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確定申告の記事 (3)

Jackalope 2022/03/03 20:30

同人ゲーム製作者 はじめての青色確定申告

最初に

私は去年、初めて確定申告を行いました。
ほぼ何も知らない手探り状態からアレコレ調べて「白色申告」をしたのです。

大変面倒でしたが、「いっそこれをCi-enの記事にしてやろうか」と思いつき、実際に記事にまとめて公開するところまで漕ぎつけたので、まあ苦労も無駄ではなかったかなと、ひとり満足感に浸ったりしてました。

↓去年公開した白色申告の記事
『同人ゲーム製作者 はじめての確定申告①』
『同人ゲーム製作者 はじめての確定申告②』


で、その白色申告の記事で「来年は青色申告する予定」「青色申告のことも記事にするかも」なんていう風に書いちゃったので、今年も青色申告についてまとめてみることにしました。


なお、これは解説や指南を目的にした記事ではなく、あくまで覚え書きを兼ねた私的な体験談です。
普通に間違い勘違いも書かれているかもしれません。

参考にされるのは構いませんが、それで税務署からダメ出しされても当方は何の責任も取れませんので、その点はご了承ください。



白色と青色の違い

前回記事からのコピペになりますが、白色青色のざっくりとした違いが以下。


・白色申告
 確定申告童貞が最初に通る道。
 こっちで申告すると特別控除がない。つまり税金が高くなる。
 青色と比べて簡単(必要となる帳簿は家計簿レベルでOK)。

・青色申告
 青色をやるには事前に届け出が必要なので、いきなりはできない。
 複式簿記とかいう面倒くさい帳簿をつけると特別控除が55万円。
 e-tax(オンラインでの申告)にすると、さらに特別控除が+10万円。
 節税するならこっち。


私は去年の白色申告のときに「次回は青色申告やります!」という届け出を税務署へ提出しておいたので、今回から青色申告になりました。

この先の話もあくまで青色申告のものになります。
白色申告のあれこれや、青色申告の申請方法については、去年の記事をご参照ください。



青色は複式簿記? どういうこと?

いざ青色申告に切り替えたものの、当然ながら右も左も分からない状態です。

なので白色申告のときと同様、基本的な会計作業は会計ソフトに丸投げです。
収入と支出を会計ソフトに入力していき、あとは自動で申告用の書類を作ってもらうことになります。

私の場合は前回から引き続き『やよいの青色申告オンライン』を利用しました。


さて、「収入と支出を入力する」と書きましたが、ここが青色申告をする際の最大のネックになります。

白色のときは家計簿をつけるみたいに、「今日は売上が5000円あった」「今日は消耗品300円を経費で買った」というような情報を単純に記入していくだけで済みました(単式簿記)。

でも青色だとそうはいきません。
青色申告では複式簿記で収支を記録する必要があるからです。
(※正確には青色だからといって複式簿記である必要はないが、複式にしないと青色のメリットである控除が十分に受けられないので、大体は複式簿記で作成されている。この記事では青色=複式簿記という前提で話していく)


複式簿記には借方貸方という考え方があり、「借方の側の帳簿」と「貸方の側の帳簿」を並行して記録することになります。
はい、意味不明ですね。

例えば200円の消耗品を経費で買った場合、帳簿はこのように書かれるそうです。


(※簡略化しています)

会計ソフトを使っていれば、入力していった経費や売上が、最終的にこうした複式簿記の形式で出力されるのです。


この借方・貸方という概念は、お金の流れを原因と結果が分かるように記録するため必要になってくる……らしいのですが、正直なところ私はほとんど理解できていません!

かろうじて分かっているのは、せいぜい次の点くらい。


・借方と貸方の内容はそれぞれ一対一で対応していて、その金額がぴったり合っていないとダメらしい。「借方→現金1000円貸方→ゲーム売上1000円」みたいな感じ。この場合、貸方の売上1000円が原因で、借方の現金1000円が結果……ということだと思う、多分。(※常に「原因=貸方」というわけではない。逆の場合もある)

・借方と貸方で金額差がある状態だと、会計ソフトからダメ出しされる。金額差の原因を突き止めて直さないと、申告作業を進めることができない。


まあ借方・貸方の判断は会計ソフトがやってくれるので、金額や科目の入力に気をつけていれば、そうそうおかしな事にはならないでしょう。



事業用の口座やクレジットカードって必要?

青色申告へ切り替えるに当たってネットで色々調べていると、「事業用の銀行口座やクレジットカードを作るべき」という話をちらほら目にしました。

私の場合は個人事業主として同人エロゲーを作っているので、確かに事業用の口座・カードを用意すべきなのかな――最初は漠然とそう思っていました。

でも別に事業用のものを用意しないと、青色申告ができないというわけでもないらしい。

じゃあなんで事業用の口座・カードを作って、プライベート用と分けなきゃならないのか?
そのメリットとデメリットを以下にざっくりまとめてみました。


事業用と分けるメリット
・事業用とプライベート用が別であれば、分かりやすい。プライベートの口座やカードで事業用のお金を出し入れしていると、あとで会計ソフトへ入力するとき「これは個人の買い物で、こっちが経費になる買い物で……」と逐一確認が必要になってしまう。これが事業専用のものであれば、何も考えずに全部を入力してしまえば済む。

・万が一、税務署からの調査が入って口座やカードの記録を提出することになったとき、プライベートな買い物の記録を見られずに済む。

・事業用と私用のお金を分けておくことで、意図せぬ資金流用を防げる。プライベートでの無駄遣いで、うっかり事業用のお金が無くなっちゃった――なんて事態は起こりにくくなる。

事業用と分けるデメリット
買い物がちょっと面倒になる。例えばAmazonで「私的に遊ぶゲームソフト」と「事業で使う専門書」を一緒にクレカ払いで買おうとしても、事業用のカードが別になっていると、決済を二度に分ける必要が出てくる。また、「3000円以上お買い上げで送料無料」みたいな場合に、合算なら3000円以上になるのに、別々の支払いにせざるを得なくて送料がかかってしまう――なんていうことも起きかねない。

