ふたなりレズゲー シナリオ執筆中

シナリオ執筆進捗報告!

お久しぶりでございます。
相も変わらずふたなりレズゲーを作っております~

現在はシナリオを執筆しておりまして、10月中に書き終わればいいなぁ、という感じです。
進捗としてましては、メインシナリオを書き終わり、各ヒロイン達の個別Hシーンを書いている所です。各ヒロイン5シーン×4人と言うことで、個別Hは20個になる予定です。

シナリオの量としましてはメインシナリオでラノベ一冊分、個別Hシーンで1冊文くらいの予定です。
合計でラノベ2冊文くらいでしょうか。
ゲームとしてはもうノベル+海洋探索ゲーくらいのつもりになっております。
うーむ、シナリオ文量が多くなればなるほど売れる気がしなくなってきますが、一番作りたい部分がシナリオなので、もうしょうがないですよね!
いっぱいレズシナリオ書くぞ~!


お絵かき練習中

もはや人様に頼めるお金がないので自分で絵も描くぜぇ! と、意気込んだはいいものの、どうにも自分の絵に満足できない日々です。
最近で本気で描いた絵がこんな感じでございます。


ままま、お絵かき始めて3日の初心者よりは描けてる自負はありますが、世に数多ある魅力的な絵に対してはまだまだ足りてないな、と思う次第です。
なんというか、絵が硬いというか、味が足りないというか、迸る物がないというか、かといって細緻でもなく、手慣れてもなく……つまり魅力が足りない! 気がする!
そもそも自分が描きたい絵っていうものが定まらないんですよね。
真似したい絵描きさんが沢山いすぎて、絞れない……!
とりあえず、気持ち的に絵を描くことのハードルを下げるために、テキトーに表情練習とか人体の練習とかしていく日々です。






もっと描き慣れないと話にならんな、といつも思うんですけど、中々筆をとる際の気持ちハードルが高くて……
シナリオが描き終わったら一月ほど、本気で籠もってお絵かき練習したいと思ってる次第です。
魅力的な絵が、描けるようになりたい!

次回更新について

次回のCi-en記事更新はシナリオ全部書き終わったらになるかと思います。
多分10月末……にできればいいんですが、革小物の製作もあるので、ちょっとどうなるかわかりません。
どうか皆様、いいねボタンを押していただいたり、応援していただけたら幸いです! チップとか大歓迎!
ふたなりレズゲー、がんばって制作して行きますので、よろしくお願いします!



おまけ 前日譚

本編中には影も形も出てこないふたなりヒロイン高山都 愛狂射(らぶりい)のお父さんのお話です。
マジで本編には欠片も関係ないので、特に読まなくて大丈夫です
もう1年くらいシナリオ書いてなかったし、シナリオ書く前に筆慣らしに一丁書くか~って1日で書いた物なので、手慣れたラノベっぽい文体になっております。
ゲーム本編のシナリオは会話が主体のゲームらしいシナリオになってますのでご注意くださいませ。
本編のあらすじが以下のようなモノになります。おまけはその前日譚です。


-------------------------------- 本編あらすじ

主人公の田無スミレはお気楽で、マスコットのような存在で、学校を卒業したばかりの女の子。
就職や将来についてまったく悩んで来なかったスミレだったが、半無人島で海に潜って島近海の生態や地形の調査をする仕事に就いた。

しかし、スミレが就職して赴いた半無人島は、4人のレズしかいない島だった。
ふたなりのゼネコンの跡取りお嬢様・高山都 愛狂射(たかやまみやこ らぶりい)。
似てない双子の姉妹・武田舞湺、武田りり子。
照れ屋さんな猟師・大宮六実。
スミレはこの4人と毎日のようにセックスを繰り返しつつ、働くこと、人を好きになること、そして自分自身のことを学んでいくこととなる。

