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夜山の休憩所 2022/08/01 00:00

【再掲載】ばつゲーム(書き下ろし小説アップしました)(2022年8月01日)


いつも応援ありがとうございます。
更新頻度が少なくてすみません。

これから有料プランのはもっと少なくなる見とおしです。
重ね重ねすみませんです。

100円の有料プランにて、
過日に発売された同人作品をアップしました。

掲載内容は次のとおりです。
・製品のPDFデータ版(表紙、表紙差分、文章すべて収録)(右綴じ)(30M強)
・表紙とおまけカットの原本(JPEG画像)

この記事は先月にも掲載しました。
今のところ有料プランにアップした内容は、
翌月にも掲載しています。

なお、この下の方にも文章を載せています。
途中までとなっていますが、
有料プランの方でDLできるPDFデータには、
全文が収録されています。
続きはそちらか製品版でおたのしみください。

よろしければご利用ください。



■作品につきまして■

●タイトル(英語名)※国内販売オンリーです。
「ばつゲーム」(Affection)

●種類 小説

●分量 短編(文庫換算で70ページ程度)

●ご紹介
 夫婦のラブイチャごっこ

●傾向 
 書き下ろし。短編。学生。
 ご奉仕プレイ。快楽責め。背徳。アナル。
 ローションプレイ。対面座位。
 正常位。だいしゅきホールド。後背位。両穴責め。
 避妊具。
 浴室。よそのお宅の夫婦の寝室。

●お値段 250円(税込み)

●販売店
https://amzn.to/3NzwSLT

●その他
 アマゾン様のキンドルでのみ発売中です。
 他のお店で販売する予定は今のところありません。
 Kindle Unlimited(読み放題)でもお読みいただけます。

●小説、表紙イラスト 石川檸檬(いしかわ れもん)
 (木森山水道、石川れもんの別名です)
 ・ツイッター https://twitter.com/kimoriya31


「最近の作品」

●木森山水道(きもりやま すいどう) 名義
・「純愛闘士ピュア・ストラグル 正義の力は不倫で輝く」
  表紙、挿絵:肉バキューム 先生
  出版社:キルタイムコミュニケーション 様
  公式サイト:http://ktcom.jp/books/2dn/dnd39
  主な販売サイト:https://amzn.to/3btu9D4

●石川檸檬(いしかわ れもん) 名義
・「ギャル姉は妹から彼氏を寝取りたい」
 表紙:和羽 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020901330000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3R3oKGa

・「ハツハメ 内定と引き替えに恋人の父に捧げる晴れ着姿」
 表紙:ロッコ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900680000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3rqvj9M

・「ハメクリ ビキニサンタ姿で夫の部下にハメられる人妻のメリークリスマス」
 表紙:ズッキーニ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900630000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3FpLQRo

・「ナツハメ 色白人妻が年下男たちに何度もイカされた話」
  表紙:ロッコ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900350000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3CBOsKr
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

・「強○スワッピング 生贄になった人妻」
  表紙:アレグロ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900330000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3w1MJM0
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

●同人作品(サークル:夜山の休憩所)
・「ハニトラ・ワイフ」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「たばかりギャル」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「バレンタイン・キッスのユクエ」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「魔滅の巫女」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「ギャル義母」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「年越しネトラレ」(FANZA専売)
・「気の強い美妻 ゲス重役とのホワイトクリスマス」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「なれそめのゴー淫ハロウィン!」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)ほか

※販売店へのリンクはアフィリエイトです。
 踏んで飛んでお買い物していただくと当方にささやかながら広告料が入ります。
 リンク先の品物以外をご購入いただいた場合も入ります。
 ご利用いただければありがたいです。




「ばつゲーム」
※途中まで。続きは有料プランのデータか製品版でお楽しみください。


主な登場人物紹介

 稲田 実(いなだ みのる) 男子学園生。春奈に連敗しつつも可愛いとは思ってる。
 水無月 春奈(みなづき はるな) 女子学園生。なにかと稲田と勝負してからかう。

※製品版では各節へ「しおり機能」でジャンプできます。


     1

「ねぇ、稲田。成績表の見せっこしない?」
 よく晴れた夏の昼休み。
 昼食をとって一息ついている稲田豊へ、隣の席の水無月春奈がもちかけた。
 エアコンの効いた教室の他のクラスメイトは、友達とおしゃべりを楽しんだり、ケータイをいじったり、本を読んだりしていて、思い思いに過ごしている。
「勝負の内容は忘れてないよね、水無月さん」
「各科目の点数、男女別の順位、学年順位を競う三本勝負ね。勝った方がその回数だけ……だから負けた方は最低二回は言うことをきく罰ゲーム。でしょ?」
 午前中のホームルームで渡された成績表を鞄から取り出しつつ、豊は「そうとも」と相づちを打つ。
(自信ありげな態度だけど、オレには敵うまい)
 素知らぬ顔をしつつ、男子は胸中でほくそ笑む。
 面識はなかったのに、春に席が隣同士になって以来、彼女はなにかと勝負を挑んでくる。
 結構な回数、受けて立っているというのに、なにかにつけて一枚上手の女子には連戦連敗で、悔しさは山のように募っていた。
 だから、定期考査の大分前に成績勝負を持ちかけられたときから、油断を誘うために勉強していない振りをしつつ、こっそり血道を上げてきたのだ。
(結果はかなりよかった。正直、ここまで自分ができるやつだったなんて驚きだ。水無月さん、きみはもっとびっくりしてくれよ)
 いつも澄まし顔でいる女子が、声を上げて目を剥く様子が脳裏に浮かぶ。
 現実でも早く見たいあまり震える手で、机に二つ折りの通知を出す。
「おめでとう、稲田」
「え?」
 既に自分の机に用意していた彼女が、横から顔をのぞき込んでくる。
「すっごくよかったって顔に書いてる」
 肩よりも長い髪が外側にカールしている愛らしい顔が、ニッコリ笑う。
「い、いや……それほどでも……」
 女子にまっすぐ見つめられて、慣れていない男子の頬は熱くなった。
 漂ってくる爽やかに甘い体臭に鼻腔をくすぐられるのにも、胸の奥がムズムズする。
「い、いいのかい?」
「ん?」
「オレがよかったってことは、自分が負けるかもってことじゃないか」
「それはそれ、これはこれだよ」
「そう……なんだ……」
「私がよかったら稲田もお祝いしてね。罰ゲームとは関係なくさ」
「いいよ……それくらい」
 承諾すると、彼女の口角がまた嬉しそうに上がった。
「じゃ、せーので見せあお。ほら、見やすいように机の端に成績表を持ってきて」
「う、うん……これでいいかい?」
「オーケー。じゃぁ、いい? ……せーの」
 とおり道の隙間を挟む机の上で、両者は同時に開いた。
 ふたりで首を伸ばし、隣席の成績をまじまじと確認する。
 先に声を上げたのは豊だった。
「げげっ……ウソだろ……!」
「総合でも男女別でも私の方が順位が上だねー。科目別の点数では負け越しちゃってるけど」
 信じられなくて何度も見返したが、やはり順位は言われた風に僅差で負け。
 現実を受け入れた瞬間、完全に力が抜けて机に突っ伏した。
「そんなぁ……」
「残念だったね。でも、びっくりだよ。中間テストよりすごく伸びてる。もしもちゃんと勉強してたら、勝ってたんじゃない?」
「うぐ……」
 悪戯っぽく笑いかけられて小さく呻く。
 油断するための作戦は、完全に見透かされていたらしい。
「勝敗が分かったんだし、机と仲よくする以外にやることあるよね?」
「……負けました」
「うん、勝ちました」
「ぐぬぬ……」
「あら、これだけ?」
「……好成績おめでとう」
「名前もつけてくれないと」
「ぐ……好成績おめでとう、水無月さん」
「ありがと稲田、うふふ」
 言わせるだけ言わせた女子は満足そうに微笑した。
「稲田のことを思って頑張った甲斐があったよ」
「えっ」
 言葉にマッチした優しい目で見つめられて、胸が高鳴った。
「今度は、どんな罰ゲームしてもらおうかなって」
「えぇっ……そういう意味なのっ」
 胸の高鳴りは即座に鎮まった。
「あれ、顔が赤いね。どういう意味だと思った?」
「し、知らないよ……それより、早く罰ゲームを教えてッ、なにすればいい?」
 突き詰められたくなくて話題を逸らす。
 彼女の興味はあっさりそちらに移ったらしい。こんなこともあろうかと、というよりも、結果を予知していたみたいにごく自然な様子で、鞄から包みを取り出した。
「私は二勝して勝ったから、ふたつ、言うことをきいてもらうということで、いいよね」
「ルールだから従うよ」
「じゃぁ、一つ目の罰ゲームは……コレの試食」
 渡されたのは透明な小袋で、口がリボンで縛ってある。
「クッキー?」
 そうとしか思えない円く膨らんだ塊が十数個入っている。
「お昼を食べた後でも、一枚くらいは入るよね? 育ち盛りの男の子だもの」
「そりゃ、まぁ……」
 リボンをほどいて口を開け、一枚摘まんで口元へ持ってくる。
 店で売っている物みたいに、形は綺麗で焦げ目のひとつもない。
 漂ってくるバターのいい匂いが食欲をかき立て、昼食を入れたばかりのお腹もざわつく。
(美味しそうだ……でも……罰ゲームなんだし……カラシとかタバスコとか……砂糖の代わりに塩が入ってるとかするのかな……)
 想像して背筋が寒くなった。
 踏ん切りが付かず、焼き菓子とにらめっこしていると、彼女が意地悪く笑う。
「もしかして一人では食べられない? あ~んって、して欲しい?」
 別のを一枚摘まみ、口元へよこすそぶりを見せた。
「じ、自分で食べるよっ」
 教室にはたくさん学生がいる。
 もしも、有言実行されたところを見られたら恥ずかしすぎる。
 だからギュッと目をつむり、「ままよっ」と念じて、持っていたのを丸ごと口中へ放り込んだ。
「もぐもぐ……あ……美味い……」
 がむしゃらに咀嚼してまもなく、優しい甘さが口の中いっぱいに広がった。
 見た目どおりに食感もいい。
 噛むだけ噛んで飲みこんでも、後味が引かないのにも驚いた。
 大量生産品と比べ、甘みはあっさりしているがコクは十分。それでいて、食べた後も口の中が心地いい。
「口にあったか……よかったぁ」
 罰ゲームを仕掛けた女子は、なぜかホッとした様子で呟いた。
「これ、どこで買ったの?」
 二枚目を口に入れつつ訊ねる。
 やはり、一枚目みたいにいい味だった。悪戯が仕込まれているなどとんでもない。三枚目、四枚目へと手が自然に動く。
「これ、セットの牛乳ね……売ってる物みたいに美味しいって思ったんだ」
 パックに付属のストローを挿して寄越しながら、妙に嬉しそうに呟く。
「もしかして……これって……」
「私の手作り。稲田に食べてもらいたくて作ったの」
「え……これを水無月さんがっ……オレのために……?」
 聞いた途端、またもや胸が高鳴った。
 はにかんだ笑顔を浮かべて伝える様子には、ウソや冗談を感じない。
「それ……ひょっとして……」
「うん。罰ゲームで食べさせられてるのに、美味しいって喜ぶ稲田を見たくて頑張ったの。うふふ、いい顔をしてくれたね」
「ぬぐっ……」
 淡い気持ちはツユと消え、耳たぶまで熱くなった。
「機嫌が直ってからでいいから、クッキーは全部食べてね。牛乳も」
「昼休み中に平らげるよ……あぐあぐ……ごくんっ」
「おお、いい食べっぷり。勝者のクッキーも美味しく食べられて偉い偉い」
「折角、美味しいクッキーなんだから、精神攻撃はやめてくれない?」
「あはは、じゃぁ、ふたつめの罰ゲームのことを言うね」
「どうぞ」
「今度の休日、私の家でやってもらうわ」
「へ?」
「その日、両親は出張でいないの」
 妖しく粘つく声で告げた女子は、目も半眼だった。
 普段とは別人のように違う気配を纏う女子に見つめられて、心臓が今日一番に強く跳ねる。
「必ず来てね。してもらうことは、当日に教えるわ」
「う……うん…………オレは負けたわけだし……約束は守るさ……」
 反発している間も美味しかったクッキーだったのに、もう味が分からない。
(水無月さん……もしかして……やっぱり……)
 別の意味で頬がまた熱くなったとき、昼休み終了のチャイムが鳴った。

     2

「おはよう、稲田。朝から来てくれてありがとう。これよろしくね」
 約束の日の朝は早かった。
 世界がまだ群青色で涼しい時間に呼びつけられた豊は、甘いことを考えていた自分を殴りたい衝動に駆られている。
「これ……ぜんぶやるの? オレ一人で……?」
 初めて訪れる水無月春奈の自宅は、築二〇年弱の一戸建て。
 近所でも広めの庭を備える、だいぶ大きい佇まいだった。
 電子ロックという玄関の脇には、ブルーシートが敷かれていて、塗装や日曜大工などのための道具が積まれている。
「仕事はメモにあるとおりよ。こういうことは得意だって、いつも言ってるよね。安全第一で頑張って」
「屋根や壁のペンキ塗り……家庭菜園の整地に種まき……廃材の分別と裁断……オイルタンクのストレージの交換……他のも難しくないけど……量が多すぎる
 豊は胸中で嘆息した。
 まさか罰ゲームが、コキ使われることだなんて。
 今まで何度も受けてきたものの、肉体労働させられるのは初めてだった。
 しかも、女子の出で立ちも出で立ちだ。
(薄い桃色のチュニックにスエット風のズボン……これはこれで新鮮で可愛いけど……普段着って感じだ……特別な男子を家に招いた女子の姿じゃない)
 ひとりで舞い上がっていたのが心底バカバカしい。
「ガッカリしてるね。なにを期待してたのかなぁ」
「な、なにも期待してないよっ」
「ほんとうに~? 自分のようにカラダが大人になっている女子に、親がいない自宅へ呼ばれて、エッチにウキウキしてたとか」
「ぐっ……て、天気予報は今日も真夏日になるって言ってたし、暑くならないうちに済ませなくちゃっ」
 置かれていた軍手をはめつつ、こなす順番を考える。
「よろしくね、おとうさん」
「ぶっ」
 不意にされた呼びかけに、頭の中が真っ白になった。
「なんだい、それ」
「女子に頼まれて、家のこんな雑用をする男性は、旦那様じゃない。だから、おとうさんよ」
「そんな……ままごとでもあるまいし……」
 言葉とは裏腹に顔は熱い。
 因縁はあるが、客観的には容姿端麗な女子で、馬鹿馬鹿しい誤解をするくらいには難からず思っている女の子なのだ。親しげに特別な呼び方をされては、胸の奥が甘く温かくなる。
「旦那様の方が好みなら、そうするよ」
 身を乗り出して首まで伸ばしてくる。
 やたらニコニコした女子の顔が、鼻先同士がくっつくまで接近した。
「好きにしてっ、オレは仕事にとりかかるよッ」
 金切り声で叫んで身をひいて、道具の山へ飛びかかる。
「夕方までに終わらなくていいから、怪我だけはしないでね」
 本気とも冗談ともつかない注意が背中に飛んでくる。
 今度こそ仕事の段取りを考えようとする豊だったが、キスできるまで接近した彼女の顔が脳裏にチラつき、なかなか頭が働かなかった。

     ※

「お疲れ様。お風呂の支度もできてるけど、その前にこれに着替えて昼食をとってね」
 途中、休憩をとったり、春奈の差し入れでミネラルと水分の補給もこまめに行ったりして、仕事は昼過ぎに終わらせた。
 エアコンの効いた家の中に招いた彼女は、満面の笑みで出迎えてくれている。
「う、うん……」
 仕事が済んだときには、空腹と疲労が酷かった。早く帰って寝たかったのだが、彼女を目にした途端、どちらもどこかへ吹き飛んだ。
「それと、これ。バイト代よ」
 半ば呆然としつつ、着替えと一緒に渡された封筒の中身を見ると、一万円札が五枚も入っていた。
「え、なにこれっ」
「業者にしてもらうよりも安く済ませるからって言って、親にもらったの。仕事ぶりを確認したけど、言うだけあってなかなか上手ね。親も納得してくれるわ」
「け、けど」
「それ、全額じゃないわ。私と山分けよ」
「へ」
「私は仕事してないけど、頑張ってくれたおとうさんを、うんと労うわ。だから、半分こ」
 名前どおりに笑って、くるりと回って見せた。
 ただそれだけで、野暮ったい玄関先に大輪の花が咲いたみたいな錯覚に陥る。
(うお……っ)
 男子の目の前で、スカート丈がやたら短い純白のエプロンがなびき、ムッチリした太ももが根元近くまで露出した。
(夢みたいだ……隣の席の女子が目の前で……裸エプロン姿でいるなんて!)
 春奈は今、朝に会ったときの肌がほとんど出ない服装とは正反対の出で立ちでいた。
 襟ぐりは大胆に開いていて、小柄なカラダには不釣り合いなまでに大きい双乳の合わせ目がすっかり見えている。
 エプロンの身頃も申し訳程度の幅しかなく、豊満すぎる胸元の外側半分がはみ出しているし、ハート型にくりぬかれている中央部からも、はちきれんばかりの乳肌の膨らみがこぼれていた。
 血色のいい柔肌にはシミも傷も見当たらない。
 くゆる体臭はミルクみたいに甘くて、いつまでも嗅いでいたいくらいだった。
「こっちへ来て」
 案内された部屋で、言われるままに着替えた後、ダイニングへとおされた。
 服のサイズなど教えたことはないというのに、肌着も半袖短パンも計ったみたいにぴったりなのも気になったが、食卓を見た瞬間に声が出た。
「えっ……なにこの量っ」
 唐揚げ、サラダ、肉野菜炒め、マッシュポテト、魚の照り焼き、豆腐とワカメの味噌汁、それに真っ白なホカホカご飯。
 どれもできたてで、香ばしい湯気がくゆっている。
「肉体労働の後は、やっぱりタンパク質よね。でも、他の栄養もとらないと身体によくないわ」
「もしかしてこれ……水無月さんがぜんぶ……?」
 先ほどの労うという言葉を思い出して訊ねると、彼女は胸を張った。
「口に合えばいいのだけれど」
 いつになく神妙な顔で椅子を引いた彼女は、豊が座ると自分も隣の席に着く。
「最初は……コレでどうかしら」
 箸で唐揚げを摘まんだら、反対の手を添えて近づけてきた。
「本当にお疲れ様でした。どうぞ、おとうさん」
 まるで夫を大切に思う本物の新妻みたいに、柔らかい笑みを浮かべる。
「うん……あ~ん……もぐもぐ」
 恥ずかしくて照れくさくて顔は熱いものの、逆らわずに口で受け止めた。
 適度な歯ごたえも心地いいが、噛むほどに溢れる肉汁と鶏モモのうま味は、働き通しの空きっ腹に染みて涙が出てくる。ショウガも絶妙にきいていて、後味は爽やかだ。
「美味しい?」
「最高だよ、水無月さんっ」
 最近、味見させられたクッキー同様、肉の下味はあっさりしていてコクがある。取り過ぎると身体によくない塩分の量を少なくし、他の調味料で味を引き立てているのだろう。美味しいだけでなく身体にも優しい料理なのだ。
「よかったぁ……次は、どれがいい?」
「ごめん……やっぱりあ~んは……自分で食べるよ」
「あはは、おとうさんってば照れてる」
「こんなことされたら誰だって……」
「今の私たちは新婚夫婦って設定なのになぁ」
「それも罰ゲームのうちなんて聞いてないんだけどっ」
 からかわれるのは気恥ずかしいが、彼女の手作り料理を一緒にとるのは悪くない。
 唐揚げ一つで蘇った空腹感のままに箸を進める。
 食卓のすべての皿が空っぽになるまで、二〇分もかからなかった。