・自宅作業をしていて、水道光熱費やプロバイダ料金などをプライベート口座から支払っている場合、引き落とし口座を事業用のものへ変更する手間がかかってしまう。変更せずにプライベート口座から引き落としを続けて、それ用に帳簿を処理することもできるが、それだと何のためにわざわざ事業用口座を分けたのか……ということになってしまう。

・そもそも、銀行口座はともかくクレジットカードは事業用のものを新規に作れるのか? 会社員の人なら難しくはないだろうが、個人事業主だと新規でカードを作るのは結構ハードルが高い。審査で落とされる場合が多いらしい。


上記のようなメリット・デメリットを考慮した結果、私は「事業用に口座・カードを分けない」ことにしました。
つまり事業もプライベートもごっちゃです。

もし売り上げの振り込みや経費の支出が毎月何十件もあるようなら、事業専用の口座を作るのもやぶさかではありませんが、実際は数えるほどです。
ごっちゃでも管理できる程度だと思ったので、分けないという判断になりました。



経費の記入について

では事業用に口座などを分けている場合と、分けていない場合とで、帳簿への記入はなにが変わってくるのでしょうか?
例えば消耗品として「200円のガムテープ」を購入して事業用の経費にする場合、次のようになります。

それぞれ貸方の科目の部分が違っていますね。
「現金」「事業主借」となっています。

上段の表ではガムテープの代金を手持ちの事業用のお金から出しているので科目が「現金」となっています。
表左側の借方の方で「ガムテープ購入」という原因が発生し、表右側の貸方の方で「事業用のお金が使われる」という結果が起きた……そんな感じの解釈ですかね、多分(自信はない)。

対して下段の表では、ガムテープの代金をよそから借りてきて支払いに使っているので「事業主借」になっています。

よそから借りてきている? いったい誰から?

それは「事業主個人」つまり「プライベートな自分自身」です。

「ゲーム開発事業」「事業主個人のプライベートな財布やカード」からお金を借りて、支払に使っているわけです。

「事業主借」とは「事業主に借りた」という意味なんですね。

ちなみに、たとえ事業用に口座・カードを分けている場合でも、財布までは分けていなくて、消耗品をポケットマネーで買ったりしたら、やはり貸方の科目は「事業主借」になります。ポケットの財布はプライベート用なわけですから。


私の場合、すべての支払いがこの「事業主借」です。

これは言い換えると、「ゲーム開発事業」はゲーム製作にかかる費用を1円も支払っておらず、全てを「プライベートな自分(事業主)」に押し付けている状態なわけです。
ゲーム開発事業の野郎、最低ですね。


なお「やよいの青色申告」の場合、支出を入力する画面で「取引手段」の項目を「現金(個人用)」や「クレジットカード(個人用)」に指定すれば、その支出は自動で「事業主借」となります。



売上について

仮に「DLsiteで3月に売れたゲームの売上金1万円が、4月に銀行へ振り込まれる」という場合、白色申告のときは「3月に売上が1万円」と記入すれば、それでOKでした。

でも青色の複式簿記だとそうはいきません。
売掛金について考慮する必要が出てくるからです。


「売掛金」とは未回収の売上金のことです。

スーパーやコンビニでの買い物であれば、品物とお金をその場で同時に交換して、すぐに売上金が事業者(自分)のところへ来ます。
でもDLsiteでのダウンロード販売などでは、お客さんがゲームを購入したからといって、その売上金がすぐさまサークルの口座に入ってくるわけではありません。
翌月の支払日が来るまでは、単なる数字上の売上金として宙に浮いてる状態です。

この数字上の売上が「売掛金」なわけです。


青色申告の場合、

①3月に売れたゲームの売上金の記入(売掛金の発生)
②4月に口座へ振り込まれた売上金の記入(売掛金の回収)

の二回に分けるかたちで、売り上げの記入を行うことになります。

未回収の売掛金なのに、間違って現金売上であるかのように誤記入してしまうと、あとで計算が合わなくなってしまうので要注意です(私は実際にやらかしました)。


なお上記の4月の表(売掛金回収)では、分かりやすくするため借方の科目を「普通預金」にしていますが、これは事業用の口座を使っている場合の話です。

私のようにプライベートの口座を使っていて、そこに売上金が振り込まれる場合は、科目が「事業主貸」になります。

「ゲーム開発事業」が、回収した売上金を「プライベートな自分(事業主)」へ貸し与える――という形になるわけですね。



各種の帳簿について

これまで「帳簿に~を記入」みたいに書いてきましたが、実際のところ確定申告に関わってくる帳簿は色々とあります。

「仕訳帳」「総勘定元帳」「現金出納帳」「預金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「固定資産台帳」……etc。

はい、わけ分かりませんね。


なんかやたらと種類がありますが、この中で確定申告の際に最低限必要になってくるのは以下の2種類です。

①仕訳帳
 すべての取引を時系列順にまとめたもの。
 1月から順に12月まで、収入と支出の一覧がズラーッと並んでる。

②総勘定元帳
 すべての取引を科目別にまとめたもの。
 「消耗品費」「水道光熱費」「通信費」「売掛金」「売上」……といったように、科目ごとに取引内容がまとめられている。


①仕訳帳と②総勘定元帳は、同じ元データを並べ直しているだけで、基本的には同一のものみたいです。

この二つの帳簿は「主要簿」と呼ばれていて、これを作っておかないと青色申告の控除は受けられません。必須です。

普段からきちんと売上や経費を会計ソフトへ入力していれば、これら主要簿は特に何するでもなく自動で作成されます。


あと、きちんと入力できていなくても、やっぱり自動で作成されちゃいます。
私はこれら主要簿を完成させた後に、なにげなく売上の項目を見ていたのですが、そこでDLsiteの一ヶ月分の売上が丸々抜けていることに気付き、慌てて修正しました。