14日の試用期間を乗り越え、正式採用されてこの島で幸せなふたなりレズセックスライフを送るため、スミレは今日も海に潜る。



という、本編の前日譚。
ではふたなりレズお嬢様・愛狂射(らぶりい)のお父さんの悲しみと不屈のお話でございます~



-------------------------------- お父さん泣く

「嘘でしょう、お父さん……」
「嘘でしょうって、それはもう俺が何百回も言ったよ。
 娘が自分でエロビデオ撮って、それも他所様の娘さんを何人も犯し回って、それをネットで配信って、そんなもん嘘だと思いたい。大炎上して会社に娘のエロビデオの苦情電話来るなんて悪夢としか思えない。
 母さんなんて、お前、まだ口も聞いてくれてないだろう?」
「私の顔を見た瞬間、泣かれるわ……。何度でも。桜子は泣きながら私に飛びかかってくる」
 そりゃそうだろう。
 俺は頭を抱えたくなる腕を、足先に力を込めてこらえた。
 辛い時、足先で地面を探るのが癖になっていた。
 いつだって地盤を確かめる。この足で、地盤を確かめる。
 四代続くゼネコンのトップとして、地盤の大事さは学んできた。実在としての大地は勿論、人間関係の地盤、己の知識という地盤の大切さも。
 現場に赴くことがあれば、まず地盤検査――ボーリング調査結果をこの目で見るし、その調査会社を確認する。
 そして言うのだ。
 地盤がダメなら全てが崩れる。
 折り重なった山々にトンネルを掘る時、それが確かな岩盤層なのか砂礫層なのか、地下水がどれだけ染み出すのかどれほどの圧力でコンクリの殻を押しつぶすのか……調査しなければわからないし、調査しても実際に掘り進めてみれば計算違いでしたと言うことは多々ある。もっと卑近な例でいれば地面が凍る土地で一軒家やビルを建てる際には、地面に埋める基礎が氷結深度より深く埋まっていなければ、凍った大地が基礎ごと建物を持ち上げて崩壊する。
 勿論、そんなことを一々俺が言わなくとも現場はそんなことは知っている。
 現場が知っていることをこの俺も知っていることを伝えることで、信頼に繋がり、会社の地盤たる現場からの支持となる。社内政治を乗り切るため、俺が選んだ地盤をそれだった。
「父さんな、会議でお前のエロビデオ流しながら、泣いて謝ったよ」
「見せたの!? 私の動画!? 会議で!?」
 驚く娘は、まさに重役と同じ顔をしていた。
「これはいつかお前にも話したな。父さんは、社内にわざと反対勢力を置いたままにしてるって」
「……地盤には圧力が必要。圧力がない地盤は、脆い」
「そうだ」
 そんな言葉は覚えているくせに、それこそ人生の地盤を崩すような大惨事を引き起こしているのだから、言葉は無力だ。真意の伝わらない言葉は、無力だ。
「お前のスキャンダルは、俺を失脚させ、お前の人生を破滅させるには十分な力がある。会議室に入った時の、山川派の笑いを堪えるので必死な顔、お前にも見せてやりたかったよ」
「……見たくない」
「俺だって見たくなかったよ。だけど、その顔は必ず見なくちゃならなかったし、あの押し殺した笑みを崩すためには、それ以上のインパクトが必要だとわかっていた」
「それが、私の動画を衆目に晒した理由?」
「自分で衆目に晒したんだろうが。ネット配信始めてから1年で、何万人に見られてたんだ」
「言葉もないわ」
 娘と俺、渋面の眉間に寄ったシワは、このたった二日で二度と消えないのではないかというほど深く刻まれていた。
 しかし、歳がいった俺はともかく、うら若き可愛い娘の顔にシワなんぞつけてたまるか。
「泣いて謝って、許しを請うたよ。自分の娘が何人もの女達の股ぐらに順番にチンコ突っ込んで喜んでる姿を前に、土下座して、床に額を擦りつけて、きつく叱るから一度だけでいいから娘たちにチャンスをくれと。実際、芝居でも何でもなく、本当に泣いたよ」
「………」
 さすがに今度こそ言葉もなくしたのか、娘は神妙な顔で俺を見ていた。
 辛いときほど相手から視線をそらすなと、視線をそらすなら、それは打開策を思いつてからにしろと、そう言い聞かせてきた甲斐が、あったのかなかったのか。こんなスキャンダルを巻き起こした今となっては自分の教育方針に自信は持てなかった。
「……娘たちって言った?」
「言った。言葉の端に気づける程度には、まだ注意深さが残ってるみたいだな。いや、その注意深さで、どうしてエロビデオなんぞ……」