     3

「はぁ……高いバイト代と美味い食事だけでなく、熱いお風呂までもらえるなんて……これのどこが罰ゲームなんだろ」
 浴室に入るなりした呟きは、エコーがかかって鼓膜を揺らす。
 よその家のお風呂をもらうのには気後れするが、春奈の勧めは断り切れなかった。
 裸エプロンで美味しい料理を振る舞ってくれた女子には、強く出られない。
「大量の仕事を押しつけられたときは奈落の底へ突き落とされた気分だったけど……今は天にも昇る心地だよ」
 ホテルにあるみたいに立派な浴槽の蓋を外して湯加減を確かめたら、手桶で掬ったお湯を身体にかける。
 大人数人でもラクに使える浴室に、水の流れる音が反響した。
「湯加減はどう? おとうさん」
「ちょうどいいよ、ありがとう……えっ、み、水無月さんっ!」
 合いの手を入れて気がついて、慌てて出入り口へ振り返る。
 音もなく入ってきたクラスメイトは、自分と同じように一枚も被服を着ていない。バスタオルすら巻いていないのだ。
 大きいペットボトルを入れた洗面器を小脇に抱えて、備え付けの椅子を側に据える。
「昼間は本当にお疲れ様。背中を流してあげるね」
「い、いいよっ」
「遠慮はいらないわ。これは罰ゲームの一環なんだから。むしろ、拒否したらルール違反ね」
「うぐっ……」
「稲田は逃げないわよね」
「もぅ、勝手にしてくれっ」
 彼女に背中を向ける姿勢で、勧められた椅子に座る。
「そうこなくちゃ。すぐに準備するから、少しだけ待っていてね」
 ペットボトルの蓋を開けたり、恐らくお湯の水栓を解放して洗面器を満たしたりする音が聞こえてきた。
「んっ……ローションをオッパイとかに塗り込むのは……んふ……何回やっても慣れないかも……んふぅ……」
 豊は耳を疑った。
(今、なんて言ったんだ?)
 かぶりを振っても、やたら粘っこい水音が連続して響くのは止まらない。
 まだ若いが、子作り可能なまでに肉体が成熟している男子だけに、ローションが化粧水として使われるだけでなく、快楽目的の性行為に用いられるという知識も、なんとなく得ている。
 女性が自分のカラダをスポンジにして、男性の身体を性的に刺激しながら洗う、いわゆるローションプレイやソーププレイの存在も、進んでいる男子に聞かされたことがあった。
(そういうことを……してくれようとしてるのか……?)
 思わず振り返りかけたとき、彼女は静かに止めた。
「稲田、勝負しようよ」
「え、今?」
「準備してる私を見たら稲田の負け。背中を流して終了ね。でも我慢できたら、前も洗ってあげるわ」
「そ、それって……」
「見ちゃう? 見ない?」
 教室で勝負をもちかけてくるときみたいに切り出したが、僅かに声が上ずっている。
(きっと、見られるのが恥ずかしいんだ……けど、ローションプレイで男子の後ろも前も洗ってあげるなんていうのはオーケーとか……基準がおかしくない?)
 腑に落ちないものの、他人の嫌がることをするつもりはない。
 前も洗ってくれるというのにも心引かれつつ、正面を向いてじっと待った。
「お待たせ。よく我慢したね。そんなに前もして欲しかったんだ」
「そ、そういうんじゃ……うっ……うおおおっ」
 言い返す途中で、経験したことのない接触感に襲われた。
 問答無用で背中が甘く痺れ、今まで上げたことのない雄叫びが口から飛び出る。
「こ、これって……」
 脳裏に彼女の肢体が浮かんだ。
 教室で見慣れた制服姿ではなく、ダイニングで見せられた裸エプロンと、浴室に入ってきたときに一瞬だけ見た、一糸まとわぬ姿だった。
 両方の肩甲骨の下ら辺に、円く小さく生硬な感触と、柔らかくて少し広くて心まで蕩ける触れ心地が起こっている。
「オッパイの先っぽを少し押しつけただけで、すごい声が出たねぇ」
 悪戯っぽく説明してくれた女子は、同い年の双乳の具合を教え込むみたいに、軽く押しては離れるのを繰り返す。
 男子の死角に押しつけられる豊かな膨らみは、潰れてせり上がっては、元の形に戻る。その間ずっと、うら若い女子の乳肌はかすかに波打つ。
「さっきダイニングで、オッパイをすごい見てたね」
「い、言われるほどは……くぅぅ……」
「大きいのが好きなんでしょ? だから、オッパイで背中を流してあげる」
 勃起前の乳頭と周囲の乳肉の具合が脳裏にインプットされた頃、体重を込めてのしかかってきた。
「ぐぅぅぅッ……そ、そこまで……するなんて……っ」
 見えないが、頭の中に状況が浮かぶ。
 平たくひしゃげるまでオッパイを押し込まれる背中も、この世の物とは思えないほど気持ちいい。
 だが、教室でいつも一緒に授業を受けている女子が、素っ裸で抱きついている様子を思い描くだけでも、どうしようもなく興奮した。
 タオルをかけていない分身に、どんどん血が集まっているのがハッキリ分かる。
「んっ……んっ……どう、気持ちいい?」
 鼻にかかった声で訊ねてくる。
 元々、アニメやゲームで聞けそうな美声の持ち主だが、今は日常では聞いたことのない色気を帯びていた。
「背中をオッパイで、ヌルヌルって洗ってもらう具合はいい?」
 甘ったるく訊ねられるだけで、胸の奥が激しくざわつく。
 話しかけながらも、彼女はスムーズに動きだしていた。
 バストの横で小さく万歳するポーズで一瞬も止まらず、躊躇いも起こさず、首の側から腰までの範囲を、ローションでたっぷり濡らした豊胸で、洗うというよりも扱いてくる。
 同じ人間のものとは思えない乳房の感触に、とっかかりのない摩擦感が加わり、しかも、平常心を奪うほど蠱惑的な媚声を聞かされては、ひとたまりもなかった。
「最高だよ、水無月さん……はあ……はあ……こんな快感は初めてだっ」
 相手は自分を何度も負かしている女子だというのに、手放しで絶賛してしまう。
「うふ、おとうさんったら大喜びして。性感に耐性なさすぎよ」
「こんなことされたら誰だって……はぁっ……はぁっ」
「ほんとウブなんだから……これは、性愛の奥深さをしっかり教えて……他の女に浮気しないよう躾ける必要があるわね」
 双乳の脇にやっていた両手を前に回し、男の胸板を抱きしめる。
 同時に体重を込めて思い切り胸を押しつけ、これ以上ないほど密着させた。
「ふあああっ、こんなことって、うあああッッッ」
 両手と双乳を含めた前半身で、男子の肉体を押し包みつつ、上下に動いてくる。
 肌の接触面積が増すのに比例し、性感も爆発的に上がった。
「んふぅ……んんっ……さっきよりも気持ちいいでしょ? んふぅぅ」
 瑞々しい朱唇を耳穴に近づけて、色っぽい声を聞かせつつ、男のカラダを扱きたてる。
「うああ、気持ちいいよ、水無月さんっ、ああ、最高すぎるっ」
 生まれて初めて女体に接する肉体は、熱く敏感になっていた。
 胴体はまるで性器みたいに興奮し、意識がぶつ切りになる。
「他人行儀に呼ばないで。今はおかあさん、よ」
「いいよ、おかあさん、くぅぅ、カラダ気持ちいいよッ」
 カラダを存分に使って、極楽気分を味わわせてくれる女子には敵わない。
 実母と性行為している風でイヤな気持ちもあるが、
「どうされるのがいいか、具体的に言ってみて」
「おかあさんの巨乳と柔肌とほっそりした手で……はあッ……はあッ……背中も胸元もお腹も、ぜんぶまさぐられるの、ほんとに気持ちいいっ」
 何度か口にしていると気にならなくなってきた。
 自分と同じ歳の女子のカラダは、産みの親とは全然違う。
 豊満なのに華奢で儚げ。放つ匂いもフレッシュに甘い。
(なんだか本当に……水無月さんと夫婦になって、性行為を楽しんでる気がしてきた)
 もう豊の中では、おかあさんという呼び方は、彼女を名前で呼ぶのと同じことになっている。
「うふふ、おとうさんったら、ドライオーガズムしちゃいそうね」
 ローションを擦りつけ、自分と同じように男子の肉体を照り光らせていたカラダが、複数の糸を引いて離れた。
「前も洗ってあげるとも、性行為の奥深さを教えてあげるとも約束したのだから、おちん×んを刺激せずに射精させるわけにはいかないわ」
 前に回ると両手を男の首に回し、ゆっくり腰を下ろしていく。
「えっ……まさか……ぐぅぅぅッッッ」
 対面座位で避妊具なしのセックスをするのだと思えば、彼女の大事な部分は屹立する分身と擦れながらすれ違った。
 迸った快感電気に呻くが、彼女も熱い吐息をこぼす。
「あん……おとうさんの大きいのに触っただけで……アソコ痺れちゃった……はあぁ……」
 無毛の肉土手は尿道を伝って降り、陰嚢と密着して落ち着く。
「うああ……今オレ……教室では隣席の女子のオマ×コに……チ×ポで触れちゃってる……ッ」
 胸板に擦りつけられている巨乳に遮られて見えないが、初めて接する女唇は火が点いたみたいに熱かった。
 特にヌルついているのは、彼女が本当に悦びを覚えているからだろうか。
 意識すると、垂直にそそり立っている怒張が疼いた。
 彼女の柔らかくスッキリし、粘液でヌルヌルのお腹に押される快感が増して、陰嚢から根元にかけてが騒がしい。
「まだ学生同士だし……あふ……ごっこ遊びでも子づくりセックスはできないけど……んんぅ……このまま私のお腹に包まれて射精していいからね……んぅっ」
 首を抱き寄せて顔を交差し、耳の中に蠱惑的な声音を聞かせたら、また動き出した。
「ああん……背中の時と違って……ああっ……逞しいのが当たるから……はああんぅ」
 スイカみたいに大きくて柔らかいのに、若々しい弾力を備えた双乳を男の胸板へねちっこく擦りつけ、全身を上下に揺すり立てる。
「ああっ……おかあさんのオマ×コが……オレのチ×ポの尿道を……裏筋まで、ヌルヌルって扱いてるッ」
 男の肉体をカラダ全体で摩擦する奉仕プレイは至福だった。
 最も敏感で性的な刺激に貪欲な怒張も扱かれている分、背後でされたときよりも気持ちいい。
「はあっ……はあっ……ほんとに、このまま射精していいのかい……くぅっ」
「もちろんよ……んっ、んんっ……いつでも私のカラダに精子出して、あン」
 今までよりも甘く切羽詰まった声で即答してくれた。
(嬉しい……きっと、ちり紙に出すより快感なんだろうな……でも)
 怒張の中は熱くうねっている。
 少しでも蜜時を長く味わいたくてお腹に力を入れて先延ばしにしているが、射精はそう遠くないと直感していた。
「おかあさんもイッてよ。今度はオレに、セックスの奥深さを教えられながら」
 されっぱなしは癪だし、こんなにも素晴らしいプレゼントをしてもらっているのに、お返しをしないのは悪い気がする。
 だから両手をお尻に這わせた。
「えっ、なにをするつもりなの?」
 主導権を握っていた女子が、僅かに怯えの色を見せる。
「乱暴はしないよ。どうしてもイヤだったらやめるね……えいっ」
 同じくらい大きいが、バストと比べたら柔らかさが勝る尻タブを両手で割る。
 それから片方の指の一本を長く伸ばし、露出させた肛門に手探りで触れた。
「ひゃぁっ、そ、そこはっ」
 敏感な部位に触れられた乙女は、瞬時に縦に伸び上がった。
 豊満な柔尻は小刻みに震える。
「う、うそでしょ、ああっ、そんなぁ、はああぁ」
 円い窄まりに優しく指の腹を埋め、ごくごく弱くほじってあげると、彼女の声が今まで以上に切迫感を孕んだ。
「ダメよ、ああんっ、汚いわ、ああ、不衛生よっ」
「この指はおかあさんの可愛いお尻の穴にだけ触れるよ。終わったら、よく洗うし、大丈夫」
「で、でもぉ、ああ……はあああ」
 驚き戸惑っていたが、心を込めて揉みほぐしていると、慣れてきたらしい。
 徐々にくつろいだあえぎ声に変わっていた。
 横目で見れば、恥ずかしそうに、心地よさそうに長い睫毛が落ちている。
 正面から抱きついてカラダを上下に揺すり立てながら、お尻を弄られている女子は、目の下まで赤くなり始めていた。
「ああぁ……いやん……お尻の穴なんて……ダメよぉ」
「やっぱり気持ち悪い? 辛い?」
「うぅぅ……そうじゃないけど……ああんっ、言わせないでぇ」
 怒張の尿道側を垂直に扱く肉土手まで痙攣してきた。
 火照った肉花芯の割れ目からは、今まで以上に粘っこい愛液が溢れ、オス棒を染め上げている。
「お尻の穴、気持ちいいって言ってごらんよ、おかあさん」
 満更でもない様子だからと思い、今度は浅瀬を上下にピストンする。
 同時に指の腹をうねらせ、肛門のすぐ裏側の粘膜をかき回す。
「ほおおっ、お、お尻の穴、気持ちいいわッ」
 女子はのけぞり、顎が軽く上がった。
 白くて細い喉の裏を見せながら上げた恥声は、可愛らしい顔に似合わず下品に上ずっている。
「おとうさんの指で、ほああっ、アナルをほじくり返されるの、気持ちいいのッ」
 つい今し方、恥じらいの言葉を聞かせていた口が、他人には言えない悦楽の丈を正直に放つ。
 クラスメイトは、肉悦に我を忘れていた。
 目の前の男子に首から抱きつき直すなり、もっと責めてと言わんばかりに、お尻を淫猥にくねらせる。
 前半身全体で男の肉体を感じるのにも熱中し、普段からは想像できない激しさで総身を前後に弾ませて、男根ごと扱いてきた。
「はああ、ごめんなさいっ、ああン、ご奉仕する側なのに、おとうさんより先にイッちゃうのぉッ」
 男の胸板に押しつけている巨乳も、ゴツゴツした手で鷲づかみにされている尻タブも、ひっきりなしに波打つ。
 交差した顔の口元からは、あえぎ声がせわしなくあがっていた。
「いつでもイッていいなんて言ったのに、ああンン、もうダメっ、ああっ、おとうさん、私イク、ああ、イクぅぅぅぅ!」
 避けられない絶頂を悟った春奈は、力一杯抱きついてきた。
 双乳と秘部ごと投げ出して抱擁し、オーガズムの大波にさらわれる。
「オレもいくよ、おかあさん、このまま中で出すよっ……うおおおおッッッ」
 男子が浴室用の椅子に座る対面座位で、ぴったりひっついた状態で、豊も絶頂を極めた。
 火が点いたみたいに熱い柔肌と巨乳と肉花弁を肉体と怒張で存分に味わい、教室では聞けない長く尾を引く恥声も堪能しつつ、射精する。
 皮下脂肪を蓄えながらスッキリするお腹に押し包まれながら精液を吐き出し、熱い白濁液で染め上げる。
「はああっ、おとうさんのが、ふああ、私のお腹にいっぱい、ああンンン」
 料理上手の乙女は、オス汁を浴びることでも達してくれた。
 胸板にすがりつく小柄な女体は、淫らに痙攣している。
 陰茎には女性器のうねりが伝わり、指先にはアナル粘膜の歓喜の振幅が染みこんでいた。
「ああぁ……ずっとこのままでいたいわ……んんぅ……おとうさん、精液をもっと出して……私にいっぱいちょうだい……はふぅぅ」
 絶頂快楽に慣れて落ち着いてくると、正面から見つめてきた。
 大きくて黒目がちな目はすっかり潤み、顔は目元まで真っ赤だ。
「オレの精液がおかあさんの身体の中に染みこむけど、いいのかい?」
「野暮なことを言う口は塞いじゃうんだから、むちゅっ」
 少し顔を傾け、力を込めて唇を重ねてくる。
 生まれて初めて異性とキスした感激と快感で、お腹の柔肌に包まれる怒張は跳ね、新しい精液を放った。
 豊は逆らわない。
 彼女が首を抱き寄せ直したのに合わせ、お尻を鷲づかみにする手に力を入れて自分も抱き返した。指先をお尻の穴にいっそう深く埋め、自分の形に変えながら。

     4

「んっ……おとうさん……んんぅ」
 男女で肌身を重ねる味を覚えた若いふたりは、お風呂から上がると春奈の先導で両親の寝室に入った。
 エアコンを効かせ、裸で並んでクィーンベッドの縁に座るふたりは、相手の唇に何度もキスの雨を降らせている。
「ちゅっ……よそのお宅のお風呂場であんなことした後に……んむちゅ……寝室で続きをするなんて……気後れするなぁ……むぶちゅ」
「ここが一番落ち着ける場所なの……ちゅ……ふたりとも今日は帰ってこないから安心して……ちゅぷ……私の部屋は恥ずかしいし」
「なら仕方ないか……むちゅぅ」
 ローションまみれで抱き合う性行為をしたのに、自室に招くのはちょっと、という心理はわからないが、彼女の意思は尊重したかった。
 無理強いして機嫌を損ね、ふたりでしか体験できない蜜の時間が終わったら、悔やんでも悔やみきれない。
(セックスって……こんなにいいものだったんだ……)
 相手は自分を負かし続ける女子だけれど、可愛くてスタイルはいい。日曜大工の報酬を折半してくれたり、自分のために料理を作ってくれたり、お風呂ではカラダを惜しみなく使って労ってくれた。
 相手としては申し分ない。
「それにしても……おかあさんは顔も愛らしいけど、スタイルも抜群だね」
 罰ゲームを建前に、夫婦ごっこしたがるのに合わせた呼び方で褒める。
「日頃から磨いているもの。見てもらいたいおとうさんに悦んでもらえて嬉しいわ」
「それって……」
「世の奥様方のたしなみよ」
「えっ」
「んふふ、なぁに。いつも稲田を意識して、気を遣ってると言って欲しかった?」
 キスしていた口を離して、悪戯っぽく見つめてくる。
 瑞々しい朱唇からは、ふたりのが混ざり合った唾液の糸が伸び、男子のと繋がっていた。
「うっ……もぅ」
 照れ隠しで男子の太い両腕を伸ばす。
 片方は華奢な背中に回し、脇の下もとおして、外側から片乳を鷲づかみにした。
「あぁん、キスだけじゃ足りないのぉ?」
 甘えた声を出すものの、振り払おうとはしなかった。
 暗に許可をもらえたのを利用して、優しく指を埋める。
 本人の顔に勝るとも劣らないボリュームの肉スイカは、お風呂でも感じたが弾力が強い。深く潜るほど心地いい反発力がする。
「こんなに大きくて形が綺麗で感触もいいおかあさんのオッパイを、伴侶として放置できないね」
 力を入れてめりこませては、脱力して押し返され、巨乳を元の形に戻すのを繰り返す。
 弾力も素晴らしいが、柔らかさも魅惑的だった。指を突き立てるときに包まれると、手のひら全体が甘く痺れて何度でも味わいたくなる。
「隣り合って一緒に授業を受けてる女子のオッパイを、こんな風に楽しませてもらえるなんて、不思議な感じだけど感激だよ」
「私も、はあぁ、素敵な心地よ、んんぅ、おとうさん、上手ぅ……もしかして、知らないだけでカノジョいるの? その子のオッパイをこんな風に?」
「まさか。おかあさんのが、生まれて初めて触ったオッパイだよ。やり方は……ネットとかで見て覚えたんだ」
「へぇー、身体つきはともかく精神的には子供っぽいのに、そういうことに興味あるんだ」
「そっちこそ、お風呂場ではすさまじかったじゃないか」
「年齢は同じでも、女子は男子より精神的に大人なのよ」
「一般論はともかく、確かにオッパイだけじゃなくココも、オトナっぽいな」
 ムチムチした太ももをさすっていた手を滑らせ、軽く開いた股間に触れる。
「初めてナマで見るけど……こんなに肉厚なんだな」
 閉じた無毛の肉土手は、形といい大きさといい、チューリップのツボミを思わせる。
「さっきは開いて、オレのチ×ポにすがりついて、扱いてたんだよな」
 皮下脂肪を蓄えた秘部との接触快感が蘇り、分身が根元から跳ねる。
 オスの証はとっくに垂直にそそり立っていた。
 皮もすっかり剥けていて、オンナを知ったばかりのピンク色の亀頭が露出している。
「あぁん……お風呂で私のお腹をドロドロに染め上げたのに……まだこんなに元気で……教科書とかに載ってるのとは形も大きさも全然違うわぁ」
 彼女の目元がねっとりと赤らんだ。
 身を乗り出した乙女の白くほっそりした片手の指先が、極太の怒張に絡みつく。
「友達がカレシのを自慢してたけど……おとうさんの方がずっと逞しいわね」
 存在感を確かめるみたいに、優しくゆっくり扱いてくる。
 薄い皮と中の肉が擦れる性感に、男子の腰が小刻みに震えた。
「ああっ……擦ってあげればあげるほど、どんどん熱くなって……えぇ、まだ硬くなるの? ……なんだかさっきよりも長く太くなってるみたい……」
 彼女の目が淫蕩に輝く。
 手淫のストロークは徐々に早くなり、指を回しきれなくても懸命に握る手の力も強くなっている。
「うっ……女子に手コキされるのって、こんなに気持ちいいんだ……自分でするのとは味わいが違いすぎる……くぅぅ」
 してもらってばかりでは我慢できず、趣味とお返しを兼ねて乳房を柔らかく揉みたて、陰部を指先で撫で回しつつ、ペニスの快感にも意識を傾ける。
 神聖さすら感じる乙女の清廉な手が、同い年の剛直を淫らに扱き抜く様子は、見ているだけでも興奮を誘うし、目が離せない。
「当たり前よ……はあぁ……オナニーするときは……はあふぅ……女の子のオッパイやアソコを撫で回すなんてできないもの……ああん」
「確かに、このままイカせてもらいたい気もするけど……」
 分身は熱く疼き、腰の奥からは射精情動がこみあげている。
 精液を出したい気持ちは強いが、彼女の秘部の様子に別の性欲が湧いた。
「おかあさんのオマ×コ、オレのチ×ポを欲しがってるね」
 潤んだ瞳で視線を絡ませる乙女の秘部は、大きく開いていた。
 鮮紅色の膣前庭が太く覗く割れ目からは、レモン臭の粘い汁がトロトロと溢れている。
「うん……」
 弄っていた手指をより合わせた後に開き、糸を引いたのを見せると、彼女は意外と素直に頷いた。
 身を乗り出して巨乳を紡錘形に伸ばしつつ、枕の下からコンドームのパッケージを持ってくる。
「おとうさんの逞しいのが欲しいわ……」
 慣れた手つきでパウチを開け、コンドームをつけてくれた。
 それから、何も言われていないのに仰向けになり、足まで広げてくれる。
「ハッキリ言ってもらわないと分からないなぁ」
 とぼけつつも彼女の大きく開いた太ももに割り込む。
「それは……あぁっ……いじわるぅ……ああん」
 スキンをつけてもらった怒張を握る。分厚く膨れた穂先で、鮮紅色にせり上がる割れ目の奥を弄ると、甘えたあえぎ声があがった。
「ち、チ×ポよ、あん、おとうさんのぶっといチ×ポを私のオマ×コに埋め込んで、かき回して欲しいの、あぁン」
「いつもオレに勝ってる女の子に、自分好みのエロ言葉を使ってもらうのは、堪らないな。おかあさんは声が綺麗だから、余計にチ×ポに響く。分かるだろ?」
「ああぁん、おとうさんのデカチ×ポ、ますます大きく硬くなってるぅ」
 切羽詰まった仕草で頷いて、ますます足を開く。
 もう本当に我慢できないという感じだ。
(水無月さんって、可愛い顔して人一倍セックスの快楽に弱いのかな)
 そう思うと、自分を求めてくれる女子がますます愛しくて、怒張が痛いほど漲る。
「いくよ……」
 細かい収縮を繰り返す膣口に、圧倒的なまでに大きいオスの膨らみを押し当てた。
「おかあさんのオマ×コにぶちこむね……ふぅン」
 体重をこめながら覆い被さり、ゆっくり挿入する。
「はああぁぁ……友達のカレシよりも極太のが……」
 よそのお宅の夫婦の寝室で、教室では席が隣の女子と正常位でひとつになっていく。
「おとうさんのが……私の中に入ってくるぅ」
 怒張が深く埋まるのに合わせて、内部からネットリした恥蜜が溢れ、ゴムを纏う肉棒は濡れていく。
「これがおかあさんのナカなのか……狭くてキツくて……でも柔らかくて熱くてすごく複雑だ……それがすごく気持ちいい……くぅぅ」
 膣粘膜に包まれる感触は、自分の利き手とは次元が違う快感だった。
 怒張は意思を離れていた。大喜びで跳ね回り、内側から胎内を揺すぶる。
「ああンっ、ぶっといのが元気に暴れてるぅ、はあああ、すごいぃぃ」
 逆手でシーツを握って合体を受け止める乙女が、色っぽく薄く笑う。
「はあああ、うそぉ、ンン、やだ、い、イキそうっ」
 竿の半分近くまで入れた頃、彼女の息づかいが切羽詰まってきた。
「お風呂のときより、はうぅぅ、もっと深いぃ……あああ、まだよいんが残ってたのかしら……くぅぅぅ……と、とにかく、ああん、奥まで届いたらきっと」
「十中八九、触れるよ」
「え……っ」
「女性の膣は伸縮するものだけど、通常時の平均の長さは一〇センチに満たないとか。オレの勃起チ×ポは倍だったとしても面倒見られるよ」
「えぇっ……数字にしたら、そこまでのものだったのっ」
「計ったのはだいぶ前だし、今はそのときを確実に超えてる。おかあさんが魅力的だからね」
「ああっ、こんなときに褒められたら、ああ、ダメ、ほんとにイッちゃう、奥まできちゃダメぇっ」
 イヤイヤと首を振り、カールがかかった可愛らしい髪が振り乱れる。
 だが、本気で嫌がってるわけでないのは、声が蜂蜜みたいに甘いのから分かる。
 男根を受け入れる媚肉も、早く巨根の形にしてとばかりに妖しく締め上げ、しかも奥に向かって扱いていた。
「初めてセックスするのに、入れられただけでイクなんて、格好悪すぎる、はああ、お願い、許してぇ」
「おかあさんの可愛いところ、オレに見せて……ふんッ」
 巨根を子宮で受け止めて絶頂する様子を眺めるために、腰に力を入れ直す。
 実のところ、自分も気を抜くと射精しそうだったが、おくびにも出さずに耐えつつ、挿入を深めた。
 距離にして数センチのところで、行き止まりに達する。
 自分の性器が胎内のすべてに触れたのを刻みつける心地で、ぐいっと押し上げた。
「ふああぁっ、ほ、ほんに届いてるっ、あああ、やっぱり、イクっ、イクぅッ」
 目の前で乙女の細い顎が、弾かれたみたいに上がった。
 普段は顎で隠れているところまで首をさらしながら、のけぞる。
「あああぁぁぁッッッ、やぁん、一番奥までチ×ポ入れられただけで、ああああ、イッちゃってるぅぅぅ」
 両親の寝室に、クラスメイトと性行為する娘の恥声が響き渡る。
 逆手に持つシーツには、深い皺と汗のシミができていた。
 背筋が反れた勢いのままに、スイカみたいに大きくて、仰向けでも流れずツンと上を向く双乳がバラバラに弾む。
 五〇〇円玉サイズでピンク色の乳輪は肥厚し、乳頭も丸く勃起しきっており、乳房の動きに合わせて宙空に線を描いている。
 悦びの声音で恥ずかしがる彼女の太ももは、男子の腰をガッチリ挟んで締め付けていた。
「はああ……ああんん……まさか……こんなにあっさりイッちゃうなんてぇ」
 落ち着くまで待っていたら、悔しそうに呟いたが、全身は桃色に紅潮していた。
 薄い汗で照り光り、甘い体臭と愛液の匂いを放つ姿は、ローションを塗りたくったときみたいに色っぽい。
「お風呂では抱き合ってたから見られなかったけど……じっくり見させてもらったら、想像以上に可愛かったよ」
「う……もぅ……」
「イッたばかりの照れ顔も最高だね」
「今度は、おとうさんを先にイカせてあげるんだから」
「なら、勝負しようよ」
 教室では見られない、色っぽくて可愛らしいところをもっと見たいのと、一緒に気持ちよくなりたい性欲から、豊は切り出した。

【 100円 】プラン以上限定 月額:100円

作品の表紙と全文章つき(縦書き)のPDFデータと画像(トリミング前の表紙画像など)がアップしてあります

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夜山の休憩所 2022/07/01 13:02

ばつゲーム(書き下ろし小説アップしました)(2022年7月01日)


いつも応援ありがとうございます。
更新頻度が少なくてすみません。

これから有料プランのはもっと少なくなる見とおしです。
重ね重ねすみませんです。

100円の有料プランにて、
昨日発売された同人作品をアップしました。

掲載内容は次のとおりです。
・製品のPDFデータ版(表紙、表紙差分、文章すべて収録)(右綴じ)(30M強)
・表紙とおまけカットの原本(JPEG画像)

この記事は来月にも掲載します。
今のところ有料プランにアップした内容は、
翌月にも掲載しています。

なお、この下の方にも文章を載せています。
途中までとなっていますが、
有料プランの方でDLできるPDFデータには、
全文が収録されています。
続きはそちらか製品版でおたのしみください。

よろしければご利用ください。



■作品につきまして■

●タイトル(英語名)※国内販売オンリーです。
「ばつゲーム」(Affection)

●種類 小説

●分量 短編(文庫換算で70ページ程度)

●ご紹介
 夫婦のラブイチャごっこ

●傾向 
 書き下ろし。短編。学生。
 ご奉仕プレイ。快楽責め。背徳。アナル。
 ローションプレイ。対面座位。
 正常位。だいしゅきホールド。後背位。両穴責め。
 避妊具。
 浴室。よそのお宅の夫婦の寝室。

●お値段 250円(税込み)

●販売店
https://amzn.to/3NzwSLT

●その他
 アマゾン様のキンドルでのみ発売中です。
 他のお店で販売する予定は今のところありません。
 Kindle Unlimited(読み放題)でもお読みいただけます。

●小説、表紙イラスト 石川檸檬(いしかわ れもん)
 (木森山水道、石川れもんの別名です)
 ・ツイッター https://twitter.com/kimoriya31


「最近の作品」

●木森山水道(きもりやま すいどう) 名義
・「純愛闘士ピュア・ストラグル 正義の力は不倫で輝く」
  表紙、挿絵:肉バキューム 先生
  出版社:キルタイムコミュニケーション 様
  公式サイト:http://ktcom.jp/books/2dn/dnd39
  主な販売サイト:https://amzn.to/3btu9D4

●石川檸檬(いしかわ れもん) 名義
・「ギャル姉は妹から彼氏を寝取りたい」
 表紙:和羽 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020901330000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3R3oKGa

・「ハツハメ 内定と引き替えに恋人の父に捧げる晴れ着姿」
 表紙:ロッコ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900680000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3rqvj9M

・「ハメクリ ビキニサンタ姿で夫の部下にハメられる人妻のメリークリスマス」
 表紙:ズッキーニ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900630000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3FpLQRo

・「ナツハメ 色白人妻が年下男たちに何度もイカされた話」
  表紙:ロッコ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900350000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3CBOsKr
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

・「強○スワッピング 生贄になった人妻」
  表紙:アレグロ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900330000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3w1MJM0
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

●同人作品(サークル:夜山の休憩所)
・「ハニトラ・ワイフ」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「たばかりギャル」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「バレンタイン・キッスのユクエ」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「魔滅の巫女」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「ギャル義母」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「年越しネトラレ」(FANZA専売)
・「気の強い美妻 ゲス重役とのホワイトクリスマス」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「なれそめのゴー淫ハロウィン!」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)ほか

