったん終わっとくか」

クリトリスの直接的な刺激に身悶える遥香の腰を掴み直し、辰臣はひときわ強く膣奥を抉った。

「あっ、いん……ぁっ、……っ」

衝撃は一度では済まされず、二度、三度とペニスの先端が子宮の入り口に打ち付けられる。

「はぁっ、あっ……あぅっ、んっ……ぁあ」

熱い。自らを○すペニスの熱が、下腹部だけでなく全身を飲み込んでいく。呼吸が早くなり、吐き出される息と共にうわずった声がひっきりなしに口からこぼれた。

「んっ、うぅ、……あっ……っ!」

ドクリと、膣壁がペニスの脈動を感じ取るのとほぼ同時。子宮口にめり込んだ先端から、熱い飛沫が噴き出した。

「あっ、そんな……」

辰臣が射精したのだと、遅れて理解する。

呆然とする遥香に構わず、ペニスの先端はなおも膣奥を押してきた。精液を肉壁に塗り付ける動きに子宮が反応し、遥香は痺れるような甘い刺激にみまわれた。

「は……ぁ、はぅ、あっ……うんぅ」

覆い被さってきた辰臣にキスされる。強引に口腔へと入り込んだ舌が遥香の舌をグニグニと押した。左右の内頬をぐるりと舐められ、縦横無尽に口内を蹂躙される。

息が苦しい。酸欠でぼんやりする頭の中、自分が思いのほかショックを受けていないことに遥香は困惑した。

慕っていた先輩に犯されているというのに。

遥香自身にも、彼らに後ろめたいことがあったから?

彼らが私を殺さないって、わかったから?