「それはもう何回も聞いたから。お父さんが役員に泣いて謝って、私たちにどんなチャンスを残してくれたの」
 娘の顔にはもう恥じらいは消えていた。この切り替えの速さは実に現場向きと言える。
「天の運、地の運、人の運、時の運……人事を尽くし天命を待つと言っても、運は多種多様に折り重なり、大事を成すためには運の助けなくしては為し得ない」
「何の運試しをするって言うの」
 じれったそうに、しかし、それをなるべく表に出さないようにする自制心は身につけているらしい。娘は眼鏡を持ち上げてかけ直す。間を持たせるときの癖だった。
 この癖も、しばらくは見れなくなると思うと、寂しいものだった。
「ここから何百キロも離れた太平洋の海に、うちの会社は島を持ってる」
「島流し!? 娘を!? 精神病棟に隔離するようなもんじゃない!?」
「話が速くて助かるよ。だが、ただの島流しとは少し違うな」
「……違うの? あーもうだめ、速く教えて」
 さすがに参った顔を見せて、きつく目を閉じた。
「今回の件で、お前は大学退学だ」
「……うん」
「うちの社員にする」
「……うん」
「太平洋の無人島の開発責任者にして、無人島に住まわせる」
「う、うーん……」
「試される運は、ここからだ。過酷でなければ、誰も納得しないし、お前の性根も治らんだろう」
「えぇ……無人島の開発って時点で過酷すぎやしませんかね」
 こんなに閉口している娘を見るのはいつぶりだろうか。娘の一挙一動に、何か、郷愁にも似た想いが胸の内からこみ上げ来る。
「太平洋に海底資源が埋まっていることは知っているな」
「知ってるけど、あれって本当に採掘して採算とれるの? あー、それが、運?」
「そうだ。だが、お前が阿呆みたいに口を開けて待っていたら、いくら運が向いても好機を逃すぞ」
 秘書から娘のスキャンダルを聞いて、その動画の1つを見た時は文字通り椅子から転げ落ちた。精神的な動揺で天地の判別がつかなくなることがあるなんて、この身で体験するまで比喩表現としか思っていなかった。
 血の気が退き、天地がわからなくなり、運動もしていないのに動悸息切れで嘔吐しながら、俺の頭は助かる道を勝手に考え出した。
 創業者一族の子を、円形脱毛症になるまでしごいてくれた現場の先輩たちの成果が、娘の危機でも俺を助けてくれた。
「俺たちが相手にしているのは人間だ。損得で判断しながら、好悪で判断がおかしくなる人間だ。インパクトの強さは、それを増長させる」
「……エロ動画流しながら、無人島の開発を訴えるのが、それ?」
「それだ。まず時の運。本当にこの時代に太平洋の海底資源採掘が行われるか。もしかしたら採算がとれる採掘方法が開発されるまで50年、100年かかるかも知れない」
 人差し指を立ててみせる。そして2本目の指も立てる。
「地の運。海底資源採掘が行われたとして、お前が開発する無人島がその現場からどれだけ離れているか。中継基地、あるいは休養地として成り立つ位置か」
 一番目途が立ちそうな島を選びはしたが、果たしてそううまく事が運ぶか。
「そして、これが肝心だ。心して聞け」
「……何よ?」
 神妙な顔をする娘に満足して、3本目の指を立てた。
「人の運。お前のエロビデオの中で、お前が犯した娘が言っていたな。ご主人様、一生尽くしますって」
「うーわ。父親の口からそんな言葉言われると、ホント、ちょっと、うわー……」
「俺だって耳を疑ったぞ。娘が、女をご主人様呼ばわりさせて、しかも相手が本当に嬉しそうで。あの瞬間の衝撃は、筆舌に尽くしがたいな。何せ、ゲロ吐いて口が詰まってたからな。秘書の柿崎君のあんな慌てた顔は初めて見たよ」
「め、面目ないです……」
 おお、今、初めて娘がこの件で謝ったぞ。
「だがまあ、正直に言えば、感動したよ。母さんだって、部下だって、誰一人一生尽くしますなんて言ってくれたことないからな。どんな事があれば一生尽くすなんて、あんな心底嬉しそうに言えるんだ。あるいは、どれだけ浅薄なのか」
「……それが、人の運?」
「お前が犯した女達の『一生尽くす』というその言葉が真実であるか、お前に人を集めて動かす力があるのか、それを試す。お前を慕う女が誰もいなくなった時点で、俺は会社との関わりを断って、当然お前も二度と会社とは関わらない。お前に窮地で人を従える能力がないと、そう判断して次代の後継者はうちの一族からは採用されない」
