【短編小説あり♪】本日はスノノちゃんの生誕日♡

本日12月22日は…!

ロリこんばんは~!

今年ももう、10日を切ってしまった~~~!
特に何があるわけでもないけど焦ってしまうのは、きっと私だけではないはず…!

そんな本日、12月22日は…
ひんやり雪女ロリっ娘、スノノちゃんの誕生日~~!

生まれてくれてありがとう…いつもひんやり冷たい君が、大好きだよ…!
そんなスノノちゃんが、あなたと愛し合うために、どうやらあたた~くなるための特訓をしているようで…??

彼女とのその後を記した短編小説を用意しましたので、ご覧ください~~!

→スノノちゃんとロリっく!←


スノノSS:死が二人を分かつまで

 
 

 とあるマンションの一室。そこには一風変わった新婚夫婦が暮らしている。夫はごく普通の成人男性。そして妻は――

「人間さん、お願いするですっ! 今日こそスゥ、冷気をコントロールしてみせるですよ!」

 透き通るような白い肌に、銀雪がごとく輝く長髪を携えし、天使のような美少女。一見すると、ただの子供にしか見えないその少女は今、夫と二人羽織をしながら、

「いきますよー……あー……はふっ、熱っ⁉ 玉子さん、熱々すぎます~~! う、うぅぅ、お水! 冷水~~!」

 夫におでんを食べさせてもらい、悶絶していた。
 夫婦漫才の練習でもしているのだろうか?
 否。

「はふ、はふ……また、失敗です……どうしたら、スゥ……熱に強くなれるんでしょう」

 彼女は雪山生まれ雪山育ち、吹雪を友とする妖怪、雪女なのである。
 紆余曲折を経て、人間である夫の元に嫁いだスノノだが……冷気を突発的に放出してしまう体質と、人肌以上の温もりにめっぽう弱いという弱点から、夫婦らしいスキンシップが中々取れず、頭を悩ませていた。
 あえて下品な言い方をすれば、夜の営みができていないのだ。それも新婚ほやほや、最もアツアツな時期なのにも関わらず。
 スノノが焦ってしまうのも、無理はないだろう。

「……ごめんなさいです。スゥのせいで、いつも貴方には……我慢、させちゃってるです。これじゃスゥ、お嫁さん失格です。実家に強○送還されちゃうです」

 そんなことしないよ、と夫が言うのも、今のスノノには聞こえていない。

「人間さんに捨てられたら、スゥ未亡人です……夫を忘れられず、挙句の果てに悪霊になって氷河期を再来させてしまうかも……ぅぅ、ブリザードモンスターさんになんて、なりたくないですぅっ」

 彼女には妄想が激しすぎるきらいがあった。愛されていると知っているはずなのに、被害妄想をし始めるとそれが真実であるかのように誤認してしまうのだ。

「に、人間さん! 次のトレーニング、お願いするのです! 次は、これです!」

 スノノは何故か突然、押し入れから毛布を三枚取り出した。

「これでスゥをぐるぐる巻きにして、ストーブの前に置いてほしいです! こうなったら荒療治しかないです! スゥは大丈夫ですから、どうか、お願いするです!」

 スノノの目が余りに血走っていたため、夫は止めるに止められなかった。本当に大丈夫? と何度も念押ししたが、『スゥを信じるです!』と強情なので、結局こちらが折れるしかなく。
 結果としてスノノは、ストーブの熱気に晒され続けるという○問さながらのトレーニングを行って――

「げほっ、ごほっ……ぅ、ぅぅっ」
 
 見事なまでに体調を崩した。

「か、風邪を引いてしまったのです……ぅ、ぅ……暑い、暑いですぅ」

 スノノは人間ではないため、風邪を引いた場合寒気ではなく暑さを感じるようになってしまう。
 また、体温を上げることではなく、下げることで雪女の免疫は活性化する。故に今、スノノの体温はマイナス二十度にまで下降していた。しかも咳をするたびに、彼女を中心に雪風が吹き荒れる。
 人の身では、近づくだけで凍りかねない危険な状態だ。
 それでも、夫は。