——二人と敵対するぐらいなら、こっちのほうが全然……。

この状況を受け入れるように、徐々に思考が順応していく。

「ふ、ぅ……ぁっ」

目の前にある辰臣の端正な顔に焦点が合うと、下腹部だけでなく頭までもが沸騰しそうなほど熱くなった。

「たまんねえな。ほんと、よく今までほかに喰われずに生き残れたもんだ」

「……え? ……っんぁ……」

キスをとかれて辰臣が身を起こすと肉杭が膣壁を擦り、その刺激に腰が揺れた。

止めたいのに、膣はきゅうきゅうと収縮を繰り返してはナカに埋まる肉棒のカタチを教えてくる。

熱い……熱くて、気持ち良い。

それを快感だと認識した遥香の目が恍惚にとろける。

「そうだね」

ほぅ……と、吐息がこぼれた口端からたれた唾液を氷雨に指でぬぐわれる。

「地獄の蓋が開ききる前に、君に出会えてよかった」

氷雨の言った言葉の意味を深く考える余裕は遥香になかった。

「ぃうっん、ぁ……」

名残惜しそうにごじゅりと一度、子宮口をペニスで穿ち、辰臣は腰を引いた。

「ぁ……っ、んん……ゃぁ……っ」

肉棒がずるずると抜け出ていく。

終わったことに安堵するよりも先に、おかしな焦燥感が遥香の心に湧き上がる。

たりない。欠けている。まだ……満たされない。

望んでいないはずの行為なのに、どうして……。

「オミ先輩……っ、氷雨さんっ」

どうしたらいいのかわからない。ただひとつ、今の自分はひどく脆く、不安定な状態だということだけは、漠然と自覚できていた。

ここが辰臣と氷雨が支配する空間だから、かろうじて正気を保っていられる。もし、このまま現世に戻されたら私は——……。

最悪の予想が頭に浮かび、恐怖で身がすくんだ。

「そんな顔すんなって。ここで終わりじゃねえから安心しろ」

羽織を肩にかけ直した辰臣が遥香の頭部まで移動して、彼女の髪をすくった。

「まだ半分だ。言われなくても自分でわかるんだから、やっぱり遥香チャンは優秀だな」

あやしているともからかっているともとれる口調だった。

「まだ……?」

終わりじゃない。そのことに遥香はほっと肩の力を抜いた。

次の瞬間、脚元へ移動した氷雨が愛液と精液がこぼれる蜜壺に指を挿れてきた。

「すっかりとろとろになって、いやらしいね」

「あっ、……あん……ぁあっ」

中からかき出した精液を、指で再び奥へと戻す。ポルチオをコリコリと揉み押し、膣壁を擦りながらゆっくりと氷雨は指を引き抜く。

遥香が反応しないところはそれなりに。余裕のない喘ぎが上がった部分はねちっこく——。

奥へ挿れては入り口まで戻っていた指は、次第に腹側の浅い部分を集中的に揉み始める。

グチュリ、グチョリとひっきりなしに響く水音に、遥香の口から切羽詰まった声が混ざりだす。

「あぁっ、あっ、あう……っ、氷雨さ、んっ……」

「うん、ここが気持ち良いんだ。ナカもうねって、健気に俺の指に絡み付いてくる」

「やぁ……あっ、……ぁあ……」

膣内の動きを説明され、恥ずかしさに耐えきれず首を横に振るも、ひくひくと腰が揺れていては説得力のかけらもない。

しかし絶頂の気配を感じ始めたところで氷雨はあっさり指を抜いてしまった。

「あ……え…………」

予想していなかったおあずけに、遥香は落胆の声を漏らす。近くでそれを聞いていた辰臣がくっと喉の奥で笑った。

「お前って、ホントわかりやすいよな」

「なっ⁉︎ ち、違いますよっ」

慌てて否定したらさらに笑われる。

「違うって、何がだよ?」

「そ、れは……っ」

私はイかせてもらえるって、期待していた、わけではない——、のではなくて……。それはつまり、……あれ……?

否定に否定が重なって、思考がこんがらがった末に自分が墓穴を掘ったことを悟り、顔が真っ赤になった。

そんな遥香を辰臣と氷雨は面白そうに眺める。

「いいかげん、隠し事が苦手だってこと、自覚しとけよ」

「そんなに残念そうな顔をしなくても、すぐに俺のでイかせてあげるから」

氷雨が浴衣の合わせをくつろげる。布生地のあいだからのぞかせたそそり立つ肉棒に、遥香はひっと悲鳴をあげた。太くて長い、男性の象徴。色白の氷雨からは想像できないグロテスクな色のソレを目の当たりにして、顔から血の気が下がる。

「……む、むりです……っ、そんなの、入りませんっ」

「入らないわけねえだろ。俺とヤったあとだってのに何言ってんだ」

「オミのときは見てる余裕がなかったんだね。遥香ちゃんのココはもう、俺たちのを受け入れられるようになってるよ」

「……うそっ」

怖気付いた遥香は肘を敷布について頭上へとずり上がろうとするも、それを辰臣が許してくれるはずもなく。背後であぐらをかいた辰臣の脚の上に背中を乗り上げ、軽く身を起こした体勢からはもう、後ろに下がれない。