売上を入力し忘れたわけではなく、一度は入力したのに、その後に操作ミスで消えてしまっていたようでした。
こういうことがあっても会計ソフトが指摘してくれることはないので、確定申告前には自分で最終チェックを行ったほうがいいでしょう。


そして仕訳帳と総勘定元帳が完成したら、必ず印刷しましょう!
「やよいの青色申告」の場合、PDF形式で出力されますが、それを保存するだけじゃなく印刷するのです。
これらの帳簿は印刷しての保管が原則になっているからです。

もし税務署から調査が入ったときに「PDFファイルならあるんだけど印刷はしてません」ってなると、最悪、青色申告を取り消される可能性もあるようですから。


なお二つの主要簿以外の帳簿は「補助簿」と呼ばれ、必要に応じて作成した上で、こちらも印刷・保管しておかなければなりません。

必要に応じて、と言われても、どれが必要かなんて分からないですよね。
少なくとも私は分かりません。
なので私は会計ソフトが自動で作ってくれる補助簿を片っ端から印刷しています。



青色申告決算書と確定申告書の作成

売上や経費をぜんぶ入力して、仕訳帳と総勘定元帳が出来上がったら「青色申告決算書」「確定申告書」の作成に取りかかります。

「やよいの青色申告」の場合、必要事項に関して順に質問してくるので、それに答えていくことで最終的にこれらの書類が出来上がります。


ちなみに私はこの作業中に「やよいの青色申告」から警告を出されてしまいました。
なにやら計算が合わないというのです。
でも、どこがどうおかしいのか、よく分かりません。

そこで合わないという金額を手掛かりに調べていったところ、どうやら前年度(令和2年)の12月分の売掛金が原因らしいことが判明しました。


いま作業している確定申告は令和3年度のものです。
でも前年度の令和2年12月に発生した売上の売掛金は、令和3年の1月に口座へ入金されました。
だから今回の確定申告に際して、「令和2年12月売上の売掛金回収」も「令和3年1月」のものとして記載しておく必要があるのです。

この記載を忘れていた……わけではありません。
私はちゃんとこのことに気付いており、会計ソフトへ入力も済ませてありました。

問題だったのは「期首残高」です。


「期首残高」とは、年初(1月1日)の時点で事業用に所持している現金や固定資産なんかの総額のことです。
例えば事業用の口座に10万円があり、固定資産として5万円の価値があるPCを一台所持――という場合なら、期首残高は15万円になります。

実は年初時点で未回収の売掛金というのも、この「期首残高」に含まれるそうなのです。
未回収であっても、その時点ですでに資産として所有していると見做すのでしょうね。

でも私は、この未回収の売掛金を期首残高に含めていなかったので、会計ソフトから「それじゃダメ。計算が合わない」と言われしまったのでした。

期首残高に売掛金の額を合計して計算を合わせると警告は出なくなり、申告書の記入作業も問題なく再開されました。


おそらく前回の申告も青色だったなら、このような期首残高の問題は起きていなかったと思われます。
今回、白色申告(期首残高の設定は必要ない)から青色申告(期首残高の設定が必須)へ変更するタイミングだったからこそ、このような事態になったのです。



e-taxで申告

必要な書類が一通り完成したら、あとは申告するだけです。
前年に続き、今年もe-taxで電子申告を行います。
(e-taxについては去年の記事に書いていますので、そちらを参照)

前年と同じ手順で電子申告をして、これで晴れて申告作業はお終いです。


なお、前年は「社会保険料」や「生命保険料」の控除証明書を、別途郵送で税務署へ送りましたが、今年はその作業を省略しました。
電子申告の場合、それらを省略できるという制度があるからです。

えっ、それじゃあ、なんで前年は郵送で提出したんだ……?

やった本人にもよく分かりません。
会計ソフトが郵送しろって指示してきたんで、その通りにやったんですけどね。
もしかすると、本当は前回も省略できていたのかも……。



終わりに

こうして初めての青色申告を行ったわけですが、これで正しかったのかは現時点で不明です。

前回の白色申告は、幸いにも税務署からケチをつけられることもなく還付金も満額振り込まれたので、大きな間違いはなかったのだと思いますが、今回は果たしてどうなるか……。

少なくともこの記事を書いている時点では、税務署から何の音沙汰もありません。
このまま何事もなく、申告が処理されてくれればいいのですが。

もし税務署からツッコミが入ったら、その時は問題のあった箇所をこの記事に追記するか、新たな記事にして公表したいと考えています。

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3/8追記
税務署から還付金の振込日程の連絡が来ました。どうやら一応は問題なく通ったようです。もちろん、後から修正の指示などが来ることもあり得ますが……。
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最後に繰り返しになりますが、この記事は解説や指南を目的にしたものではなく、あくまで覚え書きを兼ねた私的な体験談です。
間違いも勘違いもあり得ますので、その点をご承知置きください。

そしてもし「ここ違くないか?」という箇所があれば、ぜひご指摘ください。
そのときは修正させていただきますので。
 

Jackalope 2021/02/19 21:16

同人ゲーム製作者 はじめての確定申告②

白色申告で提出する書類

前回記事に続きまして、白色申告の体験談をお届けします。

さて白色申告で税務署に提出しなければならない書類は次の通りです。

 ・確定申告書
 ・収支内訳書
 ・控除証明書など(無ければ提出の必要なし)


このうち「確定申告書」「収支内訳書」は、先に入力しておいた帳簿のデータを使ってほとんどの部分を会計ソフトが自動入力してくれました。

もし手書きでやるならお近くの税務署や国税庁のウェブサイトから用紙を取得することができますが、PCを使えるなら会計ソフトでやるべきでしょう。簡単ですから。


「控除証明書」社会保険料生命保険なんかを支払っている人のところへ、毎年10月~1月くらいのあいだに送られてきます。
この控除証明書に記載されている金額をちゃんと確定申告書に記入しておけば、その分のお金には税金がかからなくなります

