Quietude. 2021/08/15 08:15

ダイナミックレンジもったいないおばけ

エロ音声という世界一ダイナミックレンジが使えるメディアの制作においての出来事。
まあエロ小説がボキャブラリがモノをいうみたいなもんだろう。

ダイナミックレンジなんてエクスパンダーで録音時の最低限付近から拡張したりすりゃ人工的に増やせはするが、実際の録音された声や音のこの領域を確保することに躍起になっている。気になって夜も眠れない。24ビットにみっちり情報を詰め込みたい。

ああもったいないもったいない。
そんなわけで情報の整理。

音源

つまり今から録ろうとする音。

入力の単位 ないんじゃね?
出力の単位 dB SPL
スポイルするもの 自然界のノイズ/暗騒音

これについては防音や反響対策が素晴らしいスタジオを建造するかレンタルするかしましょうみたいな割と簡単な問題。口で言うのは。 そう、口で言うのは。

マイク

みんなの大好きなやつ。マイクって面白いよな!

入力の単位 dB SPL(音圧レベルってやつ)
出力の単位 dBV(電圧の単位)
スポイルするもの マイクの最大入力音圧・自己ノイズを含むノイズ

売られてるマイクに書いてあるダイナミックレンジは最大入力音圧から単純に自己ノイズを引いた数字。
つまるところどれだけ小さい音からどれだけ大きな音を入力できますよと言った数字。

最大入力音圧については、これ以上は1%ほど高調波歪が現れますよとか、メーカーによっては0.5%とか3%とか、つまり歪まずに入力できる一番でかい音。
歪ませずに出力できるとか言ったが厳密か。
最大入力レベル140dB SPLとか書いてある場合は要するに自衛隊の航空ショーなんぞを割らずにとれますよみたいな触れ込み。
当然そんな声を人間が出した場合は自分の声や自分の楽器で難聴になるので実用上はそこまで意味のない数字でもある。

マイクの自己ノイズについては中々こいつが紛らわしくて、たとえば5 dBAとか書いてある製品でも10dBAの製品に比べてデカかったりするケースがあって、感度が-32 dB /Paで10 dBAのマイクと 感度が-27 dB /Paでノイズが5 dBAのマイクでノイズフロアは概ねは同じ数値がアンプに入力されることになる。

ひょっとしたらdBuやdBVで表記された数値もマイクのスペックには併記すべきなのかもしれない。

たとえばざっくり計算で上の5dBAで- 27dB /Paのマイクでは
5-27-94+(dBAをdB SPLに戻すために3〜5)とかやってとりあえず真ん中の4をえらんで、最大入力で120dB SPLまで入りますよとかそういうことなら今度は5んところを置き換えて、こっちはSPLだから最後の数字はなしにして

−112 〜 1 dBVとかそういう表記。

アンプやADCが待ち構えてるに決まってるんだからこういう表記良いと思うんですけどね。あと、こういう自然の摂理をさんすう如きで解決できるようにしてしまったベルさんはすごいね。


アンプ

良いアンプは見た目まで良い。 これは真理。悩んだら一番格好いいやつを買え!

入力の単位 dBu
出力の単位 dBu
スポイルするもの 最大入力レベル・最大出力レベル・入力等価ノイズ・歪み

アンプのスペック上のダイナミックレンジとはつまるところ、歪まずに入れて歪まずに出せる範囲を概ね指す。

dBVからdBuに変換するにはざっくり2.2をたすこと。本当はもっと細かいけど。
そもそもこの似たような2つがなぜ混在して使われているのか。
そのむかし、電話機のリファレンスレベルを設定した際の名残とか聞いたことあるが詳しくは知らない。

ゲインを上げるごとに下がってく入力等価ノイズとかもあるんだが、自然界の暗騒音に比べると些細な問題なのでここではあんまり触らない。
アンプのゲインを上げると本当はノイズは下がっているのだが、繋がったものからの入力ノイズは足し算されるのででかく聞こえるみたいな話。

説明書きPDFにアンプの最大入力レベルはいくつですよみたいな数字が書いてあったり書いてなかったりするわけだが、例えば+4 dBuとかあった場合、感度20mV /Paのマイクで130dB SPLの音圧レベルの音を入力しようとするとひでぶっと歪んでしまうわけだ。

同様に、出力レベルもお姉さんもう僕出ないよぉ…となり、赤玉や歪みが現れる数値。
実際のところアナログ回路なので+24 dBuとか書いてあるアンプでもモノによるけど+20 dBu付近から徐々に歪み始め、その後昇龍拳のごとく歪み率が上昇する。
まあそういう関数の世界だしな。

ほいでもってアンプのゲインを上げると最大出力レベルに入力が近づくということは、やっぱりここでもダイナミックレンジが犠牲になる。

ADコンバータからDAW(オーディオインターフェースと編集)