「大丈夫だって。疑うならその目で確かめればいい」

耳元でした低いささやきに、ゴクリと息を呑んだ。

ぬぷり……。熱をもった氷雨のペニスが膣口に触れる。

「いくよ……」

前後を二人に挟まれて逃げ場を失った遥香のナカへと、氷雨はペニスを侵入させた。

「や……っ、んぅ……っ」

亀頭の膨らみが入り口を押し広げる。身を固くしたものの、想像した肉を内側から裂かれる痛みは襲ってこなかった。

「え……っ、あっ……ど、して……」

ずるずると奥に侵入してくる熱棒の、通りのよさに遥香自身が氷雨たちよりも戸惑いをみせた。

「だーから言ったろ」

言いながら辰臣は遥香の胸へと手をまわし、胸のいただきを指先でくすぐった。

「遥香ちゃんの気持ち良いところは……ここかな」

先ほどまで指で刺激していた感じる箇所を、氷雨がペニスで責め立てる。

ぞくりと遥香の背筋に電流が走り、下腹部にぎゅぅっと力がこもった。

「はぅ、んっ、あ……っ、氷雨さん、それ……っ」

「うん。良さそうだね」

「い、いい……の? わかんない、けどっ……」

ぞわぞわして身体が落ち着かない。これが快感だというのか。

「よかった。そのまま……もっと俺を感じて」

ズチュ、グチュ、グチュ……ズズゥ……。

激しくは動かず、遥香の様子を見て労わりながらも、氷雨は容赦なく快楽をその身に教え込んでいく。

膣道はそんな氷雨の剛直を喜んで迎え、愛液をこぼしながらうねった。まるでペニスを奥へと誘っているようだ。

「あっ、んくっ……ぅ、ん……、あっ」

「イきそう?」

「うんっ、い……く、……イッ、あ、んっ……っ!」

ひくんっと大きく膝が痙攣し、遥香は軽い絶頂を迎えた。

膝を曲げて敷布についた両足に力が入り、自然と腰が上下に揺れる。それはもっと快楽がほしいと、自ら膣内の感じる場所にペニスを押し付けるような動きだった。

自身の淫らな行動が信じられず、遥香は咄嗟に辰臣の手を掴んだ。

「どうして……っ、私、こんな……」

「ああ、氷雨ので上手にイけたな」

辰臣に手を握り返され、両手をそれぞれ身体の横へと誘導される。

「ほんとう、敏感で感じやすい良い身体だよ。さて、もっと奥でも気持ち良くなろうか」

氷雨に両手で腰を抱えられる。

遥香は胸の膨らみのその先に、膣に半分も入っていない氷雨のペニスを見てしまいはっとした。

ズググゥ——。

竿で感じるところを擦りながら、ペニスがさらに奥へと入ってくる。

「あ……うそっ、なか……んぅ……ぁんっ」

そんなに大きなもの、収まりきらないと思っていたのに……。膣道はペニスの形にそってじわじわと広がり、ペニスを呑み込んでいく。その様子をまざまざと見せつけられ、困惑するさなかもゆるやかな快感に身がしなった。

トチュン——ッ。

最後は少しだけ勢いをつけて、膣内にペニスが収まった。

「……これで全部。まだ少しキツイけど、ちゃんと入りきった」

「んっ、ぜんぶ……?」

……アレを?

嘘だと思いたいのに、目の前の事実がそれを証明している。

氷雨がわずかに腰を引いては戻すたびに、ペニスの先端に子宮口をこねまわされる。すると子宮にじわじわと甘い痺れがもたらされた。

「でも奥は開発が必要かな。もっともっと敏感になって、いずれはポルチオで深イキできる身体になろうね」

「……ゃ、だめ……あぁっ」

そんなことされたら、戻れなくなる。

「別にいいだろ? 他に目移りする余裕がないぐらい、たっぷり可愛がってやるからな」

辰臣が腹部をするりと撫で、へその下あたりをくにくにと押してきた。へこんだ腹の内側で、深く刺さった氷雨のペニスをまざまざと意識してしまい、拒絶はいともたやすく喘ぎに変わる。

些細な愛撫も快楽に変わり、膣はペニスを締め付けて解放を誘う。本人は無自覚のまま行われる雄への奉仕に、受け手である氷雨は大変満足し、お返しとばかりにポルチオをえぐった。

「ひぅんっ」

「動くよ」

短い宣言の直後、ずるずると剛直が引き抜かれる。

「や、あっ、待って……あっ、や、それっ、……ああぁっ」

膣の浅い部分を亀頭でゾリゾリと責められ、快感に膣が収縮したところを見計らい、奥を突かれる。

トチュンと、狭まった肉路を強引に開かれる感覚に、背中にゾクゾクと痺れが走った。

ペニスの先端が子宮口を叩く。重い衝撃に腰が跳ね、ガクガクと膝が揺れた。

トチュ、トチュッ、トチュンッ。……ズルゥ……。

二度三度と奥を突いたペニスが後退して、また膣口付近を重点的に擦られる。

「あ……やだ、もっ……ぅ、んん、あ……イっ——っ」

決して激しくはない。しかし感じるポイントを抑えた執拗な抽送に、膨れあがった快感がはじけた。クリトリスや胸には触れられず、正真正銘膣内だけの刺激で遥香は氷雨にイかされたのだ。