申告書作成の流れの中で、会計ソフトがこの控除証明も記入するよう要求してきたのでささっと入力しました。

なお控除証明書そのものは専用の台紙に貼って提出することになります。

書類の提出先は、自分の仕事場のある自治体を所轄している税務署になります。
所轄税務署が分からないときは、国税庁のこちらのページから検索できます。



業種について

これら確定申告の書類を作成していく中で、私が一番悩んだのは「職業」とか「業種名」という欄でした。

「同人ゲームを作っているんだから……ゲーム製作者? ゲーム開発業?」

考えてみましたが、よく分かりません。
ただ会計ソフトの記入例から選べるようになっていたので、「ソフトウェア・IT・WEB関連業」というのにしておきました。

「そんな大層なものじゃありませんが……」と、つい卑屈になってしまいそうな業種名ですが、ゲームソフトを作ってそれをオンラインで販売しているので間違ってはいないはずです。


ところでこの業種名というやつ、どんな名前をつけるかによって税金が変わってくることもあるそうです。
というのも特定の業種には「事業税」という税金がかかってくるからです。

例えば絵を描いて生計を立てている人でも、「イラストレーター」は事業税の対象(※注1)で、「画家」は対象外なんだとか。

他にもブログ記事で儲けている人の場合、「文筆業」と見做されれば事業税は支払わなくて済みますが、アフィリエイトが主な収入源だと「広告業」と見做されて事業税を要求されることがあるそうです(※注1)

注1 ただし年間売上が290万円以下なら事業税は免除


なお業種名の他に「屋号」という項目もありますが、こちらは必ず書かなければならないものではありません。
個人でお店とかやってればその店名を書きます。

「自分の場合、もしかしてサークル名を書いた方がいいのかな?」

と思ったりもしましたが、これまでサークル名で領収書や請求書をもらったことなど無いので空欄のままにしておきました。



どうやって申告するか?

必要事項を記入して申告書が完成したので、あとはこれを提出すればひとまずは終わりです。

書類の提出方法は主に次の三つ。

 ①税務署へ直接持っていく
 ②税務署へ郵送
 ③e-tax(電子申告)


①は税務署が遠いと面倒ですが、書類が足りなかったりした場合に、職員が指摘してくれるメリットがあります。

②は簡単ですが、ゆうパックやゆうメールを使って送るのはダメだそうです。
A4サイズの書類が入る一般的な封筒に切手を貼って出す形であれば問題ありません(第一種郵便物)。

③は必要書類のうち、「確定申告書」「収支内訳書」をオンラインで提出する方法です。


私は今回③のe-taxを選びました。
郵送でも構わなかったのですが、次回は青色申告をするつもりなので、いまのうちにe-taxに慣れておこうと思ったからです。

別に青色だからとe-taxにしなきゃならない法は無いのですが、青色でe-taxにすると特別控除が+10万円となるので節税になるんです。
今回は白色だから、そういうメリットはありませんけどね。


というわけで、以下e-taxでの申告についてお話ししていきます。



e-taxでの申告準備

◆マイナンバーカードについて
e-taxを使って確定申告をすると言っても、方法は複数あります。
まず「マイナンバーカード」を持っているかどうかで違ってきます。

マイナンバーカード……あまり普及してないですよね。
ちょっと気になったので調べてみたら、現在の普及率は25%程度らしいです。
この記事を読んでいる方の中にも、まだ作っていないという人は多いと思います。

私もすぐには作りませんでした。
でもネットでお金が絡むあれこれをやってると、マイナンバーカードの写しを提出するよう要求される場面が増えてきたので、三年ほど前に重い腰を上げて作成の手続きをしました。


このマイナンバーカードを持っていない人がe-taxをやろうとした場合、わざわざ税務署まで行ってIDとパスワードの登録をしなきゃならないそうです(参考リンク)。
しかもマイナンバーカードが普及するまでの一時的な措置だから、せっかく作ったアカウントも将来的には使えなくなる見込みです。


「じゃあ、すぐにマイナンバーカードを作って電子申告をしよう!」

……と思っても、作成されたカードが手元に届くには一ヶ月程度かかります。
通常の年であれば申告期限が3月15日なので、今からだと間に合うかどうかちょっと厳しいでしょうね。

ただ今年は昨年に引き続き、コロナ禍に対する救済措置として申告期限が4月15日に延長されているので、今からカード作成の手続きをしても間に合う公算は高いです。


マイナンバーカードに関してはネガティブな報道もあるので、不安だから作りたくないというならそれもいいでしょう。
でも単に面倒で放置しているだけなら、この際だから作ってみるのもアリだと思います。
今ならマイナポイントももらえますしね(ただ手続きがクソ面倒)。

ちなみに私はデパートとかにある証明写真機から申請する方法で作りました(参考リンク)。

以下、マイナンバーカードがあるとの前提で書いていきます。


◆ICカードリーダーについて
マイナンバーカードを使ってPCから申告するには、ICカードリーダーが必要になります。

また、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンを持っていれば、スマホから電子申告することもできます。

私のスマホも対応機種でしたが、PCの方が慣れているのでICカードリーダーを使用する方法を選択しました。


……と言っても、ICカードリーダーなんていう使いどころの少ない機器、持っていません。
WindowsPCの場合、カード読み取り対応のAndroidスマホをICカードリーダーとして使用することもできるそうです(参考リンク)。
けどどうせならと、私はICカードリーダーを買うことにしました。

そこでとりあえずAmazonを覗いてみると、国内メーカーのものは大体3000~4000円程度
海外製と思われるものは1000~2000円程度でした。

頻繁に使うものでもないから安いのでいいかと思い、1500円くらいのものを購入。
レビューには「普通にe-taxで使えた」という報告がいくつもあったので、多分大丈夫だろうなと。