入力の単位 dBu
出力の単位 dBFS
スポイルするもの 最大入力レベル・入力等価ノイズ・歪み

どんなファイルでもDSD生録音とかでもない限りはそれなりに音量は調整され市場に出回る。
で、出力されたものはデジタルなんだから上げ下げ自由だろと思うが実は落とし穴がある。

さて、適当にDAWからラインでテストトーンを出力してアンプにつなぎ、ガチャリガチャリ1ステップづつ上げてった録音である。ADCは +24 dBu固定
たしか5dBくらいのアンプだったように思う。忘れた。

小さな信号がノイズとと共に階段状にに大きくなっていくさまがわかるんじゃねーかなーと思う。

問題はここからで、この信号をノーマライズ、つまりテストトーンの大きさを同じくらいにしようとすると

小さい方があからさまにS/N比が悪いことがわかると思う。

つまりアナログ段ででかくして録って小さく使うほうがADCのノイズを一緒に持ち上げずに済む上、アンプの入力等価ノイズは下がりS/N比は向上する。

しかし大きくとれた音と小さくとれた音はノイズリダクションが仮に100%の精度でされた場合でも等価というわけではなく、スペクトログラムで増えた横線、要するに高調波歪みが問題になったり。(高調波歪みについては聴覚上は良い結果をもたらす場合もあり)

まあ、真ん中くらいのゲインが高調波歪みも目立たんし、S/N比も全開に比べてそこまで悪くないのでそういう感じでいいんでね?

ところで先日、実際のセリフ録音で試してみたら聴覚上はぜんぜんわかんなかった。
比較用に最小から最大までを用意したファイルならともかく、実用的な設定が行われたマイク-アンプ-ADCな経路では多少のクリップをリテイクないしは修正するような大きめ入力であれ、あんぜんマージンをとった録音であれ聴覚上はぜんぜんわかんなかった。
(個人的には100kHz以降のノイズシェイピング由来のノイズが濃ゆいと気になりはするのだが)


まあ僕のところには全然実用的じゃない設定が行われたファイルも来るのですけどね!

で、結局何ビット互換くらいの入出力がありゃいいんだろ?
NeumannのKU100が前に言ったdBVで言うダイナミックレンジで-112〜 +7と一番でかくて119dBVというやっぱり20ビットに収まるくらいで、そんでもってそこにスタジオのノイズとアンプのゲイン、アンプやADCの最大入力が天井としてある。

正直な話、デカ目の音でとるとして- 1dBFSから-121 dBFSまでとか20ビットもいらんってか、収録後音量は調整され、よりダイナミックレンジが狭められて販売されることになる。

けどまあ、再現性が良いに越したことはないのでこれからも「あんぜんマージン」よりかは針の穴に糸を通す手法をキープしていこうかと思う。


小林製薬 ダイナミックレンジワカール

さてそういったダイナミックレンジをわかりたい際、ノイズフロアとピークの差を出すとかウンヌンでも良いんだが、わからせ棒としてこんなソフトがある。

https://www.pluginboutique.com/product/3-Studio-Tools/79-Metering/4455-DROffline-MkII

音源ファイルの様々な聴覚上の数値を出してくれるソフトなわけだが、なかなか楽しいのでみんなもかいなさい。時々セールするので3000円位で買えることもある。
自分の録音に対してはどうなんだろうということで走らせてみたらDXDでは処理が転んでバグった数値が表示されたのでダウンサンプルしたらうまくいくようになった。

ほかにも全部のファイルをフォルダごと分析して、なんか他のファイルに比べて変な挙動のファイルを発見するのにも便利なのでもっとくといい感じ。

音声だとあんまり関係ないかもだが、ようつべ動画やらライブ配信やらゲームのサウンドトラックだとだいぶこのラウドネスというものが出てきて、いちいち覚えることになるのでなにか別のことがやりたい際は先にそーゆーものがありますよと覚えておいたほうが得に思う。


まあADVとかツクールゲーとかそういう古き良きモノなら大丈夫かもしれんが。


ところで小林性躍、消えたな。

よくわからないが気分が虚しいから書いた。
書いてるうちに自分はそういえばハンドクランクオルガンの音を録りたいのでしたとか、そういうことを思い出しだんだん気分が楽しくなってきたのでまあそれでいいや。

https://youtu.be/gT0SQ-xBHSo

ね?楽しそうでしょ
ただ、演奏自体はハンドル回してるだけだけどな。
儲かったら買おう。儲かったら。

原曲はこんな曲。

https://www.youtube.com/watch?v=d27gTrPPAyk

エイリアンを宇宙人以外の意味で使ってるシチュエーションは21世紀ではもはやあんまりない。言葉は変わっていくもんですなあとか。

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