「あ、貴方……だ、ダメです……っ。スゥ、大丈夫なので、寝てれば、治るので…この部屋から、出てってください、ですっ」

 献身的に彼女に付き添っていた。人間の場合と逆の看病をすればいいのだろう、と判断し、人肌に温めたタオルと栄養補給用のシャーベットを用意して、彼女に与える。
 大丈夫? と問いかける夫の顔色は、見るからに蒼白で。先ほどから全身、震え続けている。このままでは最悪の場合、命に係わるかもしれない。
 夫の献身的なまでの愛情が、とても嬉しくて。しかし、今のスノノには重荷だった。

「や、やめ……優しく、しないでほしい、です……っ。スゥ、申し訳、なくて……貴方を、こんな……震えさせることしかできないのが、情けなくて……もう、消えちゃいたく、なるです……!」

 スノノの目尻から零れた涙が、頬を伝い落ちる最中で氷結する。また体温が低下しているのだろう。
 自分が情けない。こんなにも愛しているのに、愛してもらっているのに、何一つ返せない自分が心底恨めしい。
 喉を震わせながら、スノノは泣いた。彼女の総身を、今や薄い霜のような物が覆っている。このままでは、氷像になってしまうのではないだろうか。
 
 夫は思い出す。
 そういえば、雪女の伝承には愛する夫との悲恋を嘆き、そのまま消えてしまうという話があったではないか、と。 
 もし、スノノが消えてしまったら。自分の前から永遠に失われてしまったら。
 そんな悲劇を許せるはずなど、なかった。

「……⁉ あ、貴方、何、してっ」

 一切迷うことなく、スノノを抱きしめた。彼女の身体は今まで体感したことがないほど冷え切っている。下手をすれば、マイナス五十度なんて荒唐無稽な体温になっているのではないだろうか。
 当然、密着している自分の身体も凍り付いていく。スノノと共に、一つの氷へと変じていく。

「し、死んじゃうっ、死んじゃうです! 離れて、だめ、いやぁぁ!」

 スノノがどんなに身を捩っても、夫は決して離さない。
 当たり前だ。
 もし彼女が、物言わぬ氷像となるのならば。その死出の旅に、一人で行かせなどしない。自分も必ず、最後の瞬間まで彼女と共に。
 身体が朽ちても、例え今生で繋がれなくても。魂だけは溶け合うと信じて。
 薄れゆく意識の中、夫は青紫になった唇で、最愛の妻へと永遠の誓いを立てる。
 
 ――愛してるよ。例え死んでも、いや死後だってこの手は離さない。

「あ、あぁぁ……っ」

 悪熱しか感じていなかったスノノの身体に、慣れ親しんだ夫の体温が染み渡る。だがそれは、急激に熱を失い、今にも消えてしまいそうだ。
 夫の瞼が閉じきろうとしているのを見て、スノノは半狂乱で叫んだ。

「ダメ、嫌、そんなの、そんなのダメですっ! 死なないで、死んじゃダメです人間さん!」

 泣き止まないスノノの様子に、眠りを妨げられたのだろうか。夫は微笑んで、彼女にそっと口づけた。
 そして、それきり、何も言わなくなってしまった。

「あ、あ……っ。貴方、目を、覚ましてください……だ、誰か、誰か助け……っ」

 誰かなどいるはずもない。仮に騒ぎを聞きつけ人が来たとしても、この冷気に近づけるわけもなく。
 よしんば無事に救出されたとしても、スノノが雪女だということがバレ、然るべき化学機関により実験動物扱いされるのは想像に難くない。
 ならばこの状況を打開できるのは。

「スゥが、やらなきゃ……スゥが人間さんを、助けなきゃ!」

 自分しかいない。ならばもう、泣き言を言っている暇などなかった。

「すーーー……」

 彼女は思い切り口を開け、吸えるだけ息を吸った。スノノが発した冷気なのだから、彼女の身体に収まらないわけがない。
 そう考え、部屋を雪景色に変えている氷も、霜も、雪も吸うつもりで肺を全力で膨らませた。

「むぐぐ、ぅ……っ」

 すんなりと吸収できるわけもなく、スノノの表情には苦痛が滲む。人間で言えば、吐き出した血を呑み込んで元に戻すような荒業だ。上手くいくはずなど、道理で考えればあるはずがない。
 それでも、一縷でも希望があるのならば。
 
 ――諦め、ません……! 絶対、絶対……折れたりしません!
 