注文翌日に届いた製品には説明書の一枚もついていませんでしたが、本体をUSBでPCに繋ぐと問題なく認識されました。


◆初めてe-taxを使うにあたって
さてこれで物理的な環境が整いましたが、e-taxを初めてやる場合は「開始届出書」の提出だとか「利用者識別番号」の取得だとか、やらなきゃならないことがあります。

詳しくはこちらのページなどを参照してください。
全部オンラインで申請できるので、ICカードリーダーにマイナンバーカードをセットして手続きをします。

手続きを進めていくと、ブラウザ上でe-tax側がPCの環境チェックをやって結果を表示してきます。
私の場合はブラウザがFirefoxだったのですが、ダメ出しされたのでChromeでやり直しました。
あとChromeの拡張機能も入れるよう指示があったのでやっておきました。


その後マイナンバーカードの読み取りが必要な箇所まで来ると、パスワードの入力が要求されました。
ここでパスワードが分からないとか、間違ったパスワードを何度も打ち込んでロックされちゃったなんて場合は、マイナンバーカードを持参して自治体の役所窓口へ行く羽目になります。

なおマイナンバーカードには各種パスワードが4種類も設定されています。
これがお役所仕事というやつでしょうか。ひどいものですね。
4種中3種は四桁の数字のパスワードなので、私は全部同一の数字にしておきましたけど。


手続きを終えて無事「利用者識別番号」も取得出来たら、いよいよ確定申告の書類をオンラインで送付します。



e-taxで送信 & その後の処理

今回私は「確定申告e-Taxモジュール」という、やよい独自の送信ソフトを利用する形で申告データを送りました。
でもこれが使えなくても、ブラウザでe-taxのwebサイトから送信することができます。

会計ソフトの指示通りにポチポチやっていくと、申告データの送付は呆気ないほどすぐに完了してしまいました。


でもこれですべてが終わったわけではありません。

社会保険や生命保険の控除証明書なんかは、税務署へ郵送するか直接持ち込む必要があるからです。(無ければ送る必要はありません)

「これもオンラインで済むようにしろよ!」と思わぬでもないですが、愚痴っても仕方ないので郵送することに。

控除証明書は専用の台紙に貼り付けます。
会計ソフトを使っていれば、この台紙も申告書の控えなんかと一緒に印刷できると思いますが、手動でDLするならこちらからできます。

あとは「申告書等送信票(兼送付書)」という書類も一緒に送ります。
どの書類がすでに電子申告で送られているか、どの書類をこれから郵送で送るか――という内訳が書いてある書類です。

これも会計ソフトを使っていれば、一連の流れの中で印刷するなりPDF出力されるなりしてるはずです。

「台紙に貼った控除証明など」「申告書等送信票」
この二点を茶封筒などに入れて、切手を貼ったら所轄の税務署あてに投函

これで白色申告はひとまず終了です!


なお、ここまで作ってきた帳簿や確定申告書などは、ちゃんと印刷してまとめて保管しておきます。
後日もし税務署から問い合わせや調査があったときに必要になりますから。
もちろん、経費に計上した領収書やレシートも保管しておかなきゃダメです。


こうして記事になったものを読んでいると、順調に申告作業を行ったかのように見えるかもしれませんが、実際はあれこれ調べることにかなりの時間を割かれ大変でした。
帳簿も記入をミスって、あちこち入力し直したりしましたしね。

しかもこうして苦心して申告しても、税務署からダメ出しが来る可能性があります。
そのときはまた、どこがダメだったのかを記事にして報告するかもしれません。



青色申告への挑戦

白色申告でも初心者には結構なハードルでしたが、これが青色申告になるともっと厳しいそうです。
でも青色申告なら特別控除が最大65万円つくので節税効果は高い

「やよいの白色申告オンライン」の場合、申告作業が終わると「青色だったら更にこれくらい節税できちゃいますよ~」と、これ見よがしに差額を出して有料の青色サービスの方へ誘導してきます。

そしてその差額は実際、有料サービスへ移行しても十分お釣りがくるだけのものでした。

「次回(2021年度分)の申告……青色にしちゃおっかな!

やよいの罠にはまったわけではないのですが、次年度は青色申告をするべく下準備を進めることにしました。


青色申告をやるには、次の二種類の書類を税務署に提出しておく必要があるとのこと。

 ・開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)(書類のダウンロードはこちら
 ・青色申告承認申請書 (書類のダウンロードはこちら


まず「開業届」の方ですが、これは「オレ、こんな感じの個人事業始めます!」という宣言書のようなものらしいです。
提出せずに個人事業をしているからといって罰則があるわけじゃないのですが、青色申告には必須なので書いておきます。

大して難しい書類ではないので、ネットで記入例を探して参考にしながらやればすぐ終わるはずです。

でも「開業日」の欄は要注意。
後述する「青色申告承認申請書」は、開業日から2ヶ月以内に提出しなきゃならないルールなんです(ただし1月1日~15日に開業した場合は3月15日が期限)。

期限を過ぎた状態で青色申告承認申請書を出したら、次の申告は白色になってしまい、青色で出来るのは次々回からとなってしまいます。
開業日には明確なルールが無く、自分で決めて良いそうですから、青色申告承認申請書が認められる範囲で設定しましょう。
(なお、すでに以前から開業していて白色→青色に変更する場合は3月15日が期限)


あとは申告書と同じく「職業」「屋号」という欄がありますが、ここは申告書に合わせて「ソフトウェア・IT・WEB関連業」と記入し、屋号は空欄に。
「事業の概要」という欄もあって、ここに具体的な仕事内容を書くので「ゲーム製作」みたいな感じで記入しました。


次に「青色申告承認申請書」です。
こちらは「次から青色申告にするんでヨロシク!」という届け出の書類です。

この申請書もネット上の記入例を参照して記入。
上の方の記入欄は開業届とほぼ被っています。

下の方には「備付帳簿名」という欄があって、ここの記入例は参考にする書籍やブログなどによって結構バラつきがあります。
でもチェックを付けた帳簿を必ず全部作成しなきゃならないわけでもないので、記入例のどれかを丸写しで構わないと思います。

私は現金出納帳・総勘定元帳・仕訳帳の三つにチェックを入れました。
これらの帳簿がどういう意味を持っているのかは……まったく分かりません!