 娘がゆっくりと眼鏡をかけ直し、腕を組み、溜息を吐いた。
「私は退学になる。それに付き合って大学をやめて、うちの社員になる。これだけでもう人生のターニングポイントじゃない」
「エロビデオ撮って公開してる時点で、分水嶺はとっくに超えてるだろう。世間に知られれば一生の汚点になることは間違いない。それくらいわかっててやったんだろう。で、たぶん、何となく、きっと大丈夫だろうって楽観的にやっちまったんだろう」
「……反省してます。反省は――」
「行動で示せ。何遍も言って聞かせてきたな。力尽くで押さえつけるのには限度がある。行動で納得させれば、次がある。今が実行の時だ。大学やめてお前の女達を引きつれてこい。役員達の前で頭下げて無人島で血の小便が出るまで未開の島の木を切り倒して開拓しますって頭下げろ。本当に海と木しかない島に放り込むからな。覚悟しろ」
「はぁー……どる高いなぁ……でも……」
 この話を断ればどうなるか。さすがに娘もわかっているようだった。
 今、俺が失脚して会社を去っても、5年か10年程度は今のままの生活を続けられるだろう。だが、その先、娘の長い人生の大半は生活苦に追われ、この大学時代の過ちを悔いてのたうち回りながら人生を終える。ましてや妹の桜なんてとばっちりもいいところで、可哀想すぎる。それが想像できる程度の教育はしてきた、はずだ。
「わかった。ありがとう、お父さん。若い内の苦労は買ってでもしろって言うものね。私が蒔いた種だけど。精子だけに」
「なんだ、まだ冗談を言える余裕があるのか。しかも下品。実に現場向きだ」
 互いに苦笑して、溜息が出た。
「4年間、お前を無人島に隔離する。その間に島を本格的に開発できるように調査、計画を立てて、役員達を納得させろ。
 まずは3週間後に役員会議を開く」
 後戻りはできない。
「1週間以内に退学して、2週間以内にお前についてくる女達を連れてこい。まずは親御さんに菓子折持って頭を下げに行くぞ。誰もいなかったら、そこで俺もお前も、別の人生のスタートだ」
「わかった……それじゃあ、行くね。やることが決まったら迅速に」
 その言葉も俺が娘を現場に連れ回して言い聞かせた言葉の一つだ。
 女の子に泥臭い――文字通りに土と汗と油の臭いが充満する現場は退屈だったろうに、この子は親の言いつけを守って、いずれこの現場を指揮し、その先には現場を生み出す仕事に就くのだと理解して……良い子だった。本当に良い子で、次を任せるのはこの子だとそう信じて疑わなかった。
「……すまなかった」
 言ってはいけない言葉が、口をついて出た。
「お、お前が、生まれた時、半陰陽だと、わか、わかった時っ」
 言葉が溢れ、感情が溢れ、涙が溢れ出た。
「お前が、女で、男で、どっちもあるって、わ、わかった時に、父さんが、俺が決断して、いれば……!」
「……やめて」
「俺が、俺が悪かったんだ! 俺があの時! ちゃんと! ちゃんと決心して、お前の男を、手術でっ 切除していれば!」
「やめてよ、お父さん!」
「お前が、こんな淫乱にっなったのは! ほ、ホルモンバランスが崩れたとか! アイデンティティの葛藤とか! そ、そういう! なにか! なにか、なんでも…!」
 母さんだってそりゃ泣くだろう。泣き腫らして、この世の終わりみたいな顔をして、だから、俺はしっかりしないとって。家族を。生活を。社員を。家に住む人々。道路を使う人々。会社を。国土を。海外。将来。守るんだって。俺は。泣いてはいけないって。
「ただの、スケベ心で、あってたまるか……!」
 監督不行届。
 三代目の親父がやらかして、若い俺は現場に追放されて、その現場ではボンボンがいい気なもんだとさんざんいじめられた。現場のミスは名ばかりでも監督の監督不行届だとなじられた。
 もうあんな思いは二度とするかと、どれだけ上の立場になっても移動経路に近い現場にはどんなに小さい現場でも必ず顔を出して睨みをきかせて、敵対派閥だろうが何だろうが想定外のミスは許さないとウンザリするほど言い聞かせてきた。
 その監督不行届だ。娘が生まれる前からの、俺の人生の地盤だ。
「お、俺っ……おれ、がぁ……あっ……」
 息が詰まり、気づけば膝が地についていた。隙間もないようなトンネルの隔壁から地下水が染み出すように、涙が溢れ、排水が間に合わずに水没していくようだった。全てが崩壊し、この子の人生の一番始まりまで、行き当たった。
