母の浮気/79
良太は、母の体にしがみつくようにした。体の感覚が無くなってしまうほどの、快感だった。しばらく、良太は母と密着したままだった。体力も失って、このままウトウトとしかけたときに、ハッと気がついて、身を起こすようにした。母は、とろんとした表情をしている。その顔を見ていると、新たな欲情が現われるようである。
「良太のおかげで、お腹の底の方があったまってるよ」
母が微笑しながら言った。肉棒から吐き出されたもののせいだろう。
「そろそろ、おしまいにしようか?」
「おしまい?」
「うん、あんまり、しすぎると体に悪いって言うし」
こんなに気持ちがいいことをして、体に悪いなどということは果たしてあるのだろうかと、良太は疑問に思った。それに、今、四度目の欲望を感じたところであるので、もう一回させてほしいと言うと、
「本当に若いのね……いいわ。でも、お母さんちょっと体力無くなっちゃったから、少しだけ離れてもいい?」
と言われたら、そうするほかない。母と離れがたい気持ちを無理にもおさえて、離れようとすると、
「あっ、ちょっと待って」
声がかかる。やっぱり離れなくていいのかと思ったところ、そうではなくて、ティッシュを取ってほしいとのことだった。言われたとおりにすると、母は、いいよ、と息子に声をかけた。お許しが出たので、離れると母は秘唇にティッシュを当てるようにした。中から溢れ出したものを拭うためである。拭っても拭っても出てくるようで、それが、自分の欲望の激しさを表しているようであり、良太は、若干恥ずかしくなった。それが終わって母は、ベッドから立ち上がると、
「何か飲む?」
と訊いてきた。すでに行為が終わってしまったかのような、リラックスした雰囲気で言ってきた母に、もう一度することの確認を取った方がいいだろうか、と良太は思ったが、その前に、
「コーラでいい?」
と訊かれたので、ついそれにうなずくと、
「お母さんも、コーラもらおうかな」
そう言って、生まれたままの姿のままで、良太の部屋を出た。
階段を降りる音がして、しばらく、母は戻ってこなかった。
その間、良太は、ついさっきまさに童貞を失ったのだということを、かみしめようとしたのだけれど、よく言われているように、童貞を卒業したからといって、世界が輝いて見えるといったことは特になかった。
ーーこんなもんなのかな。
と良太が、さして、童貞卒業に感動していないのは、その「卒業」の相手である母を手に入れるという新たなミッションを得たということも大きいかもしれない。
「お待たせ~」
盆の上にグラスを二つ乗せて、全裸の母が帰ってきた。