先にも書いた通り、この青色申告承認申請書は開業日から2ヶ月以内に出さないといけないので、出来上がったら開業届と一緒にさっさと税務署へ郵送してしまいましょう。

私のように白色申告と同じタイミングで書いた場合は、控除証明書などと一緒に送ってしまえば余計な手間もかかりません。
開業届は控えも一緒に送って後日返送してもらうので、切手を貼った返信用封筒も同封するのを忘れずに


これで無職のおじさんを卒業して、個人事業主になった……はずです。たぶん。



最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます。
それにしても確定申告って本当に面倒でイライラさせられますね。
会計ソフトが無かった時代はこれを全部ペンと紙でやっていたわけですから、気の遠くなる話です。


繰り返しになりますが、これは指南記事ではなく、私のケースを元にして書いた体験談に過ぎないので、何等の責任も取れません
また、読んでくださった方には当てはまらない場合も多いはずです。
間違い・勘違いもあるかと思います(もし気づいた点などありましたら、コメントでお知らせください。訂正いたしますので)。

なので、あくまで白色申告の流れをつかむための記事としてご利用いただければと思います。
本気で参考にするなら、書店やAmazonで確定申告の本を買うなり、税理士さんが書いているブログなどを読むなりしてください。


来年の今頃また、青色申告の記事を書ければいいなと思っていますが、果たしてどうなるでしょうかね……。

2022年3月3日追記
青色申告の記事を書きました!
『同人ゲーム製作者 はじめての青色確定申告』

 

Jackalope 2021/02/19 21:15

同人ゲーム製作者 はじめての確定申告①

最初に

私ことツノウサギがR18の同人ゲームを作り始めて3年以上が経過しましたが、昨年10月に発売したRPG『剣と首輪の奴○商』の販売本数が予想を遥かに上回ったため、はじめて確定申告をしないといけない事態になってしまいました。


最悪です。
確定申告とは言わば「ヒャッハーッ! こいつの収入からいくら税金を搾り取れるか確認してやるぜ!」という感じの、悪逆無道な国家的蛮行なのです(言い過ぎ)。


というわけでこの記事では、確定申告という敵を前にして悪戦苦闘した私の体験談をさらしていきたいと考えています。

あくまで覚え書きのようなものであり指南記事とかじゃありませんから、素人ゆえの間違い勘違いもあるかもしれません。

確定申告の入門記事など検索すればたくさん出てきますし、書店へ行けばこの時期は解説書が色々あるはずなので、参考にするならそういうのを読んでもらった方がいいです。
この記事は申告の流れをつかむための補足資料くらいのつもりで目を通していただければと思います。

「信じて申告したのに税務署からダメ出しされた!」とか言われても責任は取れませんのでね。


はじめて確定申告をすることに……

いまから約四ヶ月前の2020年(令和2年)10月に『剣と首輪の奴○商』を発売してすぐ、売上額の伸びを見て「あっ、これ、確定申告が必要になりそう」と気づきました。
うろ覚えながら「20万円以上の利益が出たら申告しなきゃならない」と、いつかどこかで読んだ記憶があったのです。

ただこの「20万円以上」という数字は「会社からお給料もらってる人が副業などで利益を得た場合」のものでした。


私はすでに会社を辞めており、フリーランス(実質無職)の状態で18禁ゲームを作るという暴挙を実行中の身だったので、この場合は「年間の所得-控除額」がプラスであれば確定申告をしなきゃならないのでした。

ちなみに控除というのは、税金がかからない分の金額のことです。
所得が100万円で30万円分の控除があれば、差額の70万円に税金がかかってくることになります。


私と同じような暴挙をやっている人であれば、だいたい48万円以上の年間利益(※注1)が出た時点で確定申告に備えた方がいいと思います。


税金を払う必要があるだけの利益が出てるのに、無視して申告してないと、数年後のある日ひょっこり税務署員がやってきて未払いの税+罰金(無申告加算税など)を請求してくる可能性も。

黙ってりゃバレないというのは軽率な考えで、例えばDLsiteやFANZAなどは「支払調書」という売上に関する書類を税務署に提出しています。
これに「○○という同人野郎はウチで○○万円稼いでますぜ」という余計な情報が記されているので、とぼけようとしてもダメなわけです。

あと税務署の人は儲けてそうなヤツのtwitterとかもチェックしてる場合があるらしいので、景気のいいツイートをしてる人は要注意かも。

 注1 合計所得2400万円以下のときの基礎控除額が48万円




白色と青色

さてそんなわけで確定申告をする羽目になったのですが、まったくもってチンプンカンプンです。

で、とりあえず書店でフリーランス向けの税金の解説書を一冊購入(漫画で入門、的な優しいヤツ)。
あとはネットで情報を集めてなんとかしようとなりました。

この無知な状態からまず理解しなければならなかったのが、白色申告青色申告の違いでした。
以下にざっくりまとめてみました。


・白色申告
 確定申告童貞が最初に通る道。
 こっちで申告すると特別控除がない。つまり税金が高くなる。
 青色と比べて簡単(必要となる帳簿は家計簿レベルでOK)。

・青色申告
 青色をやるには事前に届け出が必要なのでいきなりはできない。
 複式簿記とかいう面倒くさい帳簿をつけると特別控除が55万円。
 e-tax(オンラインでの申告)にすると、さらに特別控除が+10万円。
 節税するならこっち。