「ら、らぶ、らぶりぃ、なんて、お前の名前、愛狂射なんて、つけてゴメン……!」
 娘の名前、愛狂射と書いてラブリイと読む。
 生まれた時はそれが良い名前だと思った。間違いなく思ったのだ。
 しかし、幼稚園で変な名前と笑われて、それを苦しく思いながら、親にはそんな素振りを見せまいとして……でも子供故に我慢しきれずに、大泣きして俺を叩いたのが、生涯でたった一度きりの反抗だった。
「お前が、はた、二十歳になったら、か、改名っ しようと、っ、名前をっ 春にっ 普通の、春に生まれたからっはる――」
「やめて!」
 生涯で二度目の娘からの殴打だった。もう、どこが足下で、どこに力を込めて立てばいいのか、わからなくなっていた。
「あああああああ……! あーーーーーーーーーっ!」
 まるで子供の泣き声だった。
 自分の口から出る声が信じられなかった。
 言われるまでもなく若狭がマスコミをおさえてくれた。宝田がネット工作の手はずを進言してくれて、堤でさえ社内に箝口令を敷く手伝いをしてくれた。
 それでも人の口に戸は立てられぬ。
 流出した娘のエロビデオ――マスクをつけてそれで身元を隠せると高をくくった浅はかな自撮りAVは消せはしない。世間の人々のパソコンの中にひっそりと眠り、社員達の脳裏に焼き付いている。
 一生、いや、会社が続く限り、四代目の娘は馬鹿な淫乱だと笑われ続ける……!
 積み上げてきたものが、人生の一切が、娘の性欲一つで崩れ去る!
「聞いて!」
 娘が、俺の頭を両手で鷲づかみにして、顔をあげさせた。
 涙でにじんだ視界では娘の表情はわからなかったが、その声は力あるものだった。
「ご主人様って、私の事を呼んでくれる子たちは、7人いる。でも、多分、本当についてきてくれるのは4人」
 俺の頭を、髪をつかんで前を向かせる手に躊躇いはなかった。人間の頭をつかんで固定する。そんな行為を躊躇いなくできる人間は、多くない。
 慣れた手つきだった。
 信じがたいことに、娘はこうやって女達を籠絡してきたのだ。
「ちゃんと連れてくる。人生捨てて私について来いって、その言葉だけで大学やめさせて、無人島についてこさせる」
 迷いのない声。
 力強い手。
 確信に満ちた目。
 そんな態度をして見せる者は現場では数多いる。己への自信、上司への対抗心、現場への信頼、色々な理由から強気な態度に出る者は多い。
 自分は失敗しないと、自信に満ちた態度をとることはたやすい。
 失敗したときのことを考えなければいいのだ。
 その強気の向こうで失敗したときの尻ぬぐいを考えている者は存外に少ない。
 そして困ったことに、その者がどちらなのか、態度だけではわからない。
「……お前は、どっちだ……」
「え?」
 ぽつりとこぼれた言葉に娘は眉をひそめた。
「……いや、すまない。取り乱した。まあ取り乱すさ。俺の今までの人生が全て台無しになるかどうかの瀬戸際だからな」
 俺は娘の手を振り払って姿勢を正した。
 散々泣きっ面を見せた後とは言え、体裁は取り繕わなくてはならない。
 親にエロビデオを見られた娘の方がしっかりしていては、示しがつかない。
 手で涙を拭い、そのままアゴ先を指で撫でた。
「対処しなければならないことはいくらでもある。ドタキャンした会合にも詫びを入れないとな」
「お父さんはしばらくお父さんの仕事に専念して。必要なだけの指示はもらったんだから、私はちゃんと行動で示してみせる。2週間もいらないわ。1週間で私についてくる子達を連れてくるから」
「あー……うん……犯罪にならないようにな」
「しないわよ!?」
 目的を達成するために、失敗よりも始末の悪い悪事を働く。
 自信に満ちていながら、後がない者が陥りがちだ。
「父さん、心配になってきた。とにかく犯罪だけはしないようにな。失敗しても俺たちが路頭に迷うだけで済むんだから。他所様に迷惑かけないようにな」
「信頼が地に落ちてる……しょうがないけどさぁ」
 なんとも悔しそうな娘だった。
「……そういえば、一つ聞き忘れてたわ」
「なんだ?」
「時の運、地の運、人の運。それはわかったけど、もう一つあったでし。天の運は何?」
「ああ、そんなことか……」
 神妙な顔をして俺を見てくる娘に、苦笑をこぼした。
「わからない」
「わからない?」
「そうだよ。何かだ。サムシング。まさしく天の助けか、天の邪魔か、あるいは、そうだな――」
 ふと、意味ありげなセリフが脳裏をよぎった。
