引きつけるはチート技だったという話
一昨日の令和6年能登半島地震といい、昨日の羽田空港の事故といい、波乱の新年となってしまいました。私はどちらの影響も受けずに済みましたが、大変な想いをしていらっしゃる方々もいらっしゃると思います。少しでも早く復旧されることをお祈り申し上げます。
私にできることと言えばコンテンツを提供することだけなので、本日も開発秘話を紹介しようと思います。
引きつけるはチート技だったという話
シルフィーナを代表する技「引きつける」ですが、これはWOLF RPGエディターに最初から用意されている状態異常を活用したスキルです。
ですが、実はこの「引きつける」、改造する前はとんでもないクソつよ技でした。
なぜかと言いますと、引きつけるの状態異常は「技の発動者を除いた味方全員を攻撃対象にできなくなる(全体攻撃を含む)」という状態であり、(パーティー人数が6人の場合)全体攻撃を受けたときに5人分のダメージを無効化してしまうからです。
「ラスト・メイル」はただでさえパーティー人数が最大6人であるために戦闘不能になってもリカバリーが効きやすく、そのうえで全体攻撃のダメージを5/6無効にしてしまっては確実にぬるゲーになります。
そのため、引きつけるを使っている最中の「ダメージ計算式」を改造しました。
ダメージ計算式の改造
改造するにあたっては以下の要素を吸い上げられるようにしました。
- 引きつけるを使っているキャラがいるか?
- 引きつけるを使っているのは何人?
- 引きつけるを使っているのは誰?
- 引きつけるで守られるキャラは何人いるか?
これらの情報をもとに「かばった人数分、ダメージを倍化させる」処理を入れました。
ちなみに、シルフィーナが引きつけるを使い、他のキャラが「注目のペンダント」を装備している場合は、そこからさらにダメージを分散するような処理を追加しました。
また、プログラムの処理順序の仕様上、複数人が引きつけるを使っている場合は単体・ランダム攻撃は引きつけるを使っている中でも後尾にいるキャラがダメージを請け負う仕様になっています。そういった事情もあって、シルフィーナは必ず最後尾に配置されるようにしています。(ですからウサウサを回避盾にしたいときはシルフィーナに引きつけるを使わせてはいけなかったり。)
複数属性の処理も改造しています
せっかくダメージ計算式に少し触れたので、複数属性の処理方法を改造した話も紹介します。
「ラスト・メイル」における複数属性とは「武器の属性」と「技の属性」のことです。
いくつか例を出しますと、ショートソードは物理属性の武器で、連撃は物理属性の技です。両方とも物理属性なのでこの場合は単体属性ですね。
木の杖は物理属性の武器で、ファイアボールは炎属性の技です。ですが、魔法攻撃の場合は武器の属性を無視するためこの場合は炎属性だけになります。
トライデントは雷属性の武器で、五月雨突きは物理属性の技です。この場合は雷属性と物理属性の複数属性攻撃となります。
WOLF RPGエディターの無改造状態の計算式では、複数属性のときは「100+(有利属性-100)+(不利属性-100)」で計算されています。(正確には違いますが、ざっくりとまとめるとこんな感じということです。)
例えば物理耐性0%(無効化)、雷耐性100%(普通)のときは有利属性なし、不利属性が0%なので、ダメージ×0%でダメージは無効化されます。
- 物理属性100%、雷属性200% → ダメージ×200%
- 物理属性0%、雷属性200% → ダメージ×100%
- 物理属性0%、雷属性140% → ダメージ×40%
また、有利属性が複数あった場合や不利属性が複数あった場合は最大値(最低値)のみ影響します。
- 物理属性0%、雷属性50% → ダメージ×0%
- 物理属性120%、雷属性150% → ダメージ×150%
このように、無改造状態だと複数属性が不利に働いてしまうことが多いため、複数属性が有利に働きやすいように改造を施すことにしました。
私が施した改造内容は以下のとおりです。
- 有利属性があったときは不利属性を無視する
- 不利属性が複数あったときは最大値のみを適用する
有利に働く仕様はそのままに、不利に働く仕様を減らしました。
この改造内容だと「物理属性100%、雷属性50% → ダメージ×50%」のようなケースは残るため不利に働く効果も残っていますが、「ラスト・メイル」に出てくる敵は(一部を除いて)不利属性があるなら有利属性もあるような設定にしているため、弱点を突こうと考えてプレイしているのであれば、自然とそのケースを踏むことは少なくなると思います。
まあ、プレイヤーの中には「パワーこそパワー」スタイルの方もいらっしゃるかもしれませんので、上記のようなケースでも有利に働くようにした方が良いのかもしれませんが……
「耐性がある……だと!? それなら弱点を狙ってやるぜ!」
となった方がバトルを楽しめるのではないかなあというのが私なりの考え方です。
学術的な話はまとめるのが難しい
お読みいただきありがとうございました。
ゲーム……特にRPGのように数値の大小が重要となるゲームではこういった学術的(?)なことをたくさん考えて制作しているのですが、これを誰かに伝えようと思うとなかなかに大変ですね。
思考しなければいけないことが多いために時間を要しますし、それを伝わりやすくするためにまとめなければなりません。
こういった話で言えば、他にも減算式(ドラ●エ)と除算式(ポケ●ン)の違いなどもあるのですが、それを語ろうとするとやはり長くなってしまいますので、それを紹介するのであればまた別の機会になりますね。
……あと、主人公がバトル中に●精する条件とか、射●したあとは一時的にステータスが変化するとかいう隠し効果があるのですが……まあ、こっちは知らなくても然程困りませんし、別に紹介しなくてもいいですよね?