私は初の申告なので白色申告でした。
この先の話もあくまで白色申告のものになります。




白色申告の準備①

 申告をするに当たって、自分の収入と支出が分からなければどうにもなりません。
 でもズボラな私は帳簿などまったくつけていませんでした。

 そこでまず収入と支出の数字集めから開始しました。
 具体的には以下の通り。

・収入関連
 DLsiteやFANZAのサークルページから売上情報を取得。
 (ページ左のメニューから見られます) 


・支出関連
 経費になりそうな物の領収書やレシート集め。
 (ゲーム製作ソフトや有料ゲーム素材、交換用のSSDなど)
 月ごとの水道光熱費やプロバイダ料金の明細。


なお収入については私の場合、「これも含めるのか?」と疑問に思うものが二点あったので調べてみました。
 ①特別定額給付金の10万円
 ②投資信託で得た利益

結果から言うと、どちらも確定申告する必要がない収入でした。

①の定額給付金はコロナ禍における家計支援のために配られたものなので、非課税なのは当然と言えば当然でした。

②は正確には口座の種類によって変わってくるようです。投資信託に限らず株やFXでも、取引に使っているのが「特定口座(源泉徴収あり)」であれば確定申告は不要とのこと(※注2)。源泉徴収ありだと、利益が自分のもとに来る前の段階ですでに税金分が抜き取られているからだそうです。


支出の方はもらったレシートや領収書などを捨てずに取ってあれば問題ありませんが、ただAmazonやSTEAMなどネット経由で購入した物には紙の領収書がついて来ない場合がほとんどです。

そのためオンライン上で発行されたものを自分で印刷する必要がありました。
大手のネットショップであれば、だいたいオンライン領収書発行サービスのようなものがあると思います。

 注2 この口座の場合でも取引で損失が出ているときには、確定申告に含めることで節税になるようです




白色申告の準備②

収入と支出の生データが集まったら、今度はこれを帳簿に記載していかなければなりません。

白色申告の帳簿は簡単なものですが、それでも昔ながらの手書きでやるとなると大変。
そこで帳簿作成から確定申告まで一貫してサポートしてくれる会計ソフトの出番となります。

今回私が使ったのはド定番の「弥生」です。
会計とは縁の無かった私でも名前だけは知ってる有名どころです。

弥生と言っても色々ラインナップがありますが、無料で使えるクラウドサービスの「やよいの白色申告オンライン」にしました。
同じようなサービスでは「freee」や「マネーフォワード」などもあります。


アカウント登録して利用できるようにようになったら、会計ソフトに収入・支出を入力していきます

銀行やクレジットカード会社のオンラインサービスと同期して、通帳や明細の項目を簡単に取り込める機能などもあるのですが、私の場合はなぜかクレジットカードの方がうまく同期してくれなかったので、ほとんどキーボード入力になりました。

▼私が入力した実際の帳簿画面



収入の入力作業

◆売上入力の注意点①
収入の項目には「売上」としてゲームの売り上げ金額を入力していきます。

ただしこのとき「銀行口座に振り込まれた手取りの金額」を売上額として入力してはダメです

こちらのDLsiteの売上明細書を見てください(当サークルのものです)。

銀行への振込額が¥4148、源泉徴収額が¥472、そしてこの二つの合計金額が¥4620となっています。
この場合、帳簿に入力すべきなのは合計である¥4620です。


もしこの時「振込額=売上額」として入力してしまうと、税金を二重に取られてしまう恐れがあるそうです。

というのも「源泉徴収」というよく分からん項目の正体が、「銀行振込の前に国がざっくり目分量で奪っていった税金」だからです。

つまり銀行に振り込まれた時点ですでに税金が取られている状態なんです。
なのに「振込額=売上額」としてしまうと、まだ税金が取られていない状態の売上収入だと勘違いされてしまいます

確定申告とは「これから税金を絞り取るための確認作業」なわけですから、そこに記入すべきは「税金が取られる前の金額」なんですね。


以上を踏まえてきちんと売上を記入すれば、源泉徴収で持っていかれた税金の一部が返ってくるかもしれません。

なんせ源泉徴収は「取り合えず」といった感じでざっくり持っていかれる税金なので、必要以上に取られちゃってる場合も多々あるみたいなんです。
だから申告すれば、その分が戻ってくる。

実際、私も会計ソフトで算出した通りの結果になれば10万円以上が戻ってくる公算です。

※追記 2023年10月以降、FANZAの「支払通知書」から源泉徴収額の項目が無くなってしまいました。けれど源泉徴収されていないわけではありません。コンテンツ配信料-支払金額合計=源泉徴収額、となります。ちなみにこれはインボイス対象外の場合。インボイス対象の場合どう表示されるのかは不明です)


◆売上入力の注意点②
あともう一つ気をつけたいのが「帳簿に記入する売上をいつの時点のものにするか」ということ。
何を言ってるのか分からないと思うので、順を追って説明します。

上記の例に出したDLsiteの売上明細ですが、「2020年01月売上合計明細書」と件名が書いてありますね。
でも右上の日付は「2020年02月20日」です。これは明細書の発行日であり、売上金が私の銀行口座に振り込まれた日付でもあります。

ではコレ、「1月の収入」として記入すべきなのか、それとも「2月の収入」にするのが正解なのか?