「身構えているときには、死神は来ないものだ。
 本当、今回の件はまったく身構えてない所から不意打ちで首を狩られかけた。青天の霹靂って奴だな」
「……それ、何かのアニメのセリフじゃなかったっけ」
「一つシリーズを追っかけておくと若いのと話するとき楽なんだ。向こうもそれだけ知ってれば俺と話を合わせやすくなる。俺の若い頃は車とかゴルフとか……時代だな。今は車持ってる奴でも格別の興味はないって感じがする」
「ははは……4年も無人島にいたら、時代に取り残されそうだけど……」
「なに、無人島開発なんて、うまくいけば時代なんて関係なく誰にでも自慢できる武勇伝だ。うまくやってくれ。また家族そろって笑えるようになりたいと、願ってる」
「そうだね……それじゃあ行くわ。大学の退学手続きしてくる」
 去って行く娘の後ろ姿を見ながら、そのエロビデオの内容を思い出してしまう。
 娘の艶姿は、美しいとさえ思えた。
 相手にしている女達も、マスクをつけてもなお美しく、それは自慢して見せびらかしたくもなるだろうというプロポーションだった。
 喘ぎ、ねだり、淫らに体を重ね合わせ、娘達のレズAVがネットで人気を博したというのも頷けた。
 カモフラージュのつもりか、チンコにペニスバンドを被せてふたなりを隠してはいたが、よがり狂って娘に男根を求める娘達の目は間違いなく娘のふたなりのとりこになっていた。
 嬉しそうに娘のチンコにしゃぶりつき、マスクの隙間から覗く目を輝かせ、カメラに濡れた視線をくれていた。
 何人もの女達が尻を並べて娘のチンコを求めて腰を振ってねだり、触ってもいないのに愛液がしたたり落ちる姿は目眩がするほど淫らだった。
 膣に挿入されるときに口から漏れ出る吐息と、娘に愛を誓う言葉。
 そして、娘もその愛に高ぶり、何度も腰を振り立てて女を喘がせ、そして果てる姿……
 親が見ていいものではないとわかっていながら、見続けてしまった。
 不思議な体験だった。
 今後の対応への焦りと、取り返しがつかない失態への悔恨と、人生が崩れていく事への恐怖と、美しくさえある女達の艶事への高ぶりと、それが娘であることの絶望。
 勃起したり、次の瞬間には萎えたり、動悸で息が苦しくなったかと思えば、いつの間にかまた勃起していたり。
 悪夢と淫夢を同時に見ているようだった。
 しかし、その夢から醒めたとき、俺の中に芽生えた感情は怒りだった。
 俺を恨む者達、妬む者達、蹴落とそうとする者達。
 また俺が恨む者達も、妬む者達も、蹴落としてきた者達も、大勢いる。
 そいうった男達が、この娘のエロビデオを見て、嘲りながらチンコを握って、娘を見下しながら射精して大笑いするのかと思うと、腸が煮えくりかえった。
 絶対に。
 娘を。
 次代のトップに据える。
 誰も文句が言えない実績を打ち立てて、相応の椅子に座らせる。
 海底資源採掘をこの手で主導し、ただのゼネコンで終わらせず、世界にこの高山都の名を轟かせる。その時、俺の右腕として傍らに娘が傍立ち、誰にも文句を言わせず後を継ぐ。
 世間に流布した娘のエロビデオはもう回収できない。
 だが、没落した令嬢だと嘲りながらチンコを握らせない。
 手が届かない高嶺の花だと羨みながらチンコを握らせてやる。
 何もかもなげうってでも、娘を押し上げる。
 それにはまず、娘自身の手で重圧に耐えられる地盤を作り上げなければならない。
 血を吐くような苦労と、苦労を分かち合う仲間と、生涯を共にする伴侶――娘の場合一人きりとは限らないかも知れないが――、娘にその手で地盤を作らせる。
 影であんなエロビデオを撮影してるとは露とも知らなかったが、表では間違いなく優秀で自慢できる娘だった。
 きっとこの苦しい4年間を耐えきって、あの無人島――千歩島を海底資源採掘の中継拠点のモデルケースにしてくれるはずだ。
 だから、俺がその4年のうちに会社の目指す先を、今までよりもさらに高みへと向けなければならない。
 もう姿が見えなくなった娘の背に無言でエールを送った。
 無人島開発を辛くとも楽しかったと言えるように、娘を世界でたった一人の、世界一美しいスーパーゼネコンのふたなり女社長と呼ばれるようにしてみせる。
 俺は足先に力を込め、地面を蹴って歩みだした。

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