【父の日SS】一番のプレゼント

6月18日は父の日らしいですね!!

ロリこんばんは~!!

本日は6月18日、それは知る人ぞ知る特別な日……そう父の日です!
いや縁ないし……とか、言わせませんよ?

あなたには……オムちゃんがいるではないですか!!

というわけで、オムちゃんがとにかく可愛い父の日SSを~……レッツ、ロリっく!
の前に作品ページをペタリ……


→オムちゃんとロリっく!←


父の日SS『一番のプレゼント』



「……ちんちんの日?」

 テレビを見ながら、少女は小首を傾げる。
 少女の名は、オム。あどけなく無害な○女にしか見えないが、その正体は地球外生命体ネディクト、その最後の生き残りだ。平たく言えば宇宙人である。
 
 そんな彼女を受け入れて、愛してくれた人間の男性。オムが『パパ』と呼ぶ人物が外出しているため、今オムは一人で留守番中だ。

「お父さんに感謝を伝える日……パパにありがとうする日ってこと? そっかー、ちんちんの日、やらなきゃ! パパありがとーってしなきゃ!」

 当然ちんちんの日ではなく、『父の日』であるが、外見に反して出生から一年足らずのオムに指摘するのは野暮であろう。
 とにかく、父親思いの娘は鼻息をふんすっ、と吐いて決意した。

「決めた! オム……パパにプレゼントするっ!」

 こうしてオムの『ちんちんの日大作戦』が始まった。



「んー、何貰ったら喜ぶかな? オムならおもちゃだけど、パパは大人の人だもんね。じゃあご飯かな? それともお菓子? んー、分かんないよぉ」
 
 お気に入りのパーカー、そのフードを目深に被り――額から突き出ている角を隠す目的だ――オムは単身、とある商店街に来ていた。
 父とよく散歩や買い物に来る、馴染の場所である。当然幼く愛くるしい外見のオムは、
「あら、オムちゃんこんにちは」
「あっ、お花のおばーちゃん! こんにちは!」
「おーい、オムちゃん! 今日は一人なの?」
「ケーキ屋のおねーちゃん! うん、オム一人―! 大人だから一人でお出かけできるんだよ、えっへん!」
 少し歩くだけでにこやかに話しかけられる、ちょっとしたアイドルのようなポジションを確立していた。
 
 中でも仲がいいのは、花屋を経営する年配の女性と、大学に通いながらケーキ屋の店員として働く女学生の二人だ。
 彼女たちがオムと話をしようと持ち場を離れるのを、同僚の店員たちは快く送りだす。むしろ『行っておいで』と背中を押す空気すらあった。
 直接話をする間柄ではなくとも、皆オムのことを可愛い娘のように思っているためだ。

「それでオムちゃん、今日はどうしたんだい?」
 
 老婆が尋ねると、オムは太陽のように明るい笑顔を浮かべた。

「あのね、パパにプレゼントしようと思って! あれだから、えとね、んーとね、ちんちんの日!」
「ちん……お、オムちゃん、はしたないよっ」
「ふぇ?」
 
 オムの言葉を聞き、女学生が赤面する。その理由がオムにはピンとこなかった。生後一年未満だから仕方ない。

「……もしかして、父の日かい? パパにありがとうね、ってする日」
「そうそれ! オムがたまには、パパをおもてなしなの!」
「な、なんだ父の日か……」
 
 老婆の助け船に、女学生がそっと胸を撫でおろす。彼女一人だけなら、オムの恐れ知らずの無邪気さに膝を屈していただろう。やはり酸いも甘いも味わいつくした年配の女性は頼りになる。
 事情が伝わったところで、オムは早速二人に切り出した。

「んっとね、だからー……綺麗なお花と、ケーキ! くださーい!」
 
 分かったよ、うちの商品全部あげちゃう♪ と言いたくなるレベルに可愛いおねだりだが、現代社会はそんなに甘くない。

「オムちゃん……お金はあるの?」
「おかね? おかね……って、何だっけ?」
「えっ」
 
 女学生は面食らった様子だ。無理もない、オムくらいの子供がお金という名前すらピンときていないのは、常識的に考えてあまりにも不可解だ。
 まさかオムが一歳未満だとは夢にも思わないだろう。当然だ。

「オムちゃん、お店で物を貰うときにはね、お金……っていう物を渡さなきゃいけないんだよ。じゃなきゃ、泥棒さんになっちゃうからね」
「どろぼー……⁉ オム、将来の夢泥棒さんじゃないのに⁉ やだ、なりたくないよぉ!」
 
 分かりやすい語彙で、さりげなく社会の仕組みを教えてくれる老婆。流石は年配者。一歳未満の○女とは経験値が違う。
 オムは知識こそないが、賢い子だ。故に、老婆の簡潔な説明でもある程度の理解を得ることができた。
 物を買うにはお金、すなわち対価が必要で、それを払わなければ悪人すなわち泥棒に強○ジョブチェンジする羽目になる。世知辛い世の中の一端を知った。

