「体液越しの幽霊ちゃん」監督インタビュー(後編)
――さてインタビュー後半のここからは、ネタバレ有りで作中の気になった点を中心にお伺いしていきましょう。やはりと言うか、ゆりんは実はエッチに興味津々な女の子でしたね。
F:むっつりスケベな女子って、どう考えても最高ですよね。そんな風には見えないのに彼女のことを知れば知るほど『あれ…?ひょっとして実は……興味津々!?』という。今回はそれが原因で亡くなってしまった幽霊という設定として活かしました。
――そして常に不機嫌だった態度から、最終的には主人公にゾッコンになります。
F:これは本作に限った話ではないんですが、劇中でヒロインが主人公にいつどこに惚れたかというのは特に描写していません。理由なんてどうでも良いのです。ゆりんの恋心が唐突に感じる方もいるかもしれませんが、人の心というのはそういうものなのです。
――『あの子が何考えてるのか分からん!』という経験は確かに誰しもありそうですね。EXTRA TRACKではゆりんの愛情が膨らみすぎて分裂までできるようになっています。
F:エフプロ作品において左右同時耳ふ〜/耳舐めトラックは定番のおまけ要素ですが、今回は幽霊ヒロインなのでそういった台詞を入れてみました。個人的に幽霊は分裂とか分身をするイメージがないのであくまで番外編ですね。完全な分裂ではなく、肥大した愛情によって霊体が膨らんだだけなので下の方は繋がったままです。
――作品を通して幽霊の設定がしっかりしているというか、ご都合主義的ではない印象を受けました。
F:幽霊だからといって何でもアリというのはしたくありませんでした。自分なりの幽霊像を設定として落とし込んでいった形です。ちなみにシナリオ初稿ではデカルトの心身二元論やゴースト・イン・ザ・マシーンといった形而上学的な台詞を書いてみたりもしましたが、ゆりんのイメージに合わないのでやめました。
――確かにそういった堅苦しいことを言うキャラクターではなさそうですね。他に没になった設定や台詞等はあるんですか?
F:たくさんありますよ。例えば序盤でゆりんが「分身なんて出来るわけないじゃないですか」と言いますが、初稿では続けて「そんな、どこかの同人音声じゃあるまいし」といった台詞がありました。ゆりんが実はそういったものを聴いていたという描写でもありますが、この時点ではまだむっつりスケベな事は隠しておきたかったので没としました。他には生きていた頃のバイト先が初稿ではイオンモール内のゴディバだったのですが、DLsiteの事前審査で実在する企業名は出さないようにと言われてしまったので駅前のケーキ屋に変更になっています。
――さすがにアダルト作品ではハードルが高いですね。没台詞以外でも、実はここはこうだった…という部分はありますか?
F:いえ、特にないですね。今回はわりと分かりやすい内容になってると思います。
――それでは制作のうえで苦労した点などがあれば……。
F:苦労もあまりしなかったんですよね、これが。先述のとおりシナリオもサクサク書けましたし、こやまさんの音源のクオリティのおかげで編集も楽でした。実体のない幽霊という性質上、衣擦れ効果音も必要なかったですし。
――いささかインタビュアー泣かせな返答ですが、スムーズに制作が進んだのでしたら喜ばしい限りです。それでは最後にユーザーの方へメッセージと、次回作の情報等があればお願いします。
F:いつもエフプロ作品を応援していただきありがとうございます。ゆりんのツンデレっぷりは何度聴いてもニヤニヤしてしまうので、色々な用途で長くお楽しみいただけると嬉しいです。また次回作についてですが、舞台は病院、そして女医とナースのダブルヒロインとなります。まだお伝えできる情報は少ないですが、こちらもかなりの自信作ですので今しばらくお待ちいただければと思います。
――ありがとうございました。
2023年4月某日 F. PRODUCTIONS脳内にて