大洪水!5
二日連続でおもらしをしてしまった美春。
昼休みにトイレに行くも、他の学年の女子トイレが壊れた影響で、長蛇の列ができあがっていた。
一人、また一人と力尽きていく女子たちのなかで、美春は我慢しきることができるのだろうか。
●3章目 ギリギリセーフ!
「はぁ……。まさか二日連続でおもらししちゃうなんて、自己嫌悪だよ。この年にもなってさぁ」
美春が憂鬱げにため息をついたのは翌日の昼休み。
屋上で菓子パンの袋をくしゅくしゅに丸めたときのことだった。
昨日のことを思いだしたら顔が赤くなってしまうし、友だちはみんな学食派だから、昼ご飯はいつも屋上で食べることにしていた。
弁当派の生徒のほとんどは中庭や解放されたテラスで食べるので、屋上はちょっとした穴場になっていた。
美春以外の生徒は誰もいないから、今日みたいな天気のいい日は、たった一人で青空を独り占めすることができる。
嫌なことは、青空が忘れさせてくれる。
「ちょっとお行儀悪いけどー、ごろーんしちゃおう」
たった一人しかいない屋上でごろんと仰向けになって視界いっぱいに青空を目の前にすると、まるで宇宙を飛び回って旅しているような気分になれる。
地球が美春のことを追いかけてきて、美春は広大な宇宙を飛び回る旅人なのだ。
「このままどっか遠いところにいけたらいいのになー」
具体的にどこに行きたいとかは考えてないけど。
深いことは後回しにする。
いつまでも自由で、このまま寝転がっていたい。
そんなことを本気で願う……。
それが美春の生き方だった。
だけど。
現実には時間は区切られていて、ずっと寝転がっているわけにはいかないのだ。
「あーあ。もうお昼休み、終わっちゃうよー」
美春はそれはそれは気怠げに身体を起こすと、ゆっくりと立ち上がるのだった。
そんなとき――、
「あっ」
美春は短い声を漏らしてしまう。
ツーンと下半身に走る、この感覚は……尿意だった。
菓子パンと一緒に紅茶を飲んだから、おしっこがしたくなってしまった。
「昼休み終わる前にトイレ行っとこ」
二日連続でおもらしをしたばかりか、教室で三日連続の記録を打ち立てるわけにはいかない。
それも、授業中の教室でおもらしだなんて。
「……さすがにそれはマズいよね。ははっ」
一人脳天気に笑いながら屋上を後にする。
まずはトイレに行っとかないと――。
そんなことを考えながら階段を降り、美春の教室のある校舎の最上階……四階にやってきたときのことだった。
「な、なにかな? この行列は」
廊下にはずらっと長い行列ができあがっていたのだ。
それも、女子だけで。
一番後ろに並んでいる、黒髪を二つ結びにした後ろ姿は……友人の栞だった。
栞は教室の窓際で、いつも小説を読んでいる内気な女の子。本を読むとすぐに眠たくなってしまう美春だけど、不思議なことに栞が朗読してくれると聞き入ることができる。
だから、よく本の話をすることがあった。
「栞、どうしたの? この行列」
「あ、美春ちゃん。他の階のトイレが全部壊れちゃったんだって。だからすっごい行列できてるの」
「全部って……、女子しか並んでないけど」
「男子は……すぐに終わるからさ」
「くっ。ずるい……」
他の階の男子トイレも壊れているけど、女子のほうが当然トイレには時間がかかる。
だから女子だけで、校舎の端から端まで続くような行列ができあがってしまっているらしい。
みんな限界が近いのだろう。
どこかそわそわして、その場で足踏みをしている女子もいる。
それどころか、よほど余裕が無いのか前抑えしている女子もいた。
とうの栞も、もう今にも漏らしてしまうそうなのだろう。
長めのスカートの上から、ギュッと股間を抑えて内股を擦り合わせている。
「栞、もしかしてもう……?」
「うん。ちょっと、ダメ、かも……」
「でもまだ行列長いしっ。そうだ、体育館のおトイレは!?」
「うう……っ、そっちも故障中で……あっ、ああぁ……っ」
まだまだ先が長いということを実感してしまって、栞は急に限界を迎えてしまったのだろう。
ブルルッ!