私は最初、「手元にお金が入ってきたのが2月なんだから当然2月の収入だろう」と思っていました。
でも明細書には「1月売上」とあるのでだんだん混乱してきて、調べてみることに。


するとその結果は…………どっちでもOK!(ただし白色申告に限る)


なんでも、会計の世界には「発生主義」「現金主義」という考え方があるんだとか。
大体、次のような感じみたいです。

 ・発生主義
  お金が手元に来る前でも、売上額が確定していればその時点で収入として
  計上するという考え方。
  上記の例でいえば「1月の収入」にするのが正解。

 ・現金主義
  実際にお金が支払われた時点で、収入として計上するという考え方。
  上記の例でいえば「2月の収入」にするのが正解。

ただ帳簿付けの際は、原則的に「発生主義」を採るらしいです。
あとこれが青色申告の場合だと現金主義での記入はダメで、発生主義での売上計上になるとのこと。

また白色申告で「現金主義」を採った場合でも、年末の年をまたぐような売上部分は発生主義で処理しなくちゃダメみたいです。
(例:今年12月の売上分が翌年1月に銀行振込なら、12月の収入として計上)

白色申告で現金主義が認められているのは、帳簿付けに不慣れな人への救済措置みたいなものなんでしょうかね。

私の場合は次回から青色申告にしてみようと考えているので、今回の白色も慣れるために「発生主義」で記入することにしました。


ここでついでにFANZAの明細書も見てみましょう。


基本的にはDLsiteのものと同じですが、一番上の件名を見てください。
「2020年2月分の支払明細」とあります。
そしてその横には「集計期間:2020年1月1日~2020年1月31日」とあります。

集計期間が1月なので、これも発生主義で言えば「1月の収入」ですね。
……お分かりいただけたでしょうか?

 ・DLsiteの明細の件名 → 「2020年1月売上合計明細書」
 ・FANZAの明細の件名 → 「2020年2月分の支払い明細」

同じ期間の明細書なのに、件名の月が違う!?

多分これは、DLsiteの方が「売上明細」であるのに対して、FANZAの方が「支払明細」であることが原因なのでしょう。

このことに気付かず両方とも「件名に1月とあれば1月の収入! 2月とあれば2月の収入!」とやってしまうと、DLsiteが発生主義で計上しているのに、FANZAは現金主義で計上することになってしまいます。

※追記 2023年10月以降、FANZAの「支払情報の確認」ページでも10月分の売上に対しては「10月分の支払い通知書」というように同月での表示がされるようになり分かりやすくなった)

こんな風にチャンポンな帳簿付けをしたら、税務署からツッコミが入る……かどうかは分かりませんが、あまりよろしくないのは確かでしょう。
複数の販売サイトを利用している同人クリエイターの方は、注意しといた方がいいと思います。


支出の入力作業

支出は自分の仕事に関係のある出費を入力します。
まったく関係のないものを支出として記入するのは当然ダメです。

逆に言えば仕事に関係があると説明できればゲームや漫画だって経費として認められるかも。


「オレはエロゲー製作者だから、参考資料である退魔忍シリーズや月刊LOの購入代金は経費だぜ(キリッ)」

……みたいなことを税務署員相手に主張できる勇気があるなら、意外と通るかもしれませんね。
まあ私はやりませんけど。

でもRPGツクールの購入代金なんかは経費として入力しました。
これでゲームを作って販売しているのだから、自信をもって必要経費と言えます。


◆科目について
経費を入力するときには、金額や日付の他に「科目」(勘定科目)という項目があります。
これはどういう種類の経費かを大雑把に分類するための項目で、「やよいの白色申告」の場合は、プルダウンメニューから科目を選べるようになっています。

この科目っていうやつ、どれを選択すればいいのか案外迷います。
(※収入にも科目はあるけど種類が少なくて、私は「売上」一択でした)


水道代は「水道光熱費」、文具はたぶん「消耗品費」でいいのだろうと察しがつきますが、じゃあ「PCソフトは?」「交換用のSSDは?」となると、全然わかりません。

ただ会計ソフトの入力画面から記入例を見られるようになっていて、そこに色々なパターンがあるのに気づいたので、参考にして入力することにしました。
すると水道光熱費や通信費を除いて、ほとんどが「消耗品費」になってしまいました。

PCソフトもPCパーツも消耗品費です(ただし10万円未満のもの)。
Live2Dの参考書は「新聞図書費」にしましたけど。


ちなみにこの科目欄は、自分で「○○費」というように独自設定しちゃっても構わないらしいのですが、私は適切に名前をつけられる自信が無かったのでプルダウンの一覧から選べるものだけを使いました。


◆水道光熱費と通信費について
お店で買えるようなものは、品物を受け取ると同時に支払い(経費)が生じます。
でも毎月の電気・ガス・水道代やプロバイダ料金なんかは、だいたい利用した月の翌月に料金の支払いとなります。

「となると……あれ? これも「発生主義」の考え方に従って、使用料金を支払った月じゃなく、利用した月で経費計上しなきゃダメなのか?」

そう疑問が湧いたので、またまた調べてみると――。

「一応原則はそうだけど、料金を支払った月で経費計上(現金主義)しちゃって大丈夫」

なんだそうです(ただし使用料金が高額になる大きな会社や工場はダメらしい)。

なので私はこれらの支出を、実際に銀行から引き落としされた日付で計上していきました。


◆家事按分について
上記の水道光熱費やプロバイダ料金、あと家賃なんかは、仕事用の事務所や店舗がない自宅作業者でも経費として認められます

ただ100%認められるわけじゃなくて、仕事で使ってる分の割合だけ経費として申告できるんだとか。
これを「家事按分」と言うそうです。


でも仕事で使ってる分だけと言われても、電気代や水道代の何%が仕事用のものかなんて計算して正確に出すのは無理です。

なので私のケースでは、「平均して一日8時間以上は作業してるから、三分の一くらい……キリよく30%にしておくか」という風に決めました。

もっともこれが正解かはわかりません。
あとで割合が多すぎると税務署から言われちゃう可能性もありますが、そのときは修正指示に従って直せばいいことです。


なお会計ソフトでは、支出として帳簿に入力する時点では100%の料金を打ち込みました。
家事按分の割合は後から別に入力して自動で補正する形になります。



さてこれで、ひとまず帳簿ができました。

次にこの帳簿を元にして確定申告に必要な書類を作っていくのですが、長くなってきたので続きは次回記事で
  

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