※販売店へのリンクはアフィリエイトです。
 踏んで飛んでお買い物していただくと当方にささやかながら広告料が入ります。
 リンク先の品物以外をご購入いただいた場合も入ります。
 ご利用いただければありがたいです。




「ばつゲーム」
※途中まで。続きは有料プランのデータか製品版でお楽しみください。


主な登場人物紹介

 稲田 実(いなだ みのる) 男子学園生。春奈に連敗しつつも可愛いとは思ってる。
 水無月 春奈(みなづき はるな) 女子学園生。なにかと稲田と勝負してからかう。

※製品版では各節へ「しおり機能」でジャンプできます。


     1

「ねぇ、稲田。成績表の見せっこしない?」
 よく晴れた夏の昼休み。
 昼食をとって一息ついている稲田豊へ、隣の席の水無月春奈がもちかけた。
 エアコンの効いた教室の他のクラスメイトは、友達とおしゃべりを楽しんだり、ケータイをいじったり、本を読んだりしていて、思い思いに過ごしている。
「勝負の内容は忘れてないよね、水無月さん」
「各科目の点数、男女別の順位、学年順位を競う三本勝負ね。勝った方がその回数だけ……だから負けた方は最低二回は言うことをきく罰ゲーム。でしょ?」
 午前中のホームルームで渡された成績表を鞄から取り出しつつ、豊は「そうとも」と相づちを打つ。
(自信ありげな態度だけど、オレには敵うまい)
 素知らぬ顔をしつつ、男子は胸中でほくそ笑む。
 面識はなかったのに、春に席が隣同士になって以来、彼女はなにかと勝負を挑んでくる。
 結構な回数、受けて立っているというのに、なにかにつけて一枚上手の女子には連戦連敗で、悔しさは山のように募っていた。
 だから、定期考査の大分前に成績勝負を持ちかけられたときから、油断を誘うために勉強していない振りをしつつ、こっそり血道を上げてきたのだ。
(結果はかなりよかった。正直、ここまで自分ができるやつだったなんて驚きだ。水無月さん、きみはもっとびっくりしてくれよ)
 いつも澄まし顔でいる女子が、声を上げて目を剥く様子が脳裏に浮かぶ。
 現実でも早く見たいあまり震える手で、机に二つ折りの通知を出す。
「おめでとう、稲田」
「え?」
 既に自分の机に用意していた彼女が、横から顔をのぞき込んでくる。
「すっごくよかったって顔に書いてる」
 肩よりも長い髪が外側にカールしている愛らしい顔が、ニッコリ笑う。
「い、いや……それほどでも……」
 女子にまっすぐ見つめられて、慣れていない男子の頬は熱くなった。
 漂ってくる爽やかに甘い体臭に鼻腔をくすぐられるのにも、胸の奥がムズムズする。
「い、いいのかい?」
「ん?」
「オレがよかったってことは、自分が負けるかもってことじゃないか」
「それはそれ、これはこれだよ」
「そう……なんだ……」
「私がよかったら稲田もお祝いしてね。罰ゲームとは関係なくさ」
「いいよ……それくらい」
 承諾すると、彼女の口角がまた嬉しそうに上がった。
「じゃ、せーので見せあお。ほら、見やすいように机の端に成績表を持ってきて」
「う、うん……これでいいかい?」
「オーケー。じゃぁ、いい? ……せーの」
 とおり道の隙間を挟む机の上で、両者は同時に開いた。
 ふたりで首を伸ばし、隣席の成績をまじまじと確認する。
 先に声を上げたのは豊だった。
「げげっ……ウソだろ……!」
「総合でも男女別でも私の方が順位が上だねー。科目別の点数では負け越しちゃってるけど」
 信じられなくて何度も見返したが、やはり順位は言われた風に僅差で負け。
 現実を受け入れた瞬間、完全に力が抜けて机に突っ伏した。
「そんなぁ……」
「残念だったね。でも、びっくりだよ。中間テストよりすごく伸びてる。もしもちゃんと勉強してたら、勝ってたんじゃない?」
「うぐ……」
 悪戯っぽく笑いかけられて小さく呻く。
 油断するための作戦は、完全に見透かされていたらしい。
「勝敗が分かったんだし、机と仲よくする以外にやることあるよね?」
「……負けました」
「うん、勝ちました」
「ぐぬぬ……」
「あら、これだけ?」
「……好成績おめでとう」
「名前もつけてくれないと」
「ぐ……好成績おめでとう、水無月さん」
「ありがと稲田、うふふ」
 言わせるだけ言わせた女子は満足そうに微笑した。
「稲田のことを思って頑張った甲斐があったよ」
「えっ」
 言葉にマッチした優しい目で見つめられて、胸が高鳴った。
「今度は、どんな罰ゲームしてもらおうかなって」
「えぇっ……そういう意味なのっ」
 胸の高鳴りは即座に鎮まった。
「あれ、顔が赤いね。どういう意味だと思った?」
「し、知らないよ……それより、早く罰ゲームを教えてッ、なにすればいい?」
 突き詰められたくなくて話題を逸らす。
 彼女の興味はあっさりそちらに移ったらしい。こんなこともあろうかと、というよりも、結果を予知していたみたいにごく自然な様子で、鞄から包みを取り出した。
「私は二勝して勝ったから、ふたつ、言うことをきいてもらうということで、いいよね」
「ルールだから従うよ」
「じゃぁ、一つ目の罰ゲームは……コレの試食」
 渡されたのは透明な小袋で、口がリボンで縛ってある。
「クッキー?」
 そうとしか思えない円く膨らんだ塊が十数個入っている。
「お昼を食べた後でも、一枚くらいは入るよね? 育ち盛りの男の子だもの」
「そりゃ、まぁ……」
 リボンをほどいて口を開け、一枚摘まんで口元へ持ってくる。
 店で売っている物みたいに、形は綺麗で焦げ目のひとつもない。
 漂ってくるバターのいい匂いが食欲をかき立て、昼食を入れたばかりのお腹もざわつく。
(美味しそうだ……でも……罰ゲームなんだし……カラシとかタバスコとか……砂糖の代わりに塩が入ってるとかするのかな……)
 想像して背筋が寒くなった。
 踏ん切りが付かず、焼き菓子とにらめっこしていると、彼女が意地悪く笑う。
「もしかして一人では食べられない? あ~んって、して欲しい?」
 別のを一枚摘まみ、口元へよこすそぶりを見せた。
「じ、自分で食べるよっ」
 教室にはたくさん学生がいる。
 もしも、有言実行されたところを見られたら恥ずかしすぎる。
 だからギュッと目をつむり、「ままよっ」と念じて、持っていたのを丸ごと口中へ放り込んだ。
「もぐもぐ……あ……美味い……」
 がむしゃらに咀嚼してまもなく、優しい甘さが口の中いっぱいに広がった。
 見た目どおりに食感もいい。
 噛むだけ噛んで飲みこんでも、後味が引かないのにも驚いた。
 大量生産品と比べ、甘みはあっさりしているがコクは十分。それでいて、食べた後も口の中が心地いい。
「口にあったか……よかったぁ」
 罰ゲームを仕掛けた女子は、なぜかホッとした様子で呟いた。
「これ、どこで買ったの?」
 二枚目を口に入れつつ訊ねる。
 やはり、一枚目みたいにいい味だった。悪戯が仕込まれているなどとんでもない。三枚目、四枚目へと手が自然に動く。
「これ、セットの牛乳ね……売ってる物みたいに美味しいって思ったんだ」
 パックに付属のストローを挿して寄越しながら、妙に嬉しそうに呟く。
「もしかして……これって……」
「私の手作り。稲田に食べてもらいたくて作ったの」
「え……これを水無月さんがっ……オレのために……?」
 聞いた途端、またもや胸が高鳴った。
 はにかんだ笑顔を浮かべて伝える様子には、ウソや冗談を感じない。
「それ……ひょっとして……」
「うん。罰ゲームで食べさせられてるのに、美味しいって喜ぶ稲田を見たくて頑張ったの。うふふ、いい顔をしてくれたね」
「ぬぐっ……」
 淡い気持ちはツユと消え、耳たぶまで熱くなった。
「機嫌が直ってからでいいから、クッキーは全部食べてね。牛乳も」
「昼休み中に平らげるよ……あぐあぐ……ごくんっ」
「おお、いい食べっぷり。勝者のクッキーも美味しく食べられて偉い偉い」
「折角、美味しいクッキーなんだから、精神攻撃はやめてくれない?」
「あはは、じゃぁ、ふたつめの罰ゲームのことを言うね」
「どうぞ」
「今度の休日、私の家でやってもらうわ」
「へ?」
「その日、両親は出張でいないの」
 妖しく粘つく声で告げた女子は、目も半眼だった。
 普段とは別人のように違う気配を纏う女子に見つめられて、心臓が今日一番に強く跳ねる。
「必ず来てね。してもらうことは、当日に教えるわ」
「う……うん…………オレは負けたわけだし……約束は守るさ……」
 反発している間も美味しかったクッキーだったのに、もう味が分からない。
(水無月さん……もしかして……やっぱり……)
 別の意味で頬がまた熱くなったとき、昼休み終了のチャイムが鳴った。

     2

「おはよう、稲田。朝から来てくれてありがとう。これよろしくね」
 約束の日の朝は早かった。
 世界がまだ群青色で涼しい時間に呼びつけられた豊は、甘いことを考えていた自分を殴りたい衝動に駆られている。
「これ……ぜんぶやるの? オレ一人で……?」
 初めて訪れる水無月春奈の自宅は、築二〇年弱の一戸建て。
 近所でも広めの庭を備える、だいぶ大きい佇まいだった。
 電子ロックという玄関の脇には、ブルーシートが敷かれていて、塗装や日曜大工などのための道具が積まれている。
「仕事はメモにあるとおりよ。こういうことは得意だって、いつも言ってるよね。安全第一で頑張って」
「屋根や壁のペンキ塗り……家庭菜園の整地に種まき……廃材の分別と裁断……オイルタンクのストレージの交換……他のも難しくないけど……量が多すぎる
 豊は胸中で嘆息した。
 まさか罰ゲームが、コキ使われることだなんて。
 今まで何度も受けてきたものの、肉体労働させられるのは初めてだった。
 しかも、女子の出で立ちも出で立ちだ。
(薄い桃色のチュニックにスエット風のズボン……これはこれで新鮮で可愛いけど……普段着って感じだ……特別な男子を家に招いた女子の姿じゃない)
 ひとりで舞い上がっていたのが心底バカバカしい。
「ガッカリしてるね。なにを期待してたのかなぁ」
「な、なにも期待してないよっ」
「ほんとうに~? 自分のようにカラダが大人になっている女子に、親がいない自宅へ呼ばれて、エッチにウキウキしてたとか」
「ぐっ……て、天気予報は今日も真夏日になるって言ってたし、暑くならないうちに済ませなくちゃっ」
 置かれていた軍手をはめつつ、こなす順番を考える。
「よろしくね、おとうさん」
「ぶっ」
 不意にされた呼びかけに、頭の中が真っ白になった。
「なんだい、それ」
「女子に頼まれて、家のこんな雑用をする男性は、旦那様じゃない。だから、おとうさんよ」
「そんな……ままごとでもあるまいし……」
 言葉とは裏腹に顔は熱い。
 因縁はあるが、客観的には容姿端麗な女子で、馬鹿馬鹿しい誤解をするくらいには難からず思っている女の子なのだ。親しげに特別な呼び方をされては、胸の奥が甘く温かくなる。
「旦那様の方が好みなら、そうするよ」
 身を乗り出して首まで伸ばしてくる。
 やたらニコニコした女子の顔が、鼻先同士がくっつくまで接近した。
「好きにしてっ、オレは仕事にとりかかるよッ」
 金切り声で叫んで身をひいて、道具の山へ飛びかかる。
「夕方までに終わらなくていいから、怪我だけはしないでね」
 本気とも冗談ともつかない注意が背中に飛んでくる。
 今度こそ仕事の段取りを考えようとする豊だったが、キスできるまで接近した彼女の顔が脳裏にチラつき、なかなか頭が働かなかった。

     ※

「お疲れ様。お風呂の支度もできてるけど、その前にこれに着替えて昼食をとってね」
 途中、休憩をとったり、春奈の差し入れでミネラルと水分の補給もこまめに行ったりして、仕事は昼過ぎに終わらせた。
 エアコンの効いた家の中に招いた彼女は、満面の笑みで出迎えてくれている。
「う、うん……」
 仕事が済んだときには、空腹と疲労が酷かった。早く帰って寝たかったのだが、彼女を目にした途端、どちらもどこかへ吹き飛んだ。
「それと、これ。バイト代よ」
 半ば呆然としつつ、着替えと一緒に渡された封筒の中身を見ると、一万円札が五枚も入っていた。
「え、なにこれっ」
「業者にしてもらうよりも安く済ませるからって言って、親にもらったの。仕事ぶりを確認したけど、言うだけあってなかなか上手ね。親も納得してくれるわ」
「け、けど」
「それ、全額じゃないわ。私と山分けよ」
「へ」
「私は仕事してないけど、頑張ってくれたおとうさんを、うんと労うわ。だから、半分こ」
 名前どおりに笑って、くるりと回って見せた。
 ただそれだけで、野暮ったい玄関先に大輪の花が咲いたみたいな錯覚に陥る。
(うお……っ)
 男子の目の前で、スカート丈がやたら短い純白のエプロンがなびき、ムッチリした太ももが根元近くまで露出した。
(夢みたいだ……隣の席の女子が目の前で……裸エプロン姿でいるなんて!)
 春奈は今、朝に会ったときの肌がほとんど出ない服装とは正反対の出で立ちでいた。
 襟ぐりは大胆に開いていて、小柄なカラダには不釣り合いなまでに大きい双乳の合わせ目がすっかり見えている。
 エプロンの身頃も申し訳程度の幅しかなく、豊満すぎる胸元の外側半分がはみ出しているし、ハート型にくりぬかれている中央部からも、はちきれんばかりの乳肌の膨らみがこぼれていた。
 血色のいい柔肌にはシミも傷も見当たらない。
 くゆる体臭はミルクみたいに甘くて、いつまでも嗅いでいたいくらいだった。
「こっちへ来て」
 案内された部屋で、言われるままに着替えた後、ダイニングへとおされた。
 服のサイズなど教えたことはないというのに、肌着も半袖短パンも計ったみたいにぴったりなのも気になったが、食卓を見た瞬間に声が出た。
「えっ……なにこの量っ」
 唐揚げ、サラダ、肉野菜炒め、マッシュポテト、魚の照り焼き、豆腐とワカメの味噌汁、それに真っ白なホカホカご飯。
 どれもできたてで、香ばしい湯気がくゆっている。
「肉体労働の後は、やっぱりタンパク質よね。でも、他の栄養もとらないと身体によくないわ」
「もしかしてこれ……水無月さんがぜんぶ……?」
 先ほどの労うという言葉を思い出して訊ねると、彼女は胸を張った。
「口に合えばいいのだけれど」
 いつになく神妙な顔で椅子を引いた彼女は、豊が座ると自分も隣の席に着く。
「最初は……コレでどうかしら」
 箸で唐揚げを摘まんだら、反対の手を添えて近づけてきた。
「本当にお疲れ様でした。どうぞ、おとうさん」
 まるで夫を大切に思う本物の新妻みたいに、柔らかい笑みを浮かべる。
「うん……あ~ん……もぐもぐ」
 恥ずかしくて照れくさくて顔は熱いものの、逆らわずに口で受け止めた。
 適度な歯ごたえも心地いいが、噛むほどに溢れる肉汁と鶏モモのうま味は、働き通しの空きっ腹に染みて涙が出てくる。ショウガも絶妙にきいていて、後味は爽やかだ。
「美味しい?」
「最高だよ、水無月さんっ」
 最近、味見させられたクッキー同様、肉の下味はあっさりしていてコクがある。取り過ぎると身体によくない塩分の量を少なくし、他の調味料で味を引き立てているのだろう。美味しいだけでなく身体にも優しい料理なのだ。
「よかったぁ……次は、どれがいい?」
「ごめん……やっぱりあ~んは……自分で食べるよ」
「あはは、おとうさんってば照れてる」
「こんなことされたら誰だって……」
「今の私たちは新婚夫婦って設定なのになぁ」
「それも罰ゲームのうちなんて聞いてないんだけどっ」
 からかわれるのは気恥ずかしいが、彼女の手作り料理を一緒にとるのは悪くない。
 唐揚げ一つで蘇った空腹感のままに箸を進める。
 食卓のすべての皿が空っぽになるまで、二〇分もかからなかった。

     3

「はぁ……高いバイト代と美味い食事だけでなく、熱いお風呂までもらえるなんて……これのどこが罰ゲームなんだろ」
 浴室に入るなりした呟きは、エコーがかかって鼓膜を揺らす。
 よその家のお風呂をもらうのには気後れするが、春奈の勧めは断り切れなかった。
 裸エプロンで美味しい料理を振る舞ってくれた女子には、強く出られない。
「大量の仕事を押しつけられたときは奈落の底へ突き落とされた気分だったけど……今は天にも昇る心地だよ」
 ホテルにあるみたいに立派な浴槽の蓋を外して湯加減を確かめたら、手桶で掬ったお湯を身体にかける。
 大人数人でもラクに使える浴室に、水の流れる音が反響した。
「湯加減はどう? おとうさん」
「ちょうどいいよ、ありがとう……えっ、み、水無月さんっ!」
 合いの手を入れて気がついて、慌てて出入り口へ振り返る。
 音もなく入ってきたクラスメイトは、自分と同じように一枚も被服を着ていない。バスタオルすら巻いていないのだ。
 大きいペットボトルを入れた洗面器を小脇に抱えて、備え付けの椅子を側に据える。
「昼間は本当にお疲れ様。背中を流してあげるね」
「い、いいよっ」
「遠慮はいらないわ。これは罰ゲームの一環なんだから。むしろ、拒否したらルール違反ね」
「うぐっ……」
「稲田は逃げないわよね」
「もぅ、勝手にしてくれっ」
 彼女に背中を向ける姿勢で、勧められた椅子に座る。
「そうこなくちゃ。すぐに準備するから、少しだけ待っていてね」
 ペットボトルの蓋を開けたり、恐らくお湯の水栓を解放して洗面器を満たしたりする音が聞こえてきた。
「んっ……ローションをオッパイとかに塗り込むのは……んふ……何回やっても慣れないかも……んふぅ……」
 豊は耳を疑った。
(今、なんて言ったんだ?)
 かぶりを振っても、やたら粘っこい水音が連続して響くのは止まらない。
 まだ若いが、子作り可能なまでに肉体が成熟している男子だけに、ローションが化粧水として使われるだけでなく、快楽目的の性行為に用いられるという知識も、なんとなく得ている。
 女性が自分のカラダをスポンジにして、男性の身体を性的に刺激しながら洗う、いわゆるローションプレイやソーププレイの存在も、進んでいる男子に聞かされたことがあった。
(そういうことを……してくれようとしてるのか……?)
 思わず振り返りかけたとき、彼女は静かに止めた。
「稲田、勝負しようよ」
「え、今?」
「準備してる私を見たら稲田の負け。背中を流して終了ね。でも我慢できたら、前も洗ってあげるわ」
「そ、それって……」
「見ちゃう? 見ない?」
 教室で勝負をもちかけてくるときみたいに切り出したが、僅かに声が上ずっている。
(きっと、見られるのが恥ずかしいんだ……けど、ローションプレイで男子の後ろも前も洗ってあげるなんていうのはオーケーとか……基準がおかしくない?)
 腑に落ちないものの、他人の嫌がることをするつもりはない。
 前も洗ってくれるというのにも心引かれつつ、正面を向いてじっと待った。
「お待たせ。よく我慢したね。そんなに前もして欲しかったんだ」
「そ、そういうんじゃ……うっ……うおおおっ」
 言い返す途中で、経験したことのない接触感に襲われた。
 問答無用で背中が甘く痺れ、今まで上げたことのない雄叫びが口から飛び出る。
「こ、これって……」
 脳裏に彼女の肢体が浮かんだ。
 教室で見慣れた制服姿ではなく、ダイニングで見せられた裸エプロンと、浴室に入ってきたときに一瞬だけ見た、一糸まとわぬ姿だった。
 両方の肩甲骨の下ら辺に、円く小さく生硬な感触と、柔らかくて少し広くて心まで蕩ける触れ心地が起こっている。
「オッパイの先っぽを少し押しつけただけで、すごい声が出たねぇ」
 悪戯っぽく説明してくれた女子は、同い年の双乳の具合を教え込むみたいに、軽く押しては離れるのを繰り返す。
 男子の死角に押しつけられる豊かな膨らみは、潰れてせり上がっては、元の形に戻る。その間ずっと、うら若い女子の乳肌はかすかに波打つ。
「さっきダイニングで、オッパイをすごい見てたね」
「い、言われるほどは……くぅぅ……」
「大きいのが好きなんでしょ? だから、オッパイで背中を流してあげる」
 勃起前の乳頭と周囲の乳肉の具合が脳裏にインプットされた頃、体重を込めてのしかかってきた。
「ぐぅぅぅッ……そ、そこまで……するなんて……っ」
 見えないが、頭の中に状況が浮かぶ。
 平たくひしゃげるまでオッパイを押し込まれる背中も、この世の物とは思えないほど気持ちいい。
 だが、教室でいつも一緒に授業を受けている女子が、素っ裸で抱きついている様子を思い描くだけでも、どうしようもなく興奮した。
 タオルをかけていない分身に、どんどん血が集まっているのがハッキリ分かる。
「んっ……んっ……どう、気持ちいい?」
 鼻にかかった声で訊ねてくる。
 元々、アニメやゲームで聞けそうな美声の持ち主だが、今は日常では聞いたことのない色気を帯びていた。
「背中をオッパイで、ヌルヌルって洗ってもらう具合はいい?」
 甘ったるく訊ねられるだけで、胸の奥が激しくざわつく。
 話しかけながらも、彼女はスムーズに動きだしていた。
 バストの横で小さく万歳するポーズで一瞬も止まらず、躊躇いも起こさず、首の側から腰までの範囲を、ローションでたっぷり濡らした豊胸で、洗うというよりも扱いてくる。
 同じ人間のものとは思えない乳房の感触に、とっかかりのない摩擦感が加わり、しかも、平常心を奪うほど蠱惑的な媚声を聞かされては、ひとたまりもなかった。
「最高だよ、水無月さん……はあ……はあ……こんな快感は初めてだっ」
 相手は自分を何度も負かしている女子だというのに、手放しで絶賛してしまう。
「うふ、おとうさんったら大喜びして。性感に耐性なさすぎよ」
「こんなことされたら誰だって……はぁっ……はぁっ」
「ほんとウブなんだから……これは、性愛の奥深さをしっかり教えて……他の女に浮気しないよう躾ける必要があるわね」
 双乳の脇にやっていた両手を前に回し、男の胸板を抱きしめる。
 同時に体重を込めて思い切り胸を押しつけ、これ以上ないほど密着させた。
「ふあああっ、こんなことって、うあああッッッ」
 両手と双乳を含めた前半身で、男子の肉体を押し包みつつ、上下に動いてくる。
 肌の接触面積が増すのに比例し、性感も爆発的に上がった。
「んふぅ……んんっ……さっきよりも気持ちいいでしょ? んふぅぅ」
 瑞々しい朱唇を耳穴に近づけて、色っぽい声を聞かせつつ、男のカラダを扱きたてる。
「うああ、気持ちいいよ、水無月さんっ、ああ、最高すぎるっ」
 生まれて初めて女体に接する肉体は、熱く敏感になっていた。
 胴体はまるで性器みたいに興奮し、意識がぶつ切りになる。
「他人行儀に呼ばないで。今はおかあさん、よ」
「いいよ、おかあさん、くぅぅ、カラダ気持ちいいよッ」
 カラダを存分に使って、極楽気分を味わわせてくれる女子には敵わない。
 実母と性行為している風でイヤな気持ちもあるが、
「どうされるのがいいか、具体的に言ってみて」
「おかあさんの巨乳と柔肌とほっそりした手で……はあッ……はあッ……背中も胸元もお腹も、ぜんぶまさぐられるの、ほんとに気持ちいいっ」
 何度か口にしていると気にならなくなってきた。
 自分と同じ歳の女子のカラダは、産みの親とは全然違う。
 豊満なのに華奢で儚げ。放つ匂いもフレッシュに甘い。
(なんだか本当に……水無月さんと夫婦になって、性行為を楽しんでる気がしてきた)
 もう豊の中では、おかあさんという呼び方は、彼女を名前で呼ぶのと同じことになっている。
「うふふ、おとうさんったら、ドライオーガズムしちゃいそうね」
 ローションを擦りつけ、自分と同じように男子の肉体を照り光らせていたカラダが、複数の糸を引いて離れた。
「前も洗ってあげるとも、性行為の奥深さを教えてあげるとも約束したのだから、おちん×んを刺激せずに射精させるわけにはいかないわ」
 前に回ると両手を男の首に回し、ゆっくり腰を下ろしていく。
「えっ……まさか……ぐぅぅぅッッッ」
 対面座位で避妊具なしのセックスをするのだと思えば、彼女の大事な部分は屹立する分身と擦れながらすれ違った。
 迸った快感電気に呻くが、彼女も熱い吐息をこぼす。
「あん……おとうさんの大きいのに触っただけで……アソコ痺れちゃった……はあぁ……」
 無毛の肉土手は尿道を伝って降り、陰嚢と密着して落ち着く。
「うああ……今オレ……教室では隣席の女子のオマ×コに……チ×ポで触れちゃってる……ッ」
 胸板に擦りつけられている巨乳に遮られて見えないが、初めて接する女唇は火が点いたみたいに熱かった。
 特にヌルついているのは、彼女が本当に悦びを覚えているからだろうか。
 意識すると、垂直にそそり立っている怒張が疼いた。
 彼女の柔らかくスッキリし、粘液でヌルヌルのお腹に押される快感が増して、陰嚢から根元にかけてが騒がしい。
「まだ学生同士だし……あふ……ごっこ遊びでも子づくりセックスはできないけど……んんぅ……このまま私のお腹に包まれて射精していいからね……んぅっ」
 首を抱き寄せて顔を交差し、耳の中に蠱惑的な声音を聞かせたら、また動き出した。
「ああん……背中の時と違って……ああっ……逞しいのが当たるから……はああんぅ」
 スイカみたいに大きくて柔らかいのに、若々しい弾力を備えた双乳を男の胸板へねちっこく擦りつけ、全身を上下に揺すり立てる。
「ああっ……おかあさんのオマ×コが……オレのチ×ポの尿道を……裏筋まで、ヌルヌルって扱いてるッ」
 男の肉体をカラダ全体で摩擦する奉仕プレイは至福だった。
 最も敏感で性的な刺激に貪欲な怒張も扱かれている分、背後でされたときよりも気持ちいい。
「はあっ……はあっ……ほんとに、このまま射精していいのかい……くぅっ」
「もちろんよ……んっ、んんっ……いつでも私のカラダに精子出して、あン」
 今までよりも甘く切羽詰まった声で即答してくれた。
(嬉しい……きっと、ちり紙に出すより快感なんだろうな……でも)
 怒張の中は熱くうねっている。
 少しでも蜜時を長く味わいたくてお腹に力を入れて先延ばしにしているが、射精はそう遠くないと直感していた。
「おかあさんもイッてよ。今度はオレに、セックスの奥深さを教えられながら」
 されっぱなしは癪だし、こんなにも素晴らしいプレゼントをしてもらっているのに、お返しをしないのは悪い気がする。
 だから両手をお尻に這わせた。
「えっ、なにをするつもりなの?」
 主導権を握っていた女子が、僅かに怯えの色を見せる。
「乱暴はしないよ。どうしてもイヤだったらやめるね……えいっ」
 同じくらい大きいが、バストと比べたら柔らかさが勝る尻タブを両手で割る。
 それから片方の指の一本を長く伸ばし、露出させた肛門に手探りで触れた。
「ひゃぁっ、そ、そこはっ」
 敏感な部位に触れられた乙女は、瞬時に縦に伸び上がった。
 豊満な柔尻は小刻みに震える。
「う、うそでしょ、ああっ、そんなぁ、はああぁ」
 円い窄まりに優しく指の腹を埋め、ごくごく弱くほじってあげると、彼女の声が今まで以上に切迫感を孕んだ。
「ダメよ、ああんっ、汚いわ、ああ、不衛生よっ」
「この指はおかあさんの可愛いお尻の穴にだけ触れるよ。終わったら、よく洗うし、大丈夫」
「で、でもぉ、ああ……はあああ」
 驚き戸惑っていたが、心を込めて揉みほぐしていると、慣れてきたらしい。
 徐々にくつろいだあえぎ声に変わっていた。
 横目で見れば、恥ずかしそうに、心地よさそうに長い睫毛が落ちている。
 正面から抱きついてカラダを上下に揺すり立てながら、お尻を弄られている女子は、目の下まで赤くなり始めていた。
「ああぁ……いやん……お尻の穴なんて……ダメよぉ」
「やっぱり気持ち悪い? 辛い?」
「うぅぅ……そうじゃないけど……ああんっ、言わせないでぇ」
 怒張の尿道側を垂直に扱く肉土手まで痙攣してきた。
 火照った肉花芯の割れ目からは、今まで以上に粘っこい愛液が溢れ、オス棒を染め上げている。
「お尻の穴、気持ちいいって言ってごらんよ、おかあさん」
 満更でもない様子だからと思い、今度は浅瀬を上下にピストンする。
 同時に指の腹をうねらせ、肛門のすぐ裏側の粘膜をかき回す。
「ほおおっ、お、お尻の穴、気持ちいいわッ」
 女子はのけぞり、顎が軽く上がった。
 白くて細い喉の裏を見せながら上げた恥声は、可愛らしい顔に似合わず下品に上ずっている。
「おとうさんの指で、ほああっ、アナルをほじくり返されるの、気持ちいいのッ」
 つい今し方、恥じらいの言葉を聞かせていた口が、他人には言えない悦楽の丈を正直に放つ。
 クラスメイトは、肉悦に我を忘れていた。
 目の前の男子に首から抱きつき直すなり、もっと責めてと言わんばかりに、お尻を淫猥にくねらせる。
 前半身全体で男の肉体を感じるのにも熱中し、普段からは想像できない激しさで総身を前後に弾ませて、男根ごと扱いてきた。
「はああ、ごめんなさいっ、ああン、ご奉仕する側なのに、おとうさんより先にイッちゃうのぉッ」
 男の胸板に押しつけている巨乳も、ゴツゴツした手で鷲づかみにされている尻タブも、ひっきりなしに波打つ。
 交差した顔の口元からは、あえぎ声がせわしなくあがっていた。
「いつでもイッていいなんて言ったのに、ああンン、もうダメっ、ああっ、おとうさん、私イク、ああ、イクぅぅぅぅ!」
 避けられない絶頂を悟った春奈は、力一杯抱きついてきた。
 双乳と秘部ごと投げ出して抱擁し、オーガズムの大波にさらわれる。
「オレもいくよ、おかあさん、このまま中で出すよっ……うおおおおッッッ」
 男子が浴室用の椅子に座る対面座位で、ぴったりひっついた状態で、豊も絶頂を極めた。
 火が点いたみたいに熱い柔肌と巨乳と肉花弁を肉体と怒張で存分に味わい、教室では聞けない長く尾を引く恥声も堪能しつつ、射精する。
 皮下脂肪を蓄えながらスッキリするお腹に押し包まれながら精液を吐き出し、熱い白濁液で染め上げる。
「はああっ、おとうさんのが、ふああ、私のお腹にいっぱい、ああンンン」
 料理上手の乙女は、オス汁を浴びることでも達してくれた。
 胸板にすがりつく小柄な女体は、淫らに痙攣している。
 陰茎には女性器のうねりが伝わり、指先にはアナル粘膜の歓喜の振幅が染みこんでいた。
「ああぁ……ずっとこのままでいたいわ……んんぅ……おとうさん、精液をもっと出して……私にいっぱいちょうだい……はふぅぅ」
 絶頂快楽に慣れて落ち着いてくると、正面から見つめてきた。
 大きくて黒目がちな目はすっかり潤み、顔は目元まで真っ赤だ。
「オレの精液がおかあさんの身体の中に染みこむけど、いいのかい?」
「野暮なことを言う口は塞いじゃうんだから、むちゅっ」
 少し顔を傾け、力を込めて唇を重ねてくる。
 生まれて初めて異性とキスした感激と快感で、お腹の柔肌に包まれる怒張は跳ね、新しい精液を放った。
 豊は逆らわない。
 彼女が首を抱き寄せ直したのに合わせ、お尻を鷲づかみにする手に力を入れて自分も抱き返した。指先をお尻の穴にいっそう深く埋め、自分の形に変えながら。