栞は身体を大きく震わせ、その直後――、
しゅいいいいいいいいい……。
ぽた、ぽたた……。
前抑えしている栞の指の隙間からレモン水が溢れ出してきたではないか。
リノリウムの廊下に雫となって散っていくと、大きな水たまりとなって広がっていく。
「あっ! あっ! あぁっ! ダメ……っ! 勝手に出てきちゃ……あっ! あうっ!」
「栞ぃ……」
しゅいいいいいいいい……。
たったまま漏らし初めた栞を前にして、美春はなにもしてあげることができなかった。
こうなってしまったら、最後まで出し切るまで見守るしかないのだ。
だけど、決壊はこれで終わりではなかった。
栞の足元から聞こえてくるおしっこの水音、それにツーンとしたアンモニア臭――。
栞が漏らし始めてしまったことにより、他の女子たちにもスイッチが入ってしまったらしい。
「ぼ、ボクももう……ううっ」
しゃがみこんでしまったのは、亜麻色の髪の毛をツインテールにした、初等部の小柄な女の子だった。
次の時間が体育なのだろう。
紺色のブルマと、白の体操シャツを着ている。
しゃがみこんでしまった少女の股間から、ブルマを突き破っておしっこが噴き出してきたではないか。
よほど我慢していたらしい。
じょぼぼぼぼぼぼぼ……。
小柄な身体のどこにおしっこが溜まっていたのか?
不思議に思えてしまうくらいにおしっこが止めどなく噴き出してきている。
しかも決壊してしまったのはおしっこだけではないらしい。
ミチ、ミチミチミチ……。
小さなお尻を包み込んでいる紺色ブルマが、もこり、歪に膨らみ始めたではないか。
饐えた、茶色い香りが廊下に漂い始めた。
「うう……っ、私も、もう……っ。ごめん……っ、なさい……っ」
次に漏らし始めてしまったのは、みんなのお姉ちゃんのような存在である生徒会長だった。
英国系の明るい髪色に、そんじょそこらのモデルが素足で逃げ出すようなプロポーションを持ちつつ、落ち着いた母親であり、姉のような雰囲気は男女問わず人気がある。
そんな生徒会長がしゃがみこむと……、
しゅわわわわわわわ……。
くぐもった水音とともに、ついに決壊してしまったようだ。
スカートを巻き込んでしゃがみこんでしまったから、お尻の部分におしっこの暗い染みが浮き上がり、リノリウムの床へと広がっていく。
生徒会長は常日頃から紅茶が好きでいつも飲んでいるらしい。
そのせいもあるのか、止めどなくおしっこを漏らし続けてしまっている。
「うそ……。生徒会長まで漏らしちゃうなんて……っ。あっ、ああぁ……っ、もう……、私も、ダメかも……っ」
「わ、私も……あううっ」
みんなから頼りにされている生徒会長が失禁してしまうという光景に、周りにいる女子たちにも動揺が広がっていく。
しゅいいいいいい……。
じょぼ、じょぼぼぼぼぼぼ……。
ある女子生徒はショーツを降ろしてスカートを捲り上げ、お尻を丸出しにしてしゃがみこんで『行為』を始め、またある女子生徒は羞恥心のほうが勝ったのだろう。立ったまま、スカートや上履きを汚しながら失禁を始めてしまう。
ツーンとした、女子たちのアンモニア臭が、廊下に蒸れ返った。
「うそ……、みんな、漏らしちゃったの……?」
気がつけば、美春以外の女子生徒はみんなおもらしして、廊下はおしっこの水たまりで覆い尽くされていた。
薄い黄色、濃い黄色……、少女たちの足元から広がる色々なおしっこが混じり合って、無様なグラデーションを作り上げている。
「衛生兵っ、衛生兵~!」
「漏らしちゃった子はこっち! 保健室にきてっ」
騒ぎを聞きつけた女子生徒たちが、漏らしてしまった生徒を保健室へと連れて行く。
ある女子はスカートをビタビタに濡らしながら、ある女子は一回り大きくなったお尻をへっぴり腰になりながら……、
保健室へと運ばれていった。
「うそ。みんな漏らしちゃったの?」
後に残されたのは、美春だけだった。
校舎の端から端まで続いていた行列は消え去り、その代わりにおしっこでビタビタになった廊下が続いている。
じゅわわ……っ。
「ううっ、おしっこの匂い嗅いでたら、急におしっこしたくなってきちゃったよ」
まだまだ余裕があると思っていたのに、ちょっとだけチビってしまう。
美春はつま先立ちになりながら、おしっこの川を歩いて女子トイレへと入った。
幸いなことに一番奥の個室が空いていたので一安心。
「ふう、危ないところだったよ」
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久しぶりの大人数のおもらしシーンでした。
たくさんの人数が漏らすシーンを書いたのは記憶が正しければ『生徒会長姉妹を毒電波で堕としてみた』以来だと思います。
楽しんでもらえたら嬉しいです!
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