「イったか?」

「ああ、覚えの早い子だよ」

息を乱して全身を小刻みに痙攣させる遥香を、辰臣と氷雨は微笑ましげに見守った。そして遥香が絶頂の余韻から抜け出す前に、氷雨はペニスでナカを強く穿つ。

ドチュン——ッ。

「ああんっ! やっ、ま……まって、いまっ、やあぁっ!」

快感にさらなる快感が上乗せされる。底知れない恐怖から

逃れようともがくが、二人は遥香を離さない。先ほどのゆっくりとした抽送から打って変わり、氷雨に激しく膣内を蹂躙される。

強すぎる快感に悶える遥香を抑えながら、辰臣は遥香のクリトリスへと手を伸ばした。

ツンと突き立つ肉芽を親指と人差し指でしごかれる。

「きゃああぁっ——!」

不意打ちで加わった強烈な刺激に、遥香は背中を仰け反らせた。

「すご、また締まった……」

「やめ、もうだめっ、……もぅ、ムリっ……ああっ」

初めて感じる強すぎる快楽に泣き言を漏らす。そんな遥香の意思とは裏腹に、肉体は快楽に歓喜した。膣からは愛液があふれ、媚肉はもっと感じたいと言わんばかりにペニスをしゃぶる。

ダメだと言いながらも氷雨のピストンに合わせて腰が揺れているから、なんの説得力もありはしない。

膣道を埋め尽くす剛直がかすかに膨らむ。

「……っ、……俺もイきそう」

「ぁ……やっ!? だめですっ、ナカは……っ」

「今さらなに言ってんだ。俺が良くて氷雨はダメなのか?」

後ろから辰臣に笑われるが、遥香はそれどころではなかった。

「だって、…………できちゃう……っ」

「そんときゃ俺たち三人で育てればいいだろ。……まあ、本当にできるかは俺らもわかんねえけど」

「心配しなくても、君を捨てるなんて無責任なことはしない。どんな結果になっても、君を逃がすことは絶対にないから」

「や、ああっ、あっ……ぁっ!」

言葉の不穏さに芽生えた危機感ですら、膣奥を責められてすぐに快楽へと塗り替えられてしまう。

「つーかお前、まだ俺たちから逃げられると思ってんのか? 往生際が悪いな、さっさと諦めて溺れちまえっての」

辰臣が親指でクリトリスを押し潰す。強烈な快感を受けて、遥香は膣内を占領する肉棒を反射的にきつく締め付けた。

「……くっ」

氷雨が息を詰める。涼しげな彼の表情が一変して余裕のないものに変わった。

秘部と氷雨の腰がこれまで以上に密着し、子宮の入り口に亀頭がめり込む。

腹の奥底から内臓を押し上げられる感覚に、遥香の息が止まった。

次の瞬間、膣奥に熱い液体が注がれた。

神経が鈍い身体の奥で起こるさまを、具体的に想像するのは難しい。しかし腹の奥底にじわじわと温かいものが溜まっていく感覚は遥香にもわかった。さらには胎内の熱に歓喜して、もっともっとと精液をねだるように膣壁がうごめいている。