     4

「んっ……おとうさん……んんぅ」
 男女で肌身を重ねる味を覚えた若いふたりは、お風呂から上がると春奈の先導で両親の寝室に入った。
 エアコンを効かせ、裸で並んでクィーンベッドの縁に座るふたりは、相手の唇に何度もキスの雨を降らせている。
「ちゅっ……よそのお宅のお風呂場であんなことした後に……んむちゅ……寝室で続きをするなんて……気後れするなぁ……むぶちゅ」
「ここが一番落ち着ける場所なの……ちゅ……ふたりとも今日は帰ってこないから安心して……ちゅぷ……私の部屋は恥ずかしいし」
「なら仕方ないか……むちゅぅ」
 ローションまみれで抱き合う性行為をしたのに、自室に招くのはちょっと、という心理はわからないが、彼女の意思は尊重したかった。
 無理強いして機嫌を損ね、ふたりでしか体験できない蜜の時間が終わったら、悔やんでも悔やみきれない。
(セックスって……こんなにいいものだったんだ……)
 相手は自分を負かし続ける女子だけれど、可愛くてスタイルはいい。日曜大工の報酬を折半してくれたり、自分のために料理を作ってくれたり、お風呂ではカラダを惜しみなく使って労ってくれた。
 相手としては申し分ない。
「それにしても……おかあさんは顔も愛らしいけど、スタイルも抜群だね」
 罰ゲームを建前に、夫婦ごっこしたがるのに合わせた呼び方で褒める。
「日頃から磨いているもの。見てもらいたいおとうさんに悦んでもらえて嬉しいわ」
「それって……」
「世の奥様方のたしなみよ」
「えっ」
「んふふ、なぁに。いつも稲田を意識して、気を遣ってると言って欲しかった?」
 キスしていた口を離して、悪戯っぽく見つめてくる。
 瑞々しい朱唇からは、ふたりのが混ざり合った唾液の糸が伸び、男子のと繋がっていた。
「うっ……もぅ」
 照れ隠しで男子の太い両腕を伸ばす。
 片方は華奢な背中に回し、脇の下もとおして、外側から片乳を鷲づかみにした。
「あぁん、キスだけじゃ足りないのぉ?」
 甘えた声を出すものの、振り払おうとはしなかった。
 暗に許可をもらえたのを利用して、優しく指を埋める。
 本人の顔に勝るとも劣らないボリュームの肉スイカは、お風呂でも感じたが弾力が強い。深く潜るほど心地いい反発力がする。
「こんなに大きくて形が綺麗で感触もいいおかあさんのオッパイを、伴侶として放置できないね」
 力を入れてめりこませては、脱力して押し返され、巨乳を元の形に戻すのを繰り返す。
 弾力も素晴らしいが、柔らかさも魅惑的だった。指を突き立てるときに包まれると、手のひら全体が甘く痺れて何度でも味わいたくなる。
「隣り合って一緒に授業を受けてる女子のオッパイを、こんな風に楽しませてもらえるなんて、不思議な感じだけど感激だよ」
「私も、はあぁ、素敵な心地よ、んんぅ、おとうさん、上手ぅ……もしかして、知らないだけでカノジョいるの? その子のオッパイをこんな風に?」
「まさか。おかあさんのが、生まれて初めて触ったオッパイだよ。やり方は……ネットとかで見て覚えたんだ」
「へぇー、身体つきはともかく精神的には子供っぽいのに、そういうことに興味あるんだ」
「そっちこそ、お風呂場ではすさまじかったじゃないか」
「年齢は同じでも、女子は男子より精神的に大人なのよ」
「一般論はともかく、確かにオッパイだけじゃなくココも、オトナっぽいな」
 ムチムチした太ももをさすっていた手を滑らせ、軽く開いた股間に触れる。
「初めてナマで見るけど……こんなに肉厚なんだな」
 閉じた無毛の肉土手は、形といい大きさといい、チューリップのツボミを思わせる。
「さっきは開いて、オレのチ×ポにすがりついて、扱いてたんだよな」
 皮下脂肪を蓄えた秘部との接触快感が蘇り、分身が根元から跳ねる。
 オスの証はとっくに垂直にそそり立っていた。
 皮もすっかり剥けていて、オンナを知ったばかりのピンク色の亀頭が露出している。
「あぁん……お風呂で私のお腹をドロドロに染め上げたのに……まだこんなに元気で……教科書とかに載ってるのとは形も大きさも全然違うわぁ」
 彼女の目元がねっとりと赤らんだ。
 身を乗り出した乙女の白くほっそりした片手の指先が、極太の怒張に絡みつく。
「友達がカレシのを自慢してたけど……おとうさんの方がずっと逞しいわね」
 存在感を確かめるみたいに、優しくゆっくり扱いてくる。
 薄い皮と中の肉が擦れる性感に、男子の腰が小刻みに震えた。
「ああっ……擦ってあげればあげるほど、どんどん熱くなって……えぇ、まだ硬くなるの? ……なんだかさっきよりも長く太くなってるみたい……」
 彼女の目が淫蕩に輝く。
 手淫のストロークは徐々に早くなり、指を回しきれなくても懸命に握る手の力も強くなっている。
「うっ……女子に手コキされるのって、こんなに気持ちいいんだ……自分でするのとは味わいが違いすぎる……くぅぅ」
 してもらってばかりでは我慢できず、趣味とお返しを兼ねて乳房を柔らかく揉みたて、陰部を指先で撫で回しつつ、ペニスの快感にも意識を傾ける。
 神聖さすら感じる乙女の清廉な手が、同い年の剛直を淫らに扱き抜く様子は、見ているだけでも興奮を誘うし、目が離せない。
「当たり前よ……はあぁ……オナニーするときは……はあふぅ……女の子のオッパイやアソコを撫で回すなんてできないもの……ああん」
「確かに、このままイカせてもらいたい気もするけど……」
 分身は熱く疼き、腰の奥からは射精情動がこみあげている。
 精液を出したい気持ちは強いが、彼女の秘部の様子に別の性欲が湧いた。
「おかあさんのオマ×コ、オレのチ×ポを欲しがってるね」
 潤んだ瞳で視線を絡ませる乙女の秘部は、大きく開いていた。
 鮮紅色の膣前庭が太く覗く割れ目からは、レモン臭の粘い汁がトロトロと溢れている。
「うん……」
 弄っていた手指をより合わせた後に開き、糸を引いたのを見せると、彼女は意外と素直に頷いた。
 身を乗り出して巨乳を紡錘形に伸ばしつつ、枕の下からコンドームのパッケージを持ってくる。
「おとうさんの逞しいのが欲しいわ……」
 慣れた手つきでパウチを開け、コンドームをつけてくれた。
 それから、何も言われていないのに仰向けになり、足まで広げてくれる。
「ハッキリ言ってもらわないと分からないなぁ」
 とぼけつつも彼女の大きく開いた太ももに割り込む。
「それは……あぁっ……いじわるぅ……ああん」
 スキンをつけてもらった怒張を握る。分厚く膨れた穂先で、鮮紅色にせり上がる割れ目の奥を弄ると、甘えたあえぎ声があがった。
「ち、チ×ポよ、あん、おとうさんのぶっといチ×ポを私のオマ×コに埋め込んで、かき回して欲しいの、あぁン」
「いつもオレに勝ってる女の子に、自分好みのエロ言葉を使ってもらうのは、堪らないな。おかあさんは声が綺麗だから、余計にチ×ポに響く。分かるだろ?」
「ああぁん、おとうさんのデカチ×ポ、ますます大きく硬くなってるぅ」
 切羽詰まった仕草で頷いて、ますます足を開く。
 もう本当に我慢できないという感じだ。
(水無月さんって、可愛い顔して人一倍セックスの快楽に弱いのかな)
 そう思うと、自分を求めてくれる女子がますます愛しくて、怒張が痛いほど漲る。
「いくよ……」
 細かい収縮を繰り返す膣口に、圧倒的なまでに大きいオスの膨らみを押し当てた。
「おかあさんのオマ×コにぶちこむね……ふぅン」
 体重をこめながら覆い被さり、ゆっくり挿入する。
「はああぁぁ……友達のカレシよりも極太のが……」
 よそのお宅の夫婦の寝室で、教室では席が隣の女子と正常位でひとつになっていく。
「おとうさんのが……私の中に入ってくるぅ」
 怒張が深く埋まるのに合わせて、内部からネットリした恥蜜が溢れ、ゴムを纏う肉棒は濡れていく。
「これがおかあさんのナカなのか……狭くてキツくて……でも柔らかくて熱くてすごく複雑だ……それがすごく気持ちいい……くぅぅ」
 膣粘膜に包まれる感触は、自分の利き手とは次元が違う快感だった。
 怒張は意思を離れていた。大喜びで跳ね回り、内側から胎内を揺すぶる。
「ああンっ、ぶっといのが元気に暴れてるぅ、はあああ、すごいぃぃ」
 逆手でシーツを握って合体を受け止める乙女が、色っぽく薄く笑う。
「はあああ、うそぉ、ンン、やだ、い、イキそうっ」
 竿の半分近くまで入れた頃、彼女の息づかいが切羽詰まってきた。
「お風呂のときより、はうぅぅ、もっと深いぃ……あああ、まだよいんが残ってたのかしら……くぅぅぅ……と、とにかく、ああん、奥まで届いたらきっと」
「十中八九、触れるよ」
「え……っ」
「女性の膣は伸縮するものだけど、通常時の平均の長さは一〇センチに満たないとか。オレの勃起チ×ポは倍だったとしても面倒見られるよ」
「えぇっ……数字にしたら、そこまでのものだったのっ」
「計ったのはだいぶ前だし、今はそのときを確実に超えてる。おかあさんが魅力的だからね」
「ああっ、こんなときに褒められたら、ああ、ダメ、ほんとにイッちゃう、奥まできちゃダメぇっ」
 イヤイヤと首を振り、カールがかかった可愛らしい髪が振り乱れる。
 だが、本気で嫌がってるわけでないのは、声が蜂蜜みたいに甘いのから分かる。
 男根を受け入れる媚肉も、早く巨根の形にしてとばかりに妖しく締め上げ、しかも奥に向かって扱いていた。
「初めてセックスするのに、入れられただけでイクなんて、格好悪すぎる、はああ、お願い、許してぇ」
「おかあさんの可愛いところ、オレに見せて……ふんッ」
 巨根を子宮で受け止めて絶頂する様子を眺めるために、腰に力を入れ直す。
 実のところ、自分も気を抜くと射精しそうだったが、おくびにも出さずに耐えつつ、挿入を深めた。
 距離にして数センチのところで、行き止まりに達する。
 自分の性器が胎内のすべてに触れたのを刻みつける心地で、ぐいっと押し上げた。
「ふああぁっ、ほ、ほんに届いてるっ、あああ、やっぱり、イクっ、イクぅッ」
 目の前で乙女の細い顎が、弾かれたみたいに上がった。
 普段は顎で隠れているところまで首をさらしながら、のけぞる。
「あああぁぁぁッッッ、やぁん、一番奥までチ×ポ入れられただけで、ああああ、イッちゃってるぅぅぅ」
 両親の寝室に、クラスメイトと性行為する娘の恥声が響き渡る。
 逆手に持つシーツには、深い皺と汗のシミができていた。
 背筋が反れた勢いのままに、スイカみたいに大きくて、仰向けでも流れずツンと上を向く双乳がバラバラに弾む。
 五〇〇円玉サイズでピンク色の乳輪は肥厚し、乳頭も丸く勃起しきっており、乳房の動きに合わせて宙空に線を描いている。
 悦びの声音で恥ずかしがる彼女の太ももは、男子の腰をガッチリ挟んで締め付けていた。
「はああ……ああんん……まさか……こんなにあっさりイッちゃうなんてぇ」
 落ち着くまで待っていたら、悔しそうに呟いたが、全身は桃色に紅潮していた。
 薄い汗で照り光り、甘い体臭と愛液の匂いを放つ姿は、ローションを塗りたくったときみたいに色っぽい。
「お風呂では抱き合ってたから見られなかったけど……じっくり見させてもらったら、想像以上に可愛かったよ」
「う……もぅ……」
「イッたばかりの照れ顔も最高だね」
「今度は、おとうさんを先にイカせてあげるんだから」
「なら、勝負しようよ」
 教室では見られない、色っぽくて可愛らしいところをもっと見たいのと、一緒に気持ちよくなりたい性欲から、豊は切り出した。

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夜山の休憩所 2022/06/01 00:00

【再掲載】ハニトラ・ワイフ(書き下ろし小説アップしました)(2022年6月01日)


いつも応援ありがとうございます。

先月発売の同人作品を
100円の有料プランにてアップしました。

掲載内容は次のとおりです。
・製品のPDFデータ版(表紙、表紙差分、文章すべて収録)(右綴じ)(100M強)
・同上の軽量版。(左綴じ。しおりは最低限)(1M強)
・表紙(トリミングなし)
・表紙の帯なし差分(トリミングなし)

この記事は先月にも掲載しました。
今のところ有料プランにアップした内容は、
翌月にも掲載しています。

なお、この下の方にも文章を載せています。
途中までとなっていますが、
有料プランの方でDLできるPDFデータには、
全文が収録されています。
続きはそちらか製品版でおたのしみください。

よろしければご利用ください。



■作品につきまして■

●タイトル(英語名)※国内販売オンリーです。
「ハニトラ・ワイフ」(Her honey trap)

●種類 小説

●分量 短編(文庫換算で100ページ程度)

●ご紹介
 ハニトラ妻VS悪の中年重役

●傾向 
 書き下ろし。短編。人妻。
 ご奉仕プレイ。快楽責め。背徳。
 オッパイ。ソーププレイ。体面座位。正常位。
 中出し。
 浴室。夫婦の寝室。

●お値段 250円(税込み)

●販売店
https://amzn.to/3kFyxn9

●その他
 アマゾン様のキンドルでのみ発売中です。
 他のお店で販売する予定は今のところありません。
 Kindle Unlimited(読み放題)でもお読みいただけます。

●小説、表紙イラスト 石川檸檬(いしかわ れもん)
 (木森山水道、石川れもんの別名です)
 ・ツイッター https://twitter.com/kimoriya31


「最近の作品」

●木森山水道(きもりやま すいどう) 名義
・「純愛闘士ピュア・ストラグル 正義の力は不倫で輝く」
  表紙、挿絵:肉バキューム 先生
  出版社:キルタイムコミュニケーション 様
  公式サイト:http://ktcom.jp/books/2dn/dnd39
  主な販売サイト:https://amzn.to/3btu9D4

●石川檸檬(いしかわ れもん) 名義
・「ハツハメ 内定と引き替えに恋人の父に捧げる晴れ着姿」
 表紙:ロッコ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900680000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3rqvj9M

・「ハメクリ ビキニサンタ姿で夫の部下にハメられる人妻のメリークリスマス」
 表紙:ズッキーニ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900630000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3FpLQRo

・「ナツハメ 色白人妻が年下男たちに何度もイカされた話」
  表紙:ロッコ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900350000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3CBOsKr
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

・「強○スワッピング 生贄になった人妻」
  表紙:アレグロ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900330000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3w1MJM0
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

●同人作品(サークル:夜山の休憩所)
・「たばかりギャル」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「バレンタイン・キッスのユクエ」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「魔滅の巫女」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「ギャル義母」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「年越しネトラレ」(FANZA専売)
・「気の強い美妻 ゲス重役とのホワイトクリスマス」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「なれそめのゴー淫ハロウィン!」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)ほか

※販売店へのリンクはアフィリエイトです。
 踏んで飛んでお買い物していただくと当方にささやかながら広告料が入ります。
 リンク先の品物以外をご購入いただいた場合も入ります。
 ご利用いただければありがたいです。