「う~、分かった……でもオム、おかね持ってない……何かないかな、何か……あっ!」
 
 ガサゴソとパーカーのポケットを漁ると、硬い感触の代物が数点入っていた。オムはそれを取り出し、女学生と老婆に差し出す。

「これ、オムが頑張って集めた綺麗な石ころさん! しかもね、きゅきゅって磨いたの! 見てみて、お顔も映るよ! 鏡いらないんだよっ!」
 
 父との散歩の際に拾った石数個。確かに綺麗ではあるが、オム以外の人間が価値を見出すのは難しいだろう。

「「……」」
 
 老婆と女学生が視線を交わす。当然、『石ごときで飯が食えるか一昨日きやがれ!』と、にべもなく突っぱねるに決まっている。
 それが普通だ。一般的な対応だ。
 
 しかし――
 
 老婆と女学生は『少し待っててね』とオムに言うと、それぞれの店に一旦戻っていった。そして待つこと数分、二人の手にはそれぞれケーキの箱と色とりどりの花束があった。
 そして二人はそれを、オムに手渡してくれる。

「えっ、オムお金ないよ? 石ころさんしかあげられないのに……くれるの?」
「勿論だよ。ねえ?」
「うん、オムちゃんの宝物だもん。むしろ、ケーキ一個で足りるかな?」
「おばーちゃん、おねーちゃん……」
 
 オムは知らないことだが、老婆と女学生は自腹を切ってこれらの品を用意してくれている。
 そして幼いオムにも分かることが一つ。二人の優しさがなければ、こんなに素敵なプレゼントを手にすることはできなかった。
 
 それを感じたオムには、
「ぅ、ぅぅ……二人とも、大好き……ありがと、ありがとうだよ……」
「「どういたしまして」」
 ひたすら感謝をすることしかできなかった。
 余談だが、オムのプレゼントした石を、二人は生涯大切にしたという。

 
 
 こうして無事父に渡すプレゼントを確保したオムは、ほくほく気分で帰路についた。
 そして帰宅後、ふと思い至る。

「これじゃ、おばーちゃんとおねーちゃんからのプレゼントかも……? オムからのありがとう、伝わらないんじゃないかな……?」
 
 オムの日頃の行いと健気な想いが伝わった結果なのだから、オムからの恩返しと十分呼べるだろう。しかし本人的には納得がいかない様子。

「よし、ならパパが帰ってくるまでに……」
 
 オムの瞳には、恩返しの業火(?)が燃え盛っていた。
 愛する父のために、できる限りのことをしよう。
 そう決意して、日課の昼寝すらすっぽかして働き続けた。



 ――結果、父が帰宅する頃。

「くう、くー……えへへ……食べきれないよぉ」

 オムはぐっすりと熟睡してしまった。
 床で寝るオムをソファに寝かせて、父は毛布を掛けてやった。
 そしてそれから、リビングに置いてあるローテーブル……の上に鎮座する、どでかい一皿に視線をやった。

 苺とブルーベリーがふんだんに使用された、五号サイズのホールケーキ。そしてその周囲には、バラバラの大きさにカットされた――といっても明らかに手でちぎったであろう――バナナや、チョコ菓子やクッキーが囲っている。

 カラオケで提供されるお菓子盛りだくさんのパーティセットから秩序を奪い、遊び心を加えたような一皿だ。
 シェフは当然オム。父に喜んでほしくて、大好きな『お菓子パーティ』の準備をしたのだ。完成度の低さはご愛敬。

 実際、父はいたく感動している。愛娘が自分のために、知識と知恵を総動員して作り上げてくれた至高の一皿。
 外見の拙さを補って余りある、愛情というトッピング。
 それだけでも胸が満たされるというのに。
 テーブルの上に、二つ折りにされた紙が一枚。丸っこい字で、『ぱぱへ』と書いてある。
 男性は自分宛ての手紙を、静かに開く。
 そこに書かれているのは、予告状でも果たし状でもない。


『ぱぱ、いつもありがとう。だいすきなぱぱとずーっとわらっていたいな。おむはぱぱのことがたくさんだいすきだよ』


 純度百パーセントの真心と愛情。オムを守るためならどんな痛みも困難も乗り越えられる、そう断言できるだけの勇気が湧いてくる魔法のメッセージ。
 父はたまらず、寝ているオムの頬に手を添えた。
 父の手の感触が心地いいのだろうか。

「えへへへ……パパ、パパ……♪」

 オムはふにゃっと頬を綻ばせた。
 その天使の寝顔が一番のプレゼントだというのは、言うまでもない。



大天使オムちゃん

はい、いかがだったでしょうか?
持ち帰る途中で転び、ケーキがぐちゃぐちゃに……なんて世界線もあった気がしますが、オムちゃんのイノセントパワー(無邪気力)により、ハッピーエンドになった次第です。

というわけで、オムちゃんから『ちんちんの日』のお祝いでした♪
愛娘オムちゃんを、これからも是非是非よろしくお願いしますっ!!



大天使オムちゃん

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