主婦の秘めごと ~義父と家族風呂に入って~/1
あなたは妙齢の主婦です。ゴールデンウィークに、まだ幼い子どもを連れて、夫の実家へとやってきました。毎年の恒例行事です。夫は仕事の都合で一日遅れでやって来ます。一人で子どもを連れて帰らなければならず、大変でしたが、帰ってみると、
「よく来た、よく来た」
と義父が、心からの笑顔で迎えてくれるので、あなたはいつも通り、来てよかったと思います。子どもも久しぶりに祖父と会えて嬉しがっているようです。義父の方も、数年前に義母を亡くしてから一人暮らしをしているので、孫に会うことができてよっぽど嬉しそうにしています。
「おじいちゃん、お風呂入ろう」
夕飯を食べたあと、子どもが祖父を誘うのが聞こえます。そうして、
「ママも一緒に入ろうよ」
とあなたに言ってきます。あなたは、微苦笑を漏らしながら、ママはあとから入るわと答えます。
「ええっ、なんでー。みんなで入ろうよ!」
子どもが言います。
義父の家のお風呂は大きく、それこそ、温泉の家族風呂くらいありますので、一緒に入るのにスペース的な意味での問題はありません。それはそうですが、もちろん、問題はスペースの話ではありません。
「みんなで入りたいよ……お母さん、おじいちゃんのこと嫌いなの?」
子どもはそんなことまで言ってきます。そうして、しょんぼりとした顔をします。そんなことないわよ、とあなたが答えると、
「それじゃあ、ぼくのことが嫌いなの?」
などということを言ってくる始末です。子どものことが嫌いな親がいるでしょうか。よしんば、いたとしても、あなたは違います。子どものことも義父のことも嫌いではなくても、一緒には入れない状況があるのだということを子どもに説明したいあなたでしたが、分かってくれるとは思えません。
「入ろうよ、ママ」
去年はこんなことなかったのに、と子どもの成長をしみじみと感じてみても何ら解決にはなりません。どうしようかと思ったあなたは、息子があんまりお願いしてくるので、まあいいか、と思い切ります。
恥ずかしいことは恥ずかしいのですが、この頃、夫にも求められていない体をさらしても、それでどうということもないだろうと思ったのです。そもそもが、義父からしてみれば、自分は息子の妻であり、かつ義父も相応の年なので、間違いが起こるようなこともないでしょう。
あなたは、子どもに、じゃあお母さんも一緒に入るね、と答えます。
近くにいた義父が驚いたような顔をしているのに向かって、あなたは、お背中お流しします、と伝えます。自分でそう言ってみると、夫に変わって、義父の背中を流すのもいいのではないかという気になってきます。それは、嫁として、非常に正しい振る舞いであるかのように、あなたには思われます。