「ハニトラ・ワイフ」
※途中まで。続きは有料プランのデータか製品版でお楽しみください。


主な登場人物紹介

 一 百合枝(ニノマエ ユリエ) 夫のためにハニートラップする巨乳妻。27歳。
 金田 権一(カネダ ケンイチ) ハニトラを仕掛けられる悪の会社重役。53歳。

※製品版では各節へ「しおり機能」でジャンプできます。


     1

「お背中をお流しいたします」
 湯煙に包まれる檜風呂に、しっとりした美声が静かに響く。
 桶を持つ一百合枝が足を踏み入れると、ツヤのある生白い柔肌が波打った。
 被服の本来の目的を果たすというより、男の野卑な歓心を煽って喜ばせるための、極端に布地の少ない水着を纏う豊満な乳房と双臀は、恥じらいながらも大きく揺れている。
「お、奥さん……もとい、夫人……これはいったい」
 先客の金田権一は、身体ごと振り返って目をむいた。
 五十三歳の壮年の男は、洗い場の椅子に腰掛けている。
 胸元に石けんの泡がついているのは、身体を洗い始めたからだろう。
「お招きしておきながら急用で留守にしてしまった主人には、よくおもてなしするよう言われておりますから……」
「なるほどこれも…………雪解けを望む気持ちの表明というところか」
 金田の目に、野獣めいた気配が宿った。
「据え膳食わねばなんとやら、もとい、折角のお申し出を断るのも失礼だ。謹んでもてなされましょう」
 百合枝は二十七歳。
 金田にしてみれば、実の娘ほども年の離れている。
 人妻であることも分かっているというのに、脂ぎった目つきで全身をなめ回す。
(あぁ……こんなにすごい目で見られるのは初めてだわ……)
 百合枝は無意識に桶を持つ手を胸元に持ってきた。
 とはいえ、アラサーの乳房は片方ずつが男の顔なみに大きい。
 視線を遮れるのは、押しくらまんじゅうしながら盛り上がる谷間付近だけで、脇の下を優にはみ出す外乳は、依然として性欲の目にさらされている。
 心が怯みかけているのを自覚して、自分に強く言い聞かせる。
(しっかりするのよ百合枝……あの人のために、会社のために……役目を確実に果たさなくてはいけないわ)
 百合枝の夫は、上場企業に勤める四十一歳。
 会社の要職につく父親の仲立ちで結ばれた彼は、強い後ろ盾を得てから頭角を現し、今では取締役のひとりとなっている。
 社内で強い影響力を持つ営業職の部長である金田は、敵対派閥の首魁だ。
 百合枝が夫から聞かされた話では、表沙汰にできないようなやり口を続けており、野放しにしていれば遅かれ早かれ会社は危うくなるという。
(取締役夫人に手を出したとなれば、尻尾を出さない古狸も袋のネズミ……私のカラダで弱みを握る夫の作戦は、絶対に成功させてみせるわ)
 夫が不在なのは偶然ではなく、手を出しやすくさせるための計略のひとつ。
 浴室では、無数の隠しカメラが稼働中だ。
 それらしい動画が撮れさえすれば、あとは最新の技術を使って音声と映像を編集……夫がいうところのディープフェイクというもので、追い込める寸法である。
(ハニートラップなどという汚いことを仕掛けるのには良心が痛むけれど……取り柄のない私でも夫のために……正義のためになるのであれば……今回も)
 胸元にもってきた桶を持つ手は震えていたが、意識して細いくびれの辺りに戻した。
「夫人の……一取締のおもてなしは、謹んでお受けいたします」
 真面目くさった口調で応じる金田だが、目は相変わらず野卑にたわんでいる。
「さぁさ、もっと近くへ来てください。まずは、ご奉仕してくださるという夫人のルックスを、しっかり見せてもらいましょう」
「い、いえ……すぐにでもお背中を……」
「せわしないことをおっしゃらず。夜は始まったばかり。ゆっくりもてなしてくださいな」
 頑なになって気分を損ねるわけにはいかない。
 できるだけ心を緩ませ、ハメを外させることは、ハニートラップの成功に大きな影響を与える。
(早く済ませてしまいたいのに……)
 百合枝は渋々、不正も行い地位を築いている中年の前へ向かう。
 緊張でこわばる身体を、なにごともないように動かして、二、三メートル向かいのところに立った。
「ここでよろしいでしょうか」
「十分です。では、じっくり拝見しましょう。夫公認で伴侶のカラダを鑑賞できるなど、人生で一度あるかないかですからな」
 声を上げて笑う彼。
 でっぷり太って大柄な男に見合う大声量が、湯気に包まれる和装の浴室に木霊した。
(知らないと思ってよく言うわ……)
 夫によれば熟女にも若い娘にも欲情する色魔であり、人妻であろうと恋人がいる女性だろうと、せせらわらって毒牙にかける鬼畜らしい。
 教えられたときは、いくらなんでも誇張が過ぎると思ったが、実際にこうして、男と女として向かい合っていると、真実な気がしてくる。
 いくら夫の許しがあると聞いたとはいえ、商売女を値踏みするみたいな視線をすぐさま投げかけてくるだろうか?
「こうしてみると、女性にしては長身なのですな」
 五十三歳の中年は、浴室用の椅子に狭そうに座り、腰にフェイスタオルをかけながら、上司の二十七歳の妻のカラダを鑑賞する。
「誰が見ても淑女と思うに違いない、落ち着いた雰囲気の整った顔立ちがハマっていますぞ」
 ニヤニヤ笑う顔には〝お綺麗な重役夫人が、風俗嬢の真似事とはな〟と書いてある。
 直視するのは辛くて目を逸らすが、下劣な中年はますます機嫌よく品評する。
「上に行くほど逆三角にムッチリする長い足も見事ですが、モデルみたいに細いウエストの上下に実る、オッパイとケツも最高ですなぁ」
 まだ丁寧語を使っているが、下品な本性が現れてきた。
 まだアラサーながら、女盛りのアラフォーにも負けないくらいに熟れたセックスアピールに、特に熱い視線を送ってくる。
(ああ……いや……)
 まるで手かなにか、壮年の身体の一部で直に触られている気がしてならない。
 不快な錯覚に我慢できずに、思わず右へ左へ実をよじってしまう。
 乳暈の周りの狭い範囲にしか布がない水着の巨双乳も、バックはTバックの熟双丘も、歩くとき以上に揺れ弾む。
 波打つ柔肉からは、男にとってはフェロモンでしかない女の体臭が余計にこぼれ、周囲に漂い始めた。
「そんなにご覧にならないでください……」
 女の色香で油断させようという者としては言ってはならないことまで、口にしてしまう。
 いけないとは思うのだが、性欲の視線に肌をさらすのも、下品な感想を聞かされるのも、人妻として女として恥ずかしすぎて辛かった。
「おっと失礼。素晴らしい美貌を見せてくださる夫人を、困らせるつもりはありません」
 殊勝なことを言うものの、顔は相変わらずニヤけている。
 女を辱めて喜ぶタイプなのだ。
「お顔もスタイルも抜群ですが、日々のお手入れは大変でしょう。ねぇ」
「え……えぇ……」
「美容液の類いは当然として、やはり運動もされてるので?」
「夫が屋敷に設けてくださった設備などで少々……」
「おお、スポーツジム顔負けのトレーニングルームですな。噂で聞いておりますよ。取締役の男前の秘訣とか。旦那様がイケメンなら、奥様は美女というわけだ」
 感心してうなずく様子からは、下卑た気配がなりを潜めていた。
「そんな……」
 百合枝の頬が赤らんだ。
 愛する夫を褒められるのは嬉しいし、他人と交わらずに美容の増進に励む努力を認められるのは、たとえ標的によるものであっても胸が温かい。
(美しさを保つのは私の仕事だから当然と考える夫は言ってくれない優しい言葉が……この人の口からは出た……)
 心がかすかにざわめくのを百合枝は感じた。
 最後に覚えたときを思い出せないくらいに飢えていた甘い気持ちだが、浸っていいときではない。
 意識して気を取り直してしゃがみこみ、横に桶を置く。

     2

「そろそろ準備いたします……よろしいですか?」
 申し訳程度の面積しかない水着の乳房と、剥き身のゆで卵めいた桃尻を揺らして屈むなり、断りを入れる。
 すると鑑賞するのに満足したらしく「構いません」と笑みを浮かべた。
 そのままじっと見つめてくる。
 狙われているのは、少し身を乗り出している乳房だ。
 漂う蒸気の水滴をはじいて、今にも破裂しそうな水風船じみた豊胸に、愛撫じみた目線を注いでいる。
 女遊びの激しい男だけに、〝背中を流す〟という意味を正確に理解しているのだ。
 これから上司の妻が、ソーププレイをするのを見越し、肉体洗浄のために主に使われるであろう乳房への期待を膨らませているに違いない。
「あの……ラクになさって少々お待ちいただけますか?」
「もちろん、くつろがせてもらっておりますとも」
 遠回しに背中を向けて欲しいと言ったのに、愛想よく断られてしまった。
 ニコニコしているが、瞳は性欲のドス黒い炎で満ちている。
 人妻がカラダ……特に抜群に大きいオッパイに、持参したボディソープを塗りたくる様子も、じっくり楽しもうというのだ。
(これからもっと破廉恥なことをするとはいえ……準備するところまで見世物にしなくてはならないだなんて……)
 気分を悪くさせるわけにはいかないのに、胸中でため息がこぼれる。
 視線から逃れる気持ちで、ゲス中年から目をそらしつつ、ボディーソープのポンポを押す。
 添えた手にミルクの香りの粘液をたっぷり溜めたら、密かに深呼吸した。
「さぁ、お気になさらず存分に塗りつけてください」
 鼻息が荒らいできているのを隠しもせずに、実質的に命じてくる。
 応えたつもりはないものの、意を決して両手を持ち上げた。
 胸元の高さで手のひらを水平に合わせ、湛えられていた白い液状石けんをよくまぶす。
 これから塗りたくる巨乳は、動きに合わせてゆさゆさ揺れた。
「お目汚し失礼いたします……んっ……」
 目を背けたまま断って、両手で両方の下乳に触れた。
 そのままさする動きで塗りつける。
 夫でもない男性の前で、自分の乳房に粘液を付着させるのは恥ずかしすぎた。
 カラダが芯から熱くなるのは、お風呂が沸いた浴室にいるだけではない。
「んぅ……んふ……こんなことをご覧になっても……退屈ではありませんか?」
 いるだけで噴いてきた細かい汗と石けんが混じり、下乳全体がみるみる泡立っていく。
 淫らな姿を見られる羞恥は募る一方で、吐息まで湿っている。
「いやいや、眼福です。夫人の手料理にも、星付きホテルのディナーよりも癒やされましたが……泡で着飾っていく姿には、元気が湧いて止まりませんぞ」
 重役歴の長い百戦錬磨なら、暗に見るなと言ったのに気づかないわけはないのに、平気な顔でとぼける。
 それどころか、見ないで欲しいと言いにくくするように釘を刺してきた。
(何を言っても無駄ね……)
 諦めて事務的にこなすことだけに集中して、水着からはみ出す横乳と上乳も白い粘液を塗りこめ、泡だらけにしていく。
「わしの目は気にせず、水着の下にもソープをたっぷりまぶしてください」
「ぇ……」
 双乳には全体的に石けんはついている。
 そろそろ腹部に取りかかろうとしたときに提案され、人妻の動きが止まった。
「そ、ソープはもう胸に十分つけましたから……後はカラダにも塗って……」
「旦那様はご不在。この浴室には……いや、このお屋敷にはふたりきりなのです。なにを恥ずかしがることがありましょう。さぁ、さぁ」
「で、ですが……」
「……もしかして、わしに剥がせてもらえるのですかな?」
 下卑た笑顔を絶やさない中年の前身に、獰猛な気配が膨れ上がった。
「お客様の手を煩わせるおもてなしなど、ご、ございません……じ、自分でいたしますっ」
 本気でやりかねない空気に慌てて、下乳側の布地に指を引っかけた。
 ぎゅっと目をつむって、おもむろにたくしあげる。
 少し持ち上げただけで、布地が勝手に離れた。
 事前にすべりがよくなっていた乳肌を這い、泡と粘液を掃いて溜めつつ、鎖骨の手前まで上ってしまう。
「ああ……そんないきなり……」
 予想外のアクシデントに、両手の指が宙をかく。
 丸出しになった乳房を隠すのも忘れて、百合枝の目が白黒した。
「おおっ……これが夫人のナマオッパイ」
 中年はマイペースで凝視してくるが、黒ずんで分厚い唇は割れ、感嘆のため息がこぼれている。
「このサイズなのに、水着がなくなってもまるで垂れないとは……たゆまぬエクササイズの賜ですな」
 それぞれが自分の顔と同等以上に大きい巨乳が、わずかにそっぽを向き合いながら迫ってくる迫力に、流石の色魔の目は丸い。
「生得的な乳首と乳輪もお見事。並の乳についていたら大きすぎて野暮ったいところだが、夫人ほどの巨乳には、素晴らしく映えていますぞ」
 人工的に白い粘液と泡を纏う生白い豊胸の中心は、若い娘と比べても遜色ない鮮やかなピンク色だった。
 高級ブドウの粒みたいに大ぶりな先端が、ツンと斜め上を向いている様子に、瞬きを忘れて見入っている。
「あああ……そんなにご覧にならないで……恥ずかしいです……」
「大変立派なのですから、むしろ胸を張ってください。さぁさぁっ」
 強く言われて気圧されてしまう。
「こ、こう……ですか……」
 真っ白になりかけた頭の中に入ってきた言葉に合わせた。
 五指をつけて外側から回した両手の小指で鎖骨に触れるポーズをとる。
 身じろぎに合わせ、ピンク色の尖りの周辺は、水着の生地の形に残っている双乳がふるふる波打つ。
「そうですそうです……ふふ、貞淑そうな顔を赤らめて、夫専用の熟れた妻乳を強調するその姿は堪りません……素晴らしいもてなしですよ」
 湯気でけぶる中、しおらしく巨乳を見世物にする二十七歳の人妻に興奮した五十三歳は、おもむろに手を伸ばした。
「やはり、もてなされているだけでは心苦しい。お手伝いさせてもらいます」
 百合枝が中身を出して双乳に塗っていたソープのボトルを掴みあげると、焦った手つきでピストンする。
「あぁっ、やめてください……あン、ソープをかけないでぇっ」
 羞恥で火照った豊胸には、いつもひんやりしている石けんは冷たすぎた。
 いやらしい視線と言葉を浴びせられ続けるカラダとの温度差で、粘液の塊が飛んで粘る度に、妖しい情感が湧く。
「遠慮なさらずに、そら、そら」
「ああ、ほんとうによして、あンン、そんなにかけられたら……はああ」
 もてなす側としての言葉遣いを保てなくなるだけでなく、男の情欲を煽る甘い声まで出してしまう。
「わしを洗ってくださろうというのですから、それこそ泡だらけになるまでつけないといけませんぞ……とはいえ、そろそろ塗り伸ばす頃ですかな」
 中年はボトルを放り捨てた。
 両手の指が、準備体操と言わんばかりに屈伸する。
「じ、自分でできますっ」
 胸を手始めに、石けんがついていない後ろ半身までまさぐられそうな雰囲気に、急いで両手を使う。
「急がず慌てず。ゆっくりでいいですからね」
 穏やかに告げる中年だが、目は笑っていない。
「は、はい……んっ……んんっ」
「おお……夫人の巨乳が……あんなにひしゃげながらソープまみれ、泡まみれになっていく……眼福眼福」
 焦る気持ちがにじみ出るゆっくりした手つきに合わせて、裸の熟乳が変形し、乳白色のぬめりを帯びていく様子に、中年の相好が再び崩れた。
「乳首にもたっぷり、塗ってくださいね。そこもわしの身体を洗う道具になるんですから」
「もちろんです……んっ……くぅっ」
 先端は指の腹で挟んで揉むことでヌルつかせる。
「気持ちよかったら、声を出して構いませんよ。夫人は涼しげな美声の持ち主ですが、先ほどの甘い声も魅力的でした。もっと聞かせてくれますかな」
「年甲斐もなくはしたない声を出してしまい……お耳汚し失礼いたしました……あふっ」
 優しくこすっても、感度が増した突起には快楽の毒だった。
 鋭い性感に貫かれ、背筋がときどき軽く反れる。
(私はいったい……なにをしているの?)
 二十七歳の重役夫人だというのに、乳首オナニーまがいのことをして、しかも夫とは敵対関係にある五十三歳にじっくり見られて、それどころか煽られている。
(こんなにも醜態をさらすつもりはなかったのに……うぅ……すっかりペースを乱されているのに……ああ……乳首……感じちゃう……)
 芯から硬くなり、しかも火照りが増している。
(ダメよ百合枝……夫のために、正義のために悪い男を失脚させるために、恥を忍んでいるのを忘れてはダメ……少ない取り柄をいかせなかったら私には……)
 熟れたカラダをビクつかせながら決意を新たにし、感じやすいところ以外もソープを塗り伸ばしていく。
 百合枝のハニートラップは、まだ準備段階でしかないのだ。

     3

「では……参ります……」
「待ってました。よろしく頼みますよ、夫人」
 前半身にソープを塗りたくり、白い泡でいっぱいにした百合枝が背後から声をかけると、浴室用の椅子に足を開いて腰掛ける権一は、はしゃいだ声をあげた。
 他人の妻がカラダを使い、風俗嬢のように肉体を洗おうとしているのに、遠慮や恐縮の気持ちは気配もない。
(自分の娘ほども年の離れた人妻がしようとしているのに、なんてふてぶてしいのかしら……ケダモノにも劣る男だわ)
 まるで屋敷の主人、自分の夫みたいに振る舞う様子には嫌悪が募る。
 でっぷり太った肉体も、スポーツジムと同等以上の設備でカラダを磨いている女からしたら醜悪だった。
 可能ならば触れたくもないのだが、そういうわけにもいかない。
「んっ……んぅ……」
 見えないのをいいことに顔を背けつつ、檜造りの床に膝をつくカラダの胸元を寄せていく。
 見えなくすると言うよりも、中途半端に隠して男の目を楽しませる水着を鎖骨までたくし上げている双乳は、すぐに夫以外の背中に触れた。
「おおっ、きたきた」
 やや背中を反らし、意に反して太く屹立した乳首を避けて下乳で接した途端、嬉しそうな中年声が反響した。
「もっとグッといらしてください。恥ずかしがらずに」
「は、はい……んんぅ」
 イヤだから腰が引けがちなのを好意的に解釈して迫られなくても、やるしかない人妻は、決意を新たに体重をかけてしなだれかかった。
 自分の胸元と中年の背中の間で、スイカみたいに豊満な女の膨らみが潰れ、端が丸っこくせり上がる。
「くぅぅっ……この感触……堪らんッ」
 いい年をしても女遊びが激しい男は、喜びも露わに叫ぶ。
「大きくて形がいいのは見て分かっていましたが、感触も最高ですな。ミッシリ中身の詰まった柔肉の風船という感じだ」
 ふんぞり返る壮年の全身が小刻みに震える。
「こんなにもパツンパツンに熟れたオッパイを、わしは知りません」
「あ、ありがとうございます」
「自由にできる旦那様がうらやましい……夜はさぞ、激しいのでしょうなぁ」
「なにを……や、やめてください……」
「おっと失礼。わしなら毎晩……いや、秘書にしてでも常に側に置き、いつでもどこでも揉みまくりたいと思ったのでつい……おっと、これも失言でしたな」
 心身が汚らしい男でも、日頃から研鑽しているカラダに喜んでくれたり、素直に謝ってきたりする姿勢は悪くない。
「気をつけてくださればありがたいです……ん……んっ」
 少しでも気分がほぐれると、いくぶんやりやすかった。
 前に出した細い手で床に触れてバランスをとり、体重をだいぶ預ける格好をとりながら、カラダを伸び縮みさせる。
「許してくださり感謝します……おおぅ……うおおっ」
 豊かな乳房の柔らかさと弾力を、上から下へ、下から上へと存分に押しつけられ、擦りつけられる快感に中年の声が高くなる。
 人妻が纏うソープは、肉体の汚れを落とす機能があるが、性質はローションに近い特別製。肌と肌の摩擦はとびきり妖しい性感と化している。
「具合はどうですか? んぅ……んふぅ……」
 額に汗を浮かべながら、左右方向へも女の膨らみを滑らせる。
 中年の背中はやたら広くて苦心するが、一般的に敏感な脇腹も、乳肌でしっかり包み込むよう気を遣った。
 肉体を清めるよりも女体の感触を味わわせるのを意識して、ねちっこい泡踊りを堪能させる。
 浴室内には、ヌチャヌチャという卑猥に粘つく水音が木霊していた。
 奉仕される男の見えないところでは、Tバックが突き出ている。はみ出す白い双臀は、女体の動きに合わせて波打ち、細かい汗が浮いていた。
「申し分ありません……お、ぉうっ……最高のもてなしですよ……くあぉ」
 いい年した男はみっともないあえぎ声を上げている。
 上手くいってるのを実感して百合枝の胸は弾んだ。
 好意などない相手だが、夫に課された自分の役目を果たせているのは嬉しい。
「ただ……」
 喜んだのもつかの間、ご満悦なはずの中年が注文をつけてきた。
「乳首も使ってもらえますかな」
「そ……それは……」
「夫人のぶっとくてお硬いのは、微細な凹凸にも入り込む最高のブラシになるでしょう。わしの隅々まで洗ってやってくださいませんか」
「か、かしこまりました……」
 ゲストに希望されたら断れない。
(誤魔化していたのに……はしたなく勃起してしまってるところも使うことになるだなんて……)
 本当はイヤなのをおくびにも出さずに、一度おずおずカラダを離す。
 十センチほど距離を置いても、ずっと密着させていた双乳の下側と、男の太く浮き出る肩甲骨の内側周辺は、白い糸をいくつも引いている。
(ヌルヌルのソープで摩擦させたら……いやらしい反応をしてしまうかも……いいえ、いくらなんでも、こんな男の後ろでそこまでの醜態をさらすことは……)
 不安に思いつつも、正面からゆっくり抱きついていく。
「最初は乳首だけ、触れてくれますかな」
「は、はい……」
 もしかしたら、意識して触れないようにしていたのに気づいていたのかもしれない。
 釘を刺されてドキリとしつつ、言われたとおりにする。
 平らめにしこった女の双頭を、石けんまみれでも脂ぎって見える壮年の背中に触れさせた。
「この感じは間違いない……だいぶビンビンですなぁ。ソープを塗り込んでいたときも膨らんでいたようですが、わしを洗ってこんなになったのですかな」
「ご冗談はおやめください……ん……私はこのようなことをしていても……人妻なのですよ? いくらゲスト様にご奉仕していても……」
「失敬。では、無礼者の背中にそのまま、ご立派な妻巨乳を押し込んでください。サイズ負けしていない乳首を垂直に押しつけるのです」
「このような具合で……んふ……よろしいでしょうか……んんぅ」
 湧き直した嫌悪をこらえ、体重を込めてしなだれかかる。
「おおぅ……くおお……結構です……ああ……とてもお上手です」
 柔らかさよりも弾力が勝る双頭と、それと比べたら柔らかさの比率が高い双乳
の感触を同時に背中に浴びて、椅子に腰掛ける中年の総身がブルブル震えた。
 浴室内に反響するあえぎ声も、切羽詰まっている。
「あっ……ありがとう……あうぅっ……ございます……ふうぅっ」
 中年も快感だが、やってる百合枝も性感を覚えて声が震える。
(そんな……ああ……自分で思っていたよりずっと……あっあ……乳房も乳首も感度が上がっていて……ああぁ……いけないのに……感じてしまうぅ)
 望まぬ喜びの電流は突起から乳房へ巡る。
 女の熟れた膨らみを押しつけている間中、止まらない。
 自分で自分を追い込んでいると意識すると、なぜか背筋がいやにゾクゾクする。
(こんなことをするのは初めてではないのに……始めたばかりでここまで感じやすくなったことはないわ……どうして……)
 泡姫妻には困惑する暇もない。
 中年に「そのまま乳首を擦りつけながら、またお願いします」と催促されたら、望まれたとおりに奉仕するしかないのだ。
「んっ……ただいまご奉仕いたします……んんっ……くふぅ……うぅん」
 漏れる恥声を必死に押し殺しつつ、上下左右に上半身をくねらせる。
 ヌルヌルを強化しているだけでなく、揮発しにくくもしているソープは、まだたっぷり柔肌に残っていた。
 表面積が増えた分、今まで以上に甲高く、ヌチャヌチャという摩擦音が浴室を満たす。
「あぅん……お加減はいかがでしょう……んぅぅ」
 乳首ごと乳房をなすりつける、とっかかりのない摩擦感に、双乳が火照る。
 人妻が他の男との触れ合いで感じてはいけない情動は、膨らむ一方だ。
 それでいて質もグングン上がる。性感の波動は全身に広がり、軽い痺れを起こしている。
 面長に整った美貌まで艶やかに上気していた。
 厚ぼったい唇からは、こらえきれなかった甘い声が溢れ始めている。
「素晴らしいです……うおっ……うあ……乳首のコリコリした感じと、オッパイのムチムチした感じを背中いっぱいに同時に浴びるのは、まさに極楽……んッ」
(乳首が勃起してることを……そんなに強調しないでよ……)
 羞恥を煽られて、またカラダが熱くなった。
 白い泡と粘液は、ソーププレイの間に後ろ半身にもだいぶ飛び散っている。
 だが、陶器みたいに白い女体は、湯煙の中でほんのり桃色に色づいていた。
 中年の背中で常に別の形にひしゃげ続ける双乳は、さらに濃く赤面するとともに膨らんでおり、泡や薬液が途切れるところどころで青筋が浮いている。
(うぅ……頭がぼーっとしてきたわ……このまま言葉で嬲られたら、完全に主導権を握られてしまうかも……早く満足させなくちゃ……)
 床についていた両手を思い切って動かした。
 お腹が突き出た中年の前半身に巻き付ける。
 同時に自分の胸元を完全に体重をかけて男の背中へ預けた。
「ぬおッ……これは……ッ」
 驚く中年に両手を使って抱きつきながら、縦横無尽に双乳を擦りつけた。
 胸元もお腹もヌルヌルの細腕でまさぐると同時に、背中全体を摩擦する。
 これまで以上にカラダを揺すり立ててする泡踊りに、二十七歳の熟れた柔肌も揺れ弾む。どこにも触れていないヒップは、自分でも分かるくらいに躍動し、甘い香りの小さい泡と飛沫が背後の壁や横手の檜風呂まで飛んでいる。
「んふっ……くふぅ……いっぱい気持ちよく……キレイになってくださいね……んふぅぅ」
 口元が耳の側に来たら力一杯抱きついて、熱い吐息を吹きかけた。
 意識して出す甘い声も染みこませると、中年の肉体は面白いほどブルブル震える。
「あっ、あくぅぅ、これはすごいっ」
 中年はシンプルな賞賛の言葉を連呼する。
 いやらしい言葉責めをする余裕をなくし、ただただ熟れた人妻のカラダを存分に味わわされる性感に打ち震えていた。
「まったく大した技術をお持ちだ……旦那様にもしてあげてるのでしょうな」
 あえぎ声の合間に出た言葉に、人妻のカラダが静止した。
「主人は……私のこういうことは好みじゃないようで……」
「なんと……やり慣れてる様子ですからして、てっきり毎晩のようにしてあげていると思えば……もったいない。わしなら毎晩して欲しいくらいですぞ」
「や、やめてください……んっ……んふぅっ」
 舌を巻いてくれるだけでなく、本気でやって欲しそうな言い方に胸を突かれた気分になったが、気を取り直して再開する。
(辱めるようなことを言わなくなったと思えば……また、優しい言葉をかけてきて……この男は私には毒よ……)
 カラダだけでなく、心も甘く揺すぶられたのに見て見ぬ振りをする。
 相手は罠にはめるべき標的。
 打ち解けた気分にさせるのは都合がいいが、自分がそうされてはいけないのだ。
(幸い、私のテクに溺れかけているようだし……致命的におかしなことをされないうちに、早く済ませた方がいいわ)
 男に「失礼します」と断って、巻き付けていた両手ごと双乳を離す。
 すると、なんともいえない切なさに襲われた。
(え……なにこの寂しさは……)
 肥え太っていると蔑む肉体に触れていた両手と、乳房を中心とした前半身に、辛い寂寥感が襲ってきた。
(抱擁を解いたら相手の温もりとの触れ合いも解かれるけれど……あぁ……カラダが疼くほど酷いのは初めてよ)
 経験のない感覚に我慢できなくて、冷えた身体で湯船に飛び込む心地で、そそくさと前に回って膝をつく。
「今度は前を洗わせていただきますね……んふっ……んんぅぅ」
 返事を待たずに、やたら太い首に両手を回す。
 そのまま、恥ずかしいまでに勃起した乳頭から壮年の胸板に密着していく。
「お、おほっ……ここまでしてくださるとは……おおぅッ」
 背中以上に敏感な五十三歳の前半身に、二十七歳の人妻のそれがピッタリ重なるなり、今まで以上に下品なあえぎ声があがった。
「前もしっかり……んっ……んふぅっ……キレイにいたします……んふぅぅ」
 膝をつけたカラダを上下左右にうねらせ、凹凸の激しい肥満体をしっかり摩擦する。
 口元と耳の高さが近づいたときは、甘い声で「具合はどうですか、気持ちいいですか」と訊ね、熱い吐息を耳の奥まで吹き付けた。
「おおぅっ……おおほおお……さ、最高ですぞ……おおっ」
 弱みを見せたらまた言葉責めされるからと、今度は乳頭からのしかかっている。
 背中で感じた悦楽を前で味わうのは格別らしく、それを指摘する余裕もない。
 みっともなく荒ららぐ呼気を隠しもせずに、涎を垂らして顎を引いている。
「くおぉっ……料理上手で泡姫としても一流と言っていい、熟れた人妻のカラダが……わしにしがみついてのたくってる光景も眼福ですな……ふぅぅッ」
 昇天させるつもりで抱きしめ、擦りつけている女体は、背中からしていたときよりも大きく弾んでいた。
 なめらかな背中は常に上下左右にのたくり、突き出されたTバックのヒップも、これでもかというくらいに弾み回って波打つ。
 粘液を潤滑油にした肉体擦過音に混じって、尻タブ同士がぶつかる打擲音も響いている。
「あぁん……そんなにご覧にならないで……んっ……あふぅ」
 鼻先同士を付き合わせる格好をとり、甘えた声で呼びかけることで、恥ずかしいカラダの躍動場面を遮る。
 動きが小幅になった分、これまで以上に双乳を胸板に擦りつけていると、不満はでなかった。
 むしろ、脂ぎった目で積極的に見つめてくる。

