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2021年 05月の記事 (1)

石刻屋 2021/05/21 04:40

【解説】同人CG集等におけるクリスタを利用した文字入れの方法について 第2回

※この記事はクリエイター向けの情報記事です
(最後のほうに制作途中の作品サンプル画像がありますので、興味があればそちらだけでも覗いてみてください)

前書き

 前回からかなり時間が経ってしまいました。

【解説】同人CG集等におけるクリスタを利用した文字入れの方法について 第1回

 需要のほどはわかりませんが、備忘録も兼ねて、残りの項目を一つずつ解説していきたいと思います。
 前回では「テキスト設定」に触れたため、今回は「行間・揃え」「テキスト」「ルビ」「文字一覧」「変形設定」について記述いたします。

行間・揃え

 この項目では、文章が二行にまたがったときの行間や、揃え方を設定できます。

行揃え

 三種類の揃え方を選ぶことができますが、基本的にデフォルトの上揃え以外を使うことはあまりないと思いますので、いじる必要性のない部分です。
 文字演出をする時に、もしかしたら中央揃えを利用することがあるかもしれない……といった程度でしょうか。

行間

 文章の読みやすさに大きく関わる、重要な設定項目です。
 行間の数値を増やすことで、行と行の間のスペースが広がります。この数値が低すぎると、文字が詰まって非常に読みづらくなってしまいます。
 この数値指定も、フォントサイズと同様に画像サイズとdpiによって1ポイントあたりの大きさが変わってきます。画像サイズかdpiを変更した時は、あらためて数値を調整しないと行間の間隔が変わってしまいますので、ご注意ください。
(ただしパーセント指定をする時は、割合なので一定になります)

指定方法

 絶対値かパーセント値のどちらで行間を調整するか選べます。
 パーセント設定にすると、画像サイズやdpiが変わっても行の間隔はつねに同じ割合になります。設定の再調整が必要なくなるので、パーセント指定に変更しておくと良いかと思います。
 細かい数値までパーセントは指定できますが、デフォルトの100%はもともとの行間が狭すぎるので、もう少し広げたほうがいいでしょう。
 私はパーセント指定を123%にしています。
(ただしルビのある行の行間は、ルビが前の行とかぶらないように、そこだけ150%に変更しています)

テキスト

 かなり重要な設定項目が揃っています。

文字方向

 横書きか、縦書きかを選択できます。
 用途に合わせて、文字方向を変更しましょう。

アンチエイリアス

 アンチエイリアスをオンにすると、文字のギザギザを軽減して滑らかに表示させられます。
 オフにするメリットがないので、基本的にオンにしておきましょう。

自動縦中横

 半角文字を入力した時に、自動的に全角一文字ぶんの枠内に収める機能です。
 たとえば自動縦中横を「2文字」に設定した場合、「!?」と入力すると全角一文字ぶんとして扱われるようになります。

 このような感じで、設定文字数を増やすとその数値ぶん半角文字を一枠に収められます。
 が、見映え上の観点からすると2文字が最適ですので、よほどのこだわりがないかぎりは、2文字に設定しておくと良いかと思います。

約物の字幅を半角にする

 約物とは、たとえば「」や、。といったものを指します。
 これを半角にすると一行中に本来より多くの文字を収められますが、行ごとに文字の並びがズレるようになります。結果的に可読性や見映えが悪化することが多いので、オフに設定しておくのを推奨します。

フレームで折り返す

 これをオンにしていないと、編集がものすごく大変になります。
 基本的にはオンにしておきましょう。

フレーム揃え

 テキスト全体の位置を、フレームのどこに揃えるかを設定できます。
 これは文字演出や編集方法によって都合のいい揃え方が変わってきます。自分のやりやすいものを選んでください。

フチ

フチの色

 イラストに文字を入れる際に、もっとも重要になってくる設定項目です。
 これをオンにすることで、文字がフチ取りされます。たとえば文字色が背景色とかぶっていても、フチ取りをしていれば文字の形を視認しやすくなります。
 フチのサイズも大きくすればするほど、見やすさは向上します。ただし見映えの問題もあるので、確認しながら調整をしましょう。

 このように、背景とテキスト色が同じ明色だと見づらくなりますが、フチを取ることによってはっきりと文字が視認できるようになります。
 フチの色は黒または白が定番です。この辺は好みの問題だと思います。
 フチを黒(暗色)にした場合は、テキスト色を明色に。また、フチを白(明色)にした場合は、テキスト色を暗色にしましょう。

背景色

不透明度

 この設定をいじると、テキスト領域の背景色を指定することができ、また不透明度も調整することができます。
 以下は、背景色がない場合と、背景色を付けた場合の比較になります。


 フチ取りがされているので文章自体は読めますが、背景色の有無でなんとなく印象が変わってくると思います。
 基本的に背景色があったほうが文章は読みやすくなります。テキスト領域が視覚的に認識されやすくなり、文字に集中することができるからです。
 同時に、バックのイラストが目立たなくなるデメリットもあります。この点はトレードオフなので、背景色を設定するか否か、また透過度をどの程度にするかをよく考えましょう。
 個人的な考えとしては、長文になると背景色がないと読む時に目が滑ってしまうので、文章を読ませたいなら薄くでも背景色を入れておくと良いかと思います。