「あ……やぁっ、あん……ぁあっ」

「タイミングがズレてイけなかったか」

「ごめんね。俺ばっかり夢中になってしまって……もう一度する?」

「やっ、もう、これ以上はムリですっ!」

イったとか、イってないとか、自分の状態はよくわからない。ただ快楽の波はずっと続いていて、当分引きそうになかった。

これ以上されたら身がもたない。

泣きながら首を横に振る遥香に氷雨は苦笑し、あっさりとペニスを抜き去った。

「そうあせる必要はないか。これからじっくり慣らしていこうね」

遥香の額へと氷雨が軽くキスを落とす。

「安定した?」

「……安定?」

「欠けているような、嫌な感覚はもうしてないよね」

言われてみれば、氷雨に抱かれる前にあった強烈な焦燥感が消えている。

素直にうなずくと、二人に頭を撫でられた。

氷雨の羽織を肩にかけ、辰臣と氷雨に支えられるようにして敷布に腰を落ち着ける。

望んでいない淫らな行為の直後だというのに、遥香の心は思いのほか穏やかだった。

殺されないだけマシだったとか、そういった面の諦めもあるが、やはり一番の要因は相手がこの二人だったからなのだろう。

「……お二人は、何者なんですか……?」

動画サイトで世界的に人気を博しているダンスパフォーマー。「ワザオイ」として活躍する、氷雨と辰臣。

ワザオイの活動に専念するため辰臣が大学を辞めるまでは、遥香にとって彼は一緒のサークルに所属する頼れる先輩だった。

そんな二人が関東を中心に発生している土地神消失事件の容疑者になり、遥香に調査の依頼がまわってくるなんてどんな因果だ。

しかも、彼らは容疑者のままでは終わってくれなかった。

「いなくなった土地神は、いったいどこへ……」

わからないことが多すぎる。

唯一、この二人は人間ではないということだけははっきりした。しかし彼らの本性は妖なのか……、はたまた人に憑いた怨霊のたぐいなのか、遥香には何ひとつ判別がつかなかった。

そんな正体不明の存在に身をあずけているというのに、本能的な恐怖心を抱けないのも不思議だった。霊的なことで危険を感じた際に起こる、背筋に走る冷たい感覚がまったくないのだ。

するりと頬を撫でてくる彼らの手が気持ち良くて、自ら顔を寄せる。あんなことをされても、遥香は辰臣と氷雨を敵だとはどうしても思えなかった。

氷雨が遥香の手をそっと掴み、自らの胸へと導く。

「土地神ならここにいるよ。俺とオミに神力を託したあとは自我を手放し、穏やかに眠っている」

まるでいなくなった土地神たちがそれを望んだかのような口ぶりだった。

「忘却による消滅は、人間が思う以上に、神にとっても寂しくて怖いことだ。……人の祈りによってこの地に生じた神々にとっては、特にね」

その説明に遥香の心臓がどくりと跳ねた。

全国の土地神を管理する神括連は、過疎化や人口減少によって祀られなくなった神が自然に消滅することを、時代の流れとして受け入れている。しかしそれは土地神たちの望む終わり方ではないのだと、氷雨は主張しているのだ。

辰臣が遥香の腹部にまわした腕の、抱きしめる力を強くした。

「この国ははるか昔から、ありとあらゆる事象に対して、多くの神格が創られてきた。そして今も……。神を生めるのは、何も天津神や人間だけじゃないからなあ」

辰臣が言っているのは、二人の正体に繋がるヒントだ。

神括連が管理しているのは、天津神に与せず各地でひっそりと信仰されてきた土着の神々だ。かつては人々の祈りによって生まれ、奉られた土地神たち。

つまり……時代の変遷と共に信仰を失い、人知れず消滅していくかと思われた神たちの切実な願いが集い、辰臣と氷雨という——新たな神が発生した、ということ……?

「人が住まなくなった土地に神は不要だから……僻地で管理ができないならひっそり消えてくれなんて、自分たちで創っておきながら無責任だとは思わないか? せめて奉遷をサボらないでいれば、奴らも加護を失うことにはならなかったのにな」

皮肉そうに笑う辰臣がどこか悲しそうに見えたのは、気のせいだろうか。

「今の時代、土地神たちは人間になんの期待もしていない。俺たちが生まれたのが何よりの証拠だ」

「御神体の管理者が神社本庁に属しているならいざ知らず。祈りを受け、ただ祀られることを望む、そんな神は神括連がまとめるところにはもういないよ」

辰臣に続いて、氷雨も遥香の肩を抱く。

二人の体温を感じる遥香の心臓はどきどきと鼓動を速めた。

パズルのピースが組み合わさっていく。

ここにいるのは人間を知り、社会を理解し、自ら考え行動できる知恵を持った神である。

そんな二柱の神様が「ワザオイ」という名でダンスパフォーマーとして活動している理由は——。





いつの時代も、舞は人の心を魅了する。

切実な祈りには程遠くても、彼らのパフォーマンスによってファンが熱狂すればするほど、信仰の力を得ることができる。ワザオイの活動の合間に本来の役目である土地神の回収をしていけば、二人はさらに強力な存在になっていく。

「イマドキの神様は、自分から推しを集めるものだよ」

氷雨の答え合わせに納得して、遥香は今度こそ諦めたように身体の力を抜いた。

こんなの、私に敵うはずがない。





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