     4

「ふふ……夫人……いや、奥さん」
 なんとなく、馴れ馴れしくなってきた。
「いい年をして、よその男にソーププレイをしているというのに、いやらしく蠢く自分のカラダを見られるのは、恥ずかしいですか」
「な、なにを……」
 即座に見破られて胸が弾むが、まだ序の口だった。
「前に変わると随分と積極的でしたが……背中から離れたときはそんなにも寂しかったのですね。またわしと肌身を重ねるのが気持ちよくて、調子がでましたか」
「そ……それは……っ」
 二の句が継げない。
 それらしいことを自分に言い聞かせても、再び触れた男の肉体は居心地がよかった。
 感じてはならない安心感混じりの快感があって、クセになりそうだ。
 僅かなりとも喜びの感情がなかったと言えば嘘になる。
「誤魔化してもダメです。証拠がありますからね」
「悪ふざけはよしてください……私は……」
「奥さんの顔です……すこぶる色っぽく蕩けている……嘘だと思うなら、そこの鏡へ顔を向けてはどうです」
「や、やめてください……」
 かぶりを振る所作も弱々しく、胸中でおののく。
(その鏡を……覗けるわけがないわ)
 隠しカメラが仕込まれている場所のひとつなのだ。
 もしも、自分が思っている以上の……それこそ、標的である卑劣漢の言うとおりの淫らすぎる顔をしていたら、ミイラ取りがミイラになった証拠を録画することになる。
 とはいえ、ゲストの言うことに逆らうなどありえない。
 途方に暮れていると助け船を出された。
「いいでしょう。ですが代わりに、こちらも洗ってもらえますかな」
「え……あっ……ひゃぁんっ」
 中年はクイクイ腰を突き上げ、水着に守られた女の秘孔を突いてきた。
 最初は肉土手に当たったものの、ほとんど間を置かずに繰り出された二回目は、性格に割れ目をとらえたではないか。
「ちょっと突いただけで、いい声を出してくれましたなぁ」
 ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべて嬲ってくる。
(ああっ……いつの間にか……アソコもすごく感じやすくなっていただなんて)
 壮年のオスのシンボルは硬く屹立していた。
 陰部を圧倒するまでに肥大しているのが、感触で分かる。
「どうやら奥さんも、洗いたそうですな」
 とぼけた風に言うのが憎らしい。
 目の前の二十七歳の女のシンボルの事情など見透かしていると顔に書いてある。
 悔しいが、男の肉竿を意識させられてから、無性に疼いてきた。
(奥が熱くて……あぁ……ふしだらにうねっている……まるで、触れているオスをすぐにでも食べたいと言っている風だわ……なんてことなの……)
 自分が思っていた以上に、己のカラダはこれまでのソーププレイで高ぶっていたのを、認めるしかない。
(私は人妻……商売女まがいのことをしていても、他の男をアソコで受け入れるわけにはいかないわ……でも……)
 眉根を寄せて懊悩する美人妻の顔を真正面から見る中年は、こんなことを言い出した。
「奥さんはわしをもてなすのが仕事でしょう。先に譲歩したゲストの頼みを断るのが、この家の流儀なのですかな?」
「うぅ……わ……分かりました……で、ですが……ひとつだけ……」
「なんでしょう」
「このことは……私と金田様だけの秘密にしてくださいませんか……? どうかよそ様には……特に夫には……」
「お安いご用です。お約束しましょう……では」
 言うやいなや、中年の太くてごつい手が機敏に動いた。
 お尻に触れると、手触りだけで水着のボトムスを探り当て、指を引っかけるなり膝近くまで下ろしてしまう。
「さあ奥さん。片足ずつあげてください。脱がせてあげます」
「あぁ……は……はい……んっ」
 逆らえない人妻は、これから大嫌いな肥満男とひとつになるのを知りながら、言われたとおりに足を上げた。合わせて自分も手を伸ばす。ズリ下げられた水着を金田から受け取り、震える手つきで完全に脱ぎ捨ててしまう。
「いい脱ぎっぷりでした。では、お互いにお待ちかねのことをいたしましょう。しっぽりとねぇ」
 伸ばした両手を使って我が物顔で、剥き身のヒップを撫でてくる。
 バストと比べて柔らかさが勝り、桃の輪郭を描く尻タブは、男の手つきに合わせてひしゃげ、フルフルと震えた。
「奥さん、力を抜いて。わしの誘導に身を委ねるのです」
「ん……承知いたしました……あふ……」
 もう、百合枝には、どちらがゲストかもてなす側かわからなかった。
 踏み込むつもりのなかった領域に足を突っ込んでいる実感に、心臓がメチャメチャに弾んでいる。
 だが、不思議と嫌悪は薄かった。
 それどころか、甘く妖しい情動が全身に広がり、手足が痺れている。
「この辺かな……」
 と、中年の手に力がこもった。
 軽く下に引かれるのに合わせ、百合枝も腰をゆっくり落とす。
「あっ……あんん……ああ……あ、当たってる……お、男の性器がぁ」
 すぐに、パンパンに膨らむ熱い尖りがめりこんできた。
 女体に阻まれてぜんぜん見えないというのに、金田は己の分身で正確に、秘孔を重ねたのだ。
「う、うそ……ああ……どうして一回で当てられるのよぉ」
「なに、ただの年の功ですよ……しかし、奥さん……素のしゃべり方になっていますよ?」
「あっ……す、すみません……失礼いたしました」
「とんでもない。率直な反応をいただけて嬉しいくらいです。なんなら、他人行儀な丁寧口調はやめてもらって結構です。わしに対しても権一と呼んでください」
「お戯れを……私たちは慣れ親しんだ関係ではないじゃありませんか……んっ」
「それは残念。だが、気が変わったらいつでもどうぞ……ふぅンっ」
 壮年は、今度はかなり強くヒップを下に押し込んできた。
 オスの腕力でねじ伏せにかかったみたいな所作に、女の細腰は自然に下がる。
 当たり前に、結合も深まった。
 陰唇を浅く割っていた、三角形のオス肉塊は、外と内の肉ビラを内側に巻き込みながら、粘膜の奥に入っていく。
「ひあああっっっ……そんな……信じられない……ません……こ、こんなに……大きいだなんてぇ」
 とっさに丁寧語で言い直すものの、声の裏返りようはごまかせなかった。
 敏感な入り口が、目一杯広がっているのが見なくても伝わってくる。
 挿入が深まるのと引き換えにラブジュースが押し出された。
 いやらしい気分になっている証の体液が、夫以外の男の肉竿を伝っているのも恥ずかしすぎるのに、匂ってくるレモン臭がやたら濃いのにも泣きたくなった。
「お褒めにあずかり光栄です。奥さんのマン汁も、すこぶるいい匂いですよ」
「ああ、か、嗅がないでください……んああっ」
「申し訳ない。意識しなくても鼻孔に入ってきましてな」
「い、言わないでくださいよぉ……んぐぅっ」
 大きくなり続ける膨満感に、思わず悲鳴を上げた。
「む、無理です、金田様のペニスは、私のには合いません、くふぅ、さ、裂けてしまいますぅ」
「またまた。旦那様のを、ココでお出迎えしてらっしゃるのでしょう? 毎晩とはいかないそうですが」
「主人のはこんなに大きくありません、あぅああ、ああ、許してくださいぃ」
 粘膜を引き裂かれそうな痛みと危機感に、涙声で訴える。
 中年はミリ単位で百合枝の尻を押し込んでいたが、顔をじっと見た後にやめた。
「どうやら本当にお辛いと見える。まだカリも収まってないのですがね……わかりました。時間をおいて馴染ませましょう」
 二十七歳の妻尻の高さはそのままに片手を離す。
 己の極太は抜かないまま、その手を前に持ってきた。
「あぁ……なにを……」
「チ×ポ洗いを中断する代わりに、オッパイで手を洗わせてもらいますよ」
 膝をついて直立している今、百合枝の胸元は金田の顔のすぐ側だった。
 指の一本一本がだいぶ太い手のひらが、無防備に突き出る巨乳の片方を下から軽く掴む。
「あっ……こんなときに……んぅぅっ」
 すくい上げては元の位置に戻すのを繰り返してくる。
 感度が増している熟れ乳には、それだけで性感が湧いた。
 痺れる快感に恥声が出て、乳房もはしたなく震えてしまう。
「こんなに大きくて感触もいいのに、おまけに敏感とは。こんなにいやらしい妻乳は初めてですよ」
 持ち上げては下ろすのを繰り返しつつ、ゆっくりだがリズミカルに指を食い込ませる。
 肉スイカと呼んでも名前負けしない豊胸は、男の指の浮き沈みに合わせて奔放にひしゃげた。
 指が食い込むときには緊張の、力が抜かれて乳肉が自然な形に戻るときには弛緩の乳悦が起こる。人妻のカラダは悩ましくうねり、触られていない方の乳房はタプンタプンと音を立てて揺れた。
 まだだいぶ付着している石けんの泡が飛び、甘い香りも拡散するが、一緒に漂う発情した女の生々しい匂いはだいぶ濃い。
「いやらしいだなんて……あッ……今、口に含んではダメです、ああぁぁっ」
 自由に揺れていた方の乳房のピンク色の先端を、黒ずんだ男の唇が包み込む。
 首を伸ばす不安定な体勢だというのに、金田はイヤに器用だった。
 口に含んだブドウ粒大でプリプリした突起を、丁寧になめ回す。
「ううっ……あああ……そんなに優しく……ああ、舐めないでください……ンン」
 特に敏感な部分だというのに、痛みを一瞬も味わわせない。
 常に鋭くも甘い乳悦を体験させられ、意識がぶつ切れになってしまう。
「ああん……いや、です……夫以外の男性に、こんな気持ちにされるのはぁ」
 胸を揉みたてられるのも、乳首を舐められるのも、身を委ねてしまいたいくらいの快楽だった。
 しかし、許されない。
 自分は人妻であり、相手は罠にはめて排除すべき悪にして、夫の敵なのだ。
「奥さんのカラダは、満更でもなさそうですがねぇ……ちゅぱ、ちゅぱっ」
 自分のツバと舌の感触を丁寧になすりつけ、染みこませる舐め方をするだけでなく、赤子のように吸いもする。
 強く弱く緩急をつけ、絶対に慣れさせない。
 のべつまくなく、頭が白く染まってぼーっとしている。
 お陰でもう、なにがなんだか分からなかった。
 全身が痺れておぼつかない。
 けれど、責め立てられる双乳と、極太を押し込まれている秘部の感覚だけは鮮明だった。
「ああ……あぁっ……あ……れ……は、入って……きてる……?」
 ようやく気がついた。
 巨乳に夢中に見えた中年は、挿入もしっかり進めていたのだ。
 乳悦のあまり踊ってくねるヒップを片手で誘導し、浮き沈みさせていた。
 そうして徐々に、結合を深めている。

     5

「えぇ、お邪魔してますよ、奥さん。オッパイでお楽しみのお陰で、あなたのオマ×コはわしのチ×ポにどんどん馴染んでいますぞ」
 急がず焦らず、ちょっとずつ確実に奥へ入り込んでいる。
「早く口いっぱいにわしを頬張りたいと言わんばかりに、涎を垂らしてまぁ」
 小刻みの疑似ピストンのリズムに合わせて、卑猥な水音が生まれている。
 挿入し始めたときよりも高く、匂うレモン臭もキツくなっていた。
「うっ……うっ……い、いやらしい言い方をなさらないでっ……んふぅぅぅ」
 抗議するが蜜壺は確かに、信じられないレベルで反応してしまっている。
 細かいヒダのひとつひとつが、少しずつせり出し始めていた。
 ラブジュースの分泌量も甚だしいが、粘膜の赤熱ぶりにも驚かされる。
 なにより、極太を埋められるのはあんなに痛くて辛かったのに、苦しみはもうほとんどない。全身を冒す悦楽の痺れすら小さく生じているだなんて。
「こんなことって……あの人との初夜も……それから暫くも……気持ちいいと思うことはなかったのに……」
「ほほぅ、それは大変でしたな。辛かったでしょうなぁ」
 金田はいつもの小馬鹿にした笑みでなく、心底同情する顔をしてきた。
「し、知ったようなことをおっしゃらないでっ」
 立場からつい声を荒らげたが、中年の態度は揺るがない。
 泣く子供をなだめるみたいにヒップをさすり、いいこいいこする仕草で片乳をこねてくる。
「夫のために、自分を賄賂にするのも本意ではないのでしょう? いろいろな人間を見てきたわしには分かりますぞ」
「や……やめてください……ああ……お願いよぉ……」
「だが、心からしているものでなくても、奥さんのおもてなしは堪能させてもらいました。実に素晴らしかった」
 金田の眼差しも言い方も真摯だった。
 演技や冗談やからかいでしているとは、とても思えない。
(いくら優しく接してもらっているからって……ほとんど今日が初対面で……とても好みの性格でも体型でもなくて……夫の敵の悪人にこんな気持ちを……)
 目を合わせていると、打ち解けた気分になってくる。
「もしも心からしたとき……どれほどの極楽なのでしょうねぇ……おおっ……届きましたぞ」
 いつの間にか、百合枝の顔は金田と見つめ合える高さまできていた。
 しっかり目と目を合わせてきた中年の頬が緩む。
「わしのチ×ポの先と奥さんのオマ×コの天井が、ピッタリ重なっているのが分かりますかな?」
 ゆっくり太った腰を揺らす。
 途端に、濃密な悦楽が百合枝のお腹の底から湧いた。
「あうあ、ああ、とどいてます、ああぁ」
 声はまともに震えている。
 しかも、自分が聞いたことのないレベルに甘くうわずっていた。
 意識して出しているのではない。勝手にそうなるのだ。
「い、いけませんよぉ、あぁぁ、あの人もペニスで感じたことがない場所なのですよ、ああ、なのに、金田さんが知ってしまうなんてぇ」
「旦那様も触れられないオマ×コの奥も使って、わしのチ×ポを洗ってくだされ……オンナの部分を全部使ったおもてなしも、喜んでお受けします」
 悦楽でわななくヒップの律動を利用しにかかる。
 挿入したときと同じく、浮いたお尻を一定のリズムで己の股間に押し込んでは、力を抜いてまた浮かせるのだ。
 自分は振らず、百合枝にだけ上下に腰を振らせる形で、性器同士を擦らせる。
「奥さんの破廉恥な汁とヒダ肉で、チ×ポを洗ってもらえるのは最高ですぞ」
 己の胸板の前で、ブラブラゆさゆさ揺れ弾む巨乳を下目使いで見つつ、政敵の妻の媚肉の具合を楽しんでいる。
「二十七歳とは思えない、フレッシュにプリプリしている。それでいて、熟女のこなれた感触を内包していて。一度味わったら夢に出そうですなぁ」
 今度は見つめ合って話しかける。
 その間も妻尻は完璧に掌握していた。
 さりげなく撫で回すことでヒップの上下動を加速させている。
 ところどころに纏う泡よりも白い双臀は、黒ずんで分厚い手の平に這われる間、波打ちながら弾んでいた。
「しかも、日頃のエクササイズの賜でしょう。締まりも素晴らしい。メイクだけでなく肉体美も追究するオンナの具合はひと味違うが、奥さんは別格ですぞ」
 鼻息荒く褒めちぎりつつ、両手を使って密かに抱き寄せる。
 身じろぎすることでも調整しつつ、逃げようとしても力が入らずに抜け出しにくいポーズへ持っていく。
 今やふたりは体面座位で密着していた。
 胸元同士は軽くふれあう程度だが、運動を欠かさない人妻のムッチリと熟した太ももは、中年の太い腰を完全に挟みこんでしまっている。
「ああん……おっしゃらないで、金田さぁん……こんなときに言われたら……私……私ぃ」
 百合枝はなすがままだった。
 罠にはめて追い落とすべき悪の男に、夫も触れたことのない場所を我が物顔でノックされているというのに、全身に力が入らない。完全に痺れきっている。
 心も同じだ。
 夫との情事では未経験の悦楽を味わわされながら、甘い言葉を連発されているうちに、親しげに名前を呼ぶまで蕩けてしまっている。
(ごめんなさいあなた……私、この男には……権一さんにはとても敵わないわ……)
 妻としての使命感も薄れていた。
 醜いと軽蔑していた体型は、頼もしいとしか思えない。
 自然にカラダが動いた。
 夫にもしたことがないのに、子供に退行して甘える心地で、自分からひしと抱きつく。両手は首に回して力一杯抱き寄せ、腰を挟んでいた太ももは食い込むまで締め上げる。
「ぅんんっ、金田さん、私、私もぅ」
「わしのチ×ポでイキたいんだな、百合枝」
 下の名前で呼ばれても気にならなかった。
(ああん、夫がいる人妻なのに、はあぁぁ、他の男と本格的にセックスしてしまっているのに、ううぅんん、どうしてこんなに気持ちがいいのぉ)
 むしろ胸が温かくなり、カラダはさらに熱い。
「はい、金田さんのチ×ポで、思い切りイカせてくださいぃ」
 言葉遣いを合わせるまでに媚を売る。
 眉目は悩ましくたわみ、瞳は劣情と愛欲で潤むというより濁っていた。
「百合枝の淑やかにキレイな声でチ×ポと言われると堪らんわい。旦那様と睦み合うときも、卑語を使うのかい?」
「いいえ、んぅっ、自分から言うのは初めてです、はああぁ、それに、夫との夜の営みは……睦み合うというものではありませんし……」
「なら、夫には言わないが、わしが大好きな下品な言葉をどんどん使うといい。余計なことはぜんぶ忘れて、このときの快楽に溺れるんだ」
 金田はラストスパートをかける。
 向き合う人妻の腰も、ほどなくうねりだした。
「溺れます、ああ、金田さんの立派なチ×ポで、私、ダメになります、ああン」
 とうとう、自分から豊満な乳房を胸板に押しつけ、体重をかけて前半身からよりかかりながら、お尻を振りたくってしまう。
「おほっ、こいつは凄い杭打ちピストンだわい……そうか、百合枝は奥で一番気持ちよくなりたいんだな? 生まれながらに奥が感じやすいとはいやらしい」
 エクササイズでは下半身もしっかり鍛えこまれている。
 全身の柔肉が波打つくらい激しい腰振りを、情事でしたことは一度もないが、中年に抱きつきながらするピストンには淀みがない。
 水音混じりのリズミカルな打擲音が、ふたりだけの浴室に木霊す。
「はあ、金田さんの肉体、ああっ、頼りがいがありすぎます、はああンン」
 でっぷり太った身体は、胸とお尻が抜群に大きくて重い人妻のカラダを危なげなく支えている。その頼もしさにも胸の奥がときめいた。
「ここまで来たらキスしようじゃないか。キスハメでふたりで気持ちよくなろう、な、百合枝」
「き、キスは……流石に……」
 残っていた人妻としての矜持が反応した。
 接吻は結婚式の時、祝福してくれた友人知人や親族の前でした神聖なもの。
 事情が絡み合った結果、オンナのシンボルを明け渡してしまったが、ここまで許すのには抵抗がある。
 まだしていず、拒んで避ける余地があるだけに、いけないという気持ちは小さくない。
「こんなに色っぽい唇を見せびらかしておきながら、それはないぞ」
「で、でもっ」
「わしとのまぐわいで、こんなに艶やかに腫れ上がり、メスの色香を漂わせている」
 少しずつ遠ざかっていた後頭部を掴み、力ずくで引き寄せた。
「ココでももてなしてもらおうじゃないか……ぶちゅっ」
 壮年の黒ずんで分厚い唇が、アラサーの人妻の艶やかなものと正面から密着する。
「んんっ、んぅぅっ……ああ、ダメって言ったのに……ンぅううう」
 汚らしい男の舌は、すぐにピンク色の口内へ押し入った。
 悦楽で力の抜けた百合枝には、ここまでされたらなすすべがない。
 嬉しそうにのたくる男舌に、桃色の妻舌は舐め回される。
(ああ……強引に唇を奪われて……夫にもされたことのない……ディープなキスを一方的にされているのに……あああ……気持ちいいぃ

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夜山の休憩所 2022/05/05 16:40

ハニトラ・ワイフ(書き下ろし小説アップしました)(2022年5月05日)


いつも応援ありがとうございます。

100円の有料プランにて、
本日発売された同人作品をアップしました。

掲載内容は次のとおりです。
・製品のPDFデータ版(表紙、表紙差分、文章すべて収録)(右綴じ)(100M強)
・同上の軽量版。(左綴じ。しおりは最低限)(1M強)
・表紙(トリミングなし)
・表紙の帯なし差分(トリミングなし)

この記事は来月にも掲載します。
今のところ有料プランにアップした内容は、
翌月にも掲載しています。

なお、この下の方にも文章を載せています。
途中までとなっていますが、
有料プランの方でDLできるPDFデータには、
全文が収録されています。
続きはそちらか製品版でおたのしみください。

よろしければご利用ください。



■作品につきまして■

●タイトル(英語名)※国内販売オンリーです。
「ハニトラ・ワイフ」(Her honey trap)

●種類 小説

●分量 短編(文庫換算で100ページ程度)

●ご紹介
 ハニトラ妻VS悪の中年重役

●傾向 
 書き下ろし。短編。人妻。
 ご奉仕プレイ。快楽責め。背徳。
 オッパイ。ソーププレイ。体面座位。正常位。
 中出し。
 浴室。夫婦の寝室。

●お値段 250円(税込み)

●販売店
https://amzn.to/3kFyxn9

●その他
 アマゾン様のキンドルでのみ発売中です。
 他のお店で販売する予定は今のところありません。
 Kindle Unlimited(読み放題)でもお読みいただけます。

●小説、表紙イラスト 石川檸檬(いしかわ れもん)
 (木森山水道、石川れもんの別名です)
 ・ツイッター https://twitter.com/kimoriya31


「最近の作品」

●木森山水道(きもりやま すいどう) 名義
・「純愛闘士ピュア・ストラグル 正義の力は不倫で輝く」
  表紙、挿絵:肉バキューム 先生
  出版社:キルタイムコミュニケーション 様
  公式サイト:http://ktcom.jp/books/2dn/dnd39
  主な販売サイト:https://amzn.to/3btu9D4

●石川檸檬(いしかわ れもん) 名義
・「ハツハメ 内定と引き替えに恋人の父に捧げる晴れ着姿」
 表紙:ロッコ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900680000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3rqvj9M

・「ハメクリ ビキニサンタ姿で夫の部下にハメられる人妻のメリークリスマス」
 表紙:ズッキーニ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900630000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3FpLQRo

・「ナツハメ 色白人妻が年下男たちに何度もイカされた話」
  表紙:ロッコ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900350000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3CBOsKr
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

・「強○スワッピング 生贄になった人妻」
  表紙:アレグロ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900330000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3w1MJM0
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

●同人作品(サークル:夜山の休憩所)
・「たばかりギャル」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「バレンタイン・キッスのユクエ」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「魔滅の巫女」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「ギャル義母」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「年越しネトラレ」(FANZA専売)
・「気の強い美妻 ゲス重役とのホワイトクリスマス」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「なれそめのゴー淫ハロウィン!」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)ほか