ルビ

 使いどころがけっこうあるルビ設定です。

ルビフォント

 ルビのフォントを変更できます。基本的には、本文のフォントと同じものを指定すると良いでしょう。
 ただし、ルビのサイズは本文の50%ほどが基本なので、フォントによっては形状が潰れてしまうことがあるかもしれません。その時は、明朝体やゴシック体などを指定して視認できるものを選びましょう。

ルビサイズ

 ルビサイズを指定できます。
 基本的に、いじらないほうが無難です。50%に設定しておきましょう。

ルビ位置

 ルビの位置を指定できます。
 見映えが良くなるのは「中央揃え」です。私は中央揃えを利用しています。

ルビ調整

 数値を変更することで、ルビの位置をずらせます。配置がどうしても悪くなる場合は、ここで調整しましょう。
 ただ中央揃えにしておけば、だいたい綺麗に表示されると思いますので、あまりいじる機会はないかと思います。

ルビと本文の間隔

 マイナスにすると本文とルビの距離が縮まり、逆にプラスにすると距離が広がります。
 ゼロが基本ですが、位置が気になる場合は数値調整してください。

ルビ字間

 ルビ文字の字間を細かく調整できます。
 見映えが良いのは「均等2」だと思います。「自由」を選ぶと自分で数値入力して調整できるので、必要があればそちらを使っても良いでしょう。


 さて、上記の項目を踏まえたうえで、ルビを使う時に多くの人が困る場面があります。
 それは「ルビのある行だけ変に行間が離れてしまう(行間を長さ指定した時)」または「ルビが前の行とかぶってしまう(行間をパーセント指定した時)」です。
 以下は、行間を123%でパーセント指定してルビを使用した例です。

 ルビを無視して行間を一定にしているので、ルビ文字が前の行とかぶっています。これを直す必要がありますね。

 ルビを考慮して150%に指定しましたが、今度は前の行のルビがない部分に妙な隙間ができてしまいました。これは前の行が2行にまたがっているために、折り返した部分も行間が150%になってしまっているわけです。
 行間を150%にしたいのは、ルビの表示されている部分の行間だけ。では、どうやってそこだけを調整するか。
 力技になりますが、正解は「前の行を改行してしまう」になります。
 前の行は「穏やかで清純そうな…(中略)…いつ見ても綺麗な女性が、そこにいる。」となっていますが、これを「…(前略)…いつ見ても綺麗 /改行/ な女性が、そこにいる。」と改行を差し込んでしまいます。
 見た目は変わりませんが、内部的には別の行として扱われるため、行間の指定をルビのある部分だけに影響させられます。

 これでルビのある行間だけ、違和感のないように調整することができました。
 デフォルトだと、ルビを使うと行間がかなり変になるので、ルビを使う時はできるだけ手動で、このような調整を施してあげましょう。

文字一覧

 選択フォントの、Unicodeに従った文字のリストが表示されます。
 あまり使う機会がないと思いますが、しいて言うなら特殊記号を探すときなどに眺めたりするくらいでしょうか。

変形設定

リサイズハンドルを表示

 表示させることで、文字領域の枠の調整ができます。
 基本的にオンにしておきましょう。

変形方法

 デフォルトだと「拡大・縮小・回転」になっていますが、これは罠設定です。
 テキスト枠を伸ばそうとして間違えて回転させてしまうケースが起こるので、設定は「拡大・縮小」にしておきましょう。
(斜めに編集したい時は、後述の「回転角」からいじったほうが無難です)

縦横比固定

 オンにすると、拡大などをしても縦横比がつねに一定に保たれます。
 テキスト入力で縦横比を保つ必要性があまりないので、オフにしておきましょう。

回転角

 数値を変更すると、テキスト枠を回転させることができます。
 演出などで文字の角度を変形させたい時は、これをいじりましょう。

傾き(横)

傾き(縦)

 回転角と違って、これで調整すると文字がかなり歪みます。
 通常の文章表示では利用することはないと思います。
(ロゴなどを作るときには使えるかもしれません)

今回のあとがき

 ざっとですが、残ったクリスタの文字入力設定もすべて解説させていただきました。
 画像に文字を入れるなら、クリスタは非常によいソフトとなります。とくに同人作品などを作るときには欠かせませんので、使い方を覚えておいて損はありませんね。

 文章入力・表示に関しては、もっといろいろ知識や仕様もあったりするのですが、その辺のことについてはまた時間があるときにできればと思います。

 何かご質問や、ご要望などがございましたら、お気軽にコメントをしていただけたら幸いです。
 Ci-en内のコメントのほか、ツイッターなどからでもお声がけいただいてもかまいません。

石刻テト(ツイッター)

同人作品の制作進捗について

 以前に5月下旬が販売目標と書いていましたが、お恥ずかしいことに作業が終わらないため、6月中に販売できたら……と思っています。
 シナリオテキストはほぼ完成しているので、あとはイラストレーターさんの絵と組み合わせて出力する作業が難所でしょうか。
 初めての作品なので至らないところも多いとは思いますが、なんとか人様に見せられるクオリティーの作品を送り出せればと思います。


 そして、CG集の内容がどんな感じなのかサンプルも兼ねて……。
 こちらはイラストレーターmiyako様と制作中の内容の、スチルの一枚となります。

 あまりCG集形式の作品ではライターがテキスト担当することがありませんが、こうして文章と組み合わせると物語への没入感も高まり、通常の同人作品とはまた趣の違った感じに映るのではないかと思います。
 多くの方々にお楽しみいただけるように、がんばって制作してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします……!

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