 スノノは必死で息を吸う。もっと、もっと。
 臓器全てに冷気を貯蔵しろ。肺の中を氷気で満たせ。
 やがて、夫の身体を覆う氷がゆっくりと剥がれ始めた。手も首も、青みがかっている。このままでは助かっても、壊死してしまう。
 ならばもう、一か八か。思いつく手段を試し、奇跡を起こすしかない。

「ですぅぅぅ~~~ッッッ‼」

 スノノは息を吸いきった。
 部屋を覆う寒気は全て、今彼女の内に。
 そこで終わりではなかった。

「冷気を外に出さずに……スゥ自身に、巡らせて……!」

 スノノは体内へと意識を向け、吸収した冷気を循環させた。血管を流れる血液を急加速、絶えず自分の身体を動かす動力源として。
 雪女といえど、体のつくりは人間と似通っている。故に、血液が巡ればその分、体温も比例して上昇していく。
 
 氷が溶けるほどに血液の温度を上げ、そこに吸い込んだ冷気、体内で生成される冷気を流し込んで推進力とすれば。

「はぁ、はぁ……で、きた?」

 体温を上昇させ、また、冷気をある程度漏れないようにすることができるというわけだ。
 と言ってもそれもこれも全て、科学では解明できないブラックボックス、妖怪が持つ妖気の働きが大きいのだが……まあそこは置いておこう。
 とにかく今、スノノの体温は三十六度ほどにまで上昇している。

「はぁ、はぁ……きっと、今なら……ですっ!」

 スノノは夫を抱きしめ、温めた。いつもは冷やすだけしかできなかった雪女の体は今、確かな温もりを帯びていて。
 夫の身体を、しっかりと温めていく。
 やがて、朧気ながらも夫が意識を取り戻した。

「あ……人間さん! 人間さん……ぅぅぅ、ぅわぁぁあ……っ」

 自分のせいで、大切な人を失う所だった。しかしすんでのところでその最悪を回避できた安堵もあり、スノノの涙腺は決壊した。
 もう涙は凍らない。確かな熱を持って、彼女の頬から夫の頬へと滑り落ちた。
 心配かけてごめん、とはにかむ夫の胸に顔を埋め、スノノは泣きじゃくった。身体の水分を全て使い切るのではないかと危惧するほどに、泣き続けた。
 夫に後頭部を優しく抱きかかえられて、幸せな涙を流し続けた。

 その後。

「ふふ……スゥ、この前の一件でちょっぴり体温上げれるようになったです! ぎゅーってしても、いいですよ?」

 無事一命を取り留め、すっかり元気を取り戻した夫とスノノはストーブのある温かい部屋で触れ合っていた。

「えへへ……貴方、貴方……♪」

 スノノを膝に乗せて、夫が彼女を抱きしめる。そこには幸せだけが満ちていた。
 実のところ、夫はあの件で生死を彷徨い、病院へと搬送されたのだが――全身を覆っていた凍傷などは、手術をするまでもなく自然治癒していた。
 何故なのか、二人は知る由もないが――
 
 妖怪であるスノノと何度も口づけを交わし、彼女が発する妖気に絶えず晒されている夫の肉体は……人間と妖怪の狭間とも呼ぶべき代物へと、変質しているのだ。
 並外れて頑丈な肉体、飛びぬけた回復力。
そして。
 妖怪同様の、長い寿命。
 スノノを置き去りにすることを心配する必要はもう、ないのだ。

「貴方……スゥ、頑張ります。今度は、無理せず……時間をかけて、特訓しますから。もし、完璧にあったか~くなったら……赤ちゃん、作りましょうね。いっぱい、いーっぱい……えへへ♪」

 スノノと夫との間に隔たる種族の壁は、どんどん薄くなっている。それはやがて見えない程に薄まり、二人の運命を繋げることだろう。

「ずっと、ずーっと一緒です……♪ 愛してるですよ、貴方……♡」

 幸せな二人の生活は、これからも続いていく。
 死が二人を分かつまで。
 だがその死はきっと、ずっと先の話だ。


二人の愛が新たな伝承を紡ぐまで

いかがだったでしょうか?
ちょっぴりシリアスながらも、スノノちゃんとの今後に一筋の光明が見えるようなお話しでしたね…!

不幸な伝承なんて書き換えるくらい、幸せな恋がきっと待っている…♪
さあ、これからも~~…レッツ、ロリっく!

→スノノちゃんとロリっく!←

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

記事のタグから探す

月別アーカイブ

記事を検索