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 ご利用いただければありがたいです。




「ハニトラ・ワイフ」
※途中まで。続きは有料プランのデータか製品版でお楽しみください。


主な登場人物紹介

 一 百合枝(ニノマエ ユリエ) 夫のためにハニートラップする巨乳妻。27歳。
 金田 権一(カネダ ケンイチ) ハニトラを仕掛けられる悪の会社重役。53歳。

※製品版では各節へ「しおり機能」でジャンプできます。


     1

「お背中をお流しいたします」
 湯煙に包まれる檜風呂に、しっとりした美声が静かに響く。
 桶を持つ一百合枝が足を踏み入れると、ツヤのある生白い柔肌が波打った。
 被服の本来の目的を果たすというより、男の野卑な歓心を煽って喜ばせるための、極端に布地の少ない水着を纏う豊満な乳房と双臀は、恥じらいながらも大きく揺れている。
「お、奥さん……もとい、夫人……これはいったい」
 先客の金田権一は、身体ごと振り返って目をむいた。
 五十三歳の壮年の男は、洗い場の椅子に腰掛けている。
 胸元に石けんの泡がついているのは、身体を洗い始めたからだろう。
「お招きしておきながら急用で留守にしてしまった主人には、よくおもてなしするよう言われておりますから……」
「なるほどこれも…………雪解けを望む気持ちの表明というところか」
 金田の目に、野獣めいた気配が宿った。
「据え膳食わねばなんとやら、もとい、折角のお申し出を断るのも失礼だ。謹んでもてなされましょう」
 百合枝は二十七歳。
 金田にしてみれば、実の娘ほども年の離れている。
 人妻であることも分かっているというのに、脂ぎった目つきで全身をなめ回す。
(あぁ……こんなにすごい目で見られるのは初めてだわ……)
 百合枝は無意識に桶を持つ手を胸元に持ってきた。
 とはいえ、アラサーの乳房は片方ずつが男の顔なみに大きい。
 視線を遮れるのは、押しくらまんじゅうしながら盛り上がる谷間付近だけで、脇の下を優にはみ出す外乳は、依然として性欲の目にさらされている。
 心が怯みかけているのを自覚して、自分に強く言い聞かせる。
(しっかりするのよ百合枝……あの人のために、会社のために……役目を確実に果たさなくてはいけないわ)
 百合枝の夫は、上場企業に勤める四十一歳。
 会社の要職につく父親の仲立ちで結ばれた彼は、強い後ろ盾を得てから頭角を現し、今では取締役のひとりとなっている。
 社内で強い影響力を持つ営業職の部長である金田は、敵対派閥の首魁だ。
 百合枝が夫から聞かされた話では、表沙汰にできないようなやり口を続けており、野放しにしていれば遅かれ早かれ会社は危うくなるという。
(取締役夫人に手を出したとなれば、尻尾を出さない古狸も袋のネズミ……私のカラダで弱みを握る夫の作戦は、絶対に成功させてみせるわ)
 夫が不在なのは偶然ではなく、手を出しやすくさせるための計略のひとつ。
 浴室では、無数の隠しカメラが稼働中だ。
 それらしい動画が撮れさえすれば、あとは最新の技術を使って音声と映像を編集……夫がいうところのディープフェイクというもので、追い込める寸法である。
(ハニートラップなどという汚いことを仕掛けるのには良心が痛むけれど……取り柄のない私でも夫のために……正義のためになるのであれば……今回も)
 胸元にもってきた桶を持つ手は震えていたが、意識して細いくびれの辺りに戻した。
「夫人の……一取締のおもてなしは、謹んでお受けいたします」
 真面目くさった口調で応じる金田だが、目は相変わらず野卑にたわんでいる。
「さぁさ、もっと近くへ来てください。まずは、ご奉仕してくださるという夫人のルックスを、しっかり見せてもらいましょう」
「い、いえ……すぐにでもお背中を……」
「せわしないことをおっしゃらず。夜は始まったばかり。ゆっくりもてなしてくださいな」
 頑なになって気分を損ねるわけにはいかない。
 できるだけ心を緩ませ、ハメを外させることは、ハニートラップの成功に大きな影響を与える。
(早く済ませてしまいたいのに……)
 百合枝は渋々、不正も行い地位を築いている中年の前へ向かう。
 緊張でこわばる身体を、なにごともないように動かして、二、三メートル向かいのところに立った。
「ここでよろしいでしょうか」
「十分です。では、じっくり拝見しましょう。夫公認で伴侶のカラダを鑑賞できるなど、人生で一度あるかないかですからな」
 声を上げて笑う彼。
 でっぷり太って大柄な男に見合う大声量が、湯気に包まれる和装の浴室に木霊した。
(知らないと思ってよく言うわ……)
 夫によれば熟女にも若い娘にも欲情する色魔であり、人妻であろうと恋人がいる女性だろうと、せせらわらって毒牙にかける鬼畜らしい。
 教えられたときは、いくらなんでも誇張が過ぎると思ったが、実際にこうして、男と女として向かい合っていると、真実な気がしてくる。
 いくら夫の許しがあると聞いたとはいえ、商売女を値踏みするみたいな視線をすぐさま投げかけてくるだろうか?
「こうしてみると、女性にしては長身なのですな」
 五十三歳の中年は、浴室用の椅子に狭そうに座り、腰にフェイスタオルをかけながら、上司の二十七歳の妻のカラダを鑑賞する。
「誰が見ても淑女と思うに違いない、落ち着いた雰囲気の整った顔立ちがハマっていますぞ」
 ニヤニヤ笑う顔には〝お綺麗な重役夫人が、風俗嬢の真似事とはな〟と書いてある。
 直視するのは辛くて目を逸らすが、下劣な中年はますます機嫌よく品評する。
「上に行くほど逆三角にムッチリする長い足も見事ですが、モデルみたいに細いウエストの上下に実る、オッパイとケツも最高ですなぁ」
 まだ丁寧語を使っているが、下品な本性が現れてきた。
 まだアラサーながら、女盛りのアラフォーにも負けないくらいに熟れたセックスアピールに、特に熱い視線を送ってくる。
(ああ……いや……)
 まるで手かなにか、壮年の身体の一部で直に触られている気がしてならない。
 不快な錯覚に我慢できずに、思わず右へ左へ実をよじってしまう。
 乳暈の周りの狭い範囲にしか布がない水着の巨双乳も、バックはTバックの熟双丘も、歩くとき以上に揺れ弾む。
 波打つ柔肉からは、男にとってはフェロモンでしかない女の体臭が余計にこぼれ、周囲に漂い始めた。
「そんなにご覧にならないでください……」
 女の色香で油断させようという者としては言ってはならないことまで、口にしてしまう。
 いけないとは思うのだが、性欲の視線に肌をさらすのも、下品な感想を聞かされるのも、人妻として女として恥ずかしすぎて辛かった。
「おっと失礼。素晴らしい美貌を見せてくださる夫人を、困らせるつもりはありません」
 殊勝なことを言うものの、顔は相変わらずニヤけている。
 女を辱めて喜ぶタイプなのだ。
「お顔もスタイルも抜群ですが、日々のお手入れは大変でしょう。ねぇ」
「え……えぇ……」
「美容液の類いは当然として、やはり運動もされてるので?」
「夫が屋敷に設けてくださった設備などで少々……」
「おお、スポーツジム顔負けのトレーニングルームですな。噂で聞いておりますよ。取締役の男前の秘訣とか。旦那様がイケメンなら、奥様は美女というわけだ」
 感心してうなずく様子からは、下卑た気配がなりを潜めていた。
「そんな……」
 百合枝の頬が赤らんだ。
 愛する夫を褒められるのは嬉しいし、他人と交わらずに美容の増進に励む努力を認められるのは、たとえ標的によるものであっても胸が温かい。
(美しさを保つのは私の仕事だから当然と考える夫は言ってくれない優しい言葉が……この人の口からは出た……)
 心がかすかにざわめくのを百合枝は感じた。
 最後に覚えたときを思い出せないくらいに飢えていた甘い気持ちだが、浸っていいときではない。
 意識して気を取り直してしゃがみこみ、横に桶を置く。

     2

「そろそろ準備いたします……よろしいですか?」
 申し訳程度の面積しかない水着の乳房と、剥き身のゆで卵めいた桃尻を揺らして屈むなり、断りを入れる。
 すると鑑賞するのに満足したらしく「構いません」と笑みを浮かべた。
 そのままじっと見つめてくる。
 狙われているのは、少し身を乗り出している乳房だ。
 漂う蒸気の水滴をはじいて、今にも破裂しそうな水風船じみた豊胸に、愛撫じみた目線を注いでいる。
 女遊びの激しい男だけに、〝背中を流す〟という意味を正確に理解しているのだ。
 これから上司の妻が、ソーププレイをするのを見越し、肉体洗浄のために主に使われるであろう乳房への期待を膨らませているに違いない。
「あの……ラクになさって少々お待ちいただけますか?」
「もちろん、くつろがせてもらっておりますとも」
 遠回しに背中を向けて欲しいと言ったのに、愛想よく断られてしまった。
 ニコニコしているが、瞳は性欲のドス黒い炎で満ちている。
 人妻がカラダ……特に抜群に大きいオッパイに、持参したボディソープを塗りたくる様子も、じっくり楽しもうというのだ。
(これからもっと破廉恥なことをするとはいえ……準備するところまで見世物にしなくてはならないだなんて……)
 気分を悪くさせるわけにはいかないのに、胸中でため息がこぼれる。
 視線から逃れる気持ちで、ゲス中年から目をそらしつつ、ボディーソープのポンポを押す。
 添えた手にミルクの香りの粘液をたっぷり溜めたら、密かに深呼吸した。
「さぁ、お気になさらず存分に塗りつけてください」
 鼻息が荒らいできているのを隠しもせずに、実質的に命じてくる。
 応えたつもりはないものの、意を決して両手を持ち上げた。
 胸元の高さで手のひらを水平に合わせ、湛えられていた白い液状石けんをよくまぶす。
 これから塗りたくる巨乳は、動きに合わせてゆさゆさ揺れた。
「お目汚し失礼いたします……んっ……」
 目を背けたまま断って、両手で両方の下乳に触れた。
 そのままさする動きで塗りつける。
 夫でもない男性の前で、自分の乳房に粘液を付着させるのは恥ずかしすぎた。
 カラダが芯から熱くなるのは、お風呂が沸いた浴室にいるだけではない。
「んぅ……んふ……こんなことをご覧になっても……退屈ではありませんか?」
 いるだけで噴いてきた細かい汗と石けんが混じり、下乳全体がみるみる泡立っていく。
 淫らな姿を見られる羞恥は募る一方で、吐息まで湿っている。
「いやいや、眼福です。夫人の手料理にも、星付きホテルのディナーよりも癒やされましたが……泡で着飾っていく姿には、元気が湧いて止まりませんぞ」
 重役歴の長い百戦錬磨なら、暗に見るなと言ったのに気づかないわけはないのに、平気な顔でとぼける。
 それどころか、見ないで欲しいと言いにくくするように釘を刺してきた。
(何を言っても無駄ね……)
 諦めて事務的にこなすことだけに集中して、水着からはみ出す横乳と上乳も白い粘液を塗りこめ、泡だらけにしていく。
「わしの目は気にせず、水着の下にもソープをたっぷりまぶしてください」
「ぇ……」
 双乳には全体的に石けんはついている。
 そろそろ腹部に取りかかろうとしたときに提案され、人妻の動きが止まった。
「そ、ソープはもう胸に十分つけましたから……後はカラダにも塗って……」
「旦那様はご不在。この浴室には……いや、このお屋敷にはふたりきりなのです。なにを恥ずかしがることがありましょう。さぁ、さぁ」
「で、ですが……」
「……もしかして、わしに剥がせてもらえるのですかな?」
 下卑た笑顔を絶やさない中年の前身に、獰猛な気配が膨れ上がった。
「お客様の手を煩わせるおもてなしなど、ご、ございません……じ、自分でいたしますっ」
 本気でやりかねない空気に慌てて、下乳側の布地に指を引っかけた。
 ぎゅっと目をつむって、おもむろにたくしあげる。
 少し持ち上げただけで、布地が勝手に離れた。
 事前にすべりがよくなっていた乳肌を這い、泡と粘液を掃いて溜めつつ、鎖骨の手前まで上ってしまう。
「ああ……そんないきなり……」
 予想外のアクシデントに、両手の指が宙をかく。
 丸出しになった乳房を隠すのも忘れて、百合枝の目が白黒した。
「おおっ……これが夫人のナマオッパイ」
 中年はマイペースで凝視してくるが、黒ずんで分厚い唇は割れ、感嘆のため息がこぼれている。
「このサイズなのに、水着がなくなってもまるで垂れないとは……たゆまぬエクササイズの賜ですな」
 それぞれが自分の顔と同等以上に大きい巨乳が、わずかにそっぽを向き合いながら迫ってくる迫力に、流石の色魔の目は丸い。
「生得的な乳首と乳輪もお見事。並の乳についていたら大きすぎて野暮ったいところだが、夫人ほどの巨乳には、素晴らしく映えていますぞ」
 人工的に白い粘液と泡を纏う生白い豊胸の中心は、若い娘と比べても遜色ない鮮やかなピンク色だった。
 高級ブドウの粒みたいに大ぶりな先端が、ツンと斜め上を向いている様子に、瞬きを忘れて見入っている。
「あああ……そんなにご覧にならないで……恥ずかしいです……」
「大変立派なのですから、むしろ胸を張ってください。さぁさぁっ」
 強く言われて気圧されてしまう。
「こ、こう……ですか……」
 真っ白になりかけた頭の中に入ってきた言葉に合わせた。
 五指をつけて外側から回した両手の小指で鎖骨に触れるポーズをとる。
 身じろぎに合わせ、ピンク色の尖りの周辺は、水着の生地の形に残っている双乳がふるふる波打つ。
「そうですそうです……ふふ、貞淑そうな顔を赤らめて、夫専用の熟れた妻乳を強調するその姿は堪りません……素晴らしいもてなしですよ」
 湯気でけぶる中、しおらしく巨乳を見世物にする二十七歳の人妻に興奮した五十三歳は、おもむろに手を伸ばした。
「やはり、もてなされているだけでは心苦しい。お手伝いさせてもらいます」
 百合枝が中身を出して双乳に塗っていたソープのボトルを掴みあげると、焦った手つきでピストンする。
「あぁっ、やめてください……あン、ソープをかけないでぇっ」
 羞恥で火照った豊胸には、いつもひんやりしている石けんは冷たすぎた。
 いやらしい視線と言葉を浴びせられ続けるカラダとの温度差で、粘液の塊が飛んで粘る度に、妖しい情感が湧く。
「遠慮なさらずに、そら、そら」
「ああ、ほんとうによして、あンン、そんなにかけられたら……はああ」
 もてなす側としての言葉遣いを保てなくなるだけでなく、男の情欲を煽る甘い声まで出してしまう。
「わしを洗ってくださろうというのですから、それこそ泡だらけになるまでつけないといけませんぞ……とはいえ、そろそろ塗り伸ばす頃ですかな」
 中年はボトルを放り捨てた。
 両手の指が、準備体操と言わんばかりに屈伸する。
「じ、自分でできますっ」
 胸を手始めに、石けんがついていない後ろ半身までまさぐられそうな雰囲気に、急いで両手を使う。
「急がず慌てず。ゆっくりでいいですからね」
 穏やかに告げる中年だが、目は笑っていない。
「は、はい……んっ……んんっ」
「おお……夫人の巨乳が……あんなにひしゃげながらソープまみれ、泡まみれになっていく……眼福眼福」
 焦る気持ちがにじみ出るゆっくりした手つきに合わせて、裸の熟乳が変形し、乳白色のぬめりを帯びていく様子に、中年の相好が再び崩れた。
「乳首にもたっぷり、塗ってくださいね。そこもわしの身体を洗う道具になるんですから」
「もちろんです……んっ……くぅっ」
 先端は指の腹で挟んで揉むことでヌルつかせる。
「気持ちよかったら、声を出して構いませんよ。夫人は涼しげな美声の持ち主ですが、先ほどの甘い声も魅力的でした。もっと聞かせてくれますかな」
「年甲斐もなくはしたない声を出してしまい……お耳汚し失礼いたしました……あふっ」
 優しくこすっても、感度が増した突起には快楽の毒だった。
 鋭い性感に貫かれ、背筋がときどき軽く反れる。
(私はいったい……なにをしているの?)
 二十七歳の重役夫人だというのに、乳首オナニーまがいのことをして、しかも夫とは敵対関係にある五十三歳にじっくり見られて、それどころか煽られている。
(こんなにも醜態をさらすつもりはなかったのに……うぅ……すっかりペースを乱されているのに……ああ……乳首……感じちゃう……)
 芯から硬くなり、しかも火照りが増している。
(ダメよ百合枝……夫のために、正義のために悪い男を失脚させるために、恥を忍んでいるのを忘れてはダメ……少ない取り柄をいかせなかったら私には……)
 熟れたカラダをビクつかせながら決意を新たにし、感じやすいところ以外もソープを塗り伸ばしていく。
 百合枝のハニートラップは、まだ準備段階でしかないのだ。

     3

「では……参ります……」
「待ってました。よろしく頼みますよ、夫人」
 前半身にソープを塗りたくり、白い泡でいっぱいにした百合枝が背後から声をかけると、浴室用の椅子に足を開いて腰掛ける権一は、はしゃいだ声をあげた。
 他人の妻がカラダを使い、風俗嬢のように肉体を洗おうとしているのに、遠慮や恐縮の気持ちは気配もない。
(自分の娘ほども年の離れた人妻がしようとしているのに、なんてふてぶてしいのかしら……ケダモノにも劣る男だわ)
 まるで屋敷の主人、自分の夫みたいに振る舞う様子には嫌悪が募る。
 でっぷり太った肉体も、スポーツジムと同等以上の設備でカラダを磨いている女からしたら醜悪だった。
 可能ならば触れたくもないのだが、そういうわけにもいかない。
「んっ……んぅ……」
 見えないのをいいことに顔を背けつつ、檜造りの床に膝をつくカラダの胸元を寄せていく。
 見えなくすると言うよりも、中途半端に隠して男の目を楽しませる水着を鎖骨までたくし上げている双乳は、すぐに夫以外の背中に触れた。
「おおっ、きたきた」
 やや背中を反らし、意に反して太く屹立した乳首を避けて下乳で接した途端、嬉しそうな中年声が反響した。
「もっとグッといらしてください。恥ずかしがらずに」
「は、はい……んんぅ」
 イヤだから腰が引けがちなのを好意的に解釈して迫られなくても、やるしかない人妻は、決意を新たに体重をかけてしなだれかかった。
 自分の胸元と中年の背中の間で、スイカみたいに豊満な女の膨らみが潰れ、端が丸っこくせり上がる。
「くぅぅっ……この感触……堪らんッ」
 いい年をしても女遊びが激しい男は、喜びも露わに叫ぶ。
「大きくて形がいいのは見て分かっていましたが、感触も最高ですな。ミッシリ中身の詰まった柔肉の風船という感じだ」
 ふんぞり返る壮年の全身が小刻みに震える。
「こんなにもパツンパツンに熟れたオッパイを、わしは知りません」
「あ、ありがとうございます」
「自由にできる旦那様がうらやましい……夜はさぞ、激しいのでしょうなぁ」
「なにを……や、やめてください……」
「おっと失礼。わしなら毎晩……いや、秘書にしてでも常に側に置き、いつでもどこでも揉みまくりたいと思ったのでつい……おっと、これも失言でしたな」
 心身が汚らしい男でも、日頃から研鑽しているカラダに喜んでくれたり、素直に謝ってきたりする姿勢は悪くない。
「気をつけてくださればありがたいです……ん……んっ」
 少しでも気分がほぐれると、いくぶんやりやすかった。
 前に出した細い手で床に触れてバランスをとり、体重をだいぶ預ける格好をとりながら、カラダを伸び縮みさせる。
「許してくださり感謝します……おおぅ……うおおっ」
 豊かな乳房の柔らかさと弾力を、上から下へ、下から上へと存分に押しつけられ、擦りつけられる快感に中年の声が高くなる。
 人妻が纏うソープは、肉体の汚れを落とす機能があるが、性質はローションに近い特別製。肌と肌の摩擦はとびきり妖しい性感と化している。
「具合はどうですか? んぅ……んふぅ……」
 額に汗を浮かべながら、左右方向へも女の膨らみを滑らせる。
 中年の背中はやたら広くて苦心するが、一般的に敏感な脇腹も、乳肌でしっかり包み込むよう気を遣った。
 肉体を清めるよりも女体の感触を味わわせるのを意識して、ねちっこい泡踊りを堪能させる。
 浴室内には、ヌチャヌチャという卑猥に粘つく水音が木霊していた。
 奉仕される男の見えないところでは、Tバックが突き出ている。はみ出す白い双臀は、女体の動きに合わせて波打ち、細かい汗が浮いていた。
「申し分ありません……お、ぉうっ……最高のもてなしですよ……くあぉ」
 いい年した男はみっともないあえぎ声を上げている。
 上手くいってるのを実感して百合枝の胸は弾んだ。
 好意などない相手だが、夫に課された自分の役目を果たせているのは嬉しい。
「ただ……」
 喜んだのもつかの間、ご満悦なはずの中年が注文をつけてきた。
「乳首も使ってもらえますかな」
「そ……それは……」
「夫人のぶっとくてお硬いのは、微細な凹凸にも入り込む最高のブラシになるでしょう。わしの隅々まで洗ってやってくださいませんか」
「か、かしこまりました……」
 ゲストに希望されたら断れない。
(誤魔化していたのに……はしたなく勃起してしまってるところも使うことになるだなんて……)
 本当はイヤなのをおくびにも出さずに、一度おずおずカラダを離す。
 十センチほど距離を置いても、ずっと密着させていた双乳の下側と、男の太く浮き出る肩甲骨の内側周辺は、白い糸をいくつも引いている。
(ヌルヌルのソープで摩擦させたら……いやらしい反応をしてしまうかも……いいえ、いくらなんでも、こんな男の後ろでそこまでの醜態をさらすことは……)
 不安に思いつつも、正面からゆっくり抱きついていく。
「最初は乳首だけ、触れてくれますかな」
「は、はい……」
 もしかしたら、意識して触れないようにしていたのに気づいていたのかもしれない。
 釘を刺されてドキリとしつつ、言われたとおりにする。
 平らめにしこった女の双頭を、石けんまみれでも脂ぎって見える壮年の背中に触れさせた。
「この感じは間違いない……だいぶビンビンですなぁ。ソープを塗り込んでいたときも膨らんでいたようですが、わしを洗ってこんなになったのですかな」
「ご冗談はおやめください……ん……私はこのようなことをしていても……人妻なのですよ? いくらゲスト様にご奉仕していても……」
「失敬。では、無礼者の背中にそのまま、ご立派な妻巨乳を押し込んでください。サイズ負けしていない乳首を垂直に押しつけるのです」
「このような具合で……んふ……よろしいでしょうか……んんぅ」
 湧き直した嫌悪をこらえ、体重を込めてしなだれかかる。
「おおぅ……くおお……結構です……ああ……とてもお上手です」
 柔らかさよりも弾力が勝る双頭と、それと比べたら柔らかさの比率が高い双乳
の感触を同時に背中に浴びて、椅子に腰掛ける中年の総身がブルブル震えた。
 浴室内に反響するあえぎ声も、切羽詰まっている。
「あっ……ありがとう……あうぅっ……ございます……ふうぅっ」
 中年も快感だが、やってる百合枝も性感を覚えて声が震える。
(そんな……ああ……自分で思っていたよりずっと……あっあ……乳房も乳首も感度が上がっていて……ああぁ……いけないのに……感じてしまうぅ)
 望まぬ喜びの電流は突起から乳房へ巡る。
 女の熟れた膨らみを押しつけている間中、止まらない。
 自分で自分を追い込んでいると意識すると、なぜか背筋がいやにゾクゾクする。
(こんなことをするのは初めてではないのに……始めたばかりでここまで感じやすくなったことはないわ……どうして……)
 泡姫妻には困惑する暇もない。
 中年に「そのまま乳首を擦りつけながら、またお願いします」と催促されたら、望まれたとおりに奉仕するしかないのだ。
「んっ……ただいまご奉仕いたします……んんっ……くふぅ……うぅん」
 漏れる恥声を必死に押し殺しつつ、上下左右に上半身をくねらせる。
 ヌルヌルを強化しているだけでなく、揮発しにくくもしているソープは、まだたっぷり柔肌に残っていた。
 表面積が増えた分、今まで以上に甲高く、ヌチャヌチャという摩擦音が浴室を満たす。
「あぅん……お加減はいかがでしょう……んぅぅ」
 乳首ごと乳房をなすりつける、とっかかりのない摩擦感に、双乳が火照る。
 人妻が他の男との触れ合いで感じてはいけない情動は、膨らむ一方だ。
 それでいて質もグングン上がる。性感の波動は全身に広がり、軽い痺れを起こしている。
 面長に整った美貌まで艶やかに上気していた。
 厚ぼったい唇からは、こらえきれなかった甘い声が溢れ始めている。
「素晴らしいです……うおっ……うあ……乳首のコリコリした感じと、オッパイのムチムチした感じを背中いっぱいに同時に浴びるのは、まさに極楽……んッ」
(乳首が勃起してることを……そんなに強調しないでよ……)
 羞恥を煽られて、またカラダが熱くなった。
 白い泡と粘液は、ソーププレイの間に後ろ半身にもだいぶ飛び散っている。
 だが、陶器みたいに白い女体は、湯煙の中でほんのり桃色に色づいていた。
 中年の背中で常に別の形にひしゃげ続ける双乳は、さらに濃く赤面するとともに膨らんでおり、泡や薬液が途切れるところどころで青筋が浮いている。
(うぅ……頭がぼーっとしてきたわ……このまま言葉で嬲られたら、完全に主導権を握られてしまうかも……早く満足させなくちゃ……)
 床についていた両手を思い切って動かした。
 お腹が突き出た中年の前半身に巻き付ける。
 同時に自分の胸元を完全に体重をかけて男の背中へ預けた。
「ぬおッ……これは……ッ」
 驚く中年に両手を使って抱きつきながら、縦横無尽に双乳を擦りつけた。
 胸元もお腹もヌルヌルの細腕でまさぐると同時に、背中全体を摩擦する。
 これまで以上にカラダを揺すり立ててする泡踊りに、二十七歳の熟れた柔肌も揺れ弾む。どこにも触れていないヒップは、自分でも分かるくらいに躍動し、甘い香りの小さい泡と飛沫が背後の壁や横手の檜風呂まで飛んでいる。
「んふっ……くふぅ……いっぱい気持ちよく……キレイになってくださいね……んふぅぅ」
 口元が耳の側に来たら力一杯抱きついて、熱い吐息を吹きかけた。
 意識して出す甘い声も染みこませると、中年の肉体は面白いほどブルブル震える。
「あっ、あくぅぅ、これはすごいっ」
 中年はシンプルな賞賛の言葉を連呼する。
 いやらしい言葉責めをする余裕をなくし、ただただ熟れた人妻のカラダを存分に味わわされる性感に打ち震えていた。
「まったく大した技術をお持ちだ……旦那様にもしてあげてるのでしょうな」
 あえぎ声の合間に出た言葉に、人妻のカラダが静止した。
「主人は……私のこういうことは好みじゃないようで……」
「なんと……やり慣れてる様子ですからして、てっきり毎晩のようにしてあげていると思えば……もったいない。わしなら毎晩して欲しいくらいですぞ」
「や、やめてください……んっ……んふぅっ」
 舌を巻いてくれるだけでなく、本気でやって欲しそうな言い方に胸を突かれた気分になったが、気を取り直して再開する。
(辱めるようなことを言わなくなったと思えば……また、優しい言葉をかけてきて……この男は私には毒よ……)
 カラダだけでなく、心も甘く揺すぶられたのに見て見ぬ振りをする。
 相手は罠にはめるべき標的。
 打ち解けた気分にさせるのは都合がいいが、自分がそうされてはいけないのだ。
(幸い、私のテクに溺れかけているようだし……致命的におかしなことをされないうちに、早く済ませた方がいいわ)
 男に「失礼します」と断って、巻き付けていた両手ごと双乳を離す。
 すると、なんともいえない切なさに襲われた。
(え……なにこの寂しさは……)
 肥え太っていると蔑む肉体に触れていた両手と、乳房を中心とした前半身に、辛い寂寥感が襲ってきた。
(抱擁を解いたら相手の温もりとの触れ合いも解かれるけれど……あぁ……カラダが疼くほど酷いのは初めてよ)
 経験のない感覚に我慢できなくて、冷えた身体で湯船に飛び込む心地で、そそくさと前に回って膝をつく。
「今度は前を洗わせていただきますね……んふっ……んんぅぅ」
 返事を待たずに、やたら太い首に両手を回す。
 そのまま、恥ずかしいまでに勃起した乳頭から壮年の胸板に密着していく。
「お、おほっ……ここまでしてくださるとは……おおぅッ」
 背中以上に敏感な五十三歳の前半身に、二十七歳の人妻のそれがピッタリ重なるなり、今まで以上に下品なあえぎ声があがった。
「前もしっかり……んっ……んふぅっ……キレイにいたします……んふぅぅ」
 膝をつけたカラダを上下左右にうねらせ、凹凸の激しい肥満体をしっかり摩擦する。
 口元と耳の高さが近づいたときは、甘い声で「具合はどうですか、気持ちいいですか」と訊ね、熱い吐息を耳の奥まで吹き付けた。
「おおぅっ……おおほおお……さ、最高ですぞ……おおっ」
 弱みを見せたらまた言葉責めされるからと、今度は乳頭からのしかかっている。
 背中で感じた悦楽を前で味わうのは格別らしく、それを指摘する余裕もない。
 みっともなく荒ららぐ呼気を隠しもせずに、涎を垂らして顎を引いている。
「くおぉっ……料理上手で泡姫としても一流と言っていい、熟れた人妻のカラダが……わしにしがみついてのたくってる光景も眼福ですな……ふぅぅッ」
 昇天させるつもりで抱きしめ、擦りつけている女体は、背中からしていたときよりも大きく弾んでいた。
 なめらかな背中は常に上下左右にのたくり、突き出されたTバックのヒップも、これでもかというくらいに弾み回って波打つ。
 粘液を潤滑油にした肉体擦過音に混じって、尻タブ同士がぶつかる打擲音も響いている。
「あぁん……そんなにご覧にならないで……んっ……あふぅ」
 鼻先同士を付き合わせる格好をとり、甘えた声で呼びかけることで、恥ずかしいカラダの躍動場面を遮る。
 動きが小幅になった分、これまで以上に双乳を胸板に擦りつけていると、不満はでなかった。
 むしろ、脂ぎった目で積極的に見つめてくる。

     4

「ふふ……夫人……いや、奥さん」
 なんとなく、馴れ馴れしくなってきた。
「いい年をして、よその男にソーププレイをしているというのに、いやらしく蠢く自分のカラダを見られるのは、恥ずかしいですか」
「な、なにを……」
 即座に見破られて胸が弾むが、まだ序の口だった。
「前に変わると随分と積極的でしたが……背中から離れたときはそんなにも寂しかったのですね。またわしと肌身を重ねるのが気持ちよくて、調子がでましたか」
「そ……それは……っ」
 二の句が継げない。
 それらしいことを自分に言い聞かせても、再び触れた男の肉体は居心地がよかった。
 感じてはならない安心感混じりの快感があって、クセになりそうだ。
 僅かなりとも喜びの感情がなかったと言えば嘘になる。
「誤魔化してもダメです。証拠がありますからね」
「悪ふざけはよしてください……私は……」
「奥さんの顔です……すこぶる色っぽく蕩けている……嘘だと思うなら、そこの鏡へ顔を向けてはどうです」
「や、やめてください……」
 かぶりを振る所作も弱々しく、胸中でおののく。
(その鏡を……覗けるわけがないわ)
 隠しカメラが仕込まれている場所のひとつなのだ。
 もしも、自分が思っている以上の……それこそ、標的である卑劣漢の言うとおりの淫らすぎる顔をしていたら、ミイラ取りがミイラになった証拠を録画することになる。
 とはいえ、ゲストの言うことに逆らうなどありえない。
 途方に暮れていると助け船を出された。
「いいでしょう。ですが代わりに、こちらも洗ってもらえますかな」
「え……あっ……ひゃぁんっ」
 中年はクイクイ腰を突き上げ、水着に守られた女の秘孔を突いてきた。
 最初は肉土手に当たったものの、ほとんど間を置かずに繰り出された二回目は、性格に割れ目をとらえたではないか。
「ちょっと突いただけで、いい声を出してくれましたなぁ」
 ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべて嬲ってくる。
(ああっ……いつの間にか……アソコもすごく感じやすくなっていただなんて)
 壮年のオスのシンボルは硬く屹立していた。
 陰部を圧倒するまでに肥大しているのが、感触で分かる。
「どうやら奥さんも、洗いたそうですな」
 とぼけた風に言うのが憎らしい。
 目の前の二十七歳の女のシンボルの事情など見透かしていると顔に書いてある。
 悔しいが、男の肉竿を意識させられてから、無性に疼いてきた。
(奥が熱くて……あぁ……ふしだらにうねっている……まるで、触れているオスをすぐにでも食べたいと言っている風だわ……なんてことなの……)
 自分が思っていた以上に、己のカラダはこれまでのソーププレイで高ぶっていたのを、認めるしかない。
(私は人妻……商売女まがいのことをしていても、他の男をアソコで受け入れるわけにはいかないわ……でも……)
 眉根を寄せて懊悩する美人妻の顔を真正面から見る中年は、こんなことを言い出した。
「奥さんはわしをもてなすのが仕事でしょう。先に譲歩したゲストの頼みを断るのが、この家の流儀なのですかな?」
「うぅ……わ……分かりました……で、ですが……ひとつだけ……」
「なんでしょう」
「このことは……私と金田様だけの秘密にしてくださいませんか……? どうかよそ様には……特に夫には……」
「お安いご用です。お約束しましょう……では」
 言うやいなや、中年の太くてごつい手が機敏に動いた。
 お尻に触れると、手触りだけで水着のボトムスを探り当て、指を引っかけるなり膝近くまで下ろしてしまう。
「さあ奥さん。片足ずつあげてください。脱がせてあげます」
「あぁ……は……はい……んっ」
 逆らえない人妻は、これから大嫌いな肥満男とひとつになるのを知りながら、言われたとおりに足を上げた。合わせて自分も手を伸ばす。ズリ下げられた水着を金田から受け取り、震える手つきで完全に脱ぎ捨ててしまう。
「いい脱ぎっぷりでした。では、お互いにお待ちかねのことをいたしましょう。しっぽりとねぇ」
 伸ばした両手を使って我が物顔で、剥き身のヒップを撫でてくる。
 バストと比べて柔らかさが勝り、桃の輪郭を描く尻タブは、男の手つきに合わせてひしゃげ、フルフルと震えた。
「奥さん、力を抜いて。わしの誘導に身を委ねるのです」
「ん……承知いたしました……あふ……」
 もう、百合枝には、どちらがゲストかもてなす側かわからなかった。
 踏み込むつもりのなかった領域に足を突っ込んでいる実感に、心臓がメチャメチャに弾んでいる。
 だが、不思議と嫌悪は薄かった。
 それどころか、甘く妖しい情動が全身に広がり、手足が痺れている。
「この辺かな……」
 と、中年の手に力がこもった。
 軽く下に引かれるのに合わせ、百合枝も腰をゆっくり落とす。
「あっ……あんん……ああ……あ、当たってる……お、男の性器がぁ」
 すぐに、パンパンに膨らむ熱い尖りがめりこんできた。
 女体に阻まれてぜんぜん見えないというのに、金田は己の分身で正確に、秘孔を重ねたのだ。
「う、うそ……ああ……どうして一回で当てられるのよぉ」
「なに、ただの年の功ですよ……しかし、奥さん……素のしゃべり方になっていますよ?」
「あっ……す、すみません……失礼いたしました」
「とんでもない。率直な反応をいただけて嬉しいくらいです。なんなら、他人行儀な丁寧口調はやめてもらって結構です。わしに対しても権一と呼んでください」
「お戯れを……私たちは慣れ親しんだ関係ではないじゃありませんか……んっ」
「それは残念。だが、気が変わったらいつでもどうぞ……ふぅンっ」
 壮年は、今度はかなり強くヒップを下に押し込んできた。
 オスの腕力でねじ伏せにかかったみたいな所作に、女の細腰は自然に下がる。
 当たり前に、結合も深まった。
 陰唇を浅く割っていた、三角形のオス肉塊は、外と内の肉ビラを内側に巻き込みながら、粘膜の奥に入っていく。
「ひあああっっっ……そんな……信じられない……ません……こ、こんなに……大きいだなんてぇ」
 とっさに丁寧語で言い直すものの、声の裏返りようはごまかせなかった。
 敏感な入り口が、目一杯広がっているのが見なくても伝わってくる。
 挿入が深まるのと引き換えにラブジュースが押し出された。
 いやらしい気分になっている証の体液が、夫以外の男の肉竿を伝っているのも恥ずかしすぎるのに、匂ってくるレモン臭がやたら濃いのにも泣きたくなった。
「お褒めにあずかり光栄です。奥さんのマン汁も、すこぶるいい匂いですよ」
「ああ、か、嗅がないでください……んああっ」
「申し訳ない。意識しなくても鼻孔に入ってきましてな」
「い、言わないでくださいよぉ……んぐぅっ」
 大きくなり続ける膨満感に、思わず悲鳴を上げた。
「む、無理です、金田様のペニスは、私のには合いません、くふぅ、さ、裂けてしまいますぅ」
「またまた。旦那様のを、ココでお出迎えしてらっしゃるのでしょう? 毎晩とはいかないそうですが」
「主人のはこんなに大きくありません、あぅああ、ああ、許してくださいぃ」
 粘膜を引き裂かれそうな痛みと危機感に、涙声で訴える。
 中年はミリ単位で百合枝の尻を押し込んでいたが、顔をじっと見た後にやめた。
「どうやら本当にお辛いと見える。まだカリも収まってないのですがね……わかりました。時間をおいて馴染ませましょう」
 二十七歳の妻尻の高さはそのままに片手を離す。
 己の極太は抜かないまま、その手を前に持ってきた。
「あぁ……なにを……」
「チ×ポ洗いを中断する代わりに、オッパイで手を洗わせてもらいますよ」
 膝をついて直立している今、百合枝の胸元は金田の顔のすぐ側だった。
 指の一本一本がだいぶ太い手のひらが、無防備に突き出る巨乳の片方を下から軽く掴む。
「あっ……こんなときに……んぅぅっ」
 すくい上げては元の位置に戻すのを繰り返してくる。
 感度が増している熟れ乳には、それだけで性感が湧いた。
 痺れる快感に恥声が出て、乳房もはしたなく震えてしまう。
「こんなに大きくて感触もいいのに、おまけに敏感とは。こんなにいやらしい妻乳は初めてですよ」
 持ち上げては下ろすのを繰り返しつつ、ゆっくりだがリズミカルに指を食い込ませる。
 肉スイカと呼んでも名前負けしない豊胸は、男の指の浮き沈みに合わせて奔放にひしゃげた。
 指が食い込むときには緊張の、力が抜かれて乳肉が自然な形に戻るときには弛緩の乳悦が起こる。人妻のカラダは悩ましくうねり、触られていない方の乳房はタプンタプンと音を立てて揺れた。
 まだだいぶ付着している石けんの泡が飛び、甘い香りも拡散するが、一緒に漂う発情した女の生々しい匂いはだいぶ濃い。
「いやらしいだなんて……あッ……今、口に含んではダメです、ああぁぁっ」
 自由に揺れていた方の乳房のピンク色の先端を、黒ずんだ男の唇が包み込む。
 首を伸ばす不安定な体勢だというのに、金田はイヤに器用だった。
 口に含んだブドウ粒大でプリプリした突起を、丁寧になめ回す。
「ううっ……あああ……そんなに優しく……ああ、舐めないでください……ンン」
 特に敏感な部分だというのに、痛みを一瞬も味わわせない。
 常に鋭くも甘い乳悦を体験させられ、意識がぶつ切れになってしまう。
「ああん……いや、です……夫以外の男性に、こんな気持ちにされるのはぁ」
 胸を揉みたてられるのも、乳首を舐められるのも、身を委ねてしまいたいくらいの快楽だった。
 しかし、許されない。
 自分は人妻であり、相手は罠にはめて排除すべき悪にして、夫の敵なのだ。
「奥さんのカラダは、満更でもなさそうですがねぇ……ちゅぱ、ちゅぱっ」
 自分のツバと舌の感触を丁寧になすりつけ、染みこませる舐め方をするだけでなく、赤子のように吸いもする。
 強く弱く緩急をつけ、絶対に慣れさせない。
 のべつまくなく、頭が白く染まってぼーっとしている。
 お陰でもう、なにがなんだか分からなかった。
 全身が痺れておぼつかない。
 けれど、責め立てられる双乳と、極太を押し込まれている秘部の感覚だけは鮮明だった。
「ああ……あぁっ……あ……れ……は、入って……きてる……?」
 ようやく気がついた。
 巨乳に夢中に見えた中年は、挿入もしっかり進めていたのだ。
 乳悦のあまり踊ってくねるヒップを片手で誘導し、浮き沈みさせていた。
 そうして徐々に、結合を深めている。

     5

「えぇ、お邪魔してますよ、奥さん。オッパイでお楽しみのお陰で、あなたのオマ×コはわしのチ×ポにどんどん馴染んでいますぞ」
 急がず焦らず、ちょっとずつ確実に奥へ入り込んでいる。
「早く口いっぱいにわしを頬張りたいと言わんばかりに、涎を垂らしてまぁ」
 小刻みの疑似ピストンのリズムに合わせて、卑猥な水音が生まれている。
 挿入し始めたときよりも高く、匂うレモン臭もキツくなっていた。
「うっ……うっ……い、いやらしい言い方をなさらないでっ……んふぅぅぅ」
 抗議するが蜜壺は確かに、信じられないレベルで反応してしまっている。
 細かいヒダのひとつひとつが、少しずつせり出し始めていた。
 ラブジュースの分泌量も甚だしいが、粘膜の赤熱ぶりにも驚かされる。
 なにより、極太を埋められるのはあんなに痛くて辛かったのに、苦しみはもうほとんどない。全身を冒す悦楽の痺れすら小さく生じているだなんて。
「こんなことって……あの人との初夜も……それから暫くも……気持ちいいと思うことはなかったのに……」
「ほほぅ、それは大変でしたな。辛かったでしょうなぁ」
 金田はいつもの小馬鹿にした笑みでなく、心底同情する顔をしてきた。
「し、知ったようなことをおっしゃらないでっ」
 立場からつい声を荒らげたが、中年の態度は揺るがない。
 泣く子供をなだめるみたいにヒップをさすり、いいこいいこする仕草で片乳をこねてくる。
「夫のために、自分を賄賂にするのも本意ではないのでしょう? いろいろな人間を見てきたわしには分かりますぞ」
「や……やめてください……ああ……お願いよぉ……」
「だが、心からしているものでなくても、奥さんのおもてなしは堪能させてもらいました。実に素晴らしかった」
 金田の眼差しも言い方も真摯だった。
 演技や冗談やからかいでしているとは、とても思えない。
(いくら優しく接してもらっているからって……ほとんど今日が初対面で……とても好みの性格でも体型でもなくて……夫の敵の悪人にこんな気持ちを……)
 目を合わせていると、打ち解けた気分になってくる。
「もしも心からしたとき……どれほどの極楽なのでしょうねぇ……おおっ……届きましたぞ」
 いつの間にか、百合枝の顔は金田と見つめ合える高さまできていた。
 しっかり目と目を合わせてきた中年の頬が緩む。
「わしのチ×ポの先と奥さんのオマ×コの天井が、ピッタリ重なっているのが分かりますかな?」
 ゆっくり太った腰を揺らす。
 途端に、濃密な悦楽が百合枝のお腹の底から湧いた。
「あうあ、ああ、とどいてます、ああぁ」
 声はまともに震えている。
 しかも、自分が聞いたことのないレベルに甘くうわずっていた。
 意識して出しているのではない。勝手にそうなるのだ。
「い、いけませんよぉ、あぁぁ、あの人もペニスで感じたことがない場所なのですよ、ああ、なのに、金田さんが知ってしまうなんてぇ」
「旦那様も触れられないオマ×コの奥も使って、わしのチ×ポを洗ってくだされ……オンナの部分を全部使ったおもてなしも、喜んでお受けします」
 悦楽でわななくヒップの律動を利用しにかかる。
 挿入したときと同じく、浮いたお尻を一定のリズムで己の股間に押し込んでは、力を抜いてまた浮かせるのだ。
 自分は振らず、百合枝にだけ上下に腰を振らせる形で、性器同士を擦らせる。
「奥さんの破廉恥な汁とヒダ肉で、チ×ポを洗ってもらえるのは最高ですぞ」
 己の胸板の前で、ブラブラゆさゆさ揺れ弾む巨乳を下目使いで見つつ、政敵の妻の媚肉の具合を楽しんでいる。
「二十七歳とは思えない、フレッシュにプリプリしている。それでいて、熟女のこなれた感触を内包していて。一度味わったら夢に出そうですなぁ」
 今度は見つめ合って話しかける。
 その間も妻尻は完璧に掌握していた。
 さりげなく撫で回すことでヒップの上下動を加速させている。
 ところどころに纏う泡よりも白い双臀は、黒ずんで分厚い手の平に這われる間、波打ちながら弾んでいた。
「しかも、日頃のエクササイズの賜でしょう。締まりも素晴らしい。メイクだけでなく肉体美も追究するオンナの具合はひと味違うが、奥さんは別格ですぞ」
 鼻息荒く褒めちぎりつつ、両手を使って密かに抱き寄せる。
 身じろぎすることでも調整しつつ、逃げようとしても力が入らずに抜け出しにくいポーズへ持っていく。
 今やふたりは体面座位で密着していた。
 胸元同士は軽くふれあう程度だが、運動を欠かさない人妻のムッチリと熟した太ももは、中年の太い腰を完全に挟みこんでしまっている。
「ああん……おっしゃらないで、金田さぁん……こんなときに言われたら……私……私ぃ」
 百合枝はなすがままだった。
 罠にはめて追い落とすべき悪の男に、夫も触れたことのない場所を我が物顔でノックされているというのに、全身に力が入らない。完全に痺れきっている。
 心も同じだ。
 夫との情事では未経験の悦楽を味わわされながら、甘い言葉を連発されているうちに、親しげに名前を呼ぶまで蕩けてしまっている。
(ごめんなさいあなた……私、この男には……権一さんにはとても敵わないわ……)
 妻としての使命感も薄れていた。
 醜いと軽蔑していた体型は、頼もしいとしか思えない。
 自然にカラダが動いた。
 夫にもしたことがないのに、子供に退行して甘える心地で、自分からひしと抱きつく。両手は首に回して力一杯抱き寄せ、腰を挟んでいた太ももは食い込むまで締め上げる。
「ぅんんっ、金田さん、私、私もぅ」
「わしのチ×ポでイキたいんだな、百合枝」
 下の名前で呼ばれても気にならなかった。
(ああん、夫がいる人妻なのに、はあぁぁ、他の男と本格的にセックスしてしまっているのに、ううぅんん、どうしてこんなに気持ちがいいのぉ)
 むしろ胸が温かくなり、カラダはさらに熱い。
「はい、金田さんのチ×ポで、思い切りイカせてくださいぃ」
 言葉遣いを合わせるまでに媚を売る。
 眉目は悩ましくたわみ、瞳は劣情と愛欲で潤むというより濁っていた。
「百合枝の淑やかにキレイな声でチ×ポと言われると堪らんわい。旦那様と睦み合うときも、卑語を使うのかい?」
「いいえ、んぅっ、自分から言うのは初めてです、はああぁ、それに、夫との夜の営みは……睦み合うというものではありませんし……」
「なら、夫には言わないが、わしが大好きな下品な言葉をどんどん使うといい。余計なことはぜんぶ忘れて、このときの快楽に溺れるんだ」
 金田はラストスパートをかける。
 向き合う人妻の腰も、ほどなくうねりだした。
「溺れます、ああ、金田さんの立派なチ×ポで、私、ダメになります、ああン」
 とうとう、自分から豊満な乳房を胸板に押しつけ、体重をかけて前半身からよりかかりながら、お尻を振りたくってしまう。
「おほっ、こいつは凄い杭打ちピストンだわい……そうか、百合枝は奥で一番気持ちよくなりたいんだな? 生まれながらに奥が感じやすいとはいやらしい」
 エクササイズでは下半身もしっかり鍛えこまれている。
 全身の柔肉が波打つくらい激しい腰振りを、情事でしたことは一度もないが、中年に抱きつきながらするピストンには淀みがない。
 水音混じりのリズミカルな打擲音が、ふたりだけの浴室に木霊す。
「はあ、金田さんの肉体、ああっ、頼りがいがありすぎます、はああンン」
 でっぷり太った身体は、胸とお尻が抜群に大きくて重い人妻のカラダを危なげなく支えている。その頼もしさにも胸の奥がときめいた。
「ここまで来たらキスしようじゃないか。キスハメでふたりで気持ちよくなろう、な、百合枝」
「き、キスは……流石に……」
 残っていた人妻としての矜持が反応した。
 接吻は結婚式の時、祝福してくれた友人知人や親族の前でした神聖なもの。
 事情が絡み合った結果、オンナのシンボルを明け渡してしまったが、ここまで許すのには抵抗がある。
 まだしていず、拒んで避ける余地があるだけに、いけないという気持ちは小さくない。
「こんなに色っぽい唇を見せびらかしておきながら、それはないぞ」
「で、でもっ」
「わしとのまぐわいで、こんなに艶やかに腫れ上がり、メスの色香を漂わせている」
 少しずつ遠ざかっていた後頭部を掴み、力ずくで引き寄せた。
「ココでももてなしてもらおうじゃないか……ぶちゅっ」
 壮年の黒ずんで分厚い唇が、アラサーの人妻の艶やかなものと正面から密着する。
「んんっ、んぅぅっ……ああ、ダメって言ったのに……ンぅううう」
 汚らしい男の舌は、すぐにピンク色の口内へ押し入った。
 悦楽で力の抜けた百合枝には、ここまでされたらなすすべがない。
 嬉しそうにのたくる男舌に、桃色の妻舌は舐め回される。
(ああ……強引に唇を奪われて……夫にもされたことのない……ディープなキスを一方的にされているのに……あああ……気持ちいいぃ

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夜山の休憩所 2022/04/29 11:00

同人新作が近日リリース予定です。(2022年4月29日)

いつも応援ありがとうございます。

先月から取り組んでいる商業の原稿は終わりませんし、
新しいのが一件増えましたが、
短編を創るくらいの余裕はできました。
大型連休にお楽しみいただきたい気持ちをこめて、
鋭意制作を進めています。

冒頭のイラストが表紙です。
まだ開発中ですので変わる可能性はありますが、
大幅変更はありません。

できあがりましたら、
アマゾン様のKindleで販売、読み放題設定するだけでなく、
こちらにもいつものようにアップします。

よろしければご期待ください。






ここからは恒例の宣伝です。

「最近の作品」

●木森山水道(きもりやま すいどう) 名義
・「純愛闘士ピュア・ストラグル 正義の力は不倫で輝く」
  表紙、挿絵:肉バキューム 先生
  出版社:キルタイムコミュニケーション 様
  公式サイト:http://ktcom.jp/books/2dn/dnd39
  主な販売サイト:https://amzn.to/3btu9D4

●石川檸檬(いしかわ れもん) 名義
・「ハツハメ 内定と引き替えに恋人の父に捧げる晴れ着姿」
 表紙:ロッコ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900680000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3rqvj9M

・「ハメクリ ビキニサンタ姿で夫の部下にハメられる人妻のメリークリスマス」
 表紙:ズッキーニ 先生
 出版社:フランス書院 様
 公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900630000000.html
 主な販売サイト:https://amzn.to/3FpLQRo

・「ナツハメ 色白人妻が年下男たちに何度もイカされた話」
  表紙:ロッコ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900350000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3CBOsKr
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

・「強○スワッピング 生贄になった人妻」
  表紙:アレグロ 先生
  出版社:フランス書院 様
  公式サイト:https://www.france.jp/c/item/82960020900330000000.html
  主な販売サイト:https://amzn.to/3w1MJM0
 ※同作の発売前に販売終了した同人作品を加筆修正したものです。

●同人作品(サークル:夜山の休憩所)
・「たばかりギャル」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「バレンタイン・キッスのユクエ」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「魔滅の巫女」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「ギャル義母」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「年越しネトラレ」(FANZA専売)
・「気の強い美妻 ゲス重役とのホワイトクリスマス」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)
・「なれそめのゴー淫ハロウィン!」(アマゾンのキンドル限定。読み放題対応)ほか

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 ご利用いただければありがたいです。

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